法律相談センター検索 弁護士検索

超監視社会で身をまもる方法

カテゴリー:アメリカ

(霧山昴)
著者 ケビン・ミトニック 、 出版  日経BP社
伝説のハッカーと呼ばれるケビン・ミトニックは現代社会では誰もが監視されていることに気づくべきだと強調しています。
いま、私たちが手にしているプライバシーは幻だ。おそらく、数十年前に幻になった。
家のなかにいようが、通りを歩いたり、カフェでくつろいだり、ハイウェーで車を走らせたりしていようが関係ない。コンピューターも、スマートフォンも、冷蔵庫でさえも、すべてが私生活ののぞき穴になり得るのだ。
生体認証、指紋やら顔をつかうものも、ハッキングには弱い。
政府と企業は、あなたのメールを読んでいる。
安全にやりとりしなければいけない相手が現れたときに大切なことは、相手の身元を確かめること。確認するときには、共通の知人を通じて連絡をとり、自分はその友人とだけ接触して、なりすましにひっかからないよう注意すべきだ。
プリペイドの携帯電話を使い捨てにしてしまうといい。
ケータイの発信者が世界のどこにいても居場所を特定できる。その会話も聞きとれる。暗号化された通話やテキストメッセージを記録して、あとで解読することもできる。
デジタル通話が主流になるにつれて、監視は難しくなるのではなく、簡単になっている。
あらゆるSNSのなかで、一番しつこいのがフェイスブックだ。フェイスブックも、グーグルのように、あなたに関するデータを欲しがっている。フェイスブックには、16億5000万人の利用者がいる。
アメリカにあるハイスクールで、高校生全員に新しいマックブックが与えられた。このマックブックには、紛失した場合に備えてインストールしたデータ復元ソフトを使うと、2300人の生徒全員の行動を内蔵するウェブカメラに映る範囲ですべて監視できた。
誘拐犯は身代金をビットコインで支払うよう要求することが多い。そこで、多くの人が支払いに苦労する。
一般論として、共有パソコンを絶対に信用してはいけない。ファイルを削除するだけでは、不十分だ。そのあと、ゴミ箱を空に抜く必要がある。それでも、ファイルはコンピューターから完全には消えない。
SNSにはSNS用のプロフィールの書き方がある。嘘をつくのではなく、わざと曖昧にするのだ。生年月日には、本当の誕生日とは違う、『安全な』日付をつかって、個人情報をうまく隠す。FBで「友だち」申請を承認するときには、慎重にしたほうがよい。
空港の手荷物検査を受けるときには、いつもノートパソコンや電子機器は最後にベルトコンベアに乗せるようにしよう。
一般論として、機密情報を保存した電子機器は絶対に必要な場合以外には持っていかないこと。もし持っていくなら、データを最小限に減らすべきだ。
本当に怖い世の中になってしまいましたね。トホホ、です。
(2018年2月刊。2000円+税)

