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蔓の端々(つるのはしばし)

出版社:講談社文庫
 乙川優三郎の時代小説は、しっとりとした雰囲気で、人生の悲哀をよくよくかみしめ味わうことができます。前に読んだ『霧の橋』もなかなかのものでした。
 この本は、山田洋次監督の映画になった藤沢周平の『たそがれ清兵衛』によく似た雰囲気の話です。藩の上層部の対立抗争に腕のたつ下級武士が巻きこまれ、刺客として暗殺を命じされたりする話です。時代小説といいながら、まるで現代の会社内部の派閥抗争のような様相が描かれ、ぐいぐいと暗闘の舞台にひきずりこまれていきます。
 知らない方がよかったかもしれないけれど、真相をやっぱり知りたい。そんな人間の抑えきれない欲求に悩む主人公の行く末が案じられ、我が身をふりかえります。でも、やっぱり世の中はもっと知りたいというのが私の信条です。

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