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声を上げれば政治は動く

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 かばさわ 洋平 、 出版 Galaxy Books

 タイトルに惹かれて読みました。千葉市の44歳の市会議員の奮闘記です。

 この本はプリント・オン・デマンドです。つまり、客が注文してから印刷、出荷します。私のように大量の在庫をかかえて、事務所の底が抜けてしまいそうだという皮肉を言われることがありません。楽天ブックスで扱っているようです。

 でも、あくまで本屋にこだわる私としては、やはり本は本屋か図書館で手にとって、はしがき(まえがき)とあとがき、そしてもちろん目次を見たいのです。それで読むに値するかどうかを見きわめたいです。

 さて、声を上げたら何が変わるのか……。

 正月早々、トランプが軍事力にまかせてベネズエラに特殊部隊を送り込んで多くの護衛隊員殺害し、大統領夫妻を拉致してアメリカに連行しました。これに対して日本の高市首相はまったくトランプを批判しません。明らかに国際法を踏みにじっているではありませんか。なんで、きっぱり批判しないのでしょうか。信じられません。トランプの横で飛んだりはねたり、みっともないことをするより、腹をすえてトランプを批判すべきです。

 もちろん、市会議員の主な役目は、国際政治ではありません。小中学校にエアコンを設置してほしいという声を上げたのです。これに対して自民党の議員が「強い精神を身につける必要がある」からなどと言ってエアコン不要を唱えたそうです。まさしく戦前の帝国陸軍と同じで、まったく合理性のない暴論です。

 反対にめげず、くじけず声を上げていったら、ついに市長を動かし、2020年5月、すべての小中学校の教室にエアコンが設置されました。

 20年以上も前と思いますが、生活保護を受けている世帯にはエアコンの設置が認められませんでした。でも、粘り強い運動によって、今ではエアコンが設置されるようになっています。最近の異常な炎暑の夏を、エアコンなしでは乗り切れません。まさしく、「健康で文化的な最低限度の生活」を送るためには、エアコンは必須です。「お金がない」というのが、当初の反対の根拠でした。

日本の大学の学資は高すぎます。50年も昔、私の大学生のころは、授業料は月1000円、年に1万2千円でした。寮費も月1000円です。それでいいのです。北欧では大学の学費はタダどころか、学生には生活費まで支給されるのです。なので、アルバイトせずに勉強に専念できます。

 日本に「お金がない」なんて言えません。言えるはずがありません。だって、ついこのあいだまで、軍事費が5兆円になったと騒いていたら、今や9兆円なのです。しかも、その財源の手当てがありません。

 学費を無料にして、大学生に生活費を支給するのに1兆円もかかりません。「お金がない」のではなく、お金の使い方が間違っているのです。人を大切に育てる教育や福祉にもっとお金を使うべきです。アメリカの欠陥ヘリコプター(オスプレイ)を買うのをやめ、アメリカ兵を過保護にしている思いやり予算を削減したら簡単にできることです。

 著者は頭髪のツーブロックを禁止する校則の見直しを求めています。大賛成です。もっと伸びのび子どもたちが学校で安心して学べる環境をつくり上げましょう。それが私たち大人の責任です。

 著者は「かばっち君」イラストをふんだんに使ってSNSや動画を大いに活用しています。今やそんな社会なのですよね。街頭で著者が演説すると、小学生がわらわらと寄ってくるそうです。エアコン取り付けに取り込んだことが知られているのです。サインをせがまれることもありました。

 著書は、子どもたちが将来なりたい職業に政治家と思ってもらえるように努力しているそうです。そうなんです。日本の将来は、子どもたちの目の輝きにかかっているのです。今どきの若者を大いに見直すことのできる本でした。「かばっち君」は3期目の共産党の市会議員です。引き続き大いにがんばってほしいものです。

(2024年9月刊。1000円+税)

すごい科学論文

カテゴリー:人間

(霧山昴)

著者 池谷 裕二 、 出版 新潮新書

 脳科学者として有名な著者は、実は薬学部出身なのだそうです。この本(新書)は、週刊誌での連載エッセイをまとめたもので、当初は「週刊朝日」(2023年5月に廃刊)、そして今は「週刊新潮」に連載しているとのことです。それはともかくとして、毎日100本から500本もの論文に目を通しているとのこと。すごいです。

