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鮨を極める

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著者:早瀬圭一、出版社:講談社
 表紙の写真からして極上のスシだと分かります。めくって写真を眺めるだけで、もうゾクゾクしてきます。ふるいつきたくなるほど美味しそうなスシのオンパレードです。
 手を使う仕事なので、日焼けしてシミが出来ないように細心の注意を払い、夏でも冬でも一年中。手袋をはめている。こっちはご飯の温度を気にして握る。握ってすぐがいちばん美味しい。つけ台にスシを並べたまま酒を呑んだり、隣と話しこんでしまう客にはイライラしてしまう。
 私も神田にある「鶴八」に一度だけ行ったことがあります。『神田鶴八鮨ばなし』を読んで、ぜひ食べたいと思い、恐る恐る電話したのです。幸い席が空いているということで出かけました。前の親方・師岡幸夫の引退(1997年12月)より前のことです。
 東京・上野毛の「きよ田」の主人は大牟田で生まれ、荒尾で育った(荒木水都弘)。
 同郷の人が東京で寿司職人として名を成しているのを知ると、なんとなくうれしくなります。博多の「河庄」で修業した話も出てきますが、残念なことに、この本は東京近辺のほかは京都・金沢どまりで、九州の店は紹介されていません。
 少し前のことですが、妹尾河童氏に講演を依頼したことがあり、昼食をともにしました。そのとき、博多にはうまい寿司屋があって、いつもそこで食べるのを楽しみにしているというのです。どこですかと訊いたら、なんと赤坂の「山庄」でした。弁護士会ご用達の寿司屋を有名人が愛用しているとは知りませんでした・・・。

海馬

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著者:池谷裕二、出版社:朝日出版社
 糸井重里との対談を通じて、脳の活性化は本人の心がけ次第だという画期的な内容が明らかにされていく、元気の出る本です。これも知人のNAOMIさんのおすすめで読みました。
 脳の神経細胞は生まれたときが一番多くて、あとは減っていくだけ。しかし、海馬では細胞が次々に生み出されていき、神経が入れ替わっている。海馬は情報の選別を担当するところで、海馬の神経細胞は成人になってからも増えていく。海馬は記憶をつくっていく。海馬の神経細胞の数が多いほど、たくさんの情報を同時に処理できる。
 脳はいつでも元気いっぱい。ぜんぜん疲れない。30歳を過ぎてから頭は良くなる。疲れたなあと感じるとき、実際に疲れているのは目。
 経験をすればするほど、飛躍的に脳の回路は緊密になる。睡眠は整理整頓できた情報を記憶しようという取捨選択の重要なプロセス。外界をシャットアウトして余分な情報が入ってこないようにして、脳の中だけで正しく整合性を保つようにするために睡眠が必要になる。睡眠がないと人間はぜんぜんだめになってしまう。
 脳は達成感を快楽として蓄える。達成感を生むためには、小さい目標を設定して、ひとつずつ解決していくといい。いいことを言うとそのとおりになる。悪いことを言ってもそのとおりになる。いい意味でも、悪い意味でも、言葉は呪いみたいなもの。未来に対して素敵なイメージを思い描いた方がいい。がぜん元気が湧いてきました。

生涯最高の失敗

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著者:田中耕一、出版社:朝日新聞社
 田中耕一さんがノーベル化学賞をもらったとき、ほとんどの日本人が驚き、また、喜びました(と思います)。なにしろ、まだ43歳で、フツーの会社員、それも肩書は単なる主任でしかないというのです。ノーベル賞なんて、有名大学の名誉教授がもらうものと思いこんでいた私のような日本人にはショックでした。しかも、賞の対象は、1985年の実験結果を1988年6月に論文で発表したものだというのです。まだ田中さんが弱冠28歳のときの実験にもとづくものなのです。これにも驚かされます。文系の世界では考えられないことです。
 その田中さんは、その後も現場で実験を続けることをひたすら願い、講演依頼は9割以上お断りしているとのことです。この本は、そのうちの貴重な講演を再現し、「分かりやすく」ノーベル受賞の対象を説明しています。といっても、実のところ、なんとなく分かった気はしましたが、十分に理解できたわけではありません。それでも、山根一眞氏との対談によって、少しは分かった気にはなります。
 田中耕一さんは、お見合い歴20回ということですが、奥さんは、富山県の同じ高校出身で理数科、耕一さんは普通科出身というのも面白い事実です。
 創造性を発揮するには、勇気、挑戦、不屈の意志、組み合わせ、新たな視点、遊び心、偶然、努力、瞬間的ひらめきの9つが必要だそうです。でも、これだったら、私にもありそうです。そんな元気を与えてくれる本でした。

