法律相談センター検索 弁護士検索

「森友事件」の真相

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 渡辺 國男 、 出版 日本機関紙出版センター
モリ・カケそしてサクラときて、またモリ(森法相)とカケ麻雀(黒川)があり、安倍首相をめぐる黒い霧があまりに多くて何が何だか覚えきれなくなっています。
「森友事件」とは不動産鑑定価格9億5600万円もの国有地が学校法人森友学園にタダ同然で払い下げられた、前代未聞の事件である。
なぜ、この土地が国有地になったかというと、大阪空港に近く、航空機が着陸する飛行ルートの真下にあたるため騒音公害がひどく、国が買収して住民が退去していったから。
豊中市が土地の半分を14億円で国から購入して、中央公園として整備されている。なので、問題の土地も14億円での売買もありうるのに、なぜか1億3400万円で買い戻しという特約つきで売買された。
なにかおかしいと思って調査を始めた人がいた。木村真市議(無所属)だ。
塚本幼稚園では、園児たちが「教育勅語」を暗誦する。そして「愛国行進曲」やら「軍艦マーチ」などの軍歌まで唱和させていた。そして、運動会では、園児たちが、「安倍首相ガンバレ、安保法制国会通過よかったです」と唱えた。
この動画は私もみましたが、腰を抜かしそうになりました。こんな時代錯誤の偏向教育が今どきの日本の幼稚園であっているなんて信じられませんでした。親たちはどうして黙っていたのでしょうか、不思議です。
そして、森友学園の籠池泰典理事長の正体が明らかになった。日本会議の有力メンバーだった。
2015年9月5日、安倍昭恵夫人は、「名誉校長を引き受けました」と記念講演で語った。はじめ「安倍晋三記念小学校」とされていたのを、首相になったので、「瑞穂(みずほ)の國記念小学院」として、安倍首相の昭恵夫人が名誉校長に就任した。
ところが、森友学園は小学校の設置基準を満たしていなかった。それを「クリア」したのは大阪の維新の会の力だった。安倍晋三と松井一郎とは「愛国」教育で意気投合する仲なので、便宜が図られたようです。
鑑定価格が9億5600万円だったのを1億3400万円で売却したのは、地中のごみ撤去費用に8億1900万円かかるという「理由」だった。いったい、8億円もかかる「ゴミ」の撤去とは何なのか…。
結論から言うと、そんなものはなかったのです。要するに、「首相案件」として特別扱いされたのでした。この渦中にいた昭恵夫人の秘書をつとめていた谷恵子氏は沈黙を守った報償としてイタリア大使館へご栄転してしまいます。他方、近畿財務局でつじつまあわせをさせられた赤木氏は悩んだあげくの自死に至ります。 まさしく「天国と地獄」の世界です。
さらに籠池夫妻は逮捕され、泰典氏は長い勾留生活を余儀なくされて現在、刑事裁判の被告人席に立たされています。でも、被告席には、もう一人、昭恵夫人とそのバックにいる安倍晋三首相本人が不可欠です。そこまで追い詰めたいものだと本書を読んで改めて思ったことでした。
ともかく、目まぐるしい世の中ではありますが、軽々しく忘却してはいけない事件であることには間違いありません。
(2020年3月刊。1400円+税)

