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正しい戦争は本当にあるのか

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著者:藤原帰一、出版社:ロッキングオン
 新進気鋭の東大法学部教授のトーク本です。なかなか含蓄深い本でした。
 正義のための戦争は、欲得づくの戦争よりも、もっと苛酷で悲惨なものになる。宗教と戦争が結びつくと、戦争がどうしようもなく悲惨なものになる。
 日本人のイラク戦争への反応で一番びっくりしたのは、ただの無関心だった。日本に住むかぎり死ぬことはないから・・・。
  いまの国際社会では、デモクラシーではない政府は政府の資格がないというのが当然の前提とされている。これはアメリカの政策の結果では決してない。
 日本のこと、世界のことを改めて考えさせる本でした。

天使になった犬

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著者:かどかみむつこ、出版社:廣済堂
 表題にだまされてはいけません。犬は人間のセラピー犬としても役にたつという本です。
 といっても、この本が面白くないというわけではありません。犬族は、実験犬としても人間に役立っているのです。私は初めて知りました。
 しかし、それもさることながら、犬は昔から人間にとって、心のいやしに欠かせない存在だったことが、この本を読むと改めて再認識させられます。

山がくれた百のよろこび

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出版社:山と渓谷社
 私は月に1回、近くの小山にのぼることにしています。高さ400メートルもありませんが、戦国時代は頂上付近が山城になっていました。自宅から頂上まで歩いて1時間。広々とした頂上でお弁当を開きます。梅干し入りのおにぎりを爽やかな風に吹かれながら食べるのは格別です。もちろん、その前に上半身も裸になってタオルで汗をぬぐってさっぱりします。お腹がくちくなったら、少しベンチで横になって休みます。頭上をゆったり白い雲が流れていきます。至福のひとときです。
  私は、高い山にのぼったことはありません。フランスのシャモニーに行ったとき、ケーブルカーに乗って高い峰にのぼったことがあります。頂上に着いたとき、周囲を見まわすと、なんと日本人観光客が、わんさかだったことを今も鮮明に覚えています。
  この本は本格派の登山家を中心として、有名な登山家137人が山登りの魅力を語ったものです。不破哲三から徳仁親王までいます。不破哲三は日本共産党の議長ですし、私の尊敬する人ですから、すぐ分かりました。でも、徳仁親王とは一体だれだろうとおもってしまいました。あとの説明を読んで、奥さんが雅子とあったので、ああ、いま話題の天皇の息子かと思いあたりました。可哀想に、いわば単なる肩書きしかなく、普通の名前はないのですね・・・。山野上(やまのうえ)一太郎(いちたろう)というような名前がないと、フツーの人間じゃないよね。そう思いました。それはともかくとして、これまでの登山回数150回以上というのですから、私はとても及びません。天皇一家も、案外、フツーの人間の生活をしているんだなと思いました。
  ひとつの成功を機に堕落していく人を、これまで幾度も見てきた。人間やれば何でもできる。過去の自己にしがみついているうちに時はどんどん流れていく。
  山に入ると、心の棘がぽろっと落ちた、と感じる瞬間がある。
  山が好きな人たちの言葉があふれている本です。私も汗びっしょりになりながら苦労して山にのぼっているとき、どうしてこんな苦労しているのだろうと、いつも不思議におもうことがあります。でも、頂上にたって、見晴らしのいいところで爽やかな風に吹かれると、ああ、山にのぼるっていいな、いつもそう思うのです。

韓国陸軍、オレの912日

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著者:チュ・チュヨン、出版社:彩流社
 いまは日本に住む元韓国陸軍兵長が、自分の徴兵・軍隊体験をイラストつきで紹介している。この種の本はすでに何冊か出ているが、詳細なイラストが参考になる。
 著者は軍隊に入る前に大学で学生運動の経験があった。それでとくに苛められたとは書かれていないが、兵役をすませたあとは学生運動を続ける気はなくなったという。
 軍隊経験は懐かしい思い出。しかし、それでも、もう二度と軍隊には行きたくない。理不尽に殴られ、命令に絶対服従しなければならない辛く苦しい生活はもう二度と経験したくない。一度行ってみるのはいいかもしれない。でも、二度と行くのはゴメンだ。それが軍隊だ。この本を読むと、誰だってなるほどと思うだろう。
 徴兵されて訓練が終わったとき、訓練所司令部内に自殺者の写真をずらりと並べてあって、それを見学しなければならないというのに驚かされた。小銃を口にくわえて自殺し、頭が吹っ飛んだ写真。手榴弾で身体が木っ端みじんになり、人間の原形をとどめない遺体。飛び降り自殺をした遺体などを見せつけられる。まさしく非人間的な世界だ。
 軟弱な私は、日本に生まれてよかった。つくづくそう思う。

小林多喜二を売った男

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著者:くらせ・みきお、出版社:白順社
 戦前の有名なプロレタリア作家・小林多喜二の本は今どれだけ読まれているのだろうか。この本は、その小林多喜二を官憲に売り渡したスパイ三舩留吉を探りあてる過程を紹介している。三舩は秋田に生まれ、上京して東京下町の労働運動にとびこむうちに、検挙・拘留を重ねるなかで特高の毛利基警部のおかかえスパイとなった。
 インテリ出身の多い共産党内部では労働者出身として重視されて出世し、スパイMが党の内部で、三舩が青年運動(共青)におけるスパイとして「活躍」した。まだ三舩が25歳のときのことである。
 スパイとして摘発されたあと、三舩は満州へわたり、戦後、シベリア抑留のあと水原茂とともに帰国した。戦後は富山市で電力会社の下請会社をおこして成功したが、スパイMの病死(1965年)から7年後の1972年に病死した(享年62歳)。
 戦前の共産党はスパイに支配されていたとする史観もあるが、私はそれは間違っていると思う。1960年代のアメリカのブラックパンサー党にも警察のスパイが多数はいりこんで壊滅させられたことは有名だが、それは国民の意識から離れたところで過激な暴力闘争路線をとってしまった誤りにつけこまれたものだと思う。やはり、国民の意識と完全にずれないところで、しかし、半歩だけは先に立ってすすんでいく必要があるのだと私は思う。

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