著者:フィリップ・フォレスト、出版社:集英社
4歳の娘が小児ガンにかかったとき、父親はどうなるか、いや、どうするだろうか・・・。小児ガンは、先進国では子どもの死因として、事故に続く第2位を占めている。
脱毛は病気の印、死の定めの印である。髪の毛とともに、小さな女の子は名前も性別も失い、小児ガン患者と呼ばれるものになる。
小説は、時間の森への切り込みである。小説は真実ではない。しかし、真実なしには存在しない。小説はぼくたちに手を差しのべ、目のくらむ一点の近くまで導く。
死の悲しみは語らずにいられない。人は言葉を探す。なぜなら、言葉は、死者に対して考えられる唯一の施しだから。ぼくたちの娘の死んだ長い年は、ぼくの人生でもっとも美しい一年だった。
ええっ、こんなに言い切れるなんて、すごいと私は思いました。
病院の世界がもっとも恐れる伝染病は、絶望である。死者はまず、名前を持つ権利を失う。
文学の評論を自分の仕事だとしていた著者が娘の死を体験し、小説を書きました。透明感あふれる文体です。訳者から贈呈されて読みました。フランス語を長く勉強していてめぐり会えた本です。日本語としてよくこなれた読みやすい訳文だと感心しました。
永遠の子ども
