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ガザへの集団犯罪

カテゴリー:中東

(霧山昴)

著者 フランチェスカ・アルバネーゼ 、 出版 地平社

 イスラエルはパレスチナ人全体の存在を消し去ろうとしている。世界は今、それを目の当たりにしている。ガザは、今や瓦礫(がれき)とごみ、遺体の残る荒地となった。これまでに24万人以上の人々が殺されたか負傷している。

 ジェノサイドの始まった最初の1年半だけで、イスラエルの証券取引所は213%の成長を遂げ、2260億米ドルの市場利益を得た。ガザの人々を殺害・破壊する最先端の兵器をイスラエルに供給して、過去最高の利益を保ている。

 銀行・資産運用会社・年金基金・保険会社は、イスラエルの違法な占領に資金を流入させた。大学は、パレスチナの植民地化を正当化する政治的イデオロギーを支え、兵器を開発し、組織的な暴力を見逃し、容認してきた。アクサなどの世界的大手保険会社も占領とジェノサイドに関わる株式・債券に多額の資金を投じている。

 軍産複合体は、イスラエル国家の経済的支柱となっている。イスラエルは、世界第8位の武器輸出国。イスラエルの二大兵器メーカー、エルビット・システムズと国営イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)は、世界の武器製造企業の上位50社に入っている。日本のファナックもイスラエルの武器製造過程に関わっている。

イスラエル軍のサイバー攻撃等を担う「八二〇〇部隊」の元メンバーによって設立された「NSOグループ」はスマホ監視を担っている。

 イスラエルの軍事予算は、2022年から2024年にかけて、GDP比4.2%から8.3%へ倍増した。そのため国債の発行を拡大している。

 日本の企業やコンサルそしてNGOがイスラエルのガザ支配に関わり、莫大な公金・資金を投下している。このような事実を知ると、私たちもイスラエルによるジェノサイドに加担していることになります。自覚していないだけなのです。

 国際司法裁判所は、イスラエルによるガザ占領は違法だと認めた。

多くの人は権力に立ち向かうことをためらう。人間なので恐怖心を抱くのは当然のこと。恐怖は、正義の名の下に結集した人々のパワーに耐えられない。普通の人々が団結し、世界各地の闘いがひとつになれば、恐怖を打ち砕くことができる。

イスラエルによるガザ支配、イランとレバノンへの攻撃は直ちに止めろと大きな声で叫ばなくてはいけません。

(2026年2月刊。1540円)

 日曜日、雨があがりましたので、庭に出て、少し手入れをしました。蚊が出てくるのを心配しましたが、大丈夫でした。

 オレンジ色の花を咲かせるヒオウギの群落があちこちにあります。ジャーマンアイリスが咲きはじめました。青紫色の花がほとんどなのですが、真黄色の花を咲かせているのが3本もあり、うれしい出会いでした。ジャガイモは元気よく茂っています。

 フェンスのクレマチスは紅白そして白い花があります。

 昨年植えたアスパラガスから1本ひょろひょろ伸びていましたので、採って電子レンジにかけ(40秒)、春の香りを味わいました。

 雑草をとったあと、しばらくすると、カササギがやってきました。春はいいですね……。

アレルギーの科学

カテゴリー:人間

(霧山昴)

著者 森田英明・足立剛也 、 出版 講談社ブルーバックス新書

 この10年来、花粉症に悩まされています。毎年、2月中旬から5月連休明けまでのことです。目が痛痒くなり、鼻水が止まらず、鼻詰まりで夜の眠りが苦しみとなります。

 花粉などのアレルゲンが鼻の粘膜に侵入すると、鼻粘膜局所に存在するマスト細胞が活性化され、マスト細胞内に存在する顆粒が放出される。この中のヒスタミンという化学物質が感覚神経を刺激して、くしゃみを誘発して、外敵を物理的に排除する。

 このヒスタミンは、同じく活性化したマスト細胞から産生される生理活性物質のロイコトリエンとともに、血管透過性の亢進(こうしん)や血管拡張を誘導して鼻汁の分泌を促し、鼻汁と一緒に外敵を追い出すことを容易にする。

 中国の砂漠地帯から飛来してくる黄砂の大きさは4マイクロメートルほど、花粉は10~100マイクロメートルなので、黄砂のほうがずっと小さい。この粒子の表面に汚染物質が付着する可能性がある。

 子どもが土や草、動物など、多様な自然環境に触れることによって、多種多様な微生物に曝露される。これが、免疫系にとって重要な「トレーニング刺激」になり、アレルギー疾患の有病率をおし下げる。

