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カテゴリー: 社会

山奥の小さな旅館が外国人客で満室に

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 二宮 謙児 、 出版  あさ出版
タイトルに惹かれて読んでみました。山奥の小さな旅館といいますから東北地方の山奥かと思うと、なんと大分は湯布院町の湯平(ゆのひら)温泉にある旅館です。私も、もちろん湯布院の温泉には何度も行ったことがありますが、湯平温泉というのは知りませんでした。そこにある家族経営の小さな旅館「山城屋」の話です。
私がこの本を読んで驚いたのは、なんといっても旅館なのに週休2日制を完全実施しているということです。すごいです。偉いと思いました。たしかに家族経営で年中無休だったらたまりませんよね。家庭生活も基本的人権もあったものじゃありません。
ところが山城屋は水曜日と木曜日は定休日として、旅館自体が休みなのです。そのうえ、盆、暮れ、正月も休みです。ここまで徹底するとは、たいしたものです。いいことですよね。
その理由について、疲れた顔では安心感は与えられない、お客様の前では常に万全の状態でありたいというのです。心からの拍手を送ります。
いま、日本の旅館は全国に4万軒ある。10年後には3万軒もないだろう。湯平温泉の旅館は60軒あったのが、今や21軒と3分の1まで減少した。
この山城屋が稼働率100%を維持しているのは、インターネットを活用しているから。韓国や中国からインターネットで予約して宿泊客がやって来る。予約は半年も1年も前から殺到するので、結果として、日本人客より外国人客のほうが多くなった。今では外国人客が8割を占めている。
旅館のホームページは4ヶ国語で対応している。韓国語、中国語、そして英語。
客室は7室。つまり1日最大7組しか受け入れられない。食事は和室にイスとテーブルを置いたレストラン形式だ。客には歓迎されているという安心感を実感してもらう。
こんな家族経営の小さな旅館に泊まってみたくなりますよね。
(2017年7月刊。1500円+税)

日航123便、墜落の新事実

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 青山 透子 、 出版  河出書房新社
今から32年前の1985年8月12日、日航ジャンボ機(ボーイング747)が墜落した。524人の乗客乗員のうち4人が助かった。そのうちの一人、落合由美さんの証言によると、山腹に墜落した落合さんの周囲には、「おかあさん」「早く来て」「ようし、ぼくはがんばるぞ」「助けて」・・・という何人もの声があがっていたそうです。
ところが、現実に救出されたのは、墜落して生存者が判明しているのに、それから3時間以上もたっていた。灼熱の夏山の山頂に助かるべき人たちが放置された。そして、生存者の4人にしても、最終的に病院にたどり着いたのは、墜落してから実に20時間がたっていた。うむむ、これはなんとしたことでしょう・・・。ありえない、信じられない遅さですね。
乗客が墜落する前に飛行機の内部でとった写真にオレンジ色の飛行物体が窓の外側にうつっているといいます。これはいったい何なのでしょうか・・・。
また、墜落した日航ジャンボ機にアメリカ空軍のファントム2機がつきまとって飛んでいたという目撃証言も紹介されています。アメリカ空軍は、ジャンボ機の所在をつかんでいて、日本側に教えなかったのではないか・・・。それは群馬県の小学校と中学校の作文としても残っているのです。
子どもたちは、真っ赤な飛行機が飛んでいたとか、墜落直後からヘリコプターが多く飛んでいたとも書いています。
アメリカ軍は被害者の救助活動をまったくしていませんが、実は、墜落した機体の所在をすぐにつかんでいたのではないかと疑われるのです。
アメリカ軍は知っていながら教えず、自衛隊が救助活動に入るのには時間がかなりたっていた。なぜ、そんなことが起きたのか・・・。
日航ジャンボ123便の墜落事故については、当時から隠されていることがたくさんあると指摘されてきました。久々に子どもたちの目撃作文などの新証拠によって疑惑が指摘されたのです。きちんとした真相解明をしてほしいものです。
(2017年9月刊。1600円+税)

貧困と地域

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 白波瀬 達也 、 出版  中公新書
昔は釜ヶ崎と呼ばれていましたが、今ではあいりん地区と呼ばれている地域の状況を歴史的変遷を追って分析した本です。
この地域に、今では外国人旅行客向けのホテルが続々と立地しているなんて信じられません。新今宮駅付近は外国人旅行客であふれ、簡易宿泊所の稼働率は上がっている。
中国人の経営するカラオケ居酒屋も100店ほどあり、若い中国人女性が接客している。
では、旧来の住民はどうしているか、どうなっているか・・・。
西成(にしなり)区における一人暮らし高齢者は1995年に43%、2000年に50%、2005年に60%、2010年に66%となっている。近年は、元日雇労働者たちの高齢化だけでなく、他地域から生活に困窮した中高年男性が新たに流入したこともあいまって、あいりん地区を含む西成区は著しい高齢社会となっている。2014年10月、高齢者は4万5千人、高齢化率は38%となっている(あいりん地区だけなら40%)。
あいりん地区の女性は1975年に30%いたのが、2010年には15%と半減している。
あいりん地区に暮らす単身男性は、長期にわたって親族との関係を絶っている場合が少なくない。互いの過去に踏み込まないという不文律が存在する。自分たちの過去を隠匿しようとする。
あいりん地区では、生活保護を受給するようになって10%が開始後5年以内に死亡している。孤立死が増え、無縁仏となるケースが増えている。そこで、慰霊祭がおこなわれている。
今日、あいりん地区に暮らす人々の大半は、地縁・血縁・社縁が希薄な単身の中高年男性である。
取り組みが進んだため、大阪市の野宿者は、1998年の8700人をピークに、2015年には1500人となった。ただ、そのとき、同時に公園からの締め出しも進んでいる。
あいりん地区に自ら入りこんでした調査も踏まえていますので、実践的ですし、説得力のあるレポートになっています。「釜ヶ崎」の昔と今、そんなタイトルにしてほしかったです。あまりに一般的すぎるタイトルです。
(2017年2月刊。800円+税)

