(霧山昴)
著者 安島 太佳由 、 出版 安島写真事務所
あの無謀きわまりない太平洋戦争に突入していった戦前の失敗を、今またタカイチは「自分は当時は生きていないんだから、反省なんかしない」とうそぶいて、戦争する国づくりに狂奔しています。恐ろしいことです。
太平洋戦争とは、どんな戦争だったのか、それを視覚的にとらえることのできる小冊子です。著者は30年間にわたって、国内外の戦跡を写真撮影してきました。
私が著者の写真集を初めて見て衝撃を受けたのは、愛知県知多半島南部にある中之院の軍人像の写真です。一般兵士の92体もの軍人像は、まるで戦場の兵士たちが目の前にいるかのように精巧かつ表情豊かなのです。中国の上海戦において倒れた若き兵士たちの像です。みんな、本当は生きたかったんだよと叫んでいるかのように思えました。迫力がありました。
著者は硫黄島にも行っています。そして栗林中将がいた狭い司令官室にも入ったのでした。地獄のような地下洞窟で戦わされ、ほとんど全滅した兵士たちが哀れです。
私は知覧(ちらん)特攻平和会館には行きましたが、近くの万世特攻平和祈念館には行ったことがありません。というか、そんな祈念館があること自体を知りませんでした。ここに、17歳の荒木伍長が笑って子犬を抱いている有名な写真があるのです。
ガダルカナル島は、餓島(がとう)(飢餓の島)として有名です。日本軍の戦死の6割は栄養失調による餓死です。補給をまったく考えない日本軍の体質を反映しています。
ペリリュー島にも行ったとのこと。平成天皇夫妻がはるばる出かけたことで有名になり、すぐれたマンガが出来て、アニメにもなりました。ごく一部の兵士のみが生きのびたことでも有名です。
貴重な写真が満載の本です。ご一読をおすすめします。
(2026年7月刊。2500円)