語りかける中学数学

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 高橋 一雄 、 出版  ベレ出版
ある日、夕刊を読んでいて、ふと目が留まりました。新潟の少年院でボランティアの人が数学を教えているというのです。そして、教えられている少年たちの多くが、たちまち数学を理解できるようになっていくという嘘のような話でした。しかも、ボランティアで教えている男性は、なんと18万部も売れている数学の本を書いているというのです。
ええっ、どんな本だろうか・・・。
実は私は、高校3年まで理科系のクラスにいて、数学Ⅲまで一応は勉強したのです(大学は文科系で受験しましたので、数学Ⅲは必要なかったのですが・・・)。
私が文科系に転向したのは高校2年の3月のことでした。どうにも数学的ヒラメキに欠けるという事実を自覚せざるをえませんでした。とりわけ図形問題で、数学的な発想が出来ませんでした。いま思うと、このときの決心は正解でした。
数学というのは、抽象的思考、論理的思考を鍛えるには絶好のものだと思います。そんな数学が分からないまま人生を終わりたくない。そんな思いから、高校数学にいつかはチャレンジしようと考えていました。そんなときに出会った新聞記事だったのです。
早速、注文して手に入れたこの本は、なんと本分が829頁もある大部なものです。井上ひさしの『吉里吉里国』のように、昼寝するときの枕にちょうどよいほどの厚みがあります。値段だって2900円(プラス消費税)もします。こんな部厚くて、値の張る中学数学のテキストが18万部も売れているなんて、とてもとても信じられません。それも、東大受験の必勝テキストというのではなく、落ちこぼれの人が中学数学をしっかり身につけようというのに役に立つ本だというのです。
さあ、能書きが長くなりました。頁を開いてみましょう。目次をみると、中学1年に始まり、中学2年そして中学3年へ進んでいきます。中学1年だけで300頁あります。さすがに私にとって初めの出だしは、ふむふむと難なく進み、好調でした。方程式も1次方程式なら、そんなに難しくはありません。関数が出てきて、平面と空間の図形が出てくると、少し頭もつかい、スピードが落ちました。それでも中学1年の302頁は2晩でやっつけました。
次は中学2年です。連立方程式が登場し、1次関数が出てきます。まあまあ、ここらあたりはなんとか理解できそうです。この本は、さすがに落ちこぼれの人でも抵抗が少なく読んで前へ進めるように、「アレェー・・・」とか、「おーい、寝ていて大丈夫?」とか。小文字で声かけがはさまっていて、心をなごませてくれます。解説は、すべて話し言葉で、間違った(間違いやすい)誤答例もあり、身をひきしめて正解との違いを認識させられます。中学2年は528頁で終了ですから、正味224頁。つまり中学1年よりボリュームはいくらか小さいのです。三角形と多角形、そして平行四辺形などがあります。
そして最後に、いよいよ中学3年です。私は、昔、因数分解は得意でした。2次方程式だって、なんとかなりました。むずかしいのは図表とともに登場する2次関数からです。円周角やら三平方の定理など、なかなかのものです。円に内接する四角形の面積を求める。次は円に外接する四角形の面積です。ここまでくると、なかなか曲者(くせもの)で、中学3年だけで4晩かかりました。それも完璧に理解したなどとは、とてもとても自己評価できるレベルではありません。それでもなんとかかんとか、秋の夜長に読了しました。必死でした。というか、つい難し過ぎると、眠気が襲ってくるので、大変でした。
著者は、最低でも3回は復習するように求めています。なるほど、3回よめば、本当に中学数学をマスターできるんじゃないでしょうか。数学をきちんと理解したい人には、大人も子どもも、ぴったりの本だと私も思いました。次は、いよいよ高校数学にチャレンジします。
(2018年6月刊。2900円+税)

昆虫のすごい世界

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 丸山 宗利 、 出版  平凡社
これは確かにすごい。昆虫って、こんなにすごい存在だったのか・・・。驚嘆、感嘆、そして溜め息さえ出てきます。だって、すごすぎるのです。人間が万物の霊長だなんて、聞いてあきれます。世の中、上には上がいるものなのです。
いったい何がそんなにすごいのか・・・。それにはこの大判の写真をぜひ手にとって眺めていただくのが早道です。色といい、形といい、奇想天外です。
そして、素人には撮れない写真がたくさんあります。チョウやハチが飛んでいる一瞬が見事に写真に撮られています。
さらに驚くのは昆虫の極彩色の身体の表面です。金・緑・青の繊細なグラデーションとして、小さなハンミョウの皮膚が拡大されています。思わず息を吞んでしまします。ゾウムシやチョウの身体を覆っている色とりどりの突起には、いったい誰がこんなデザインをしたのか、不思議です。
クワガタの大きな鋏(はさみ)は、見る者を圧倒するだけの迫力十分です。
そして、チョウの産みつける卵の、なんと可愛いこと。黄色・水色・茶色の粒々。そして天敵対策なのか長い柄でぶら下がっている卵もあります。
いもむしコレクションには、色も形もさまざまなイモムシたちがずらりと並んでいて壮観です。
秋になって、トンボが飛びかっています。いったい羽を動かさずに空中を漂い続けられる秘密は何なのだろう・・・。そして、トンボは何を食べているんだろう。
ギンヤンマ、オニヤンマを見ると、子どものころのように心が高鳴ります。赤トンボを見ると、なんとなくセンチメンタルな、メランコリックな気分です。
いやあ、すごい写真集です。でも、実は、現物を大きく拡大した写真のオンパレードなのです。実際には何ミリしか体長がないのを、A4サイズまで拡大して見せてくれるのですから、いかにもありがたい話です。
先日、私が欠かさず見ている『ダーウィンが来た』で小笠原諸島の海にすむ奇妙な生き物たちの姿を思い出しました。
ミクロの世界に、こんな不思議なワールドが広がっているのですね。
2400円(消費税は別)ですので、せめて図書館に購入してもらって、眺めてみてください。
(2018年7月刊。2400円+税)