心は泣いたり、笑ったり

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著者:マリーズ・コンデ、出版社:青土社
 カリブ海のグアドループで生まれ育ち、パリに渡った少女の回想記です。フランス語しか話そうとしない現地上流階級の娘として育ちますが、白人ではありません。次第に世の中の様々な矛盾にぶつかっていきます。いかにも生き生きと少女時代が語られ、すっとその時代に溶けこんでいく気がします。
 親友について、「きれいではありません。頭も良くありません」という書き出しで作文を書きました。それは友情を語ろうとしたのであって悪気はありませんでした。
 母についても、そのさまざまな側面を韻律のない自由詩で物語り、母の誕生日に45分にもわたって延々と1人語り続けました。それを黙って最後まで聞いた母は、涙を流し、ただ「おまえは、そんなふうに私のことを見ていたの?」と言っただけだった。
 真実を言ってはいけないのだ、絶対に。自分が愛する人には絶対に。愛する人は輝かしい光で彩らなければ、褒めそやさなければ、実際の姿とは違った存在であると思いこまさなければいけない。そのことを私は学んだ。
 これは10歳の少女がしたことなのです。圧倒されてしまいます。目下、NHKラジオのフランス語講座の応用編でマルチニック人が登場し、この本から抜き出したところがテキストとして使われています。それで私もこの本を買って読んだというわけです。フランス語を勉強して世界がまた少し広がりました。メルシー・ボークー。

チンパンジーにありがとう

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著者:堤秀世、出版社:フレーベル館
 すごい写真に圧倒されます。なんと24歳、芳紀さかりのメス・チンパンジーが高さ5メートルの竹馬に軽々と登って歩くのです。身長120センチ、体重も50キロあります。堂々たる体格です。猿まわしの猿とちがって首に鎖はありません。私と同世代の男性調教師が指示したとおりの芸を次々に演じていきます。そう、ムチはないのです。あくまでもほめて芸を教えるのです。
 チンパンジー・ショーなんて動物虐待だという声が強まり、動物芸はサーカスでもやられなくなったそうです。そんななかで著者は30年もチンパンジー・ショーを続けています。動物への愛情がなかったら、とてもやれないことです。
 この本は写真を見るだけでも価値があります。でも、そう言わずに内容も少し紹介してみます。私がこの本を読み終わってもち歩いていると、原田直子副会長が、「私もチンパンジーには興味があって、たくさん本を読んでるの」と声をかけてくれました。この本もぜひ手にとって読んでみて下さい。
 北大理学部に入学して馬術部に入り、在学中に移動動物園を手伝い、アルバイトとして働いているうちに大学を中退してしまいました。その後、動物調教の厳しさをアメリカに渡って学び、日本に導入しようとしましたが、なかなかうまくいきません。
伊豆シャボテン公園に入ってからも、すぐにはショーを演じることはできませんでした。
 チンパンジーの方も、そう簡単には芸を演じてはくれません。それに、芸を仕込んでも、いずれ公園内の野生の群れに帰さなければいけません。それがまた過酷な試練となるのです。
 ちょっと前屈みにしゃがみこみ、片手を前に出して、「おひかえなさい」という感じで、相手のノドのところに指先をださなければいけない。そして、相手からも同じように手を出されたら、その指先に軽く唇をあてる。それがチンパンジーの初対面の挨拶である。
 この道30年のプロの苦労話です。感激に胸が詰まりそうになりました。

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