法律相談センター検索 弁護士検索

しのびよるネオ階級社会

カテゴリー:未分類

著者:林 信吾、出版社:平凡社新書
 イギリスは、まさに階級社会である。医師や弁護士、大企業のエグゼクティブや成功した芸術家はアッパー・ミドルクラス。ロンドン・キャブ(タクシー)の運転手はロウアー・ミドルクラスで、2階建てバスの運転手はワーキングクラス。
 パブの内側は2つに仕切られ、入口も2つある。労働者階級向けのバーは立ち飲みだが、中産階級向けには大きめのソファーが置かれている。
 ブルーカラーの賃金は週給で、ホワイトカラーは月給であった。労働者階級はタブロイド版の大衆紙しか読まない。中産階級の言葉は標準語だが、労働者階級は、スラング(俗語)が多く、出身地の訛り丸出しで、これでも同じ英語かと疑問に思うほど違っている。しかし、階級が異なると、相互に会話する機会もほとんどないので、不都合は起きない。
 鉄の女とも呼ばれたサッチャー元首相の父親は靴職人の息子として生まれ、食料品店に就職し、商売で成功して市議会議員になった。つまり、ワーキングクラスからロウアー・ミドルクラスへ成り上がった。その娘(二女)サッチャーはオックスフォード大学を卒業しているが、苦心して上流階級の話し方を身につけた。
 イギリスにおける階級社会の問題とは、経済格差よりも、むしろ教育環境の格差なのだ。このような格差が何世代にもわたって固定化されてきた結果、労働者階級の子弟はどうせ自分たちは、ビジネス・エリートなんかなれないんだから、勉強してもはじまらないというすり込みをされている。向上心を捨てて、物質的には最低限の生活だろうが、気楽に生きた方がいいと割り切ってしまうと、苦労して勉強する必要も、あくせく働く必要もなくなる。
 イギリスの公立学校のほとんどは午前中で授業をやめてしまう。サッチャー元首相は小学校のときから秀才で、グラマー・スクール(公立の進学校)を首席で卒業した。しかし、オックスフォード大学には補欠合格だった。これは、非上流階級出身者に対するハードルがそれほど高いということを意味している。たとえば、入試において、面接や作文を重視している。そのとき、たとえば「外国に行ったことがありますか」と訊かれて、「ない」と答えると「視野が狭い」と評価され、低い点数しかつけられない。
 これまでの日本の教育システムは機会平等、結果不平等であった。しかし、これは、イギリスのように機会の平等すら階級社会よりはましなのではないか。職人の子どもは職人になればいいじゃないかと決めつけるような社会はもっと間違っている。
 以上は著者の考えです。イギリスと日本の違いを改めて知らされました。そして機会の平等を保持することはやはり大切だと思ったことでした。

江戸城の宮廷政治

カテゴリー:未分類

著者:山本博文、出版社:講談社学術文庫
 熊本藩主の細川忠興が、その子、忠利と相互に送りあった書状が2900通ほど残っているそうです。このほか幕府の老中や旗本そして他大名などにあてた書状もふくめると1万通をこえます。
 この本は、その2900通の父子間の書状をもとに大名の生活の様子を紹介しています。
 たとえば父(忠興)は、子(忠利)に対して、島津殿とあまり仲のよさそうな様子を他人に見せてはいけない。互いに並の関係であるようにふるまえと忠告しています。
 島原の乱のとき、細川勢は奮闘していますが、それをねたむ勢力も多かったようです。ですから、父は子に対してあまり手柄話はするなといさめ、子は大いに不満を覚えました。
 大名同士の足のひっぱりあいが絶えずあったなかで、生き残るために卑屈なほど徳川将軍の意向を先まわりする必要があったのです。細川家は、そうやって江戸時代をしぶとく生き残りました。

