著者:野嶋剛、出版社:朝日新聞社
イラク戦争とは一体何だったのか。イラクを占領しているアメリカ軍は毎日のようにおそわれて死者を出している。どんなにフセイン政権がひどい独裁政権であったとしても(そんな独裁政権は、残念なことに世界のあちこちに実在する)、アメリカ軍が勝手に侵攻していいはずはない。今度、日本の自衛隊がアメリカ軍を援助しに出かけることになった。恐らく11月の総選挙が終わったあとになるだろうが、行けば必ず日本「軍」はイラク人を殺すだろうし、また日本「軍」の兵隊が殺されるだろう。
この本は、イラクに侵攻したアメリカ軍に従軍した朝日新聞の記者によるレポートだ。ベトナム戦争のときにもアメリカ軍に従軍した日本の記者は大勢いたから、別に目新しいことではない。しかし、イラク国民サイドからの報道を日本のマスコミがほとんどしなかった点は、ベトナム戦争のときと異なることは忘れてはいけない。
一般紙を読んでも、イラク国民の目線での記事があまりに少ない。これでは日本のマスコミは取材不足、怠慢だとしか言いようがない。
イラク戦争従軍記
