弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2024年3月 6日

ガーナ流・家族のつくり方

アフリカ


(霧山昴)
著者 小佐野アコシヤ有紀 、 出版 東京外国語大学出版会

 アフリカのガーナ大学に留学した20歳の日本人女性がガーナで見たものは...。
 血縁を超えた家族関係を結ぶ人々だった。
 私にとってガーナは、エンクルマ大統領です。無残にもアメリカ(CIA)に暗殺されましたが、アフリカ独立の英雄でした。
 ガーナは西アフリカにあり、人口は日本の4分の1、国土は日本の3分の2。サハラ以南では最初に植民地支配から独立した。1960年だったのではないでしょうか。
 ガーナはチョコレートの原料となるカカオを栽培する国。
 ガーナの7割がキリスト教、2割がイスラム教。南部はキリスト教人口が多数を占め、北部にはムスリムが多い。ガーナの人口の4割を占めるアカンの言葉がチュイ語。
 列車の代わりに「トロトロ」という乗り合いバスが走っている。
著者がガーナに留学したのは2017年2月のこと。
 ガーナには性別と生まれた曜日によるデイネームがある。著者の「アコシヤ」は日曜日。そして「機敏さ」を意味している。
 日本にいるガーナ人は、2万5千人ほど。埼玉県草加市と川口市、八潮市に多い。
 ガーナでは祖母が主力となって子育てするのは一般的なこと。そして、子育てはみんなでするものである。
 「あなたは何人家族ですか?」。この質問に対して、日本人なら迷うことなく、「核家族」の現状の人数を答えるに決まっている。しかし、ガーナは違う。
 「ふだんの生活のなかで、家族として接している人の数」を訊いていると説明すると、その答えは、「105人」、「18人」、「50人」と、日本人の私たちからすると、とんでもない人数の答えが返ってくる。ガーナでは、血のつながりがなくても家族だから...。
 ガーナでは、子どもが生みの親(生親)のもとを離れて育つのは決して珍しいことではない。
 日本では「核家族」というのがあたり前になっていますが、これは日本の「特殊現象」であって、「家族」とはいったい何なんだというのを、ガーナの「家族」との関係で改めて考えさせられました。
それにしても20歳でガーナの現地社会に溶け込むって、すばらしいですね。私には20歳のころ、そんな勇気はまったくありませんでした...。
 あなたにも、視野を広げるため、ご一読をおすすめします。
(2023年12月刊。2200円+税)

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