 麻酔薬がなぜ効くのか、今もって解明されていない。不思議ですよね。同じく、意識も解明されていないそうです。人間の身体の不思議ということでしょうか…。

オランウータンは、傷つくと、「アカルクニン」という植物の葉をとって食べ、30分ほど丁寧にかみ砕きペースト状にしてから、その患部に塗りこんだ。ふだんは食べない植物の葉で、5日後に傷口は閉じて、1ヶ月後に完治したとのこと。スマトラ島の現地の人々にとってもこのアカルクニンは、薬用植物として利用しているそうです。不思議な話ですよね。

 老化は徐々に進むのではなく、ステップ式に進行する。老化が突如すすむ「加速期」と、それほど老化が進まない「停止期」が交互に訪れる。身体の老化は精神の老化とは異なるもの。

 アルツハイマー病は、遺伝的な要因にはよらない。ガンマ波をあてると、アルツハイマー病の原因物質の蓄積が抑えられ、認知機能が健康なレベルに保たれた。

 タコにもレム睡眠がある。タコは眠ると白っぽい色になるが、1時間に1回ほど、あたかも起きているかのように暗い色に変化する。

メスの老齢シャチは、若いメスのために生殖に必要な食料を確保したり、孫の世話をしたりする。

チンパンジーは50歳以降は出産しないが、それからも生きているのは珍しくない。そして、ホルモン量を調べて閉経を確認した。

ヘビは1億5千万年前にトカゲから分岐し、足を捨て、独自の感覚器や毒腺を発達させた。

カリブ海の島にすむアカゲザルは、もともとは攻撃的な性格で、社会的寛容性は低い。しかし、台風によって島の植物(森林)が破滅的被害を受けたとき、攻撃性は低下した。そして、社会的寛容性をもつ個体ほど生存率が高まった。

 世界で最大の生物は、アメリカのオレゴン州に生息するオニナラタケというキノコ。直径3キロメートルもの広さがある。このオ二ナラタケの寿命は、なんと数千年。そんなキノコがいるんですね。驚きます。

 人は、睡眠中に話しかけられると、きちんと聞いて、指示通りに正しく表情をつくる(この確率は80%)。眠っていても、意識はあるわけですね…。自覚していないだけなんですね。

名前をつけられたウシは牛乳の出がよいというデータがある。不思議です。でも、名前をつけるということは、それだけ飼主が愛情をもってウシと接し、育てることにもつながるということからだと解説されています。なーるほど、です。

 ミトコンドリア・イブは存在しない。人類は、ある特定の女性ではなく、現在では絶滅した多様なヒト種がいくつも混じりあって出来たもの。なるほど、そうなんだと素人の私も思います。

 ネアンデルタール人の遺伝子が混じっている純血種は、アフリカ系黒人、つまり白人のほうが混血なのです。

心を通わせる会話のコツは表情をマネすること。

私の知らなかった話、意外な話が盛りだくさんの本でした。

(2025年6月刊。960円+税)

『種の起源』を読んだふりができる本

カテゴリー:生物

(霧山昴)

著者 更科 功 、 出版 ダイヤモンド社

 チャールズ・ダーウィンの『種の起源』が書かれたのは江戸時代の末期ころというのに驚かされました。1859年にイギリスで初版が刊行されたのです。日本の江戸時代末期というのは、まさしく激動の時代です。桜田門外の変が起きたのは、1860年だったと思います。安政の大獄があっていたころに、『種の起源』が書かれていたなんて、信じられませんよね。

 ダーウィンの存命中に、第6版(1872年)が出ています。日本は明治維新に突入しています。原書は本文だけで500頁ほどもある大作だそうです。

 そして、『種の起源』は一般人には、とても読みにくかった。なぜなら、神学書なのか科学書なのか、はっきりしない本だったから。

 ダーウィンは初め敬虔(けいけん)なキリスト教信者だった。ところが、晩年は、キリスト教への信仰を完全に捨てたのです。

 「神が生物を創った」と、19世紀のイギリス人は考えていた。それには2つの考えがある。その一は、「すべての生物を神が創った」というもので、もう一つは「最初の生物だけを神が創った」というもの。ダーウィンは、後者の考えを信じて表明した。

