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虚妄の成果主義

著者:高橋伸夫、出版社:日経BP社
 東大出身でない東大教授の方が、なんだか大胆にいいたいことを言っているという気がします。どうなんでしょうか?
 経営組織論の専門家である著者は、日本型年功制度の復活を長年にわたって強力に主張してきました。成果主義は有害無益だというのです。私も、まったく同感です。リストラ万能、人減らし論がもてはやされている今どき、珍しいくらいに小気味のいい主張です。なんといっても、人間はお金だけで仕事をするのではないんです。
 日本型の人事システムの本質は、給料で報いるのではなく、次の仕事の内容で報いるシステムだということ。従業員の生活を守り、従業員の働きに対しては、仕事の内容と面白さで報いる。本来、人は面白いから仕事をするのだ。成果主義とは、差をつけるのにお金ばかりかかるが、あまり効果の上がらないシステムだ。
 著者が東大生に教えさとす、次の言葉には大変共感しました。
 自分だけが上から評価されたいと願い、部下や後輩を踏み台にして自分だけが出世していこうとするような人は、やがて自らも淘汰されていく。最初は調子がいいように見えていた目上からの受けがいい人は、目上の人が減るにつれて次第に力を失っていき、自然とその地位も失うことになる。けだし至言だと思いました。

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