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眞説・光クラブ事件

著者:保阪正康、出版社:角川書店
 戦後まもなくの1949年11月25日、現役の東大法学部生が社長をしていた光クラブが行き詰まり、山崎晃嗣社長が服毒自殺した。このことは私も知識としては知っていましたが、この本を読んで、少し状況が分かりました。
 27歳で現役の法学部生というのはどういうことかなと不思議に思っていましたが、彼は戦争帰りなのです。北海道の旭川で陸軍主計少尉として終戦を迎えています。ところが、山崎は横領罪で逮捕され、刑務所に3ヶ月間勾留されています。判決は執行猶予でした。
 東大に復学してから山崎は猛勉強し、20科目のうち17科目で優、残る3科目は良をとりました。すごい成績です。ちっとも自慢になりませんが、私は大学時代に優をとったことがほとんどありません。せいぜい良、たいてい可ばかりでした。単位不足のため、あやうく卒業できないという寸前の状況でした。
 三島由紀夫が山崎と同じころに東大法学部にいて、山崎をモデルとして『青の時代』という小説を書いているそうです。どちらも11月25日に自殺しているという共通点がありますが、2人ともクラス内に友人がほとんどできなかったという点も似ていました。
 山崎は、今でいうヤミ金融のはしりです。派手に広告をうってお金を集め、お金を貸していました。ヤミ金融がいかに綱渡りの存在であるか、山崎は自殺ということで証明してしまいました。でも、今のヤミ金融の連中は簡単に自滅しそうもありません。

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