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ドローン戦争の時代

カテゴリー:ヨーロッパ

(霧山昴)

著者 尾崎 孝史 、 出版 地平社

 杉原浩司氏の講演会が福岡県弁護士会があった(4月11日)ときに買い求めた雑誌「地平」5月号の特集記事の一つです。ロシアによるウクライナ侵攻戦争のなかで、ミサイルとあわせてドローンが大「活躍」している実情を知りたくて一読しました。

 ドローンに見つけられたら終わり。攻め手が負傷することはない。100対ゼロの非情の戦い。ウクライナ第63独立機械化兵団は、3年間で3000人のロシア兵を殺害し、400以上の兵器を破壊した。そして、2025年の1年間で撃墜した航空機とドローンは1万機をこえ、2024年の5倍となった。

 ウクライナの前線では、ドローンの9割はウクライナ製。ウクライナは年間400万機のドローンを生産している。これはNATO加盟国全体の生産量を上回っている。450社のウクライナ企業がドローンの製造に従事していて、ウクライナ最大規模になっている。

 ウクライナ政府は、ノルウェーやポーランドとドローンの共同生産に重点を置く文書に署名した。

ウクライナの若者のなかには、ロシア軍のドローンを集めて、アメリカに売って報酬を得ている者がいる。ドローン関連の商品を開発しようとするアメリカの起業家が購入している。

 いま、日本政府はウクライナ製のドローンを自衛隊に導入しようとしている。杉原浩司氏によると、日本はこれまで偵察用など防御的な用途のドローンを主としてアメリカ企業から輸入してきた。しかし、今や攻撃型ドローンの導入を急いでいる。その大半がイスラエル製。イスラエル製のドローンを扱っているのは海外物産という日本の小さな軍需商社。

ドローンによる攻撃で特徴的なのは、逮捕するとか捕虜にするといったことはなく、殺害することだけ。

 そして、ドローンを操縦する兵士の心理的トラウマやPTSDが指摘されている。遠隔操作なので、自分は被害にあわないものの、被害者側の状況を映像で詳細にみることから来る心理的負荷は強烈で、精神的に病んでしまう兵士が続出している。また、ドローン攻撃にもAIが活用されると、心理的負荷のないまま大量殺戮が可能になってくる。

 日本の防衛省は、5年間で1兆円をドローン関係にかける、2026年度の予算案に2773億円を投入しようとしている。自衛隊の隊員不足は深刻なので、無人化と省人化のためにもドローンを活用しようとしているということ。

 今、ガザでは、ドローンによって、いつ、どこで、誰が殺されるか分からない状況が長く続いている。そのため、ドローンに似た音がするだけで人々がパニックになってしまう。市民が心理的に大変なダメージを受けている。

 先日、私の家の上をオスプレイの3機編隊が飛んでいきました。低空ですし、騒音がいつものヘリコプターよりひどいので、すぐに分かりました。

 ドローンから目をつけられたら最後、というのは本当に怖いです。

 一刻も早く、ロシアもアメリカ・イスラエルも停戦し、みんなが平和に穏やかに生きられるようにしたいものです。

(2026年4月刊。1100円+税)

地域とともに、スタッフ弁護士たちの軌跡

カテゴリー:司法

(霧山昴)

著者 ひめしゃら法律事務所 、 出版 前同

 立川市にある法律事務所です。ここは2009年に開設してから、これまでスタッフ弁護士を8人も養成し、全国各地に送り出しています。そして、その実績を踏まえて、法律事務所の開設15周年を記念して開催された座談会が再現されています。

 いま、弁護士を目ざす若い人たちの多くが、東京そして企業法務を目ざしています。残念です。全国あまねく法の支配を行き届かせ、人権の擁護を地方で担ってほしいのですが…。高齢者、DVに悩む女性、生活保護を受けても生活が大変な人たち、たくさんの人々が然るべき法の保護を受けられずに困っています。若い人たちにもそんな現場にぜひ飛び込んでほしいです。

