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司法改革への警鐘

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出版社:信山社
 アメリカには今、200万人をこえる囚人がいる。1991年には122万人、1999年に193万人だった。しかも、20年以上の終身刑が27万人、死刑囚が3335人いる。1997年から1999年1月までに500人が処刑され、1930年から1998年までの処刑者は4359人。
 囚人の87%は44歳以下。18歳から44歳までの人口の5%が刑罰法規の監視下にある。1999年に刑罰法規の監視下にある620万人のうち520万人が男性。
 アメリカでは重罪宣告を受けて選挙権を失った人が390万人いるが、そのうち140万人がアフリカ系アメリカ人の男性。
 カリフォルニア州には7000人の囚人を収容する刑務所があり、さらに2万人収容の巨大刑務所を建設しようとしている。刑務所だけを専門に建設する会社が100社以上あり、年間40〜60億ドルの売上高。
 民間刑務所に収容されている囚人が8万5000人いる。1987年には3000人だった。今後10年間で36万人になる見込み。全米にある3400の地方軽罪刑務所には10万人の人々が職員として働いており、この業界で使われる金額は年650億ドル。そこに目をつけた広告があり、専門の建設業者はアメリカでもっとも有望な投資対象となっている。今後ますます伸びる業界だと見られている。
 また、民間企業は囚人労働を利用している。新しい巨大刑務所は、その中に数千エーカーという工場群を建設中。
 この本は、アメリカにおける恐るべき刑務所ビジネスの内情を紹介しています。一読の価値があります。ぜひ手にとってお読みください。

日米経営比較

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出版社:大学教育出版
 著者は私より7歳年長で、早稲田大学を卒業して神戸製鋼所に入り、32年間のサラリーマン稼業(ニューヨークとメキシコ駐在員)から神戸大学教授に転身した人です。
 この本には、その長いキャリアをふまえた重みがありますので、少し紹介します。
 アメリカ企業の最大の弱点はヒューマン・ファクターにある。アメリカの会社は、たしかに人間に優しくないGEが年間10億ドルも従業員の生涯学習に投資し、雇用は保障しないが転職適応力は保障するという考えがうかがえる。
 日本の会社は600万社。1990年代の初めは毎年30万ほどの会社が設立されていたが、1998年には14万社に減った。1994年には廃業率が開業率を上まわり、1998年には会社が3万社も減ってしまった。アメリカは開業率が14%で、毎年80万社が生まれている。日本の会社は少産多死、アメリカは多産多死。
 会社はエリートだけでは成り立たない。普通の人のやる気をいかに高めるかが問題。
 日本の社長の当面の危険な存在は、有能と評された一部社員の暴走、総会屋に目を光らせる警察と検察、株主代表訴訟を組織する弁護士集団である。

まちづくりの法と政策パート2

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出版社:日本評論社
 私と同期(26期)の大阪の坂和章平弁護士が出した本です。愛媛大学で坂和弁護士が4日間の集中講義をした内容が、そのままライブ版として本になっています。話し言葉で町づくりが語られ、とても読みやすい内容です。再開発から都市再生のあり方について、経験にもとづいて実践的にも貴重な提言がいくつもなされています。
 講義が面白いのは、カラオケ好き、映画大好きな坂和弁護士の人柄が、そのまま活字になっていることによります。私はカラオケ大嫌いですが、映画は大好きです。
坂和弁護士に負けず、大学で集中講義して、「日評」できたら「岩波」から本として出したいものです。

女のいない世の中なんて

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著者:藪田貫、出版社:フォーラム・A
 著者は私と同じ年齢の大学教授です。近世史・女性史が専門なので、江戸時代のことにも詳しくて、眼を見開かされました。
 たとえば『女大学』です。婦人は別に主君なし。夫を主人と思い、敬い慎みてつかうべし。こんな教えばかりが有名ですが、これは『世事見聞録』にあるように、現実にはそうじゃなかったので、そうしてほしいという願望がこめられているのだと(私は)思います。ところで、この著者は別のことを言っています。実は『女大学』は、江戸版の『婦人画報』『婦人の友』あるいは『アンアン』『ノンノン』だったのだ、ということです。
 なるほど、地理・歴史があり、医学のこと、文学のこと美術など、教養全般が絵入りでとりあげられていて、「徳目」13条を骨抜きにしてしまうような内容のオンパレードなのです。私は、そっかー、なにごとも一面的に見てはいけないんだ、と反省させられました。
 江戸時代に女性が一人旅や集団での旅を楽しんでいたこと、たくさんの旅日記がのこされていることは、私もいくつか本を読んで知っていました。
 「女のいない世の中なんて」という挑発的な表題ですが、中味は真面目な話ばかりです。あなたも、どうぞ読んでみてください。

テロリズムと戦争

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著者:ハワード・ジン、出版社:大月書店
 「軍事基地である広島に史上最初の原爆が投下されたことに世界は気がつくであろう。この最初の原爆攻撃でわれわれが願ったのは、できるかぎり民間人の殺戮を避けることであった」
 これはトルーマン大統領が原爆投下を発表したときの談話。できる限り民間人を殺さないようにしたなんて、よくも言えたものだ。
この本には、アメリカの民主主義の本質が鋭くあばかれている。アメリカでは、反対意見がもっとも必要なときに、その反対意見を閉塞させてしまうという長い伝統がある。どうでもいいような些細なことに関しては言論の自由が保たれても、生きるか死ぬかという重要な問題に関しては言論の自由が許されない。これを民主主義と呼んでいる。今の日本はアメリカの民主主義を、そのまま真似ているだけのように思ってしまう。

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