日露戦争

カテゴリー:未分類

著者:軍事史学会、出版社:錦正社
 日本軍に捕虜となったロシア人は8万5千人をこえます。ロシアの捕虜となった日本人は2千人ほどでした。日本は、7万2千人ほどの捕虜を日本国内29ヶ所に分散して収容しました。大阪に2万2千人、千葉に1万5千人などです。久留米市内にも多数収容されました。日本は第二次大戦のときと違ってロシア人捕虜を厚遇したのですが、その有力な原因のひとつが外国の観戦武官や記者が多く従軍していたということにあります。つまり、虐待して国際社会に報道されることを恐れたのです。日本軍には英米仏などの将校30人が2班に分かれて従軍していました。第二次大戦では考えられないことだと思います。
 日露戦争の勝因のひとつに日清戦争の結果、日本が中国(清)から得た3億5千万円もの巨額の賠償金があげられています。当時の日本の一般会計の4倍にものぼる賠償金です。これで、日本は金本位制度へ移行することができましたし、軍備拡張に投入することができました。陸軍のために6千万円近くを、海軍のために1億4千万円ほどつかっています。これによって、日露開戦の4年前(1900年)に日本は陸軍を13個師団体制とし、海軍も6.6艦隊体制を確立し、十分な運用訓練時間を確保することができたのです。
 うーん、そうだったのか・・・、と思いました。
江戸城の宮廷政治
著者:山本博文、出版社:講談社学術文庫
 熊本藩主の細川忠興が、その子、忠利と相互に送りあった書状が2900通ほど残っているそうです。このほか幕府の老中や旗本そして他大名などにあてた書状もふくめると1万通をこえます。
 この本は、その2900通の父子間の書状をもとに大名の生活の様子を紹介しています。
 たとえば父(忠興)は、子(忠利)に対して、島津殿とあまり仲のよさそうな様子を他人に見せてはいけない。互いに並の関係であるようにふるまえと忠告しています。
 島原の乱のとき、細川勢は奮闘していますが、それをねたむ勢力も多かったようです。ですから、父は子に対してあまり手柄話はするなといさめ、子は大いに不満を覚えました。
 大名同士の足のひっぱりあいが絶えずあったなかで、生き残るために卑屈なほど徳川将軍の意向を先まわりする必要があったのです。細川家は、そうやって江戸時代をしぶとく生き残りました。

虹と雲

カテゴリー:未分類

著者:ドルジ・ワンモ・ワンチュック、出版社:平河出版社
 ブータンの現代史を知ることのできる本です。写真もありますが、ブータンの民俗衣裳は、日本の丹前みたいなものですし、顔も日本人そっくりです。そのブータンの王姫が父親からの聞き書きをまとめました。
 ブータンの風俗もカラー写真つきで紹介されていますので、ブータンという日本人になじみの薄い国のことを知ることができます。
 ブータン人の名前には姓がありません。すべて1人1人別で、まったく個人的なものなのです。名前からは親族関係がまったく見当つかないのです。親子かどうかも名前からでは分かりません。大半の名前は男性にも女性にも共通に使われるので、名前からだけでは、その人が男性か女性かもわかりません。もちろん、姓がないのですから女性は結婚して名前を変えることもありません。
 こんな不思議な国なのですが、やはり政争はあります。王族内部で有力者が暗殺されました。でも、そのうちその身内が帰国できたりもするのです。なんだか日本人には理解しがたい国です。

談合しました

カテゴリー:未分類

著者:加藤正夫、出版社:彩図社
 談合で入札者を決めるのを調整と呼ばれ、ふつうは密室で行われる。調整というと聞こえがいいが、実際にはそれぞれ勝手な理由を言いあっているだけであり、最終的にはほとんど力関係で決まる。業者の規模や役人とのつながり、実績によって発言力が大きく変わってくる。
 契約担当の公務員には2種類いる。一つは、賄賂はとらないし談合に協力もしないが、とりたてて不正を暴こうとはせず、「談合するなら勝手にやってくれ、ただし、うちの入札で間違いだけは起こさないでくれ」という態度をとる。
 もう一つは、よこすものは遠慮なく受けとり、なにかと業者の都合を聞き入れてくれる。しかし、自らすすんで賄賂を求める役人はごく少ない。
 談合なしで入札があると、毎年のように請負業者が切り替わるので、心配事が増える。談合で既存になった業者とは長いつきあいになるので、あうんの呼吸で仕事ができる。役人にしてみれば、たとえ経費が高くなったとしても、自分の仕事が楽になればいいのだ。
 役人の協力あるいは黙認がなければ談合は成り立たないし、鶴の一声の存在こそ、談合事件の肝である。談合とは一件一件が孤立した犯罪ではない。グループによって連綿と行われる性質をもった犯罪である。
 既存権というものがある。談合によって落札を約束されている権利のこと。この既存権は貸し出されることもある。
 私もオンブズマン運動にかかわって、談合を裁判で追及したことがあります。しかし、刑事事件になっていないときに談合の成立を裁判所で立証することは不可能に等しいのが現実です。裁判官が認めようとしないからです。
 日本経団連は高級官僚が大企業へ天下りするのが談合の原因のひとつだと認めて、天下りを受けいれないと高らかに宣言しました。ところが、その宣言はわずか数日で取り消されてしまいました。鶴の一声を求める企業の黒い体質は、それほど根深いものがあります。
 この本は談合することを仕事のひとつとしていた担当者が匿名ながら、自分の体験を赤裸々に暴いたものです。日本での談合が横行しており、まさに日常茶飯事であること、その根絶はやる気になればそう難しいことではないことが明らかにされています。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.