 北海道と沖縄にはスギの樹木が少ないため、スギ花粉症の人は極端に少ない。

リラックスすると、花粉症の症状はひどくなる。それは副交感神経が優位になるため。逆に運動して、交感神経が優位だと鼻症状は軽くなる。アレルギー反応の場が水分で膨張すると、鼻では下鼻甲介がふくらむのでかえって空気の通り道が狭くなるため、鼻づまりになる。

子どもたちに花粉症が増加している。今や、国民の約半数が何かしらアレルギー性鼻炎となっている。こどもたちの親にアレルギー性鼻炎が多くなっているため、アレルギー体質が受け継がれている。

花粉症の発症には、車の排気ガス、黄砂などによる大気汚染も関係していると言われている。

鉛が鼻の粘膜に沈着することによって鼻の症状を悪化させている。

 花粉症の薬物療法がいろいろ紹介されていますが、私は薬を飲みたくありませんので、何も飲んでいません。ひたすら耐えています。

 例年、5月のゴールデンウィークが過ぎるとおさまるので、それまでの辛抱です。

帰宅したら洗眼するのが良い。ただし、洗眼も過ぎてはいけない。目の乾燥は防ぐ必要がある。

今でも年に50~80人ほどが、アナフィラキシーが原因で死亡している。再発防止のためには、原因の特定が大切。食物アレルギーの原因として、鶏卵やナッツ類もあげられる。

加齢により免疫の調節機構が低下し、自然免疫と獲得免疫のバランスが崩れやすくなる。長年にわたって蓄積されてきた化学物質、アレルゲン、ストレスなどが「臨界点」をこえたとき、アレルギーが発症する。

 アレルギーについて、少し知見を広めることができました。それにしても花粉症の広がりはただごとではありません。トランプは否定していますが、地球の温暖化がすすみ、化学物質万能という風潮のなかでの増大だろうと私は考えています。

(2025年12月刊。1320円)

暗黒の瞬間

カテゴリー:ドイツ

(霧山昴)

著者 エリーザ・ホーフェン 、 出版 東京創元社

 ベルリンの女性刑事弁護士の手がけた9つの忘れがたい事件と裁判。弁護士が見事に依頼者から騙され、有罪とすべき被告人が無罪になるという、日本でもいつか読んだストーリーを思い出しました。ネタバラシはしたくありませんが、日本のストーリーは誰の本だったのか、思い出せません(どなたか教えてください)。

 法廷場面も出てくるので、著者は弁護士かと思うと、実はライプツィヒ大学の法学部教授。しかも、主人公の弁護士が60代なのに、著者はまだ44歳という若さなのです。ただし、裁判官の経験はあります。

 この本でミステリ作家としてデビューしたとのこと。たいしたものです。

 不倫で奪った男性の子どもに危険な量の塩を食べさせて死なせた女子大生の事件も担当します。大匙(おおさじ)2杯(30グラム)の塩を4歳の子どもに食べさせると死亡するなんて、医学の素人には考えられない、つまり、予測不可能だった。したがって被告人は無罪。しかし、被告人の女性は自分の受けた無罪判決に納得しなかった。

 若い女性が10人の男たちに強姦された。男たちは11人いて、誰か1人は無実。しかし、誰もが無実を主張しているので、その1人が誰なのかは分からない。そこで、被疑者はどうしたか……。

法廷で、「加害者の男たちは強姦とあわせて殺そうとしたのです」と証言した。殺人未遂がつけ加わった。被告人は犯行現場にいなかったらから強姦していないと主張していたので、殺人未遂については否認しようがない。

 そこで、ついに、11人の男たち全員が有罪となった。

9つの事件とも、なかなかよく出来たストーリー展開なので、つい一心不乱に読みふけってしまいました。

(2026年2月刊。2530円)

ヒマラヤ旅日記、ネパール・ポンモ村滞在記

カテゴリー:アジア

(霧山昴)

著者 田村 善次郎ほか 、 出版 八坂書房

 最近刊行された本なのですが、そのネパール滞在なるものはなんと60年前のことなのです。前書きもあとがきもありませんので、なぜ今ごろ発行されたのか、その事情は分かりませんが、60年前のネパールの山村の生活が、たくさんの写真とともに活写されていて、2ヶ月間の状態が、読んでいるうちに現地で生活している気分を味わうことができる貴重な本です。

