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概説・土地法

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著者:須田政勝、出版社:明石書店
 宅地から国土開発・自然保護まで、土地をめぐる法律を体系的に概説した本です。500頁近い大作ですが、とても分かりやすい文章なのに感心しながら読みました。
 著者は、日弁連の公害問題対策委員会などで長く活躍してこられた大阪の弁護士です。私も一緒に活動したことがありますが、とても理論的に鋭く、その発言に何度も感心させられました。少し前に病気で入院し、自宅療養していたときに書きはじめたそうです。なかなかどうして、土地をめぐる法律を、全体として、これほど簡にして要を得て解説できるという才能にほとほと感心しました。基本的な用語を簡潔に定義づけ、類似語との違いもきちんとおさえていくあたりは、さすが実務家です。
 日本の農業人口は2800万人を割り、全就業者の4%しかなく、耕地面積も500ヘクタールを割っている。専業農家は43万戸しかおらず、2ヘクタールが専業できるかどうかの境目となっている。このような現状についての基本的なデータも満載され、日本の土地問題をめぐって全体を概観できる本として一読をおすすめします。

拉致と強制収容所

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著:北朝鮮による拉致被害者の救出にとりくむ法律家の会、出版社:朝日新聞社
 この本で圧巻なのは、なんといっても拉致被害者と目されている200人近い人々の顔写真です。私と同世代、つまり団塊世代が多いのですが、当時は高校生だった人が何人もいることに驚かされますし、かなり年輩の人もふくまれています。
 これらの人の全部が北朝鮮による拉致被害にあったと断定することはできません。しかし、曽我ひとみさんは、それらしき噂があっただけで拉致被害者と認定はされていなかったのです。ですから、300人以上、いや実はもっと多い日本人が拉致されてしまったのではないかというのです。これが人権侵害でないはずはありません。しかし、外交交渉による解決をめざすべきだという意見が人権擁護を最大のモットーとしている法律家団体のなかにあり、動いていません。なるほど、私も大いに反省させられました。
 完全統制区域というのがあるそうです。ここに入ったら、2度と生きては出られない地域です。革命化区域は、生きて出られる可能性が残っているところなので、まったく違います。北朝鮮には、強制収容所(公式には管理所)が5ヶ所か6ヶ所あり、15万から20万人が収容されています。
 まずは事実をきちんと認識すべきだという指摘には、私もまったく同感です。

ほかの誰でもない私をさがして

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著者:志賀こず江、出版社:講談社
 頭が下がりました。私と同世代、つまり団塊の世代の女性弁護士が生いたちから今までの自分を、実にあからさまにさらけ出しています。大変な苦労だったと推察しました。それでも、ジメジメしたタッチで描かれていないところに救いがありました。
 親の経済的な行き詰まりから、大学へ進学できずJALのスチュワーデスになります。しかし、どこか自分にあわないものを感じ、結婚もして退職。親の面倒を見ながら通信教育で学び、慶応大学を卒業。でも、それではあきたりません。一念発起して司法試験をめざします。13回の挑戦で、ついに合格。13年間、主婦業をやりながら司法試験をめざした著者の粘り強い努力にほとほと脱帽しました。しかも、病気の親や夫をかかえ、その面倒をみながらなのです。すごいものです。並みたいていの努力ではありません。同世代でありながら、ぬくぬくと勉強に専念できたことが恥ずかしくなってしまいました。
 著者は横浜での5年間の検事生活のあと、いまは東京で弁護士をしています。犯罪被害者支援活動にも取り組んでいるそうです。大阪の大平光代弁護士の本(『だから、あなたも生き抜いて』)にも心を揺さぶられましたが、この本にも深い感動を覚えました。つくづく、女性は弱い、されど女性は強い。そう思いました。

統治崩壊

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著者:江上剛、出版社:光文社
 著者は第一勧業銀行に入って26年間つとめ、49歳になって支店長のときに早期退職制度に応募してやめた。第一勧銀が総会屋に不正な利益を供与したとして役員11人が逮捕され、1人の自殺者を出したときは、広報部の次長だった。事件後に、警察の保護対象となりながらも、不透明な取引の根絶、総務部の廃止、コンプライアンス体制の構築を目ざした。しかし、次第に社内「革命」は色あせていった。この本は、著者の実体験をもとに書かれた小説だから、なるほど銀行内の動向に迫力がある。
 いま、大銀行の合併が相次ぎ、多くの銀行が名前を変えた。合併した銀行内では、旧行の行員がグループをつくって醜い派閥争いをくりひろげた。先日、専門家の講演を聞いたところ、いずれも既に大勢は決着がついたという。勝ち組、負け組に区分されて一緒に仕事をするのも嫌な気分だろうと思うが、それも仕方のないことかもしれない。
 銀行は、昔も今も、暴力団を育てている最大の温床のような気がしてならない。これも資本主義ニッポンの仕方のないことなのだろうか・・・。

ドクター・タチアナの男と女の生物学講座

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著者:オリヴィア・ジャドソン、出版社:光文社
 なぜ、この世にオスとメスがいて、お互いに求めあうのか、考えてみれば実に不思議なものです。いや、最近の日本社会では結婚しない若者が男女を問わずに増えています。だから、民族としての日本人は、いずれ消滅すると予測されています。
 オスとメスが互いに求めあうというのは美しい話ばかりではありません。それぞれ生命をかけた闘争の成果として子孫を残そうともしています。その努力にも涙ぐましいものがあります。
 動物も昆虫も、みんなセックスで悩んでいる。本のオビにこう書かれています。なるほどそうです。週刊誌のセックス談義のように軽いノリの質問に、ごくごく真面目な回答がなされています。真面目な、しかし、アッと驚くような話のオンパレードです。

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