法律相談センター検索 弁護士検索

原発と権力

カテゴリー:社会

著者   山岡 淳一郎 、 出版   ちくま新書
 日本の原子力発電の第一「功労者」は今も生きている中曽根康弘である。そして、これを事業化したのは、CIAのエージェント(暗号名はポダム)だった正力松太郎である。正力松太郎は、犬猿の仲だった朝日新聞出身の緒方竹虎を妬んでいた。
 緒方もCIAの情報源だったが、急死してしまった。
 ただ、当時のCIAは秘密組織ではなく、緒方も自覚的なスパイではなかった。正力松太郎は総理になるべく、先行投資として2000万円という大金を三木武吉に渡した。今日のお金では3億から4億円になる。
 1955年11~12月、日比谷公園2000坪をつかって原子力平和利用博覧会が催された。42日間に総入場者は36万人をこえ、大盛況だった。CIAと正力松太郎の共同作戦の成果である。正力は、このとき展示されていた小型の原子炉を持ち帰って家庭用の発電につかうとアメリカ側に申し出た。もちろんそんなことは不可能。それほど正力は原子力について技術的にまったく無知だった。
 CIAは、やがて強引で唯我独尊の正力松太郎に手を焼き、アメリカの国益の観点から正力を危険視するようになった。
「原子力エネルギーについての日本の申出を受け入れると、必然的に日本に原子爆弾を所有させることになる。これは、トラブルメーカーとしての潜在能力においてだけだとしても日本を世界列強のなかでも第一級の国家にする道具となりうる」
 田中角栄は中曽根康弘と同い年。大臣になったのは中曽根より2年早い。
 「今太閣」ともてはやされた田中角栄が政権の座を追われた裏には、石油やウランを牛耳る欧米の資源帝国との激闘があった。田中角栄は、「世界の核燃料体制は、やはりアメリカが支配している。そこをフランスと一緒になってやろうとしたら、うしろからいきなりドーンとやられたようなものだ」と語った。
 与謝野馨は、いわゆる原子力村の出身者である。1963年に東大を出て日本原子力発電に入社した。原発推進の信念を変えていない。前原誠司もタカ派で、原子力推進派である。
メディアの原発・電力批判を抑えこんだのは、莫大な広告費だ。電力会社の広告宣伝費は900億円に近い。このほか販売促進費が
600億円を上回る。東京電力のみで、広告宣伝費が250億円ほど、普及費が200億円。
 これではメディアが電力会社の言いなりになって、原発を美化し、推進するはずです。メシのためには、黙って・・・、ということですね。
 民主党内の原発推進の中心が仙谷由人。つい先日、仙石由人は、「脱原発は日本にとって自殺行為」だなんて、とんでもないことを公言しました。反対に原発依存こそ日本人の自殺行為ではありませんか。いったい、使用ずみ核燃料はどう処理するというのですか。また、福島第一原発でメルトダウン、メルトスルーした核燃料の始末は、いつ、どこで、どうやって、誰がするというのでしょうか。仙谷大先生におたずねしたいと思います。
(2011年9月刊。760円+税)
 今年もホタルが飛びかう季節になりました。わが家から歩いて5分あまりの小川にそってたくさんのホタルが飛んでいます。あのふうわりふうわりとした飛びかたに心が魅かれます。飛んでいるホタルを両手でぞっと包んで、手のひらに乗せます。重さは感じません。ホタルはあわてず、あせらずじっとしています。軽く息を吹きかけると、再びふうわりふうわり、ゆっくり空中に飛びまわります。この眺めはいいものですよ。

