弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2024年12月19日
韓国は日本をどう見ているか
韓国
(霧山昴)
著者 金 暻和 、 出版 平凡社新書
韓国の尹(ユン)大統領が突如として戒厳令を発布したのには驚かされました。
国民の支持率が20%以下と人気が低迷し、国会は野党が多数を占めているなかでの戒厳令です。国会の多数派(野党)を北朝鮮と同視しても、そんなことを韓国民が同調するはずもありませんよね。
私が韓国民は偉いと前から思っていることは、韓国の人々は怒りを行動に表わすことです。前に占い女の言うままだった朴クネ大統領を引きずりおろしたのもロウソク革命と呼ばれるほどの民衆の大衆行動でした。日本人は、どうして怒りを行動にあらわさないのでしょうか。いつもヤキモキさせられます。兵庫県知事選挙では多くの県民がデマ宣伝に乗せられて街頭行動していましたが、そんなことじゃダメでしょ、と叫びたい気分です。
日本社会は全般的に右傾化している。まあ、そう言われても仕方ありませんよね。立憲民主党は、今、維新の会と一緒になろうとしています。とんでもありませんよね。維新の会って、「第二自民党」だと自ら公言している党なのに...。
日本の若者は、権威に服従し、治安を重視する性向が顕著に現れている。
なぜ、日本人は、無能で傲慢な権力を黙認するのか...。いやまさしく、私にも不思議でなりません。
韓国では、学生運動の主人公たちが大挙して政界に進出したが、日本では、ごく少数にとどまっている。日本では、菅直人とかいましたが、ホント、少ないですね。あまり思いつきません。私の同世代では、誰かいたっけかな...。
日本の政治家の3分の1は世襲政治家。
韓国と日本は、どちらもDECD加盟国のなかで、男女の賃金格差が非常に大きい国。
日本の若者は消費に消極的。車離れ、アルコール離れ、海外旅行離れ...。実用的で、あっさりした消費を好んでいる。
ひきこもりの中高年が120万人以上存在している。日本社会が長期不況のなかで、ひきこもり問題が大きくなった。
「9060問題」とは、90代の親が60代のひきこもりの我が子の面倒をみなくてはいけない状況にあること。
日本の地下鉄やバスなどの中は、図書館のように静か。たしかに、アナウンス放送が最大の騒音ですよね。これは、他人に迷惑をかけてはならないという意識による。
韓国では買い物の支払いの9割はカード。日本は、電子マネーが増えているけれど、現金で支払う人のほうが、まだまだ多い。まあ、若い人の多くはカード決済になっていますけどね...。私は現金支払い派です。いつ、どこで、何を買ったか、なんて情報を誰にも知られたくはありませんからね。いつ、どこにいたなんてことも知られるのは嫌です。
ただ、選挙のとき、候補者の名前を手で書くという投票方法はやめたほうがいいと私も思います。電子投票に切り換えるべきでしょう。
日本は65歳以上の高齢者の割合が3分の1以上に迫っている。
社会全体に、年齢や専門性を高く評価する雰囲気がある。ええっ、韓国にもあるでしょ...?
韓国の大御所たちは、早々に前線から退いて「老害」「不用品」になってしまう。ええっ、ホントですか...?
韓国の氏姓は、300個。日本だと1万個以上の名字が実際に使われている。
日本では毎年8万人が養子縁組で名字を変えている。そのほとんどが成人男性。
似ているようで似ていない日本と韓国の違いを改めて知りました。大変興味深い内容の新書です。
(2024年9月刊。1100円+税)