 調査隊7人のうち3人が既に亡くなっていることが紹介されています。残念なことです。

調査隊が横浜港を出港したのは1967年9月のこと。このころ私は大学1年生で、寮で生活しながら初めて大学で期末試験を受けました。試験が終わると、さっきまで夏休みだったのに、またもや秋休みに突入。いやあ、大学生って、こんなに楽な稼業なのかと感激しました。寮生仲間の実家のある長野についていって、長野の美味しいリンゴを食べて帰ってきたことを覚えています。

 さて、調査隊です。9月に日本を出港して、すぐにネパールに到着できたのではありません。目的地のポンモ村にたどり着いたのは翌年1月5日のこと。それから2月末まで2ヶ月をポンモ村で過ごしたのでした。

 ネパールは、東北6県に新潟県と北海道をあわせたほどの国土面積で、人口は3千万人ほど(2023年)。調査団が訪問したときは1000万人。

 ヒマラヤの住民は、寒い冬を温かい南で過ごし、春になったら山の住居に戻ってくるという生活サイクルを過ごしている。旅そのものが生活であるから、別に急ぐ旅ではない。峠の雪が消え、夏が近づくころまでに村に帰りつけばよいのだ。

 ようやくたどり着いたポンモ村には21世帯、100人余が生活していた。

挨拶の仕方が変わっている。相手の足を持ち上げ、その甲に自分の額をつける。

 遊牧社会には、「さようなら」と「おやすみ」がないのが特徴。厚かましく割り込んできて、火を焚き、他人を押しのけて食事をつくる。タバコの廻しのみはしても、茶の廻しのみはしない。

 ネパールでは、道中の食料は自分もちが原則。だから、ポーターたちは、それぞれ鍋と食器、米や粉、調味料を入れた袋を持っている。自分の使い慣れた負い縄を持っていて、決して他人(ひと)の物は借りない。他人の物を借りるような奴は最低とされる。

 隊長とドクター(医師)が、35歳にもなるのに独身だと知ると村人たちは呆れ顔になる。

ドクターによると、予想以上に精神病患者が多いという。ただし、村人は障害をもつ人(精神薄弱)、耳や眼が不自由な人たちともまったく普通に接している。

 ネパールにはカーストがあり、日本人にカーストがないと説明しても、すぐには信じてもらえない。

ネパール土着の民族であるグルン族やマガル族などは、それぞれ固有の信仰を持ちながら、表面的にはヒンズー教・カースト制を受容してきた。本来ならカースト制と無縁だった民族も否応なしにカーストシステムに組み込まれ位置づけられ、チベット人は最下層カーストにランクされてしまった。日本人は、ネパール人を雇用する立場にあるので、システムの上位にランクされた。

ポンモの生活を律しているのはラマ教。旅立ちの日を決めるのも、農作物の虫退治も、すべてラマ教の教えにのっとって行われる。ラマ教のお経は日用百科含意的なものでもある。ポンモはボン教の村。ラマ教は、すべて右廻り(時計廻りでボン教は反対にすべて左廻り)。

 交易は、ネパール内ではとれない岩塩とヒマラヤ山地で不足する穀物との交易で成り立っている。

チャンを飲むときは、容器に直接口をつけずに飲むのがマナー。

人間の大腿骨でつくった骨笛を吹く。

 ふだんの食事は、ツァンパやロティ、せいぜい塩味のついたジャガイモやカブの汁。単純なものしか食べない。肉や米・豆・ジャガイモ・大根など9種類の具を入れた粥(かゆ)はグ・フックといい、大変なご馳走。

 ツァンパは、日本の麦こがしと同じもの。麦をフライパンのような鍋で軽く煎(い)る。要するに、煎った大麦の粉がツァンパ。

 料理をするといっても台所はない。煮炊きは、すべて囲炉裏の火で座ったまま。食事の支度は女の仕事と決まってはおらず、男たちが率先してつくる。旅慣れた男たちは食事をつくるのをいとわない。焼いたり、茹(ゆ)でたジャガイモは、菓子と同じで子どもたちのオヤツにもなる。昼の食事にたっぷり2時間はかける。

 元旦(1月1日)の朝は、若水汲みに始まる。ポンモでは、「黄金の水、白銀の水を汲む」という。金や銀の水を汲むのだから、他人(ひと)より先に汲んだほうがいい。なので、村人は朝3時ころに起きる。

年始まわりは、村中の家を廻るのが当然であり、また村中の人に来てもらうのが当たり前のこと。娘たちは、正月のため、暮れのうちに念を入れて織った肩かけをかけ、頭は採種油できれいにかきつけ、後髪には小麦のモヤシを飾っている。