日本のタクシー産業

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 太田 和博・青木 亮・後藤 孝夫 、 出版  慶應義塾大学出版会
私も毎日のように利用しているタクシーについての総合的な研究書です。
タクシーの利用者が減っていること、タクシー運転手の減少はその低賃金が原因であること、65歳以上の運転手が増えていて、事故もそれに伴って増えていることなどを知ることができました。
私の知っているタクシー運転手の多くは月収(手取り)10万円台であり、20万円をこえる人は多くありません。その変則勤務は苛酷なものだと思うのですが、それに見合うだけの給料にはなっていません。
タクシー会社は果たしてもうけているのか、全国展開している会社はもうかっているのか、自動車事故に備えて任意保険には加入しているのか、事故処理はどうなっているのか、いろいろ知りたいことが生まれてきます。
タクシー利用者数は、1990年度の32億2300万人から、2009年度は19億4800万人へと4割も減っている。1987年度の33億4200万人がピーク。営業収入も1991年度の2兆7570億円をピークに減少しており、2013年度は1兆7357億円と4割減になっている。個人タクシーは4万7077台から3万6962台へ2割以上も減っている。
タクシー業界には小規模事業者が多い。車両数10両までの事業者が1万1001社(70.3%)、30両までの事業者が2540社(16.2%)で、86.5%という圧倒的多数が車両数30両までの事業者で占められている。84.6%が資本金1000万円までの事業者である。
過去には、ハンカチタクシー、書籍タクシー、共済組合タクシー、赤帽タクシーというものが存在した。私は知らないことです。
東京のタクシーについてみると、輸送人員はピーク時の1987年に4億4500万人だったのが、2014年には2億8300万人とピーク時の3分の2にまで減少している。そして、運送収入はピーク時の2007年の4770億円から2014年位3870億円と2割ほど減った。
東京では流し営業が90%と、圧倒的に多い。
戦前の1983年に8000台のタクシーがいたのが、空襲に焼け出されて、1944年には4700台になっていた。
タクシー運転手に女性は少なく、2.5%でしかない。タクシー運転手の高齢化は著しい。60歳以上が3分の2を占め、全体の4割は65歳以上となっている。
タクシー運転手の賃金水準は低く、月に24万円、年収にして310万円。これは、全産業の平均年収548万円と比べて、238万円も低い。
単純オール歩合制のタクシー会社が増えている。
タクシーでは労働時間が長いことを見逃してはならない。
かつてのタクシー業界は失業した人の受け皿として機能していた。今では、そうなってはいない。何でも規制緩和だなんて、とんでもないことです。
タクシー料金の決め方についても触れられています。
タクシーの社会経済的な実態を明るみに出した画期的な本だと思いました。タクシー業界に関心をもっている人には一読をおすすめします。
(2017年7月刊。4000円+税)

老人一年生

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 副島 隆彦 、 出版  幻冬社新書
私たち団塊の世代が古稀の世代に突入しつつあるなかで、身体のあちこちが悲鳴をあげている人が目立ちます。私も、ほんのちょっとしたことで先日来、膝が痛くてたまりません。
この本は、私たちより少し年齢(とし)下の著者が老人とは何かを端的に表現していて、なるほど、そうだよねと深く大きくうなずいてしまいました。
老人とは何か。それは、痛いということ。老人は痛いのだ。
としをとると、あちこち体が痛くなる。老人になるとは、体があちこち順番に痛くなることなのだ。誰もが老人痛になる。それが運命だ。老人病は治らない。体のどこが悪くなるかは、その人の運命だ。その運命を運命として引き受けるしかない。自分の体を医師に丸投げせずに、病気と向き合いながら、その時その時、自分自身で対処していくしかない。
著者はビールを飲むのをやめて焼酎党になったとのこと。私も同じです。ビールはもう5年以上も前に飲むのを止めました。今も、焼酎の水割りを飲みながら書いています。20度の焼酎を10倍以上に水がわりに薄めて飲んでいるのです。もちろん冬は、お湯割りです。
著者は鍼灸師に月に2回通っているとのことです。子どもが身近にいたら、私も鍼灸をしてもらいます。ツボに温灸をすえるのも気持ちのよいものです。すっきり、しゃきっとした効果があります。そして、膝の痛みには全身マッサージをしてもらいます。血行を良くするのです。昔、膝にヒアルロサンの注射を打ってもらったことがありますが、注射は怖いので、1回だけでやめました。
虫歯はありませんが、一本だけ差し歯にしています。目は白内障の徴候があると診断されています。耳は聞こえにくくなりました。
著者の薬嫌いは徹底していて、高血圧なのに血圧を下げる薬を飲んでいないそうです。私も基本的に薬は飲みません。皮膚科の軟こうはすぐに塗りますし、目薬もよく目にさしますが、飲む薬はほとんど飲みません。
老人になるとは、どういうことなのかを同世代の人々に分かりやすく説明した本でした。
(2017年5月刊。760円+税)

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