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ザ・メイン・エネミー

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著者:ミルト・ベアデン、出版社:ランダムハウス講談社
 3月11日の夕刊に、アメリカ人の連邦議会で働いていた人が、サダム・フセインのスパイをしていたとして逮捕されたことが載っていました。冷戦構造がなくなっても、相変わらずスパイの活躍する余地の大きいことを改めて実感しました。
 この本は、CIAとKGBのスパイ合戦について、「勝者」CIAの立場から取りあげられています。双方ともスパイを送り出し、また、スパイを獲得しようと必死でせめぎあっていました。なかには、CIAとKGBの係官同士が固い友情関係を結んだケースもあったようです。やはり、それぞれの当局からは、あいつは敵に買収されてしまった、そう疑われたようですが・・・。 スパイ活動は何のためにやるものなのか。使命感かお金か。それとも処遇不満への腹いせなのか。いろんなケースがあったようです。必ずしもお金だけが理由ではないようです。
 2重スパイがいて、スパイ志願者がいて、いったん敵に亡命したものの、もう一度、本国に帰ってしまったエージェントもいたり、この世界も複雑怪奇です。
 よく日本はスパイ天国だと馬鹿にされますが、お互いに他人(ヒト)を信じられなくなったら、お終いですよね・・・。

財閥と帝国主義

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著者:坂本雅子、出版社:ミネルヴァ書房
 三井物産と戦前の中国との関わりをテーマとしています。三井物産は軍部と結びついて中国でのアヘン販売に関わっていました。日本軍が大量のアヘンを中国で販売したのは、アヘン販売が手っとり早い資金獲得の方法であったからです。これによって得た資金は、傀儡政権の財源や日本軍の謀略工作の費用に用いられていました。
 三井物産は三井財閥の中枢にあり、資本金1億円という日本一の巨大私企業でした。また、三井財閥は他財閥に群を抜く巨大財閥であり、国家政策への影響力も格別に大きいものがありました。
 中国は、日本にとって武器輸出の中心的な市場でもありました。中国軍に日本製の武器を売り込み、日本製の武器で統一させ、中国市場を恒久的なものにしようとしたのです。ちょうど、今の日本の自衛隊とアメリカとの関係です。アメリカはアメリカ軍の規格にあわない自衛隊の装備を日本に認めていません。
 中国東北部(満州)にあった日本の経済界は、張作霖が商売の邪魔をしているとして、その排除を強硬に要求しました。関東軍による張作霖爆殺事件も、それを背景にしたものだったのです。
 著者は、日本の中国進出について、独占が形成されて過剰資本となったはけ口としてなされたというレーニン型の見解を否定しています。独占の形成される前から三井物産は中国へ進出していったからです。三井物産という財閥会社と中国侵略について、改めて考えさせられました。

生活形式の民主主義

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著者:ハル・コック、出版社:花伝社
 デンマークの学者による、民主主義とは何かを考えた本です。40年前に書かれていますが、内容は新鮮そのものです。書かれた時期を知らずに読むと、現代日本について警告を発した本ではないか、そうとしか思えません。
 「もっとも太った人々は、もっとも賢い人々でもある」
 そうと言えないことは、現代日本の金満家たちの愚行で証明ずみです。
 「戦争が正しい者を決めることはけっしてできない。ただ、最強者を決めることができるだけである。人間には、勝利と正義とを一緒くたにする特別な傾向がある。警察と軍隊は必要悪である。それらは必要ではあるが、それらに依存しない可能性こそ私たちが期待しているもの。他方を嘲笑い、怒鳴りつけ、しばらくそれを続けてから、取っ組みのケンカをはじめる。それによって最強の者が決められる。そうした流儀は子ども部屋の掟である。子ども部屋は、反動と権威主義的支配によって、強者の法律と容赦のない権力行使が命ずるところに帰するのが常である」
 これは、アメリカのイラク侵略戦争と、それに無批判に追随している日本を批判した文章としか読めません。
 「民主主義社会では、あらゆる決定が相対的で、正しいことがらへの接近にすぎず、それゆえ討議は止むことがない。
 民主主義は生活形式であり、西ヨーロッパで2000年以上にわたって絶えず挫折や堕落を繰り返しながら成長を遂げてきた。それは自己完結したものではない。
 民主主義は、勝ちとられた勝利ではなく、つねに継続するたたかいである。それは一度に達成された結果ではなく、つねに新たに解決されるべき課題である。
 民主主義の本質は投票によって規定されるのではなく、対話や協議、相互の尊重と理解、そしてここから生まれる全体利益にたいする感覚によって規定される。
 人間的な覚醒、すなわち啓蒙と教育、それなしには民主主義は危険なものになる。多数派というのは、まさに怪物である。
 宣伝は、民主主義にとって、年々、危険性の度合いを増している。テレビと映画によって、現代人は、国民的・政治的権力の優位性や欠点をまったく受動的に確信す
る」
 権力によるマスコミ操作はイラク戦争のとき、そして今もますます強まっています。有事立法が施行されたら、その危険性は今よりはるかに増大することでしょう。よくよく現代日本のあり方を考えさせられる本です。

トキオ

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著者:東野圭吾、出版社:講談社
 知人のNAOMIさんが絶賛していたので、早速読んでみた。うまい。さすがにぐいぐい引きこまれていく。いつまでもおとなになりきれない青年の気持ちがよく描かれている。そこへ身内と自称する変な青年が登場して、つきまとう。いったい何のために・・・。青年はふられた彼女の行方を追ううちに事件に巻きこまれていく。変な青年もついてきて、しきりにアドバイスというか指示を与える。いったい、どういうつもりなんだ。でも、何かひかれるものがあり、その言いなりに動かざるをえない。
 おとなになりきれない、なりたくない青年の揺れ動く気持ちをバックに事件が展開し、意外な結末を迎える。オビには時を超えた奇蹟の物語とある。まさにそのとおりだった。

まちづくり権

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著者:寺井一弘、出版社:花伝社
 日田市に別府市の主催する公営競輪の場外車券売り場をつくるという。とんでもない。日田市が市長を先頭に反対運動に立ちあがった。でも、国が設置を許可した。さあ、どうする。国を相手に設置許可の取り消しを求める行政訴訟を起こすしかない。そこで、日田市出身の筑紫哲也の推薦で東京で活動する長崎出身の著者が登場した。
 著者の行きつけの日田の寿司屋は「弥助すし」。その長女が福岡の三隅珠代弁護士。私は残念ながら、「弥助すし」にはまだ行ったことがない。
 「まちづくり権」を提唱して果敢に挑んだものの、裁判所は見事に肩すかしを喰らわせる。だいたい裁判長は、ついこのあいだまで国(行政)の代理人をやっていたような人物なので、コチコチの頭しかない。高裁でも一回結審だと言われてしまう。そこを著者は持ち前の粘り強さで2回目の裁判をなんと4ヶ月先にすることに成功した。幸いにも別府市長が交代して合意が成立し、裁判自体は取り下げで終了。その成果がこの本になった。この裁判については、別に『まちづくり権への挑戦』(信山社)という本が出ている。こちらは九大のゼミ生たちがまとめたもの。

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