 ひめしゃら事務所を設立した杉井静子弁護士のパートナーの故杉井厳一弁護士は、私が弁護士になったとき、入った事務所(川崎合同)の5年先輩でした。学生気分の抜けない私は厳一弁護士からよく𠮟られました。たとえば、労働事件の書面を分担したとき、適当にちょこちょこっと書いて提出して、大目玉を喰らいました。こんなんじゃダメと言って厳一弁護士は私の原稿をさっさと没にして、自分で長文の書面を書き上げました。そうか、そうなのか、闘う書面というのはこういうものなのか……、やっとそのとき少し分かりました。50年もたつと、少しは先が見えてきましたが……。

 青森県むつ市にある法テラスの事務所に赴任した大谷直弁護士(62期)は、青森本庁は100キロも離れているので、車だと2時間半、電車でも2時間強かかる。むつ支部には青森本庁から月1回来るので、2日間だけ開廷する。いやはや、大変ですね…。

 高知県須崎市にある法テラスの事務所に赴任した中江詩織弁護士(64期)は、少年鑑別所のある高知市内まで車で片道1時間かかる。これも大変なことです。

 新潟県佐渡市にある法テラス事務所にいる伊東憲二弁護士(71期)は、就任している成年後見人と相続財産清算人をあわせると、手持ち案件の約半分になるという。

 鳥取県倉吉市の法テラス事務所にいる志賀貴光弁護士(73期)は、なんと、かの福島県浪江町出身とのこと。浪江町で弁護士をしたいと思っていたそうです。3.11の大災害がその夢の実現を邪魔していますよね。

 法テラスとそのスタッフ弁護士に対する風当たりが強い地域があります。九州では大分がそうでした(今は知りませんが……)。埼玉もそのようです。

 しかし、法テラスのスタッフ弁護士は地元の弁護士が対応しない(できない)ような案件を主として取り組んでいますので、ほとんどは大いなる誤解だと思います。

 法テラスのスタッフ弁護士の養成期間は1年間です。この1年間のうちに、どんな初見の事件でも自分で調べて事件として進めていくことの出来る力を身につける必要があります。1年間というのはあっという間に過ぎてしまいますので、短いと言えばとても短いです。いろんな弁護士のやり方を見て、いろんな種類の事件を経験することが大切です。

 私は故杉井厳一弁護士の下で3年ほど過ごしましたので、まあなんとかやれるかなと思って故郷にUターンして独立開業しましたが、当初は本当に不安でした。

 法テラスのスタッフ弁護士になると、ずっとその地域にいるということはなく、2年か3年で移動します。転勤を好まない人もいますが、好む人には絶好の仕事です。伊東弁護士は旅行気分で楽しみながら移動するのもいいことだと言います。きっと、そうなんでしょう。

 裁判官も3年で勤務できるところが魅力だ、そう言う人を私も知っています。

30分の制限時間内の法律相談。最初の10分間は、いやでも相談者の話をちゃんと聞く。次の10分間は、こっちからどんどん質問して、事実関係を確認する。最後の10分間で法的解決に向かうといい。これが故杉井厳一弁護士のアドバイスだったそうです。現実には、そんなにうまくいくわけではありませんが、この方式を念頭においておくといいとは私も思います。

 弁護士の少ない司法過疎地で弁護士として活動していると、地域の人に求められている存在だと実感できる幸せがあります。これって、ものすごくうれしいことなんです。大ローファーム、そして企業法務ではきっと無理なんだろうと私は思うのですが…。

 スタッフ弁護士の養成に力を入れている事務所として、大阪にも私の敬愛する岩田研二郎弁護士のいる法律事務所(きづがわ共同)があります。つい思い出しました。

 杉井静子弁護士が本書32頁(ブックレット)を紹介していましたので、早速注文して読んでみました。引き続きのご活躍を期待します。

(2025年6月刊。700円)

ガザへの集団犯罪

カテゴリー:中東

(霧山昴)

著者 フランチェスカ・アルバネーゼ 、 出版 地平社

 イスラエルはパレスチナ人全体の存在を消し去ろうとしている。世界は今、それを目の当たりにしている。ガザは、今や瓦礫(がれき)とごみ、遺体の残る荒地となった。これまでに24万人以上の人々が殺されたか負傷している。

