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平安のステキな!女性作家たち

カテゴリー:日本史(平安)

(霧山昴)
著者 川村 裕子 ・ 早川 圭子 、 出版 岩波ジュニア新書
 まずは平安時代のライフ・スタイル。
朝の合図は太鼓の音。夜が明ける合図なので、午前4時半から6時半。2回目の太鼓は出勤の合図で、午前5時半(夏)から7時50分(冬)ころ。食事は1日2回。朝と晩の2回。朝の食事は午前10時ころから12時ころ。晩の食事は午後4時ころ。ただし、朝の出勤前に少し軽食をとることもあった。朝食は午前中の勤務が終わったころなので、自宅に帰って食べる人も多かった。夕食も基本は自宅でとる。
 母親の出産は危険で、5人に1人は亡くなった。平安のころの出産は命がけだった。
 上流家庭の娘は、習字と和歌、そして琴(こと)。和歌は古今和歌集を丸暗記する。
男子が女子の家に3日連続で通うと結婚成立。
 離婚するときは、妻は実家に戻る。実家に引きとる力がなかったら、女子はそのまま没落する。
貴族の女子が外に出て働くといえば、宮仕えのこと。宮中や貴人に仕える。
宮中には後宮(こうきゅう)があって、そこに天皇の奥さまたちがいた。そこで仕えるのも宮仕え。
公務員としておつとめする女性を女官(にょかん)と呼ぶ。女官は多かった。
後宮には12もの役所があった(後宮十二司)。
 上達部(かんだちめ)、殿上人(てんじょうびと)はVIP。貴人の世話をする女性を女房と呼び、3階級に分かれていた。上臈(じょうろう)、中臈(ちゅうろう)、下臈(げろう)。
 紫式部や清少納言は中臈ぐらいとみられている。
 上臈はセレブな特権階級で、禁色(きんじき。特別な人以外は使用が禁止されていた色)や織(おり)が許されていた。
 「更級(さらしな)日記」の作者である菅原孝標(たかすえ)女(むすめ)の本名は不明。父親はかの菅原道真の五代目。「蜻蛉(かげろう)日記」の作者である道綱母の異母妹という関係。
 清少納言が定子(ていし)に仕えた993年から1000年までの7年間のうち、本当に穏やかだった時代は993年から995年までの2年弱。あとは不幸な出来事が続いた。
 この不幸な状況のなかで清少納言は定子たちとの華やかな生活を描き出した。
平安時代の女性も現代日本の女性と同じように強く、たくましく生き抜いていたのです。もちろん、全員がそうだということではありませんが…。
(2023年10月刊。990円+税)

ゴールデンカムイ、絵から学ぶアイヌ文化

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 中川 裕 、 出版 集英社新書
 マンガそして実写版の映画にもなった「ゴールデンカムイ」のアイヌ語の監修者によるアイヌ文化を紹介する新書です。新書といっても550頁もあります。マンガで紹介するところは字が小さすぎて、よく読めませんでした。
 それにしても監修者によると、「ゴールデンカムイ」はアイヌ文化を十分に踏まえたマンガになっているそうですから、たいしたものです。
 「ゴールデンカムイ」は2014年に連載を開始し、2022年4月に完結するまで、8年間、連載され、コミックスの最終巻は31巻という大長編です。すごいですね。累計で14万部を突破したとのこと。
 主人公が日露戦争の帰還兵ということは、明治時代から大正期にかけてのことでしょう。
 伝統的なアイヌの世界観では、世界のあらゆるものにはラマッ「魂、霊魂」があると考えられている。そのなかでも精神、意志をもって何らかの活動をしていると感じられるものを、とくにカムイと呼ぶ。狩猟というのは、人間が獲るのではなくて、カムイのほうから弓矢に当たりに来るものと考えられている。
北海道アイヌにとって、ただカムイとだけ言えば熊を指す。それほど熊はカムイ中のカムイというべき存在だった。
 アイヌにとって、鮭は主食といえるもの。シマフクロウは、とりわけ格の高い、えらいカムイ。
 著者は、熊の顔の肉と脳みそを生で叩きあわせて、塩とネギで味付けしたものを食べたことがあるそうです。本当においしかったとのこと。でも、私はちょっと…。と言いつつ、私も仔牛の脳みそは食べたことがあります。もちろん生(ナマ)ではありません。軽くソテーしたものです。ちょうど豆腐を食べている感じでした。
 アイヌ語で、金(きん)はコンカニ、銀はシロカニという。日本語の「こがね」「しろがね」からの借用。そして、銀のほうが金よりは格上の扱い。
 アイヌの人々は入れ墨をしているが、これはアイヌの専売特許ではなく、東南アジアから南太平洋にかけて広く広がっている。
アイヌの人々が久しぶりに再会したときは、正面を向きあいながら、お互いの髪をなでおろし、背中をさすったり、手をさすりあったりして、再会を喜びあう。
アイヌの女性は、成人男性の前では、被り物をとるのが慣習。
人が座っているところを通るときは、その人の後ろを通ってはいけない。座っている人の前を通るのがアイヌの作法。
 アイヌの伝統的な食器や調理用具のほとんどは木製品。囲炉裏で煮炊きし、鉄鍋による料理を食生活の基本としてきた。鍋物(オハウ)こそがアイヌの日常的なメインディッシュだった。
ムックリは、北海道アイヌにおいて唯一と言ってよい楽器。ネマガリダケでつくる。
アイヌは汚れた水を流さないようにするため、川で洗濯することはなかった。では、いったい、どこで洗濯していたのでしょうか…。
 ギョウジャニンニクは、アイヌの食生活において、なくてはならない山菜。
かつてのアイヌには苗字がなかった。明治になってから苗字をつけることが強制された。
 「ゴールデンカムイ」に登場するアイヌ語の人物の名前の多くは、著者が候補を上げ、そのなかからマンガを描いた人が選んだ。
 小説の中の登場人物のネーミングは実は難しいのです。ありきたりの名前では印象が薄く、読者に覚えてもらえません。そこで、一般的には電話帳をめくったりして、書き出します。今だとスマホの画面になるのでしょうね…。
 大変勉強になりました。ちょっぴりアイヌの人々の生活の一端をのぞいた気がしました。
(2024年2月刊。1500円+税)