ダーウィンは、イギリス海軍の測量船ビーグル号に乗船して世界を一周し、その経験が進化論の形成に大きな影響を与えている。

 ダーウィンは、進化理論を創り上げるのに、20年もの年月をかけている。すごいことですよね、これって…。

 人間の血液型に4つがあり、地域によって、割合はさまざまだ。これは、どの血液型も他のものより有利でも不利でもなかったことから自然淘汰が働かなかったことによる。なーるほど、ですね。ちなみに、本書のテーマとははずれますが、血液型占いが流行っているのは日本だけのようです。まったく科学的根拠のないバカバカしい「占い」です。

 屋久島の縄文杉は樹齢2千年とか3千年という。しかし、屋久島のスギの平均寿命は1年未満でしかない。ほとんどの種子は発芽しても、1年以内に枯れてしまう。生存競争に勝ち続けたスギだけが2千年も3千年も生きることができる。

 自然淘汰というのは、自然界で実際に働いている。そして、品種改良により自然淘汰のほうが、はるかに強力だ。遺伝による変異が生じる原因は突然変異。それもDNAに起きる突然変異が重要。

 ダーウィンが幸運なのは、ダーウィンの理論に反対しながらダーウィンの友人であり続けたり、協力した人がたくさんいたこと。まさしく、ダーウィンの人徳なのでしょうね…。

 海洋島にすんでいる生物の特徴の一つは、コウモリ以外の哺乳類と両生類が少ないこと。生物は自然淘汰によって進化し、共通祖先から分岐することによって、現在のような多様で豊かな生物の世界をつくり上げてきた。

 なんとなく分かった気にさせてくれる本ではありました。

  

(2025年8月刊。1980円+税)

エメ・セゼール

カテゴリー:フランス

(霧山昴)

著者 尾立 要子 、 出版 筑摩書房

 エメ・セゼールって、何?という日本人がほとんどではないでしょうか…。ところが、NHKのフランス語講座を長く視聴している私にとっては周知の人物です。

 目下、1月末のフランス語検定試験(準1級)の口頭試問に向けて、必死の努力をしています。今の課題は、いくつかのテーマで簡単に論じるようになれることです。もちろん構文が基本ですが、とっさに重要な単語が頭に浮かぶようにしておく必要があります。これまで、うまくいったときは、手がかりとなる単語がすぐ思い浮かびました。失敗したときは、頭のなかが真っ白になってしまったときです。

 この本を読んで、エメ・セゼールが最近まで生きていたこと、フランス共産党の党員として活動していたことがあることを知りました。エメ・セゼールが亡くなったのは2008年。95歳でした。そう言えば昨年末に亡くなった日本共産党の不破哲三も95歳で亡くなりましたね。

 エメ・セゼールは「ネグリチュード」という言葉を広めたことでも知られます。詩人であり、政治家でもあります。エメ・セゼールは、カリブ海のマルチニーク島の中心都市フォール・ド・フランスの市長を50年以上もつとめていますし、ミッテラン大統領のころ、国会議員でもありました。

 マルチニークは人口35万人の小さな島です。主な産業はサトウキビ栽培であり、それを支えた(ている)のは、アフリカから連行されてきた黒人奴隷(とその子孫)です。

 エメ・セゼールは、1956年にソ連軍がハンガリー動乱に介入したとき、フランス共産党がソ連を支持したことから離党して、マルチニーク進歩党を結成したのでした。フランス共産党はソ連共産党にいつもべったりで、主体性がありませんでした。

マルチニークではクレオール語が話されるのですが、エメ・セゼールは、あくまでフランス語で詩を書き続けましtあ。

 エメ・セゼールは、ネグリチュードという言葉を広め、ニグロであることはポジティブなことだと強調した。それまでマルチニークの人々は、自分たちはニグロではない、ニグロはアフリカにいると思い込んでいたので、衝撃的な指摘だった。

 私のような日本人からすると、アフリカ黒人もカリブ海の黒人も同じように見えますが、実は黒人といっても多様なんですよね。ムラートという肌が浅黒い人々がいます。黒人との混血の人々です。マルチニーク人は、アフリカ系黒人に対して優越意識がありました(す)。

