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カテゴリー: 人間

ルヴァンとパンとぼく

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 甲田 幹夫 、 出版  平凡社
フランスパンのなかでもカンパーニュは独特ですよね。ずっしり重たくて、いかにも固い。そして、かむほどに味わいがあります。バゲットもいいですけど、カンパーニュは別格です。
四半世紀も前の家族旅行でパリのプチホテル(ホテル・サンジャック)に泊まったとき、朝食に出てきたフランスパンの美味しさには、子どもたちをふくめて全員がうなりました。ほどよい塩かげんと固さで、すっかりとりこになってしまいました。パンとカフェオレかホットココアのみの朝食なのですが、あまりの相性の良さに誰からも文句は出ませんでした。
東京は渋谷で、ずっとパン屋を営んでいる著者によるパンづくりの話です。
ルヴァンとは、フランス語で種(たね)のこと。一日は、この種のご機嫌うかがいから始まる。種がルヴァンの真ん中にある。店では誰より種がエライ。
日本の小麦を使い、自分たちで育てた種で焼くパン。それがルヴァンの軸。
種は毎日使うから、使い切ってしまわないように数日おきに培養する。
自宅培養の種の面白さは、多様性とその調和にある。
ルヴァンは国産小麦にこだわる。そして「地粉(じごな)」を使う。ライ麦も国産だ。今は栃木産。種が完成するのには10日から2週間かかる。
いかにも手づくりの店の本当に手づくりパンの店です。大きなパンを量り売りもして、売り残さないようにする工夫もしているとのこと。あまりもうかる商売ではないと思いますが、ともかく35年以上も続いているのですから、たいしたものです。ぜひ一度この店のフランスパン、それもカンパーニュを食べてみたいものです。
(2019年11月刊。1800円+税)

41歳の東大生

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 小川 和人 、 出版  草思社
すばらしい生き方だと驚嘆しました。郵便配達員として働きながら東大を受験して、5回目で合格し、4年間、なんと同じ仕事を続けながら東大に通って、無事に卒業したというのです。まさしく奇跡というしかありません。もちろん、家庭と職場で温かく支えてくれる人々がいたからこそできたことです。それにしても、それを受けてやり遂げた本人の並々ならぬ努力と不屈の心にはまったく敬服しました。
そのうえさらに、著者は、あの難解なことで有名なサンスクリット語に挑戦するのです。東大といっても、なんとなんと専攻は「印哲」、つまりインド哲学なんです。そして、得た成績はまた文句なしにすばらしいのです。ほとほと呆れてしまうばかりです。
インド哲学概論   優
インド哲学仏教学演習   優
サンスクリット語文法   優
インド哲学仏教特殊講義   優
受験した9科目の全部がオール優なんです。信じられません。私なんか法学部でもらった優は1つだけだったかな・・・。自慢じゃありませんが、良と可ばっかりでした。
この著者は、いったいぜんたい、どんな人なのか・・・。
明治学院大学社会学部を卒業している。ただし、在学中はボクシングに夢中であまり勉強しなかった。そして郵便局で集配課の仕事をしながら、毎日2時間の勉強を続けて東大に合格した。問題はそのあとです。いったい郵便配達の仕事をしながら、しかも妻子をかかえながら4年間の大学生活が可能なのか・・・。
それが可能になったのですから、まさしく奇跡が起きたとしか言いようがありません。必修科目の時間割にあわせて有給休暇の時間取得を申請して上司に認めてもらったのでした。
スペイン語と英語には苦しんだとのこと。そんな人がなんとサンスクリットに挑戦してオール優をとったのですから、努力すれば、人間、たいがいのことはできるということなんですよね・・・。
私も、ずっとずっと50年間も、フランス語を飽きもせず続けているのは、大学時代にセツルメント活動に夢中になって(それ自体は決して後悔していませんが・・・)、授業に真面目に出席せず(といっても大学紛争が始まってからは、授業自体がありませんでした)、もっと授業に出て勉強しておけばよかったという思いがあるからでもあります。
著者は41歳で東大に合格して、10代から20代の成績優秀、頭のいい若者たちのあいだで勉強するというのは、お互いにとって大変刺激があったことだろうと推察します。
著者の興味・関心は現代哲学や現代思想ではなく、ずっと古い時代のギリシャやインドの仏教そして古代思想にあった。そこに自分の生き方のヒントを求めようとしたというのです。
これまた発想がすごいですよね・・・。
著者は、夜9時に寝て、早朝3時に起きる生活をずっとずっと続けたのです。いやはや・・・。
インド哲学というと、供犠(くぎ)。火葬、輪廻(りんね)、沙門(しゃもん)という言葉が登場する世界です。そこには豊饒な世界があり、豊饒な授業があった。そして、かの有名な『般若心経』をサンスクリット語で全文暗唱するのです。
この世の一切のものは、実体がなく変化し移ろうものであるということ。本当にそのとおりだ。
なんともはや、あまりにも知的刺激にみちあふれすぎていて、読みだしたら止まらなくなってしまいました。学ぶのは、いくつになっても遅すぎることはない、ということを実感させてくれる、ワクワクドキドキの本です。ぜひ、あなたもご一読ください。
(2019年11月刊。1500円+税)

