(霧山昴)
著者 國枝すみれ 、 出版 毎日新聞出版
どうして、あんな国際法も国際憲章も無視するトランプをアメリカ人の半数が信奉しているのか、私には不思議でなりません。といっても、わが日本にも高市早苗の熱烈信奉者がいるわけですから、お互いさまだと言われるのでしょうね。
今やアメリカ人は何を信じてよいのか、分からなくなっている。 それを可能にしたのは、レガシーメディアの衰退とニュース源の分断化。コロナ禍のワクチン強制接種やロックダウンで強まった政府職権乱用。 それを支えるすべての制度に対する不信感だ。
2021年1月6日にアメリカで起きた連邦議会襲撃事件は、アメリカの民主主義は不滅であると信じていた人々にとって大きな衝撃だった。この事件で逮捕された人数は1600人で、1000人以上が有罪判決を受け、数百人が収監された。
ところが、刑務所に入っていてもトランプが再選されて、恩赦によって出所してもいるのです。そして彼らの多くは反省していないようです。恐ろしいことです。
FBIの工作員が議会襲撃を組織していたという陰謀論もあるそうです。
共和党はMAGAという怪物を制御できず、MAGAの奴隷になった。ネバー・トランプという、トランプだけには絶対投票しない共和党員もいるとのこと。でも多数派ではありませんね。
トランプ支持者は、本来は共産主義者(コミュニスト)なのが共和党員のふりをしている名ばかり共和党員がいるといいます。 とにかく民主党はコミュニストに乗っ取られていると…。 あれまあ信じられません。
イーロン・マスクって、大富豪であり、大統領選挙不正論を拡散していた一人です。
アメリカでは、投票用紙の回収と開票作業は必ず民主共和両党の党員2人で実施するので、不正が起こるはずもない。なのに、今なお、トランプはバイデンに勝っていたと主張する人がいるのです。信じられません。
世界中から不法移民がアメリカに押し寄せる状況について、トランプは「我々は世界のゴミ箱になっている」と言い、「彼らは人間じゃない」「彼らは、この国の血を汚している」と、露骨な人種差別発言を繰り返した。
アメリカ人は自分が同意するニュースしか見ない。 嫌いなものは同意しない。 いやあ、これは最近の日本でも同じことです。 インターネットがますます促進していますよね。
アメリカ人は「隣人を助けろ」ではなく、「自助努力しろ」と言うようになった。 多くのアメリカ人が、「隣人を助ける余裕はない」と思っている。 お互い助け合うよりも、救ってくれる誰かを待っている。
移民の犯罪率は、アメリカ生まれの住民に比べて、ずっと低い。警察に捕まって強制送還されることを恐れるからだ。
アメリカ人は、キャッチーな言葉に引きずられていた。体系的な情報や事実を重要視しなくなった。アメリカ人は、井の中の蛙状態。しかも、ゆでガエル。
アメリカのメディアは細分化しているだけでなく、ひどく劣化している。多くの人にとって、自分が視聴しない媒体で流れるニュースはこの世に存在しないも同然。
インフルエンサーは、金と影響力の確保が目的。
社会の分断を深める最大の要因は、情報エコシステムの細分化とニュース源の分断による。 ニュースをどこから得るかは習慣で決まる。いわば癖。
アメリカを強行取材してきたルポです。 その対象は主としてMAGAの人たちです。 日本と似た状況もありますが、アメリカは銃を手にする人が多いので、日本よりはるかに危険だと思います。アメリカを駆け巡った著者の勇気に敬意を表するばかりです。
(2025年12月刊。2090円)


