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マイ・ウイング

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著者:佐野寿人、出版社:集英社
 先日、男鹿半島でパラグライダーが舞いあがるところを見てきました。次から次へ、風にふわりと乗って離陸していきます。気持ちよさそうではありますが、山頂から舞い上がるのですから、足元を見ると、すぐに高度数百メートルです。身震いしました。そうです。私は高所恐怖症なのです。ですから、飛行機に乗っても決して窓側の席に坐って外を眺めたりはしません。ジェットコースターなんて、あんなものは命を縮めるだけです。君子、危うきに近寄らずです。
 ハングライダーを日本で初めてつくった頓所好勝(とんどころ・よしかつ)氏の一生を描いた感動的な本です。戦前、中学しか出ていない頓所氏が独学でドイツ語を勉強し、ドイツの本で航空力学をマスターしてハングライダーを独力でつくりあげました。それを東京帝大出身の航空検査官が見て合格証書を与える話には心が震えるほど感動しました。
 初めてハングライダー1号機が空を飛んだのは1940年。2号機は1976年のことでした。それから、今やパラグライダーもあって、人間が軽々と空を飛べるようになったのです。人間って、すごいですね。。

意識とはなにか

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著書:茂木健一郎、出版社:ちくま新書
 乳幼児においては、しばしば「大人に見られていること」自体が報酬となる。子どもにとっては、見られていないことは、起こっていないのも同じである。何かをうまくやっているところ、新しいことに挑戦しているところを大人に見てもらうことが、何よりも強くかけがえないのない報酬になる。
 子どもが泣くのは、他者である大人に助けてもらいたい、なぐさめてもらいたいから。泣くという行為が、そもそも社会的にしか存在しえない行為、他者に見られることによってはじめて意味をもつ行為だから。
 泣けばミルクをもらえるという連合の期待が裏切られてはじめて、乳児は母親というものが自分と異なる意思をもった独立した存在、つまり他者であることに気がつきはじめる。他者がもっともかけがえのない存在であるのは、その人が自分を裏切るのが、あくまでも可能性の領域にとどまる時なのである。
 今ここに自分がいます。でも、その自分とは一体いかなる存在で、本当のところは何を考えているのか、自分でもよく分からないこともしばしばです。たとえば、突然に指名されてスピーチするとき、その直前まで考えていたこととは別の言葉が口をついて出てくることがあります。それはいったいなぜなのか。潜在意識が自分をつき動かしていたとしか考えられません。でも、いったい、その潜在意識はどうやって形成され、意識の水面上に表出してきたのか・・・。考えれば考えるほど不思議です。
 0.99999・・・=Xとすると、10X= 9.999999・・・・・10X −X =9X =9  したがって、 X =1であることが証明された。
 うーん、本当かなー・・・。そうなのかなー・・・。よく分かりませんが、なるほど、と言うしかありません。

借金中毒列島

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著者:室井忠道、出版社:岩波アクティブ新書
 消費者金融のオーナーだった著者が対談を通じて、問題提起をしています。なかなか考えさせられる内容です。
 消費者金融は、「笑いながら貸して」「嫌がらせで回収する」という二つの作業で成り立つ仕事。いまの消費者金融は、督促が厳しくないぶん、過剰融資が問題の中心。
 厳しい取立にあって苦しい立場の人がヤミ金融に関わる不可思議さ、これを解明しないことには、法整備をすすめてもザル。借りたい人間がいる限り、無法な貸す業者もなくならない。「ゆとりローン」を利用したのは71万世帯。これは家を持つ資格のない人に融資する欠陥政策だった。
 消費者金融に手を出す人の動機、使途、返済保証、すべてルーズ過ぎる。一瞬の欲望に負けて借りてしまう。一回借金の感覚を覚えた人は、死ぬまで抜け出せない。
 自己破産問題は、金融業者が消え失せない限り、そして安易な借り入れをする債務者が姿を消さない限り、解消するものではない。それは限りなく幻想に近い。まずは、自分からそして身近な人間から意識を変えていくしかない。大量消費時代の今こそ、借金をしないという「美学」をもちたい。
 私は、元サラ金業者の著者の考えにほとんど共感しながら通読しました。

西部劇を読む事典

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著者:芦原伸、出版社:NHK出版
 大草原の彼方から馬に乗ったガンマンが悠然とあらわれてきます。まさしく広い広い西部の大草原です。このオープニング・シーンを見ただけでゾクゾクワクワクしました。映画館のなかは観客でギッシリです。息をこらしてスクリーンを見つめます。
 2挺拳銃の早撃ち、騎兵隊が突撃ラッパを吹き鳴らして疾走するシーン。手に汗をにぎり、口を大きく開けて見とれていました。小学生のころです。
 大学生になってからは、マカロニ・ウェスタンもかなり見ました。クリント・イーストウッドの「夕陽のガンマン」など、渇いた砂嵐のなかの決闘シーンにしびれました。
 最近では、ケヴィン・コスナーの「ダンス・ウィズ・ウルブズ」に感動しました。
 インディアン(今は先住民といいます)に頭の皮を剥ぐという野蛮な習慣はなく、東部の白人が始めたものを真似ただけ。
 「私は何度も遠征隊を率いて彼ら(先住民)と戦ったが、そのたびに我が身を恥じ、わが政府を恥じ、わが軍の軍旗に恥ずかしい思いをした。正しいのはいつも先住民であり、彼らが協約を破ったことは一度もなく、我々が協約を実行したことは一度もなかった」
 「必ず観ておきたいクラシック西部劇30選」が紹介されています。「駅馬車」や「OK牧場の決闘」「広野の七人」などは見た覚えがありますが、その大半は見た記憶のないものでした。ぜひ、もう一度、満席の映画館で大スクリーンを仰ぎながら見てみたいものです。

ヒンドゥー教

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著者:森本達雄、出版社:中央新書
 中国とならんで、世界最大人口を擁するインドは私にとって興味津々の反面、伝え聞く雑踏のすさまじさなどから敬遠したくもある国です。そのインドで人口の80%以上が信じているヒンドゥー教について、日本人向けに分かりやすく書かれた解説本です。
 読書三昧は私の理想とするところですが、この三昧(さんまい)という言葉はヒンディー語の「サマーディ」から来ているそうです。サマーディとは、「最高我への深い精神集中」「瞑想による心の統一・安定」を意味する語です(ほかに、三昧と同じく、墓地という意味もあります)。
 ヒンドゥー教最高の聖典といわれる『バガヴァッド・ギーター』(主神の歌)には、
 たとい極悪人であっても、ひたすら私を信愛するならば、彼はまさしく善人であるとみなされるべきである。彼は正しく決意した人であるから。
 という文章があります。親鸞が『歎異抄』も「善人なをもて住生をとぐ、いはんや悪人をや」というのと同じ思想ではないでしょうか。
 宗教のことは深くは分かりませんが、真理を究めた達人の言葉には本当に含蓄があります。

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