私のおっぱい戦争

カテゴリー:ヨーロッパ

(霧山昴)
著者 リリ・ソン 、 出版 花伝社
フランスの若い(29歳)女性が自分の乳がんのためのおっぱいを半分切除した体験をマンガで描いたものです。
著者はフランス生まれのフランス人女性。カナダのケベック州(フランス語が公用語の一つ)でテレビゲームのグラフィック・デザイナーとして活躍していた。29歳で乳がんの診断を受け、その3日後から、友人などへ漫画ブログを開設した。このブログが評判となり、開設して6ヶ月でコミック本となった。
全3巻のうちの1冊目の本書では、乳首に異変を感じたあと、検査と診断を受けてから、左胸を乳首ごと切除した。
がんという事実をなかなか受けいれられなかった自分の心の動き、周囲の反応、そして同棲中の恋人の支え、手術後の自分の身体などが、かなり正直にユーモラスな絵と文章で紹介されています。
フランスでは本になって1万部も売れたとのこと。なるほど、身近な人ががんになったら、どう接したらよいのかをふくめて、いろんなことを学べ、考えさせられます。
乳房をとったら女性ではなくなるのか、片方の乳房をとったら半分だけ女性ということになるのか、などユーモラスな問いかけもあり、考えさせられます。
巻末の解説によると、著者は治療を終えてフランスに帰国し、今はマルセイユに恋人と1歳の息子と一緒に元気に住んでいるとのことで、ほっと安心しました。
著者は、がんに「ギュンター」というドイツ風の名前で呼ぶことにしたそうです。要するに、ギュンターとは共存せざるをえなくなったことを受け入れたわけです。
ギュンター退治のことだけを考えるのではなく、毎日、ささやかなことに楽しみを見出すようにしたとか、いろいろな工夫をしたところも大変参考になりました。
気楽にさっと読め、そして大いに考えさせられるマンガ本です。
(2019年10月刊。1800円+税)
 例の10万円が6月5日(金)に入金があり、翌土曜日に手にしました。私が支払っている税金が少し戻ってきたという気分です。大切に使います。
 それにしても、この遅さはどうでしょうか…。スピード感と言えば、アベノマスクをつくった業者に460億円とか、その不良品の検品に8億円。持続化給付金を扱う電通などに700億円以上、さらにコロナ後の観光対策事業を扱う業者の手数に3000億円。こちらは、ものすごいスピード感で巨額のお金が惜しみなく使われています。みんな「アベ様のおトモダチ」です。なんで、竹中平蔵のパソナまでがコロナで肥え太るのか、天下の電通って、こんな汚れないお金までむしりとる存在なのか…。悲しくなります。もうアベシンゾーの顔なんか見たくないという人が圧倒的だというのは本当です。もっともっと怒りの声を上げましょう。

マリー・アントワネットの衣裳部屋

カテゴリー:ヨーロッパ

(霧山昴)
著者 内村 理奈 、 出版 平凡社
1769年、オーストリアのパプスブルグ家のマリー・アントワネットとフランスのブルボン家の皇太子ルイの婚約が成立した。いわゆる政略結婚であり、このときアントワネットは、まだ13歳の少女だった。
この当時、結婚前に会うことはなく、相手の肖像画が手渡され、それだけを頼りに、結婚のその日を迎えるのが通例だった。すなわち、肖像画を贈りあうことは、結婚を進めていくための大切な第一歩だった。
結婚式の費用は200万リーヴル。およそ200億円。衣裳のために10万リーヴル、10億円が充てられた。
このころ、女性は人生で2度、白い布類を大量に用意しなければならなかった。結婚と出産のとき。当時、真っ白な布は大変高価で貴重なものだった。そして、レースも驚くほど高価なものだった。
アントワネットは、フランス国境に入ったとたん、オーストリアから着てきたすべての衣裳を脱がされて、フランス流の宮廷衣裳、ローブ・ア・ラ・フランセーズに着替えさせられ、髪型もフランス王室髪結い師によってフランス流に整えられ、靴もフランスの華奢な靴に履き替えさせられた。うひゃあ、す、すごいことですね…。
1770年5月30日、結婚祝賀の最終日、婚礼祝賀花火のあと、広場は大混乱状態になり、大勢の死傷者を出す大惨事が出来(しゅったい)した。死者は男性45人、女性87人の計132人にのぼった。広場でパニック状態となり、将棋倒しが起きたのでしょうね…。
朝、1日の始まりは、恭しいシュミーズの儀式から始まった。アントワネットにシュミーズを手渡すのは、その場に居合わせた最も高位の貴婦人がつとめる名誉ある行為だった。他人を寝室に招じ入れながら、着替えを披露することは、特権階級の、まさしく特権だった。
18世紀も大貴族の女性にとって、自分より格下の者たちは、羞恥心を引きおこす必要などまったく感じることのない相手だった。つまり、大貴族の女性からすれば、身分が下の人物は畑のかぼちゃやキャベツと同じようなものだった。
化粧着でゆったりと過ごしながら、衣裳係から差し出された衣裳見本帳を見て、その日の衣裳を決める。これが午前の儀式のクライマックスだった。公式の衣裳、非公式の衣服、儀式用の衣服の3種類があった。
衣裳係と女官は、アントワネットの衣裳をすべて管理していた。そして、彼らは、アントワネットの衣裳を売買して利益を得ていた。
マリー・アントワネットの実像の一端をちらっとだけ垣間みた気のする本でした。
(2019年10月刊。3200円+税)

