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イラク大量破壊兵器査察の真実

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著者:ハンス・ブリクス、出版社:DHC
 イラク査察団の委員長だった著者が、イラクの大量破壊兵器は1991年に廃棄ずみで、今度のイラク戦争時にはなかったことを明らかにした本です。
 要するに、アメリカが、イラク戦争の口実につかっただけだったことが今や明らかとなっています。
 サダム・フセインの恐怖政治を終わらせることを武力介入の唯一の目的としたのでは、アメリカもイギリスも、政府が議会の承認を得られる見込みはなかった。国連安保理から認められる可能性もないに等しかった。
 アメリカがイラク全土を実効支配して1年以上たちました。イラクに大量破壊兵器が隠されているのなら、高額の褒賞金目当てに科学者・技術者が当局にタレこんでいいはずだ。なのに、まったくない。というのは、もともとないからだ。著者のこの指摘はまったくそのとおりだと思います。にもかかわらず、アメリカもイギリスも、そして、それにいつものように追従する日本の小泉首相も自分たちの誤りを国際社会に対して認めようとしません。ひどい戦争屋たちです。

内部告発者

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著者:滝沢隆一郎、出版社:ダイヤモンド社
 うーん、よくできていました。東京の若手弁護士(38歳)が書いた小説ということですが、ともかく読ませました。損保会社内部のありそうな状況設定が簡潔に描かれ、雑誌記者の取材を受けただけなのに内部告発をした人間として会社から敵視されていくのです。裁判を取り巻く審理状況にも違和感なく、なるほどと思えます。
 弁護士が、自分の扱った題材などをテーマとして、素材から離れて小説化したら、すごく面白いものになると思ったものです。でも、自分は・・・?言うは易く、行うは難し、なのです。トホホ・・・。

奪還〜引き裂かれた二十四年

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著者:蓮池透、出版社:新潮社
 2004年10月10日現在、週間アクションに連載中の漫画ですが、大変読み応えのあるドキュメンタリーになっています。
作者は、北朝鮮の拉致被害者蓮池薫さんのお兄さん。『奪還総集編』として第11話まで掲載した漫画増刊号が販売されています。
 5人については帰還してめでたしめでたしで済ませている感のある報道では隠されている、拉致被害者本人と家族との
気持のすれちがいや日本政府の無責任な政治家の実名つきで指摘されています。報道は編集されてるんですね、未だに。
 ちなみに、漫画アクションは、女子高生コンクリート殺人事件をモチーフにした『17歳』という漫画も並行して連載しており(こちらも原作者は藤井誠二という上記事件を徹底取材したノンフィクションライターです)、とても『クレヨンしんちゃん』をかつて連載していた雑誌とは思われないヘビーな有り様なので(何せキャッチコピーが「タブーを斬れ!」ですから)、今度いつ休刊になるか分からないのですが、やはり漫画のもつインパクトは絶大で、まずは漫画から入ってもらえればと思います。

韓国戦争、第4巻

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著:韓国国防軍史研究所、出版社:かや書房
 朝鮮戦争は北朝鮮の金日成が仕かけた戦争であるということは今では歴史的に不動の事実だ。しかし、私も大学生のころはそれを認めていなかったし、認めたくもなかった。
 この本は、6巻シリーズとして刊行されているもので、第4巻は9月に出たばかりの最新刊だ。ここでは、中共軍が毛沢東の意向にそって朝鮮戦争に介入してソウルを奪還したあと、さらにアメリカ軍が韓国軍とともに再反攻し、いったん後退した中共軍が春季攻勢をかけている状況が細かく描かれている。
 最近の韓国映画『ブラザーフッド』を見た者としては、当時の戦況が刻明に描かれているので、戦場で死んでいった無数の人々に心から哀悼の意を表したいと思った。
 中共軍は54万2000人、北朝鮮人民軍が19万7000人の合計63万9000人。そして満州には中共軍の予備軍が75万人いた。対する国連軍は、26万9000人、韓国軍が23万4000人で、合計50万3000人。
 中国は、5次にわたって最大80コ師団を投入して、まさに人海戦術を展開した。しかし、圧倒的な火力と機動力を誇るアメリカ軍を制圧できなかった。中国軍は、攻勢作戦を1週間以上継続して遂行するだけの兵站支援能力がなかった。
 中共軍は、笛とラッパを鳴らしながら突撃する。これに対して、韓国軍は手動式のサイレンを鳴らして対抗したという。中国軍はベトナムへ侵略したときも、笛とラッパを鳴らしながら突撃してきたという記事を読んだことがある。30年たっても同じ手法だということに驚いた。
 韓国でのゲリラ戦も少し紹介されている。朝鮮戦争の内情と意味については、引き続き注目していきたい。

拒否できない日本

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著者:関岡英之、出版社:文春新書
 日本で今すすんでいる事態は、すべてアメリカの身勝手な要求であることを、アメリカ政府の公文書などによって裏づけた本です。
 たとえば、アメリカがなぜ日本にアメリカ型の経営制度を導入するよう圧力をかけているかというと、日本企業の社外取締役に就任したアメリカ人が、アメリカに居ながらにして経営をコントロールできるようにしているということ。
 また、国際会計基準を日本に導入させる狙いのひとつは、外資による日本企業の買収を妨げる系列(ケイレツ)や株式持ち合いの解消を促進し、外資が株を取得するチャンスを増やすことも含まれている。
 いま日本ですすめられている司法改革についても、弁護士や会計士などのアメリカの知的専門職業サービスの対日進出は、アメリカの他のサービス産業や製造業の対日進出の橋頭堡としても重要だ。つまり、アメリカの法律事務所が日本に根を張っていれば、アメリカ企業の利益になりそうなオイシイ日本の情報がどんどんアメリカに流れてくるし、アメリカ企業が日本の法律や制度の不都合な部分を改正するよう内政干渉したりするときの知恵袋として駆使することができる。このようにしてアメリカ企業にとって有利なビジネス環境を日本につくり出すという目的で、いまの司法制度改革がある。すなわち、アメリカ政府が日本の司法制度について改革を求める意図は民主化とはなんの関係もない。
 著者は、アメリカを批判すると、すぐに、それは日本の自己責任をアメリカのせいに転嫁する陰謀史観だという批判が出るが、まったくあたっていないと指摘しています。陰謀史観だというレッテルを貼って思考停止してはいけないというのには、まったく同感す。

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