こどもたちのライフハザード

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 瀧井 宏臣 、 出版  岩波書店
ライフハザードって何・・・?一言でいうと生活破壊。もう少しニュアンスの違った生活の崩れ。それが、現代に生きる子どもたちに起きているという警告の書です。
こどもの体温は、1日のうちに0.6度から1度のあいだで変動し、季節によって異なるが、36度から37度のあいだで推移するのが普通。そして、通常は夜に眠っているあいだ体温は低く、朝に目が覚めてから次第に上がっていき、午後3時から4時ころをピークとし、それからまた下がっていく。
ところが、低体温の子は、生体リズムが3.4時間ほどうしろにずれてしまっている。朝、眠っているときの低い体温で起こされて、体温が上がらないまま保育園に来る。これでは、ボーっとしているのは当然だ。また、夜になっても体温が高いため、なかなか寝つけないという悪循環に陥っている。
赤ちゃんのころは体温が高い。通常は、3歳ころに体温調節機能が整って安定してくる。ところが、高体温の子は、体温調節機能が整っていない。つまり、赤ちゃんのころの状態が続いている。
表情が乏しく、あまり泣いたり笑ったりしない赤ちゃんが目立つ。
保育園で「気になる子」のほとんどが、夜間の睡眠時間が少なく、しかも不規則になっている。その多くは情動が不安定で、他人に関心がない。そして、①無表情。②理由なき攻撃性。③強いこだわりという三つのタイプに分かれる。
欧米では、中学生までは夜9時に寝るのがあたりまえ。国際的にみて、子どもの遅寝が社会問題となっているのは日本だけ。
子どもが大量の清涼飲料水を飲んでいると、ペットボトル症候群になる。これは、2型糖尿病の一種。甘い清涼飲料水が引き金になって、子どもが昏睡状態になるケースがふえている。
肥満の度合の高い子ほど、食べる速さが速く、食べる量が多く、しかもかむ回数が少ない。
肥満の度合が高いほど、依存型行動や攻撃型行動、自閉か多動型行動が多い。
コケコッコというニワトリ症候群。ひとり食べ孤食のコ。食事をとらない欠食のケッ。家族と一緒でも自分の好きなものをたべる個食のコ。肉やカレーライスなど、いつも決まったものばかりを食べる固食のコ。
親が、食についての子どもの要求をできるだけ受け入れている。嫌いなものを無理に食べさせず、子どもに訊いて喜ばれるものを出している。そのほうがムダやハズレがなく、作るのも食べさせるのも楽だから。
衣食住遊のなかで、食の地位は最下位まで下落している。遊びやレジャーのために食費を削るのは、あたりまえになっている。
症状が出る出ないは別として、今の大学生の10人に9人はアレルギー体質。
子どもにとって遊びは、身体機能や運動能力を鍛え、物事を工夫する知恵を養い、情緒や社会性を育てる重要な役割をもっている。人間として生き抜くための基本的な能力を身につける大切な機会なのだ。
実は、この本は2004年1月に出たものです。今から16年も前の日本の子どもの状況を問題視しているのですが、その後、事態が改善されたどころか、ますます心配な状況になっているのではないでしょうか・・・。孫をもつ身として、大いに考えさせられる本でした。
(2004年1月刊。1900円+税)

