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中国人連続強盗団

著者:織川隆、出版社:講談社
 2002年10月31日、柳川の市会議員宅が強盗に襲われました。金融業も営み、資産家として名高い人物です。現金1300万円の入った金庫などが持ち去られました。「カネ、カネ、キンコ」という犯人は言葉づかいから中国人による強盗団とみられていました。この本は、その主犯が日本人であり、いまも捕まらずに中国に潜伏中だということで、ジャーナリストが中国まで面会に出かけた様子を描いています。「30件の犯行で被害総額10億円」とオビに書かれています。強盗ビジネスの実態の一端が紹介されているので関心をもって読みましたが、内容の点は掘り下げが足らず、正直言って不満が残りました。
 強盗に入ったら冷蔵庫をみる。そこに何が入っているかで、家の金銭状況が分かる。ローンの支払いに追われている家は、貧相だ。冷蔵庫が高級ハムなどの良い品で満タンになっている家が裕福だ。
 被害者となった柳川市議が資産家であることは私も知っていましたが、なぜ中国人強盗団が知っていたのか疑問でした。この本を読んで、その謎が解けました。日本の暴力団(みたいな連中)が紹介していたのです。紹介料はなんと40%(成功報酬です)というのです。ええっ、と驚いてしまいました。
 ジャーナリストは中国へ出かける前に会社の顧問弁護士に取材にあたって注意すべき点を尋ねています。いったい、こういうときに弁護士は何と回答するのか気になりました。
 犯人に会うこと自体には何の問題もない。犯人隠避罪に問われることはないし、警察への通報義務もない。ただ、取材に対して謝礼金を出すと、犯人隠避罪を問われる危険がある。会話の内容はすべてテープに録音し、念のため出頭を促しておくこと。
 こういうものでした。なるほど、そのようにアドバイスするものなのか、大変勉強になりました。ちなみに、5月20日、名古屋のトビ職が犯人の1人として逮捕されました。

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