クラーク・アンド・ディヴィジョン

カテゴリー:アメリカ

(霧山昴)
著者 平原 直美 、 出版 小学館文庫
 1944年、シカゴの地下鉄駅で事故が発生。
 著者はアメリカで生まれ育った日系3世。1962年にカリフォルニアで生まれ、スタンフォード大学を卒業してロサンゼルスの大手日系新聞社に入社して記者として活動しはじめる。その後、作家活動に入った。ジャーナリストとして、そして小説家として、日系アメリカ人のリアルを追い続けている。
 アメリカに日本が戦争を仕掛けたあと、日系人は収容所に入れられた。ただし、アウシュヴィッツのような絶滅収容所ではなかったし、シベリアに抑留して強制労働させられたというものでもない。アメリカに対して忠誠心をもつと認められたら、収容所を出ることが認められた。ただし、西海岸に戻ることはできず、行き先はアメリカ政府(戦時転住局、WRA)が定める。
 アメリカ生まれ、アメリカ育ちのアメリカ市民、日本に行ったこともないのに、ルーツが日本だというだけで差別された。収容所を出るときの出所許可申請書には、「日本国天皇に対する忠誠を拒絶することを誓えるか?」という質問がある。
 そして、戦時下で強制収容所に入れられたのは日本人と日系人だけで、同じ敵国のドイツ系もイタリア系もそれまでどおりの生活を送ることができた。
 戦時下のアメリカで日系人がどんな苦労をしていたのかが手にとるように分かる描写が満載のミステリー小説でした。そして、どこの国も警察って、あてにならない、そしてあてにしてはいけない組織だということもよく分かります。
 袴田さんの再審無罪判決で、裁判所が警察官たちが証拠を捏造(ねつぞう)したとしか考えられないと認定したのに対して、検事総長は控訴断念の声明のなかで「残念無念」とばかり言って、まったく反省の色を示していません。こんな警察・検察だったら、今後も再び証拠捏造をやってしまうんだろうなと思わざるをえません。そのため、これまでたくさんの人が泣いてきたわけですが、これからも泣かされる人が続出するということですよね、残念です。
(2024年6月刊。1210円+税)