 マルチニークで奴隷制が廃止されたのを復活させたのはナポレオン。というのも、その妻ジョセフィーヌはマルチニーク島の裕福な奴隷農園主の娘だった。このジョセフィーヌの影響力の強さがナポレオンに奴隷制を復活させたとみられています。とんでもない女性です。

 エメ・セゼールは詩のなかで、「決して私をあの憎しみの人にはしないでほしい」と訴えています。憎しみの連鎖を絶つ必要があるということです。

 ベルギー領コンゴから独立したコンゴの初代首相だったルムンバは、1961年1月17日に暗殺された。アメリカのCIAの仕業です。ルムンバの暗殺に現在に至るコンゴの混迷と不幸の始まりだと著者は書いていますが、まったく同感です。

 エメ・セゼールは、いかなる人種といえども、差と知性と力を独占してはいないと書いています。これまた、まったくそのとおりです。

 フランス語の勉強を続けているのは、こうやって視野が広がっていく楽しさがあるからでもあります(ボケ防止がなにより一番なのですが…)。

 

(2025年10月刊。2310円+税)

空飛ぶ微生物

カテゴリー:生物

牧 輝弥(講談社ブルーバックス新書)

空気中に、膨大な数と種類の微生物が漂っているということを初めて自覚しました。部屋のホコリは衣類の繊維から出たものです。

ラスコーの洞窟や平尾台のカルスト地形の地下の鍾乳洞などに人間が入ると、人体から出た微生物が洞窟を汚染するのだそうです。考えたこともありませんでした。

オフィスや学校の空気には、1リットルあたり100以上の微生物細胞が漂っている。ヒトは1日あたり125万個もの微生物を吸い込んで、また吐いている計算になる。あらゆる微生物は、肺の奥にまで到達している可能性がある。

森林には大気微生物が発生しやすいホットスポットがある。雨の降り始めた土のにおいがするのは、微生物由来の成分が空気中を舞うため。

高高度の数千メートル上空を微生物は浮遊している。耐塩性細菌は、過酷な大気中で逆流され、黄砂によって中国大陸の砂漠から日本へ運ばれている。黄砂は、3日から4日かけて、大陸から日本へ飛来してくる。さらに、アメリカ大陸まで飛んでいくが、それには7日から10日かかる。

全大気粒子の80%は生物由来の有機物。雲は微生物のゆりかごになっている。アフリカンガストは、アフリカ大陸のサハラ砂漠で生じた砂塵(さじん)であり、アメリカ大陸やヨーロッパ一円まで、砂塵を運んでいる。黄砂や煙霧は微生物の運搬体になっている。

東日本大震災(3.11)では、原発事故による放射線セシウムが空気中に拡散した。汚染された土壌からキノコが放射線セシウムを吸収し、胞子として大気中に再飛散させていることが判明した。まだ、原発事故の処理は終わっていないのに、高市政権は原発再稼働へまっしぐらです。危険きわまりありません。

マイクロプラスチックが、なんと脳の中にまで見つかったとのこと。恐ろしいことです。

太陽光照射によってマイクロプラスチックが劣化すると、有害物質が放出されていく。マイクロプラスチックは、他の有機物と親和性が高いため、PCBやダイオキシンなどを収着して、それによる発がんが心配されるということです。恐ろしいです。

知らないことだらけでした。目が開かされます。

025年9月刊。1100円)

 日曜日にフランス語検定試験(準1級)の口頭試問を受けました。このところ必死にじゅけんに備えて猛勉強していたのです。口頭試問は試験直前(3分前)に2問が与えられて、うち1問について3分間で自分の意見を述べなければなりません。1問は時事問題、もう一門は身近雑記に関わるものです。そこで、AIを含めたネット関係、インバウンド、外国人労働者、過労死・ストレス問題を想定して、答案を作成して備えました。

 本番では、外国人労働者と世代(親子)間の断絶の2問でしたので、外国人労働者を選択し、なんとか3分間話すことが出来ました。前回は頭の中が真っ白になってまともに話せませんでしたので、1点足りずに不合格でしたが、今回は久しぶりに合格できるものと確信しています。

 30年以上、仏検を受験していますが、いつも口頭試問は本当に緊張します。ボケ防止のため、引き続きフランス語の勉強をがんばります。

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