一度死んだ僕の、車いす世界一周

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 三代 達也 、 出版  光文社
高校を1年で中退し、ガソリンスタンドのバイトからの帰り道、いつものようにオードバイに乗っていると、目の前に車が突然あらわれ、吹っ飛ばされて頚髄損傷。その後、今に至るまで車椅子生活。そして、リハビリ施設のなかで人生の師匠と呼ぶべき男性に出会ったのでした。
東京で借家に一人すまいを始めたものの、引きこもり生活をしていた。ところが、車椅子バスケットボールに誘われ、外に出るようになり、そこで知りあった人から在宅の仕事を紹介された。やっているうちに、通勤の仕事をはじめた。そこで海外旅行をすすめられた。
「ハワイだったらバリアフリー社会だし・・・」
思い切ってHISの窓口に足を運んだ。すると、なんと、23歳で車椅子海外一人旅をすることになった。
オレは18歳で一度死んでいるんだ。大丈夫、オレならなんとかなる・・・。
ハワイでは夜遅く、外に出てはいけないという忠告に逆らってバーへ突進。すると、そこでは、車椅子でみんなと踊ることになって・・・。最高に楽しめたのです。
それで味をしめて、もっと外の世界を見てみたくなった。
ロサンゼルスに1ヶ月半、オーストラリアに半年間滞在してみた。ワーキングホリデーを利用して・・・。そして、28歳になって自問自答して出した答えが世界一周。
いやはや、ひきこもり青年が、なんと車椅子の一人旅で世界一周を考え、実行したのです。たまがりますよね・・・。
HISにはユニバーサルツーリズムデスクなる窓口があるのです。著者は、今そこのスペシャルサポーターをやっています。いやはや、たいした勇気と行動力です。
世界一周旅行の予算は300万円ほどにしたかったものの、車椅子用の部屋は割高になっていて、500万円をこえました。
イギリスからフランス。ルーブル美術館の前で身障害者へのカンパ名目でお金(5万円)をとられてしまった。ホテルのフロントにいた男性に愚痴をこぼした。すると、なんと翌朝からホテルの朝食をタダにしてくれた。こんな出会いもあるのですね。そんな出会いが、このあと何回もあり、つくづく世の中には悪人も多いけれど、善人も少なくないことを実感させてくれるのです。
それにしても、世界一周の旅をするといったら、今はインターネットでのSNSつながりを生かす時代なのだということがよく分かりました。昔だったら、世界のどこかで出会うのは偶然だったようなことが、今ではスマホで簡単に瞬時にいながらにして、誰がどこにいて、どこに行けば会えるか約束できるのですよね。
そんな文明の利器とは無縁に生きている私には、世界一周旅行なんてできそうもありません(実は望んでもいません)。読むと世界が広がり、人間っていいね、生きてるっていいねと思えてくる楽しさいっぱいの本でした。
(2019年11月刊。1500円+税)

進化する人体

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 キャロル・アン・リンツラー 、 出版  柏書房
今日のアメリカでは、虫垂切除はもっともありふれた救急手術で、子どもに対してもっともありふれた外科手術だ。年に25万から30万のケースで手術されている。朝に入院して、夜には帰宅している。私は、今もしっかり虫垂を保持しています。盲腸といってけなされますが、無用の存在ではないという考えもあるようです。
体全体の毛深さで上位にくるのは、日本のアイヌ、オーストラリアのアボリジニ、インド南部のトーダ族、インド北部のドラヴィッダ人。
毛が少ないのは、アメリカ先住民、アフリカ人、ミャンマー人、中国人、朝鮮人、ベトナム人、そして金髪の白人。
人間の体毛が目立たなくなった理由は、まだ定説がない。
人間は耳を動かせない。しかし、人間だけでなく、チンパンジーやオランウータンも耳は動かせない。
ゾウの歯は24本あるが、一度に4本しか使わない。すり減ると、奥の歯が前に移動して出てくる。最後の第六大臼歯はゾウが65歳のころに抜ける。歯がなくなるとかむ力がなくなって、動物の世界では死ぬことに結びつく。
ワーテルローの戦いでは5万人もの戦死者が出たが、その歯は、競って歯を抜いた死体あさりの人々の手で生きた。ブリッジをつくるのに使われたのだ。なんだかおぞましい話ですよね・・・。
肋骨は人類には12対だが、チンパンジーやゴリラは13対。
人間の身体は、これからも進化していくのでしょうか・・・。力強くかむ必要がなくなった現代人はアゴがほっそりしていると書いている記事を読みました。顔のかたちは確実に変わっているわけです。だったら、他の部分の身体も、これから変化が起きることは当然あるのでしょうね・・・。
(2019年3月刊。2200円+税)
 日曜日、朝からフランス語検定試験(準1級)の口頭試験を受けてきました。3分前に渡された問題は日本政府が70歳定年に延長しようとしているのをどう考えるのかと、旅行者過剰をどう考えるのか、でした。私は前者を選んだのですが、定年のない職業なので、実は深く考えたことのない問題なので、何をどう答えてよいのか頭がまとまりません。そうすると、フランス語の単語まで出てこないのです。あれあれ、今回は不合格かな・・・と落ち込みました。
 地球温暖化問題、オリンピック問題、育休、貧富格差増大などにヤマをはっていたのが見事にはずれてしまいました。
 3分間スピーチは本当に大変です。トホホ・・・。

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