中世の裁判を読み解く

カテゴリー:日本史(鎌倉)

(霧山昴)
著者 網野 善彦・笠松 宏至 、 出版 学生社
45年以上も弁護士をしている私は、日本人は昔から裁判を嫌っていたと高言する人に出会うと、とても違和感があります。裁判が大好きな人も少なくないし、弁護士を言い負かすことを生き甲斐にしているとしか思えない人もいるという日頃の実感があるからです。
聖徳太子の「和をもって貴しとなす」をもってくる人がいたら、このコトバは、それほど争いごとを好む人が昔から多かったので、おまえらいいかげんにしろ、平和(平穏無事)が一番なんだぞとさとしたコトバなんですよと反論し、教えてやります。誤った思い込みほど怖いものはありません。
この本は鎌倉時代の裁許状(今日の判決文)を歴史学の二大巨頭が対談形式で解説しているものです。これを読むと、日本人は昔から裁判が大好きな人間だったんだなと、つくづく思います。
鎌倉幕府の裁許状ほど、内容の豊かな文書群はあまりない。これは、鎌倉幕府の裁判制度が、前近代においては、世界史的にみても例のないほどに充実した手続にもとづいて行われていたことによる。
裁許状とは裁判における裁許、すなわち判決の内容を記した文書。裁許状のほとんどは、下知状(げちじょう)と呼ばれる文書形式を採用していた。
鎌倉幕府は、執権北条泰時のイニシアティブのもとに、法曹系評定衆を起草者として制定された御成敗式目(ごせいばいしきもく)51ヶ条を定めた(1232年)。
この本の一番目の裁許状で地頭が敗れたのは、証人たちから裏切られたからとなっています。
このころ村の中に湯屋があり、それは、集会の場所であり、刑罰の場所であり、饗応する場所でもあった。湯屋は、風呂というよりサウナのようなもの。
百姓は、それぞれ栗林をもっていた。栗の木は、建築用材だった。
中世の日本では、和与(わよ)とか贈与という行為が非常に大きな意味をもっていた。
代官は必ず荘園の現地に来て、きちんとつきあっていた。正月には、百姓たちと盛大に酒を飲む。そのときの酒がまずいと百姓たちが問題にした。百姓は、一面でいえば、そんなにヤワではない。この費用は、お祭りの費用と同じく、必要経費として控除された。
遠くから客が来ると、必ず接待するというのは、日本社会の基本的な儀礼になっている。この接待費も必要経費として年貢から落せる。
訴訟を公事(くじ)というのは、訴訟はおおやけごとだから、公事というようになった。つまり、公の事務ということ。
詳しい裁許状(判決文)があるということは、原・被告の双方が詳しく書面で主張を展開していたことを前提としています。当事者間で書面による激しい応酬があっていたのです。
鎌倉幕府には、民事訴訟専門の機関として引付(ひきつけ)制度があった。3~5方の部局に分かれ、訴訟を審理し、判決の原案を評定会議に提出した。この引付制度の発足によって鎌倉幕府の訴訟制度は急速に発達した。
もうひとつ、よく分からないなりに、裁許状についての議論を読んでいきました。唯一分かったことは、鎌倉幕府は刑事裁判だけでなく、民事裁判も大切に扱ってきたということです。裁判は人々の関心の的(まと)だったのでした。むしろ今のほうが、民事も刑事も裁判に関わりたくないと高言する人が増えているようで、そちらがよほど心配です。
(2007年8月刊。2400円+税)