Z世代のアメリカ

カテゴリー:アメリカ

(霧山昴)
著者 三牧 聖子 、 出版 NHK出版新書
 アメリカの大統領選挙の投票日も間近となりました。「もしトラ」が万が一にも実現したら、本当に世の中、お先、真っ暗ですよね。私からすると、トランプなんて、見かけ倒しのインチキ不動産ブローカーにしか思えないのですが、プアホワイトが熱狂的に信奉しているようですね、怖い現象です。
 さて、Z世代とは何か…。1997年から2012年のあいだに生まれた世代のことです。
 現在、アメリカの人口の2割を占めています。
 Z世代は、アメリカの強さよりも弱さを、その善なる部分より悪しき面を存分に見て育った世代。そして、戦争なんか、もうコリゴリという反戦感情を抱いている。
 アメリカによる「テロとの戦い」のために、過去20年間でアメリカが軍事作戦を展開した国は80ヶ国に及び、支出した費用は880兆円(8兆ドル)。そして、死亡した米兵は7千人。敵対する兵士や民間人を含む全世界の死者は90万人をこえる。
 トランプは、今後はただひたすら国益を追求する、「アメリカ第一」で行くと宣言した。トランプは、「例外主義」を放棄した大統領。
 Z世代は物心がついてから、ずっと、お金がものを言う政治を見せつけられてきた。
 アメリカの社会保障制度や政治システムに関して「誇りに思えない」と回答する割合が6割をこえている。これって、Z世代に限らない割合です。それもそうですよね。アメリカには国民皆保険制度が今もなく、それを主張すると、「アカ」呼ばわりされるのですから…。
 さしずめ、ヨーロッパはフランスもイギリスも、トランプからすると「アカ」の国になってしまうのです…。おかしな話です。
 「他国への軍事介入はアメリカをより安全にするか?」という問いに対して、「安全にならない」と回答した人が40%にのぼるとのこと。アメリカ人も良識のある人も少なくないのですね、ちょっぴり安心しました。
 ロシアのプーチン大統領にとって、トランプの主張するような、アメリカが「例外主義」を放棄して「アメリカ第一」を掲げて内向きになることは、周辺国に領土や勢力圏を拡張したいので、望ましいこと。だから、トランプはプーチンと仲が良いのですね。
 アメリカでは、上位10%の世帯が国の富の72%を保有し、下位90%の世帯は国全体の富の2%しか持たない。格差は広がり、ますます固定化している。
 トランプ大統領の下で司法の保守化がすすんだ。これは「永久保守革命」とも称される。
 2022年の中間選挙でZ世代の連邦議員が初めて誕生した。マクスウェル・フロストという。
 アメリカのZ世代の活躍ぶりを知ることができました。日本では、Z世代は団塊世代2世が該当するのでしょうか。アメリカに比べて少々、活力が感じられませんね…、残念です。でも、決してあきらめているわけではありません…。
(2023年7月刊。930円+税)

学校に行かない子どもが見ている世界

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 西野 博之 、 出版 KADOKAWA
 マンガとともに不登校の子どもたちの声、そしてその対応策がとても分かりやすく紹介されています。改めて大変勉強になりました。私自身は弁護士として子どもたちの不登校問題に関わったことはありませんが、青年から中年までの引きこもりの人は今も関わっていますので、とても身近な問題です。
 不登校の子どもが全国に30万人いるそうです。
 文科省は、「不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭(ふっしょく)」すべきだという通知を全国の都道府県教育長あてに出している(2016年)。文科省は、不登校は「誰にでも起こりうる」もので、「不登校を問題行動と判断してはならない」としている。
不登校の子どもたちは、心の中ではとても苦しんでいて、みんなが当たり前にできる「ふつう」のことが出来ないと自分を追い詰めている。
 日本では、15~39歳までの死因のトップは自死。これって、やはり異常ですよね。将来ある子どもたちを自死に追いやってはいけませんよね。日本の将来がなくなってしまいます。
 義務教育の9年間でいじめが一番多い学年は小学2年生。その次に小学3年生、小学1年生と続く。小学校低学年にいじめが多いって、大変ですね…、知りませんでした。
 学校に行けない子の多くは、自分でも理由が分かっていない。だから、原因探しはほどほどにして、まずは子どもをゆっくり休ませること。ふむふむ、そうなんですか…。
子どもが昼夜逆転の生活をしていても、過剰なまでに心配しないでいい。心を守るため、朝起きられない体を作っている。
 子どもが一日中ゲームをしているからといって、唯一の楽しみを奪ったり、無用に制限すると、家庭内暴力に走ったり、親と一切会話をしなくなったというのは、よくあること。
鈍感な子どもは、「ふつうに」学校に行ける。なので、「ふつう」とか「あたりまえ」のほうを疑ってみたほうがいい。
親が唯一してあげられることは、居心地のいい家をつくること。家が子どもにとって安心、安全で、居心地のよい居場所になれば、子どもの回復は早まる。
 子どもの動き出しの合図の一つは、「ひまだー」というコトバ。
世間体を気にしているうちは、子どもは動かない。関心を世間ではなく、子どもに向ける。
 日常の、子どもとの意味もないような、どうということのない会話が実は大切。
 「生きていれば十分」。心の底からそう思えたら、ゆっくりと何かが変わり始める。
親にストレスがたまれば、それだけで子どもに負荷がかかる。親がいきいき生きている姿を見ると、子どもは、自分は自分のままでいいんだと安心して、自己肯定感が養われる。
学校には無理して行く必要がない。それが常識になる社会にしたいものですね。そして、それは会社も同じこと。カローシ(過労死)するまで働く必要はまったくないのです。嫌なら、さっさと会社を辞めて、転身して生きのびましょう。
(2024年10月刊。1500円+税)

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