 ジェノサイドの始まった最初の1年半だけで、イスラエルの証券取引所は213%の成長を遂げ、2260億米ドルの市場利益を得た。ガザの人々を殺害・破壊する最先端の兵器をイスラエルに供給して、過去最高の利益を保ている。

 銀行・資産運用会社・年金基金・保険会社は、イスラエルの違法な占領に資金を流入させた。大学は、パレスチナの植民地化を正当化する政治的イデオロギーを支え、兵器を開発し、組織的な暴力を見逃し、容認してきた。アクサなどの世界的大手保険会社も占領とジェノサイドに関わる株式・債券に多額の資金を投じている。

 軍産複合体は、イスラエル国家の経済的支柱となっている。イスラエルは、世界第8位の武器輸出国。イスラエルの二大兵器メーカー、エルビット・システムズと国営イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)は、世界の武器製造企業の上位50社に入っている。日本のファナックもイスラエルの武器製造過程に関わっている。

イスラエル軍のサイバー攻撃等を担う「八二〇〇部隊」の元メンバーによって設立された「NSOグループ」はスマホ監視を担っている。

 イスラエルの軍事予算は、2022年から2024年にかけて、GDP比4.2%から8.3%へ倍増した。そのため国債の発行を拡大している。

 日本の企業やコンサルそしてNGOがイスラエルのガザ支配に関わり、莫大な公金・資金を投下している。このような事実を知ると、私たちもイスラエルによるジェノサイドに加担していることになります。自覚していないだけなのです。

 国際司法裁判所は、イスラエルによるガザ占領は違法だと認めた。

多くの人は権力に立ち向かうことをためらう。人間なので恐怖心を抱くのは当然のこと。恐怖は、正義の名の下に結集した人々のパワーに耐えられない。普通の人々が団結し、世界各地の闘いがひとつになれば、恐怖を打ち砕くことができる。

イスラエルによるガザ支配、イランとレバノンへの攻撃は直ちに止めろと大きな声で叫ばなくてはいけません。

(2026年2月刊。1540円)

 日曜日、雨があがりましたので、庭に出て、少し手入れをしました。蚊が出てくるのを心配しましたが、大丈夫でした。

 オレンジ色の花を咲かせるヒオウギの群落があちこちにあります。ジャーマンアイリスが咲きはじめました。青紫色の花がほとんどなのですが、真黄色の花を咲かせているのが3本もあり、うれしい出会いでした。ジャガイモは元気よく茂っています。

 フェンスのクレマチスは紅白そして白い花があります。

 昨年植えたアスパラガスから1本ひょろひょろ伸びていましたので、採って電子レンジにかけ(40秒)、春の香りを味わいました。

 雑草をとったあと、しばらくすると、カササギがやってきました。春はいいですね……。

アレルギーの科学

カテゴリー:人間

(霧山昴)

著者 森田英明・足立剛也 、 出版 講談社ブルーバックス新書

 この10年来、花粉症に悩まされています。毎年、2月中旬から5月連休明けまでのことです。目が痛痒くなり、鼻水が止まらず、鼻詰まりで夜の眠りが苦しみとなります。

 花粉などのアレルゲンが鼻の粘膜に侵入すると、鼻粘膜局所に存在するマスト細胞が活性化され、マスト細胞内に存在する顆粒が放出される。この中のヒスタミンという化学物質が感覚神経を刺激して、くしゃみを誘発して、外敵を物理的に排除する。

 このヒスタミンは、同じく活性化したマスト細胞から産生される生理活性物質のロイコトリエンとともに、血管透過性の亢進(こうしん)や血管拡張を誘導して鼻汁の分泌を促し、鼻汁と一緒に外敵を追い出すことを容易にする。

 中国の砂漠地帯から飛来してくる黄砂の大きさは4マイクロメートルほど、花粉は10~100マイクロメートルなので、黄砂のほうがずっと小さい。この粒子の表面に汚染物質が付着する可能性がある。