国会をみよう

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 上西 充子 、 出版 集英社
国会中継というのは、一般的にちっとも面白くありません。とくに時間的に多い与党質問とそれに対する安倍首相の答弁なんて、見るだけ時間のムダという気がしてきます。だって、ちっとも目新しい話は出て来ず、ひたすら安倍首相お得意の自画自賛のオンパレードなのですから、聞いているほうが気恥ずかしくなってくるだけですので…。
ところが、野党の質問に対する安倍首相や菅官房長官の答弁には、ときに面白いものがあります。もちろん、いつも木に棒をつぐような素っ気ない答弁の連続ではあるのですが、いかにも答えていない、話をそらしていることが見え見えだったり、ときとして答弁不能に陥って立ち往生し、沈黙の時間が続いたりするからです。
そこで、国会中継の、そんな面白い場面をそのまま街頭で再演してみたらどうか…。
思うだけならだれでもできますが、著者たちは、それを本当に実演したのです。すごいことです。本書では、その経過と苦労話が語られています。
国会パブリックビューイングの街頭上映は、夕方から始める。あたりが暗くならないと映像が見えにくいから。1時間ほどの街頭上映で、集まった人に「柿の種」を途中で配り、それをつまみながら参加してもらう。
著者は論点ずらしの答弁を「ご飯論法」と名づけたことでも有名です。福岡在住の紙谷高雪氏(先日の福岡市長選に立候補しました)と流行語大賞を共同受賞しています。「ご飯論法」とは…。
Q、朝ごはんは食べなかったんですか?
A、ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)。
要するに、話をそらしてごまかす答弁です。
スクリーンの横に腕章をつけた弁護士が立っていると、かえって道行く人の足を遠ざけてしまうという指摘があり、ハッとしました。そんなこともあるんですね…。
音はむやみに大きくしない。スクリーンの前で落ち着いて聞いていられる音量に調節する。スクリーンの横に主催者は立っていない。
5分間立ちどまって見てくれることを目ざす。5分間立ちどまった人は、10分、15分と見てくれることが多い。そんな人にはうしろから近づいて説明したり、リーフレットを手渡す。
与党が強行採決しようとして、野党が抵抗する場面は、むしろ嫌悪感を招かれてしまうので、街頭での上映は適しない。
渋谷のスクランブル交差点で上映したときには、あまりに通行人が多すぎて、立ちどまって見るのは難しかった。
切り貼り編集はせず、そのままの「やりとり」を上映する。これで印象操作だという批判はかわせる。
「野党は反対ばかりしている」
「野党はだらしがない」
「野党はパフォーマンスばかりしている」
よく言われるが、それは実際の国会審議を見ていない人が言っているもの、あるいは実際の国会審議に目を向けさせないために、あえて誤って印象を与えようとしているもの。
私は、まったくそのとおりだと思います。今の政府・与党がひどすぎるのを、「どっちもどっち」などと言って、政府・与党をカバーしようという論法でしかありません。
いまの安倍政権は、6月17日までの国会の会期を延長しないことにあらわれているとおり、問題が表明化しないよう、国会そのものをできるだけ回避し、批判の材料を与えないようにしている。予備費として10兆円を計上して、それを国会で審議しないなんて、とんでもないことです。
この上映は著しく通行の妨げとなるようなものではないので、デモ行進と車道を歩くのと違って、道路使用許可をとる必要がないので、許可はとっていない。なーるほど、ですね。
みんなが、もっと国会審議をみてほしいという願いから、地道に上映活動を続けている著者たちに心からエールを送りたいと思います。
私たち国民は、もっと怒らなくてはいけないし、それを投票所に足を運ぶことを含めて、行動で示さないといけないと強く思います。
(2020年2月刊。1600円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.