アフリカ少年が日本で育った結果

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 星野 ルネ 、 出版  毎日新聞出版
カメルーン生まれで関西(姫路)育ちの少年が日本で育つとはどういうことか、マンガで描かれていて、よく分かります。
なんでカメルーン生まれの少年が3歳のとき日本にやって来たのか・・・。
父親は、日本人の学者としてカメルーンの森の生態を研究に出かけたのです。そして、村長の娘・エラに出会い結婚することになりました。マンガによると、カメルーンでは家族の前でプロポーズすることになっているとのことです。
エラの両親は、日本の若い学者と結婚して孤立無援の外国に嫁いでいく決意があるかと問いかけ、娘エラは結婚に踏み切ったのです。そして、日本にやって来たのでした。
3歳から日本に住んでいるので、著者は、外見は外人(ガイジン)でも、中身は日本人そのもの。基本は関西弁と、母親と話すフランス語です。英語はうまく話せません。
母親は、さすがカメルーン人。シマウマ食べた、センザンコー食べた、ニシキヘビもクロコダイルも食べたといいます。ヤマアラシだって食べるようです。鍋で煮込むと、針が簡単に引き抜けるとのこと。本当に美味しいのでしょうか・・・。
そして著者がテレビに出ると聞いたら、そのバックで母親は友人と一緒に踊ったというのです。さすがですね。
いやあ、よく出来たマンガです。感嘆・驚嘆しました。
親も子も日本で生活するのは大変だったと思いますが、こんな楽しくさわやかなマンガとして紹介できているのですから、やっぱり偉大なのは親の力だと思いました。
心に残る、いいマンガです。さっと読めますので、ぜひ手にとって読んでみてください。
(2018年9月刊。1000円+税)

読んでも忘れる人のための読書術

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 印南 敦史 、 出版  星海社新書
正しいタイトルは、読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術、です。
私は、この20年間、年間に読む単行本は500冊です。ところが、書評家でもある著者は年間700冊よんでいます。実は、私も、弁護士会の要職にあったときは旅行の連続でしたから700冊以上を読んだことがあります。でも、さすがにそれは疲れます。50代の初めでしたから出来たことです。フツーに生活して年に500冊のペースを維持しているのが、今ではぴったりの生活リズムになっています。
もちろん、たくさんの本を読むのは楽しいからです。義務感とかノルマではありません。今度、あの本が車中、機中で読めるなと思うと、楽しく、待ち遠しくなります。そして、本屋で前に読んだ本を見つけると、ああ、この本って面白かったよね、そんな思い出がよみがえってくるのも楽しいひとときです。
私が、このコーナーで紹介しているのは、1年間一日一冊なので、要するに読んだ本の7割ほどを紹介していることになります。そして、このコーナーにアップすることで、私は安心して忘れることができます。
読書習慣が身につくと、本を読むこと自体が楽しい。1冊よみ終えると、ちょっとした達成感が得られる。
読書の義務感から解放される必要がある。読書は、つらい勉強でも修行でもない。自分にとって心地よく、そして楽しい読み方をすべき。
大切なのは、その本を読んだことによって、自分の内部に何か残ったか、ということ。結果として残ったものは記憶のひだに刻まれ、自分の新たな価値観を形成する。
要は、自分にとって有意義なことだけを吸収できれば、いいやと考えるのだ。それだけのこと。大切なポイントは二つ。一つは、忘れる自分を肯定すること。二つは、次に進むこと。
読書は楽しい。すべての仕事の憂さを忘れさせてくれる。そして夢幻境へと導いてくれる。何かを創造しようという気にさせてくれる。もう少し、元気で何かをやってみようという気にさせてくれる。
それが読書なんです。どうですか、ご一緒に・・・。
(2018年5月刊。960円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.