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2003年7月 の投稿

ボノボ

カテゴリー:未分類

出版社:TBSブリタニカ
 「政治をするサル」(平凡社)という、とても面白い本があります。サルがボスの座をめぐって合従連衡をくり返している様子が描かれています。サルと人間がいかに近い存在か、実感できます。その著者であるファランス・ドゥ・ヴァールによる、写真集みたいな本です。ボノボは、かつてピグミー・チンパンジーと呼ばれたこともありました。今では、ヒトにもっとも近い類人猿として有名です。
 詳しく文字で紹介するのははばかられますが、ともかく、いかにも人間的な生態です。というか、人間はもっとボノボに学んだらいいと強く思います。
 ぜひ一度、手にとって写真と解説文を読んでみてください。

日本の刑務所

カテゴリー:未分類

出版社:岩波書店
 日本の刑務所は、そこに入ると同時に、いかにその者の社会復帰を妨げるかに、すべての施策が向けられているとでも言いたくなるような現状です。
 私も、福岡県弁護士会の会長として昨年3月、福岡刑務所を見学しました。刑務所で働く職員の苦労は本当に大変なことだと察します。しかし、あまりにも閉鎖した社会であってよいのか、疑問に思います。
 現在の受刑者(4万7千人強。ちなみに未決は1万人)の特色は、頻回受刑者(全体の52.5%。5度以上が3割以上)、高齢者(60歳以上が9.3%)、薬物犯罪者(4人に1人)、そして暴力団関係者(4人に1人)が多いということです。
 この本を読んで、いくつか認識しました。
 その1は、欧米では、受刑者にも選挙権があり、刑務所内で不在者投票している。
 その2は、刑務作業について、欧米では一般社会の労働者と同等かそれに近い雇用条件となっている。
 その3は、欧米では第三者機関による監視が一般化しつつある。
 日本の刑務所では、個人的な生活領域がなく、他律的で受動的な生活をするため、主体性が失われ無気力になりがちで、外部から隔絶した特殊な刑務所社会に順応していくことが社会復帰の妨げとなっています。

ザ・エクセレントカンパニー

カテゴリー:未分類

著者:高杉良、出版社:毎日新聞社
 カップ麺のマルチャンがアメリカ進出に成功する過程が小説として描かれています。日本企業がアメリカに定着しようとするときに、労使関係でどんな苦労があるのか、市場を開拓するために求められるものは何かが具体的に示されていて、勉強になります。
 トヨタやソニーだけがエクセレントではない、という帯の言葉にうなずかされます。
 それにしても「社員に優しい日本型経営がアメリカ合衆国を征す」というのは本当だろうか、とも思いました。工場にアメリカの組合活動家がオルグに入ってきて組合を結成しようとするのを、アメリカの弁護士の指導も受けながら見事に阻止した話が紹介されています。ここでは労働組合は企業の発展を阻害する悪としか描かれていません。
 日本の企業内組合が平和問題などにあまり目を向けなくなっている状況を憂えているものの1人として、労働組合すらつくらせないという企業であって本当によいのでしょうか・・・。いろいろ考えさせられました。

触法精神障害者の処遇と精神医療の改善

カテゴリー:未分類

出版社:明石書店
 この本は、福岡県弁護士会の精神保健委員会がシンポジウムや夏合宿など研究成果をまとめたものです。私も福岡県弁護士会の会長として夏合宿に参加していましたので、その感想が9行ほど載っています。
 日本の精神障害者は204万人いると言われるなかで、精神科の病院に33万人が入院し、うち医療保護入院が18万います。5年を超える長期入院が15万人となっています。
 殺人罪についてみると、一般犯罪者の再犯率は28%に対して、精神障害者は6.8%。放火は、一般犯罪者が34.6%に対して精神障害者は9.4%。つまり、触法精神障害者あるいは重大な犯罪行為をした精神障害者の人が、一般犯罪者に比べてより棄権であるとは言えません。今回の法案の問題点の一つは「再犯の恐れ」の有無を医療機関が判断することになっていることです。

人体市場

カテゴリー:未分類

出版社:岩波書店
 人体ブローカーは儲かるビジネスだ。現代の状況は、19世紀の「死体泥棒」を思いおこさせる。この本を読むと、人間の身体(部品)が商品として売買されている、おぞましい実情を知ることができる。
 アメリカでは、人体をめぐるビジネスは1300の企業と170億ドルの資本を擁するバイオテクノロジー産業の一部として急成長を遂げている。
 現在、アメリカ国防省では、すべての軍所属者に遺伝子の検査を義務づけ、血液を採取している。軍の血液試料保有数は350万以上になっている。毎年生まれる新生児400万人の血液試料を用いた遺伝子の集団検診プログラムが試行されている。50州すべてにおいて、犯罪者には司法DNA鑑定用の血液提供が義務づけられている。
 本人も知らないうちに、人間の身体が丸ごと管理され、商品化されている。恐ろしい世の中だ。

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