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がんと心

カテゴリー:未分類

著者:岸本葉子、出版社:晶文社
 1年間にがんと診断される人は50万人いて、闘病中の人は300万人もいる。がんは不治の病から治る病気になった。
 発がんの寄与率は遺伝など体質が40%、残る60%は食生活などでコントロール可能。
 タバコは有害、そして暴飲暴食しないこと。特別の性格、特別のストレス、うつ状態ががんを引き起こすことはない。ただ、ライフスタイルの乱れは大きい。
 ネクラの人はネクラにやっていくのがいいし、明るい人は明るくした方がいい。ネクラの人を無理に明るくしようとすると、かえって逆効果。
 がんの告知は、知りたくない人には伝えない。少しだけ知りたい人には少しだけ伝える。たくさん知りたい人にはたくさん伝える。これがいい。
 検診は予防ではない。完全に分かるわけではない。検診で有効性が確立しているのは、胃、子宮頸部、乳房、肺、大腸と肝臓のみ。
 連れあいをなくしたとき、女性は死別後3〜4年で自立し、4年たつと普通人と同じ死亡率になる。ところが、男性は妻をなくすと、ずっと死亡率が高いまま。気がゆるむし、希望がなくなる。女性は、自立を獲得し、強くなる。
 死を通過点、別の命への結節点としてとらえると、「死」という人間にとって最大の問題が原理的に成立しなくなる。そうではなくて、そこから先はいっさいが途絶える断崖絶壁としての死を考えるからこそ、「生」という問題が人間にとって、このうえない集中度と緊張をもって成立する。
 うーん、そうなんだよなー・・・。

脳の中身が見えてきた

カテゴリー:未分類

著者:甘利俊一、出版社:岩波ライブラリー
 統合失調症は実は非常に頻度が高い。世界的には100人に1人が統合失調症の病的症状をしている。
 最近どうも物忘れがひどい。同じ年頃の人間が寄り集まると、誰となくそう言い出します。もちろん、私もそのひとりです。ところが、この本では次のように言われています。
 実は、新しいことを記憶する能力が落ちてくるのではなく、既にもっている記憶を思い出す能力がだんだん落ちてくるのだ。それは、ヒントがたくさんあれば思い出すことができるのだが、ヒントが限られている状態では、なかなか思い出せないのだ。
 記憶を思い出すときには、実際に起こった経験や現象に関係した、非常に限られた情報を提供することによって、記憶の全体像を思い出すことができる。これを記憶のパターン補完という。記憶のパターンを脳の中に貯えているが、そのうちの本の一部を外から刺激してやると記憶全体が想起されてくるのだ。
 人間は、情報を非常にたくさんの神経細胞の興奮のパターンとして表現する。これは、意識しない領分で起こり、相互作用して、その結果、考えや思考をどんどん発展させていく。これはプログラムのようなものとは違う。この過程は意識にのぼらない。最後の計算結果が意識にのぼって、我々はそれを論理で操作できる。人間の思考は、並列のダイナミックな相互作用でパターン化して考え、それが直感的な思考を生む。しかも、プログラムとして固定するのではなく、学習によって自己の能力を高めていく。
 脳の中身が次第に解き明かされていっています。私は、若いころから人の名前を覚えるのが苦手でした。もちろん、今もそうです。それで、人の名前を忘れていることを気づかれないように会話をすすめるのに長けてしまいました。要するに関連づけすればいいのですよね。記憶術も、要は、何か具体的な身近なものと関連づけておけばいいのです。といっても、それも簡単なことではありません・・・。

