弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2024年3月 5日

スーザン・ソンタグ

アメリカ


(霧山昴)
著者 波戸岡 景太 、 出版 集英社新書

 2004年に71歳で亡くなったスーザン・ソンタグは、現代アメリカを代表する知識人の一人。
 写真や映画といった映像文化に造詣(ぞうけい)が深く、ジェンダーやセクシュアリティの問題にも敏感。結核やガンといった病気についても熱心に議論した。そして、ベトナム戦争以来、9.11に至るまで、ずっと社会問題に反応し、政治的な発言を続けた。
 私にとっては、ベトナム戦争反対の声を上げていたアメリカの知識人の一人という印象です。
 評論家、映画監督、活動家という肩書きをもっていた。
知性には具体的なかたちがない。知性というのは、本質的に、見たり触ったりすることができない。
 物書きたるもの、意見製造機になってはならない。私はモノカキを自称していますが、「意見製造機」にはなっていませんし、なるのは無理だと考えています。この世の中は私にとって、あまりに理解困難なことが多すぎます。
 たとえば私は、なぜ鉄下鉄の中で携帯電話で話が出来るのか、まったく理解できません。
 ヴァルネラブルというコトバが何回も本書に登場します。脆弱性、被傷性、可傷性、攻撃誘発性など、さまざまに訳されている、難しいコトバです。
 「人間は健康にしろ病気にしろ、どっちにしても脆(もろ)いものですね。いつ、どんなことで、どんな死にようをしないとも限らないから」(漱石の『こころ』)
 カメラは銃を理想化したもの。誰かを撮影することは、理想化された殺人、悲しく、怯えた時代にぴったりの、ソフトな殺人を犯すこと。これはソンタダの「写真論」の一節。
 カメラには「暴力性」があるというのです。うむむ、よく分かりませんよね...。
 愚か者たちの村、その名はアメリカ...。これはよく分かる気がします。
 だってバイデンは80代で、記憶喪失が心配されているのに、代わりの候補者がいない。トランプに至っては、私には大金持ちで、一般人を見下している、狂気の人としか言いようがありませんが、にもかかわらず、大勢の一般人が信者として存在するというマカ不思議さ。
 ソンタグは何人かの男性を愛し、何人かの女性を愛した。
 結婚して、子(息子)をもうけたソンタグはレズビアンでもあったようです。
 人間には、いろんな側面があるものなんですよね...。

(2023年10月刊。1210円)

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