不愉快な現実

カテゴリー:中国

著者   孫崎 享 、 出版   講談社現代新書
 サブタイトルは、「中国の大国化、米国の戦略転換」となっています。
日本がいつまでも対米従属一辺倒でいるうちに、アメリカは日本より中国を重視する政策に変わっている。それなのに、日本人はいつまでも、いざとなればアメリカが日本を守ってくれるなどという幻想に浸っている。
こんなことを厳しく警告している貴重な新書です。ぜひ、手にとってお読みください。私は、著者の話で一度じかに聞きましたが、まことに説得力のある話でした。
 著者は外務省に入って各国の大使館につとめたあと、イラン大使、そして防衛大学で教授をつとめています。ですから、決していわゆる左翼ではないのです。
 日本は、これまで外交、安全保障の分野で極端な対米従属をしてきた。対米従属で日本経済は本当に潤ってきたのだろうか・・・?
 実は逆である。日米関係を強固にする努力を続ければ、日米の反映があるという定説は、過去20年の日本に実は、まったくあてはまらない。事実でないことを、日本人はなぜ20年間、魔法にかけられたように、頑なに信じてきたのだろうか。
 今日、アメリカは、日本より中国をより重要と判断している。我々日本人には、中国が超大国になる。ましてアメリカの上にいくという事実を認めたくない。これが、今も無意識のうちに働いている。
 中国市場がどういう市場であれ、ここで勝利を収められない企業は、もはや世界市場で勝ち残れない。グローバル企業を目ざすなら、中国市場で戦うしかない。
 キッシンジャーは日本人を戦略的にものを考えない人たちと蔑視してきた。アメリカのクリントン長官にとって、普天間基地を辺野古に移転するかどうかは、不動産屋のような問題であり、知的刺激は何もない。だから、彼らは日本人と話したがらない。
中国の全体的な戦略国において、日本の重要性は甚だしく縮小した。
 米軍にとって在日米軍基地の最大の利点は、日本政府の財政負担である。日本政府は「思いやり予算」という各目で、基地経費の75%から80%近を補填している。アメリカの財政状況が厳しい折、これだけ魅力のある場所はない。
 中国の輸出金額はGDPの27%近い。今日の中国経済は輸出に依存している。したがって、冒険的対外政策をとって自国の輸出市場を失うことを避ける必要性は他の国に比べても高い。
 現在、アメリカは中国の軍事力増強を注意深く観察しつつ、しかし、政策としては協調路線を追及している。
 尖閣諸島近辺で日中刊の軍事衝突が起こったとき、日本が勝つシナリオはない。そんなとき、中国は戦闘機330機、駆遂鑑16隻、潜水艦55隻を動かせる。日本の自衛隊は、とてもこれに対抗できない。
 中国の一般市民の経済水準はアメリカの4分の1であるが、国全体としてみると、中国のGDPは世界一である。
 日本には、首相がいくらもがいても、政界、官界、経済界、マスコミにはアメリカに従属するシステムができあがっている。
 そうなんですよね。いつまでたってもアメリカの忠犬みたいに尻尾を振りつづける自民そして民主党政権と経済界中枢にはほとほと嫌気がさします。もっと日本人としての自立心をもてよと叫びたいところです。
(2012年3月刊。760円+税)

どうなる!大阪の教育

カテゴリー:社会

著者   池田 知隆 、 出版   フォーラム・A
 橋下・教育基本条例案を考える、というサブタイトルのついた薄いブックレットです。マンガ入りで、とても分かりやすい小冊子なので、多くの人にぜひ読んでほしいと思いました。
大阪の教師の疾病増加率は知事部局に比べて3倍も高い。学校の教師を生きづらくしているのは、同僚同士で話しあいながら学校を運営していくことができなくなっているから。
 校長は教職員の意見を聞くこともできず、通達だけが流れてくる。それをパソコンで見ている。職員会議には会話がない。こんなことで教師が育つはずがない。
 校長や副校長に体育系出身の教師が増えている。リベラルの人は教師になろうとしない。体育科の教師なので、他の教科のことが分からない。学力を伸ばすといってもどうしたらいいのか分からない。
 教育というのは人格のつきあい。学校の教師がやってくれることの最大のものは、子どもと付きあっていること。付きあいのなかで、その教師が自分の生き方とか、勉強の面白さを伝えながら、子どもは教師を批判したり、尊敬したりして人格がつくられていく。
 知事が替わるたびに好き勝手なことを言い、教育に介入されたら、学校教育は解体する。
 橋下の本には、友だちがほしいなんて思うな、大事なのは強いやつを見つけ、その下で生きることだと書かれている。うひゃあ、なんと悲しい言葉でしょうか・・・・。
 橋下は、「大阪を教育日本一に」と訴えながら、実際には3年間で教育予算を583億円も削った。できるだけ安あがりにしようというので、正規の教員を雇わず、非正規の教員を増やしている。
 橋下は、「教育は2万パーセント強制」という。しかし、アスリートが自覚的に負担をかける訓練をしているのと、望んでもいないことを強制されることには大きな違いがある。
 学力テスト成績結果を公開し、公立小中学校の選択制が実施されると、公立小中学校は激しい競争に追い込まれる。テストの成績で生徒を序列化し、落伍者は無価値な者と見下され、子どもの人格を歪めかねない。
 橋下・教育改革では、相対評価によって必ず「下位5%」の教師を指名し、それが2年続くと免職となる。
 すると、生徒指導の課題や悩みをかかえていても、他の教師に相談ができなくなる。他の教師も自分への評価が下がることを怖れて必死だから。教師が連帯して教育実践にあたるのではなく、互いに競争相手として追い落としあう職場環境になってしまう。生徒に媚びる教師を増やしかねない。悩みや課題をかかえた教師を横目に見ながら、それを放置していることが自己保身につながるという悪しき風潮が生じる恐れがある。学校のなかでみんなが協力しあい、学校全体で子どもを育てることがなくなってしまう。
校長は、自分が決めた目標の達成状況を基準に自分で教師を評価するから、主観的、恣意的な、つまり好き嫌いで人事評価することが可能となる。
校長にはマネジメント能力も必要だが、それだけで学校現場を統括するのは難しい。校長は教育サービスを支える店長ではないし、一人ひとりの子どもや教師と向きあうことが必要な教育職である。ただ管理統制能力があるだけで、教育の現場での対応はできない。
大阪の橋下市長を天まで高くもてはやすばかりの大手新聞、テレビには呆れかえります。 ジャーナリズムはもっと、橋下流インチキ政治の本質を暴いてほしいものです。
(2011年11月刊。571円+税)