アメリカ帝国の悲劇

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著者:チャルマーズ・ジョンソン、出版社:文芸春秋
 著者は、現在の軍事偏重の一国主義敵傾向が今後も続くようであれば、アメリカは4つの悲劇に見舞われるだろうと警告している。たえまない戦争、民主主義の崩壊、真実の隠蔽、そして財政破綻である。
 アメリカ国民は、地球のほかの国々に住む人々とちがって、アメリカが軍事力で世界を支配していることに気づいていない。政府の秘密主義のせいで、アメリカ国民は多くの場合、自分たちの政府が全世界に軍事基地を置いていることを知らない。アメリカは、実際には50万人以上の兵士やスパイ、技術者、教師、家族、民間の請負業者を全世界の国や海に派遣している。
 18歳から24歳までのアメリカの若者数千人を、彼らがまったく知らない異質の文化のなかに駐留させれば、基地を受けいれた国を悩ます事件が次々に起きるのは当然の話だ。アメリカ兵は「給料をもらいすぎて、性欲過剰の、よそ者」とからかわれたことがある。
 アメリカ陸軍は48万人、海軍は37万人、空軍は36万人、海兵隊は18万人の兵員を有し、トータルで139万人の男女が兵役についている。支払われている給与総額は、陸軍271億ドル、海軍と空軍がそれぞれ220億ドル、海兵隊は86億ドル。
 世界をつねに軍事力で支配するのはお金がかかる。2003年度のアメリカの軍事予算は3548億ドル。2004年度は4000億ドル近い。ロシアの予算はアメリカの14%にすぎず、第3位以下の上位27国の軍事予算を合わせて、やっとアメリカの軍事予算と同じになる。
 最初の湾岸戦争に610億ドルかかったが、日本が130億ドルを負担したりしてくれたので、アメリカ自身は70億ドルですんだ。
 戦争で暴利をむさぼるのは、ドン欲な民間人だと思うかもしれない。しかし、それは外国人に武器を売ってまわるうえで制服の軍人が果たしている役割を軽視している。
 国防受注企業には税制上の優遇措置がとられている。武器セールスの有力な方法は戦争だ。戦争は在庫を減らし、世界中の潜在的な顧客に、新世代のアメリカの武器の性能をデモンストレーションするという特徴がある。
 アメリカの軍産複合体は、ユーゴやアフガニスタン、イラクに対する戦争を商売に役立つとして歓迎した。アメリカの精密兵器といっても、実は多くが目標をはずしており、「敵」の陣地の半分以上がアメリカの空飛ぶ目に探知されていない。
 1991年以来、アメリカは世界最大の軍需品輸出国として、2位以下を大きくひき離している。アメリカは450億ドルの武器を輸出し、第2位のロシアは半分以下の174億ドルである。アメリカは武器を訓練して売る。
 アメリカが世界中に保有している基地の価値は1180億ドル。うち日本が400億ドル、ドイツが380億ドル。日本には5万人近い制服組の軍人がいて、4万人ほどの家族がすんでいる。日本人を3万人ほど雇っている。ところが、日本は毎年40万ドルをアメリカに支払っている。日本は、ほかの国にお金を支払って、自分をアメリカにスパイさせている珍しい国だ。
 アメリカには大きな民間軍事会社がある。その大半が特殊部隊の退役高級将校と退役隊員であり、政府や同盟国に雇われて、兵士の訓練をふくむ多くの軍事任務に就く。社員数2万3000人(ダインコープ)、4500人(キュービック)など。1万人の退役軍人を必要に応じて確保できる会社もある。民間軍事会社と民間契約業者は世界中に700以上もある。アメリカの軍事基地を運営するうえで欠かせない存在になっている。
 アメリカがまたもやアルカイダの報復テロ攻撃を受けるのも間近だと言われています。もちろん、そんなことがあってはなりません。しかし、最近のイラクのファルージャでのアメリカの残虐な攻撃を見ていると、あってはならないことが起きてしまうのではないのか。そんな心配が胸中から離れません。

