(霧山昴)
著者 ルート・アンドレーアス・フリードリヒ 、 出版 未来社
ナチス支配下のベルリンで、1938年から1945年まで、反ナチの活動を秘かにしていた地下グループの実情を日記形式で伝えてくれる本です。
メンバーは当然のことながら匿名(偽名)で活動していましたが、戦後、判明したところによると、ジャーナリスト、音楽家(指揮者)、新聞記者、院院長(医師)、外務省参事官、空軍少佐、作家、牧師、作曲家などで、なんとユダヤもいたそうです。ベルリンにソ連赤軍が進入してくる状況までが描かれています。
当初、ユダヤ人の多くがナリスの支配は長く続かない、続くはずがないと考えたようです。
「4週間もすれば、あいつは破綻をきたしているだろう」と堅く信じ込んだ。
夕刊に、「武器を所持しているユダヤ人は20年の保護検束」とある。ナチの連中は、つかまえられる限りのユダヤ人男性をひっぱっていった。勾留命令は出ていない。何らの法的手続きも踏んではいない。着の身着のままで連行されていった。ある者は靴さえ履いていなかった。
ブーヘンヴァルトから、ザクセンハウゼン(強制収容所)からの帰還者を見る。頭は丸坊主にされ、目は悲しみに満ちている。そこは、百人に一つの便所しかない。
ユダヤ人は胸に黄色いダビデの星をつけなければいけない。子どもたちは、この星をつけた人を見かけると、「ユダヤ人やーい」と、はやし立てる。黄色い星は隔離を容易にする。
全ユダヤ人は、食料配給において特別規制の対象とされた。もはや食肉配給券も、卵もタバコもない。
ユダヤ人「疎開者」の運命について、恐ろしい噂が流れている。集団銃殺や餓死、拷問そして毒ガス殺人…。いずれも本当に、しかも大々的に実行されていたわけですが、まだまだ噂でしかなかったようです。あまりにも恐ろしい事実なので、にわかに信じられない、信じたくないという反応があったようです。
ユダヤ人の夫を救うため、非ユダヤ人の妻が6千人も広場に集まり、夫を救い出そうと思い、ナチのSS司令部に殺到した。さすがに6千人の非ユダヤ人女性に向けて機関銃は撃されない。
ミュンヘンの大学で、反ナチのビラをまいた学人たちが捕まった(1943年2月)。
これは有名な「白バラ」グループのことですね。そして、逮捕されて2日後には、断頭台で処刑された。彼らが学内でまいたビラを手に入れて、紹介されています。
アメリカを主体とする連合軍がノルマンディー上陸作戦を成功させたこともすぐに地下グループは知って、このニュースを拡散します。
「荷が届きました。なかなか良さそうな品物です。待望久しい連合軍の上陸でした(1944年6月7日)。
ヒトラーに対する暗殺計画が実行され、失敗したことも、すぐに知らされました。ワルキューレ作戦です(1944年7月21日)。そして、悪運強いもヒトラーは死なず、すぐに残忍な報復を開始したのです。この7月20日事件は、映画館でニュース映画として上映されたものの、すぐに中止された。
地下グループは1945年4月になると、街頭に「ノー」とペンキで大書しはじめた。
息づまる戦時下のベルリンの生活が活写されている本です。
(1991年4月刊。3000円)
わが家の庭のサツマイモを堀り上げました。地上にはツルが勢いよく伸びて葉も茂っているのですが、肝心の地下には小さなイモしかないということが何回もありました。さて、今年はどうかな…。
大きなイモがごろごろと出てきました。ヤッター…です。11月半ばまで待って掘り上げたのが良かったのでしょう。虫に食われた穴がいくつもあるのは残念でした。農家は、きっと何か対策をとっていると思います。
早速食べてみましたが、鳴門金時も紅あずまも、少し甘さが足りませんでした。なので、家人には不評でした。まあ、飢饉に備える食料ですので、文句は言うますまい。


