著者 黒田 清 、 出版 三五館
奈良で活躍していた、私と同じ団塊の世代の高野嘉雄弁護士(故人)が、依頼者となった少年たちに読むようにすすめていた本です。私も読んでみました。
25人の生いたちが語られ、紹介されていますが、いずれも心を打つ話でした。
著者も亡くなられましたが、はしがきの言葉も素晴らしい。
書きながら、深い感動に包まれて涙があふれてくるときもあった。書き手がそうなのだから、おそらく読まれるあなたも、どこかで耐えきれなくなり、涙でほほを濡らされるに違いない。だから、この本はできることなら電車のなかなどで読まず、一人いるところで心静かに読んでほしい。人間はどんなにすばらしいものなのか。人間は、どんなに悲しいものなのか。私たちは、そのことを繰り返し感じるべきなのである。
今の世の中には、いわゆるシラケ状況が満ちていて、感動したり、涙を流したりするのは恥ずかしいことのように思われがちだが、もちろん、そんなに思うことのほうが浅薄なのである。
ここには、いろんな人がいて、それぞれに人生のうたをうたっている。それは勇気のうたであり、母のうたである。平和のうたであり、生命のうたであり、別れのうたである。
心から感動せずして、涙を流さずして、すばらしいこの世を生きたというなかれ。感動と涙で心を洗われたあなたは、そのあと一生をそれまでと違った価値観で生きていけるようになるだろう。
すべて実話というのがいいですね。単なる想像上の話ではなく、現実に生きている人の話だと思うと、よけいに勇気、生きる元気が湧いてきます。
いい本をありがとうございました。素直に頭が下がります。
(2005年8月刊。1165円+税)
2013年3月3日