スロー快楽主義宣言

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著者:辻信一、出版社:集英社
 時間は静かで、平和を好み、安息を愛し、むしろの上にのびのびと横になるのが好きだ。文明人は時間がどういうものかを知らず、理解もしていない。だから、彼らの野蛮な風習によって、時間を虐待している。
 これは、20世紀はじめに、サモアの酋長がヨーロッパに行き、帰ってから島の同胞に語ってきかせた話だそうです。うーん、今の日本人にぴったりあてはまる気がしませんか・・・。
 人生は、面倒臭くて、回りくどいし、停滞も、繰り返しも、待たされることもたくさんある。しかしだからこそ、人生は生きるに値するのではないか。効率的に人を愛したり、愛されたりすることはない。効率的に生きるなんてもったいない。生きることは、スローなのだ。うん、うん、分かります・・・。
 同時に、著者は、時間をとるか、カネをとるかという二者択一の枠からも自由になろうと呼びかけています。そうですよね。ちょっぴりおカネも欲しいのは事実ですし、もちろん自由になる時間はもっと欲しいです。なかなか、どっちかひとつと割り切るわけにはいきませんよね。私も、本当はモノカキ三昧といきたいものの、現実には担当事件や司法改革その他の文献を読み、準備書面かきに日頃は追われ、モノカキの方はすっかり空の彼方のほうへ追いやられています。残念だけど、生活の糧を得るためには仕方のないことです。もっとも、その緊張感があるからこそ、モノカキで生きたいという気持ちも持続するのです。
 電気を消してスローな夜を、と著者は呼びかけています。でも、私は毎晩それを実行しているつもりです。いえ、電気を消しているわけではありません。誤解しないでください。テレビは見ないし、インターネットで泳ぐこともありません。音楽も聞きません。静かにして、ひたすら活字の世界に没入しています。
 えっ、何が楽しいのか、ですか・・・。うーん、何と言ったらいいんでしょうか。活字の世界は、はまりこんだらちょっとやそっとでは抜け出せないほどゾクゾクするものがあるんです。毎日、この書評を読んでもらったら分かると思うんですけど・・・。

ベルリン陥落1945

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著者:アントニー・ビーヴァー、出版社:白水社 
 1945年4月30日、ヒトラーは妻とともにベルリンの総統官邸でピストル自殺した。遺体はガソリンで焼却され、砲弾でくぼんだ地面に埋められた。やがて、ソ連軍が発見し、ヒトラーの遺体のあごを確保して歯科助手に確認させた。しかし、スターリンは最前線にいた赤軍の総司令官ジューコフ元帥にはそれを隠し続けた。
 600頁からなる大作です。ヒトラーのユダヤ人大虐殺をはじめとするファシズムの暴虐は絶対に許すことができませんが、この本は、スターリン指揮下のソ連赤軍の信じられないほど大がかりな蛮行をも明るみに出しています。ベルリンでソ連軍によってレイプされた犠牲者は13万人(うち1万人が自殺した)、全ドイツで少なくとも200万人のドイツ女性がレイプされたという。ただ、これも、ナチス・ドイツの捕虜となった赤軍兵士が英米軍人の捕虜とは差別され、まったくケダモノ同然で虐殺されていたことへの反動だった側面も否定できないと指摘されている。もちろん、だからといって報復レイプが許されるわけでは決してない。
 生きのびたドイツ共産党員がソ連軍を歓迎したところ、その妻や娘までもソ連軍にレイプされてしまった。その結果、多くのドイツ女性が性病にかかって治療を受けなければならなかった。これでは東ドイツでソ連の評判が悪かったのも当然だ。多くのソ連将校がドイツに占領地妻をかかえ、帰国のときソ連国内にいた妻の憤激を買った。もちろん、ドイツ人の男性も無事だったわけではない。捕虜としてソ連へ連行されて強制的に働かされた。生きて帰ったのは3分の2のみ。スターリンと赤軍の元帥たちは、ヒトラーと同じで兵士の生命にほとんど関心をはらわなかった。ベルリン作戦だけでソ連軍の戦死者7万人、負傷者27万人。これは、アメリカ軍がベルリンに到着する前に占領しようと無理したことが原因だ。また、ドイツに捕虜になった赤軍兵士150万人は解放されても、スターリンはスパイの恐れありとして、強制収容所やシベリアへ送った。この間、アメリカ司令部は、アメリカ兵士たちを殺したくないといって進撃をためらっていた。
 スターリンはベルリンを陥落させた赤軍とジューコフ元帥の評判が高まると自らの地位を脅かすと考え、そうならないように周到な手をうっていった。ヒトラーの遺体発見をジューコフ元帥に隠したのも、そのひとつだった。
 ベルリン陥落に至るまでの無惨な戦争の実相が暴かれています。頁をめくる手が重たく感じられましたが、なんとか、最後までたどり着きました。レイプ被害にあった女性は本当に哀れです。しかし、ドイツ女性の目からみて、生き残って帰ってきた男性はもっと深刻な精神的打撃を受けており、容易に立ち直れなかったとも書かれています。弱い性は女性とばかりは言えないというところに、人間の本質もあるようで、いろいろ考えさせられました。名実ともにズシリと重たい本です。               (霧山昴)

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