教授とミミズのエコ生活

カテゴリー:生物

著者   三浦 俊彦  、 出版   三五館
 自宅でミミズを飼う某女子大学教授の体験記です。ミミズをずっと飼い続けるって大変なことなんだと思い至りました。まさに奮闘努力の甲斐もなく・・・、という事態の連続なのです。
 簡単なようで、実はとても大変なのがミミズの飼育です。著者がミミズコンポストを始めたのは10年前。三層のたらい型容器とミミズ3000匹を3万5000円で購入。ミミズは釣り餌になるシマミミズ。シマミミズなら、私もよく分かります。至ってフツーのミミズです。
ミミズに塩分と柑橘類をやるのは現金。片栗粉も固まってしまうのでダメ。
 ミミズコンポストの目的は、なにより生ゴミ減らしにある。
ミミズはデリケートな生き物だ。ミミズは1日に自分の体重の半分の量を食べる。
ミミズの卵は、直径2~3ミリ。球根のような、レモンのような、ラグビーボールのような形をしていて、橙色に輝く、きれいな粒だ。2~3週間後に赤ちゃんが生まれ、4~6週間で生殖年齢に達する。シマミミズの個体は4年ほど生きる。
ミミズは健康食品の重要な素材になっている。咳止めや熱冷ましに使われる「地龍」は、漢方系の風邪薬の成分として定番である。血液サラサラのサプリメントとしても使われている。
 ミミズが大量に死ぬと、身体から流れ出す酵素によって仲間のミミズに害をなす。ミミズの大絶滅は、ミミズ飼育においては、ごくありふれたこと。
ミミズはもともと冷たい生き物である。ひんやり感が心地よい生き物なのだ。
 ミミズは、一匹一匹が個体というよりも、2万匹全体が個体というか超個体であり、一匹一匹は超個体を構成する細胞なのだ。
 スイカの皮はミミズの大好物。ミミズは、意外に場所の好みが激しい。ミミズにも個性がある。
ミミズを飼っていると、死に絶えるというハプニングは当たり前。実感されるのは、命の軽さ、命への代替可能性、命の偶然性。そんな一種のニヒルな悟りを受ける。
 ある一定の状態をこえるとミミズは死滅してしまうが、その直前に卵を異常に産む。これは、種を残すための行動だろう。
 ミミズを飼うことで生命の神秘をも感じさせる面白い体験記でした。私もミミズなら平気で触れます。なにしろ、フナ釣り大好き人間でしたから・・・・。今、わが家の庭にもたくさんのミミズがいます。もちろん、それを食べて生きるモグラも。
(2012年2月刊。1400円+税)

ニッポン異国紀行

カテゴリー:社会

著者    石井 光太、 出版   NHK出版新書
 日本という国を通常とは違った視点でとらえることのできる本です。
 現在、日本に210万人ほどの外国人が暮らしている。そして年間に6000人の外国人が亡くなっている。その遺体を海外へ搬送するときには、感染症予防のため、遺体に対して腐敗防止処置をしっかりと施し、その証明書をつける必要がある。これをエンバーミングと呼ぶ。
 1日に20体ほどの遺体が日本から海外に搬送されている。あなたの乗る飛行機には、実は、一緒に遺体が積まれていても何ら不思議ではない。
 その費用は韓国だと2~30万円、中国へは60~80万円、欧米へは70~120万円、東南アジアへ70~90万円、中東は100~140万円、アフリカ100~200万円。こんなにかかる。
このほか、日本の風俗産業への韓国人女性や東南アジアの女性の進出状況、さらには、日本の中古車の海外への輸出状況なども紹介されています。
 日本と海外との結びつきは本当に多面的だと思い知らされる本です。著者の体当たり取材はすごいものです。海外だけでなく、日本もターゲットにしたところがすごいと思いました。
(2012年1月刊。860円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.