 チベット社会は有字文化の社会であり、未開社会ではなく、高文化社会である。読み書きのできる人は尊敬される。その最上位がラマ。

 いざというときには、ラマに診てもらい、死に水をとってもらうことが、何にもましてありがたいこと。ラマは山中に入って薬草をとり、薬を調合する。薬草や製薬の知識がラマとしての重要な資格になっている。

 火葬は最高級の葬法。川原で遺体を焼いたあとは、日本人のように骨を拾って墓をつくって祀(まつ)るということはしない。死者の魂は火葬の煙とともにはるかなる天上雲に昇り、神となって人々を守っている。9ヶ月後の法要まで、頭にギー(バター)をつけている。ギーは重要な食糧であると同時に、宗教儀式には不可欠の神聖なもの。

屋内にも屋外にも便所はない。朝暗いうちにすませてしまう。村の中の排泄物は、豚と犬とニワトリが始末する。

 家の中の炉端の席順は決まっていて、入口から向かって右が男の座(アワデサ)、左が女の座(アマデサ)。奥から年齢の順に座る。

性関係はおおらかなので、私生児(ニャル)も多い。ネパール人は穏やかで礼儀正しい。チベット人は粗野で図々しく無遠慮だ。

ヒマラヤのチベット人たちは中国人に対して強い反感を抱いている。

60年前、ネパールの山中の村に2ヶ月も滞在したときの詳細な記録です。60年たった現在、これがどう変わったのか、私はぜひとも知りたいです。なんとかして教えてください。よろしくお願いします。とても貴重な滞在記録です。ぜひご一読ください。全国の図書館に備えてほしいものです。

(2025年1月刊。5940円)

おどろきの刑事司法

カテゴリー:司法

(霧山昴)

著者 村木 厚子 、 出版 講談社現代新書

 厚労省の課長だった著者は、検察の見込み捜査によって逮捕され、なんと164日間も拘置所に入れられていた。幸い、担当検事がパソコンを操作してウソの証拠をつくり上げていたことが発覚したことから無罪になった。本当に危ういところでした。

 担当検察官たちは、どうせ執行猶予になるんだから刑務所に行くことはない、と著者にこのような「甘言」で誘いかけた。ところが、それは有罪を認めること。無実なのに無罪を主張できないなんてありえない。そう思って著者は歯をくいしばって164日間を闘ったのでした。

 弁護士から差し入れられた関係書類を2回、丹念に読み、ノートにとった。時系列で並べると、著者はおかしなことに気がついた。肝心な月日が逆転している。ありえない……。これが検事の証拠偽造発覚の端著になった。まさしく執念の勝利です。

 検察官は、自分たちのつくったストーリーにそった供述を被疑者から引き出すことに全力を尽くす。「執行猶予がついたら、たいした罪じゃない」というのが検察官の感覚、しかし、フツーの市民にとって、犯罪者かどうかは、ゼロか100かの大問題だ。

つい先日も、無罪を主張している被告人に対して、裁判官たちは深く考えることもなく、執行猶予判決にしてあげたんだからいいだろうという、そんな思いとしか考えられない判決に接しました。

 検察官は取調べのとき被疑者に向かって平気で嘘をつき、法廷でも素知らぬ顔で裁判官を欺こうとする。

検察官たちは、自分たちで情報を共有しながら共通のストーリーを検事全員で組み立て、そして、整合性のある「物語」を作りあげていく。

 検察、とりわけ特捜部は、起訴した以上、どんなことをしてでも有罪にするという選択肢しかない。走り出したら、止まれない。

同じように裁判官もコミュニティが批判されて、自分たちの評判が下がることを非常に恐れている。

 裁判官の多くは、自分たちを「治安の守護者」だと思っている。無実の者を無罪にして救うことより、社会の治安維持を優先させる発想が身にしみついている。

 体験者はこのように語るのです。

 日本の刑事司法について、優れていると学者は言うことがあります。でも、50年以上も法廷の内部で弁護人をしていて、ええっ、そうなんだろうか……。本当かなと思っているというのが正直なところです。

(2026年3月刊。1320円)

 チューリップが終わり、アイリスが咲きはじめました。白と黄色のコンビネーションで、すっくと庭のあちこちに立っています。フェンスには紫色のクレマチス(テッセン)が咲き、橙色のヒオウギもあちこちに咲いています。

 ジャーマンアイリスもそろそろ咲いてくれることでしょう。ジャガイモも地上部分は元気よく茂っています。残念なことにアスパラガスは太いものが出てくれません。

 先日からタケノコをたくさんいただき、タケノコざんまいの食卓です。

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