 子どもが土や草、動物など、多様な自然環境に触れることによって、多種多様な微生物に曝露される。これが、免疫系にとって重要な「トレーニング刺激」になり、アレルギー疾患の有病率をおし下げる。

 北海道と沖縄にはスギの樹木が少ないため、スギ花粉症の人は極端に少ない。

リラックスすると、花粉症の症状はひどくなる。それは副交感神経が優位になるため。逆に運動して、交感神経が優位だと鼻症状は軽くなる。アレルギー反応の場が水分で膨張すると、鼻では下鼻甲介がふくらむのでかえって空気の通り道が狭くなるため、鼻づまりになる。

子どもたちに花粉症が増加している。今や、国民の約半数が何かしらアレルギー性鼻炎となっている。こどもたちの親にアレルギー性鼻炎が多くなっているため、アレルギー体質が受け継がれている。

花粉症の発症には、車の排気ガス、黄砂などによる大気汚染も関係していると言われている。

鉛が鼻の粘膜に沈着することによって鼻の症状を悪化させている。

 花粉症の薬物療法がいろいろ紹介されていますが、私は薬を飲みたくありませんので、何も飲んでいません。ひたすら耐えています。

 例年、5月のゴールデンウィークが過ぎるとおさまるので、それまでの辛抱です。

帰宅したら洗眼するのが良い。ただし、洗眼も過ぎてはいけない。目の乾燥は防ぐ必要がある。

今でも年に50~80人ほどが、アナフィラキシーが原因で死亡している。再発防止のためには、原因の特定が大切。食物アレルギーの原因として、鶏卵やナッツ類もあげられる。

加齢により免疫の調節機構が低下し、自然免疫と獲得免疫のバランスが崩れやすくなる。長年にわたって蓄積されてきた化学物質、アレルゲン、ストレスなどが「臨界点」をこえたとき、アレルギーが発症する。

 アレルギーについて、少し知見を広めることができました。それにしても花粉症の広がりはただごとではありません。トランプは否定していますが、地球の温暖化がすすみ、化学物質万能という風潮のなかでの増大だろうと私は考えています。

(2025年12月刊。1320円)

暗黒の瞬間

カテゴリー:ドイツ

(霧山昴)

著者 エリーザ・ホーフェン 、 出版 東京創元社

 ベルリンの女性刑事弁護士の手がけた9つの忘れがたい事件と裁判。弁護士が見事に依頼者から騙され、有罪とすべき被告人が無罪になるという、日本でもいつか読んだストーリーを思い出しました。ネタバラシはしたくありませんが、日本のストーリーは誰の本だったのか、思い出せません(どなたか教えてください)。

 法廷場面も出てくるので、著者は弁護士かと思うと、実はライプツィヒ大学の法学部教授。しかも、主人公の弁護士が60代なのに、著者はまだ44歳という若さなのです。ただし、裁判官の経験はあります。

 この本でミステリ作家としてデビューしたとのこと。たいしたものです。

 不倫で奪った男性の子どもに危険な量の塩を食べさせて死なせた女子大生の事件も担当します。大匙(おおさじ)2杯(30グラム)の塩を4歳の子どもに食べさせると死亡するなんて、医学の素人には考えられない、つまり、予測不可能だった。したがって被告人は無罪。しかし、被告人の女性は自分の受けた無罪判決に納得しなかった。

 若い女性が10人の男たちに強姦された。男たちは11人いて、誰か1人は無実。しかし、誰もが無実を主張しているので、その1人が誰なのかは分からない。そこで、被疑者はどうしたか……。

法廷で、「加害者の男たちは強姦とあわせて殺そうとしたのです」と証言した。殺人未遂がつけ加わった。被告人は犯行現場にいなかったらから強姦していないと主張していたので、殺人未遂については否認しようがない。

 そこで、ついに、11人の男たち全員が有罪となった。

9つの事件とも、なかなかよく出来たストーリー展開なので、つい一心不乱に読みふけってしまいました。

(2026年2月刊。2530円)

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