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少年A─  矯正2500日全記録

著者:草薙厚子、出版社:文芸春秋
 この本のもとになったのは『週刊文春』の連載のようだ。著者が取材のために関東医療少年院の周辺をうろうろしていると、強引に名刺を奪われたという。オビに「東京少年鑑別所元法務教官が書いた少年A更正プロジェクトの全容」とあっても、著者自身が少年Aに直接関わっていたわけではない。肩書きはウソではないが、著者はフリーライターとして取材していたのだ。だから、少年院の側で警戒するのも、ある意味で当然のことだ。それくらい低劣なマスコミ報道は多い。ただし、この本を読んだ印象では、少年Aの更正プログラムの実情を真面目にレポートしていると思う。
 子どもを「スパルタ」的に、ただ単に厳しくしつければよいという考えは今も世の中に通用していると思われるが、実は、それは全くの誤りだというのが、この本を読むとよく分かる。子どもは、それで変に誤解してしまうものだ。自分は親に愛されていないと。
 少年Aが、普通の男の子のように女性の裸を想像してマスターベーションできるようになったことで少年院は性的サディズムを克服したと判断する話が紹介されている。なるほど、マスターベーションひとつでも、これほどの意味があるのかと思った。
 少年A事件のことを考えるうえで必読の本だと思った。

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