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韓国陸軍、オレの912日

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著者:チュ・チュヨン、出版社:彩流社
 いまは日本に住む元韓国陸軍兵長が、自分の徴兵・軍隊体験をイラストつきで紹介している。この種の本はすでに何冊か出ているが、詳細なイラストが参考になる。
 著者は軍隊に入る前に大学で学生運動の経験があった。それでとくに苛められたとは書かれていないが、兵役をすませたあとは学生運動を続ける気はなくなったという。
 軍隊経験は懐かしい思い出。しかし、それでも、もう二度と軍隊には行きたくない。理不尽に殴られ、命令に絶対服従しなければならない辛く苦しい生活はもう二度と経験したくない。一度行ってみるのはいいかもしれない。でも、二度と行くのはゴメンだ。それが軍隊だ。この本を読むと、誰だってなるほどと思うだろう。
 徴兵されて訓練が終わったとき、訓練所司令部内に自殺者の写真をずらりと並べてあって、それを見学しなければならないというのに驚かされた。小銃を口にくわえて自殺し、頭が吹っ飛んだ写真。手榴弾で身体が木っ端みじんになり、人間の原形をとどめない遺体。飛び降り自殺をした遺体などを見せつけられる。まさしく非人間的な世界だ。
 軟弱な私は、日本に生まれてよかった。つくづくそう思う。

小林多喜二を売った男

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著者:くらせ・みきお、出版社:白順社
 戦前の有名なプロレタリア作家・小林多喜二の本は今どれだけ読まれているのだろうか。この本は、その小林多喜二を官憲に売り渡したスパイ三舩留吉を探りあてる過程を紹介している。三舩は秋田に生まれ、上京して東京下町の労働運動にとびこむうちに、検挙・拘留を重ねるなかで特高の毛利基警部のおかかえスパイとなった。
 インテリ出身の多い共産党内部では労働者出身として重視されて出世し、スパイMが党の内部で、三舩が青年運動(共青)におけるスパイとして「活躍」した。まだ三舩が25歳のときのことである。
 スパイとして摘発されたあと、三舩は満州へわたり、戦後、シベリア抑留のあと水原茂とともに帰国した。戦後は富山市で電力会社の下請会社をおこして成功したが、スパイMの病死(1965年)から7年後の1972年に病死した(享年62歳)。
 戦前の共産党はスパイに支配されていたとする史観もあるが、私はそれは間違っていると思う。1960年代のアメリカのブラックパンサー党にも警察のスパイが多数はいりこんで壊滅させられたことは有名だが、それは国民の意識から離れたところで過激な暴力闘争路線をとってしまった誤りにつけこまれたものだと思う。やはり、国民の意識と完全にずれないところで、しかし、半歩だけは先に立ってすすんでいく必要があるのだと私は思う。

少年A─  矯正2500日全記録

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著者:草薙厚子、出版社:文芸春秋
 この本のもとになったのは『週刊文春』の連載のようだ。著者が取材のために関東医療少年院の周辺をうろうろしていると、強引に名刺を奪われたという。オビに「東京少年鑑別所元法務教官が書いた少年A更正プロジェクトの全容」とあっても、著者自身が少年Aに直接関わっていたわけではない。肩書きはウソではないが、著者はフリーライターとして取材していたのだ。だから、少年院の側で警戒するのも、ある意味で当然のことだ。それくらい低劣なマスコミ報道は多い。ただし、この本を読んだ印象では、少年Aの更正プログラムの実情を真面目にレポートしていると思う。
 子どもを「スパルタ」的に、ただ単に厳しくしつければよいという考えは今も世の中に通用していると思われるが、実は、それは全くの誤りだというのが、この本を読むとよく分かる。子どもは、それで変に誤解してしまうものだ。自分は親に愛されていないと。
 少年Aが、普通の男の子のように女性の裸を想像してマスターベーションできるようになったことで少年院は性的サディズムを克服したと判断する話が紹介されている。なるほど、マスターベーションひとつでも、これほどの意味があるのかと思った。
 少年A事件のことを考えるうえで必読の本だと思った。

現代の戦争報道

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著者:門奈直樹、出版社:岩波新書
 日露戦争の開戦時に、『万朝報』の黒岩周六は、次のように言ったそうです。
 戦争が起これば、新聞の発行部数が伸びるというこの現実を無視するわけにはいかない。
 いや、むしろ、マスコミが戦争を人々にあおりたて、それでもうかっていったのではないでしょうか。
 湾岸戦争は、生中継による最初のテレビ放映戦争だった。テレビ記者たちは、戦争の全体像よりも、部分を撮影することに興味をもつ。魅力ある物語、競争力の強い話題をつくれというプレッシャーに常にとりつかれている。
 残酷なシーンを映しださない限り、テレビの映像は視聴者にとって、ハリウッドの戦争映画と同じで、日頃のうっぷん晴らしに役立つ現実逃避の世界だ。
 軍事評論家は、科学技術に対する異常な好奇心、崇拝心を視聴者に起こさせる一方、反戦・平和の声をかき消してしまう。
 アル・ジャジーラには、暗黙の了解事項として、表現の自由と反対意見の尊重、そして何より異質なイデオロギーの共存があった。このネットワークがアラブの独立した発言権を求める情熱をみたすことを目的にして出発したテレビ局であった。アラブには、3500万人の定期的な視聴者がいる。
 イギリスのBBCは、番組制作にあたって詳細なガイドラインをつくり、それを公開している。日本はNHKをはじめとしてガイドラインをつくっているものの、公開はしない。そこで、政府寄りになってしまう。
 こんな指摘がなされています。本当に、いまの日本のマスコミの政府の政策に盲従する報道のひどさには呆れてしまいます。

しずり雪

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著者:安住洋子、出版社:小学館
 感動の時代小説短編集とオビにあります。この本を読みながら、山本周五郎の世界を思いだしました。今から30年前、弁護士になる前の司法修習生のとき、山本周五郎の本をすすめられて一読し、しばらく耽溺しました。実に心が落ち着き、しっとりした世界がそこにあり、みるみるうちに引きずりこまれてしまいました。
 山本周五郎に比べるとやや物足りない感じもしないでもない本でしたが、しっとりした情感を漂わせて、時代小説に読みふける楽しさを久しぶりに感じさせてくれました。

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