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古代エジプト文字を読む事典

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著者:秋山慎一、出版社:東京堂出版
 春うららかな日曜日の昼下がり、昼食をとりながら古代エジプトのヒエログリフに挑戦しました。ながら族は消化に良くないという説もあるようですが、そんなことはないと私は確信しています。ひとりで食べるときには、新聞を読んだり、本を読みながらでも一向にかまわないと思います。だって、私は30回は噛むようにしていますので、時間がかかりますし、頭のなかが楽しくなるようなら食欲もすすみ、消化に悪かろうはずはありません。
 この本は、古代エジプトのヒエログリフ、ほら、あのシャンポリオンがついに解読に成功した絵文字のことです、を文法をふくめて分かりやすく解説したものです。といっても、実は、その文法の点はさっぱり分かりませんでした。やっぱり、本を読むくらいでヒエログリフがモノになると考えるのは甘すぎます。それでも、絵文字がどんなことを書いているのか、そこにどんな法則があるのか、おぼろげながら分かった気がしてきました。
 ヒエログリフの文字体系は、日本語の漢字仮名まじり文と通じるところがある。表音でもあり、表意でもあるから。英語のような単なる表音文字ではないので、ヒエログリフは目で見て確認しないと読むこともできない。
 また、ヒエログリフはタテ書きも横書きもあります。この点も日本語と同じです。漢字をくずしてカタカナやひらがながつくられたような草書体まであります。神官文字と約されているヒエラティックですが、これは神官が用いたという意味ではないそうです。筆ですぐ書けるように考えだされた文字です。
 眺めているだけで4000年も前の古代エジプト王国の生活にたどりつけるのですから、こんな愉快なことはありません。

ツバメのくらし百科

カテゴリー:未分類

著者:大田眞也、出版社:弦書房
 今年も3月下旬からツバメの飛ぶのを見かけるようになりました。北海道では5月以降にならないと飛んでいないそうです。ツバメは、9月末には南方へ飛び去っていきます。日本のツバメはインドネシアやフィリピンからやって来るのです。繁殖が目的です。
 まず雄がやってきて雌を迎えます。雄はしきりに鳴いてプロポーズしますが、その決定権は雌にあります。そのポイントは尾羽の長さです。というのは、寄生虫(ダニ)がいたり病原体に感染していると、尾羽の成長が悪くなるので、尾羽が長いのは健康の証明だからです。ふーん、なるほどねー・・・。
 ツバメは、毎年だいたい同じ巣に戻ります。その子どもも近くに巣をつくります。そして、雄と雌の両方が生きていたら、ずっと同じ巣に戻ってきます。同じパートナーが5年も続いたという観察例があるそうです。しかし、雌はつがいの雄の目を盗んで浮気をすることがあります。そのとき、独身の雄より経験豊富で実績のある既婚の雄を受け入れる傾向が強いといいます。人間も同じでしょうか・・・。いや違うかな。女性は、やっぱり若いツバメを好むのかもしれませんね。
 ところで、次のような観察例が報告されています。まず雌がやって来た。雄は新顔だった。ところが、産卵寸前になって、昨年のパートナーがひょっこり姿を現した。さあ、大変。三角関係。雄同士でとっくみあいの激しい争いが始まった。雌は、そのときどうしたか。高見の見物を決めこんだか・・・。いえ、そうではなく、遅れて帰ってきた雄を激しく排撃したのは、実は雌の方だった。雌は、限られた繁殖期間を目前にして、生死不明で、再び巡りあえるかどうか分からない、かつてのパートナーを待つ余裕はない。いったん、新たに番いを形成したからには、一度諦めたかつての番いの相手と巡り会えても、もはや無縁の異性と見なして割り切らなければいけない。そうでなければ種族維持もできなくなる・・・。このような解説がなされています。うーん、人間社会だったら、どうなんでしょうね・・・。ツバメに学ばされました。
 ツバメの巣は、できるだけ人目につきやすいところにつくられます。それは人間によって、天敵から守ってもらおうという魂胆からのことです。巣の場所を最終的に決めるのも雌の方です。ヒナが生まれて、親ツバメがエサをやるときには、もっとも大きく開いたヒナの口にエサをつっこみます。もっとも大きく口を開けるのは、もっとも腹を空かしたヒナなのです。ヒナたちは、巣内での位置を絶えず入れ替わっていて、もっとも空腹のヒナが正面のもっとも良い場所に陣どる。この仕組みによって、ヒナたちは平等にエサを受けとり、一様に成長していく。ひゃあー、そうだったのかー・・。
 ヒナが巣立つ日は、親ツバメの態度が一変し、ヒナには巣の外からエサを見せびらかすだけで絶対に与えない。そこで、空腹に耐えかねたヒナが意を決して巣から飛びたって親元に向かう。親ツバメはヒナを安全なところまで誘導すると、そこではじめてエサを与えるというのです。親心なんですね・・・。
 ツバメの渡りのときのスピードは時速90キロくらいらしいのです。大変なスピードですよね。それにしても、はるばるインドネシアまで行くのに何日間かかるのでしょうか。
 ツバメのことがよく分かる本です。わが家にはツバメの巣はありませんが、スズメがいます。今度はスズメについて、その生態を紹介した本を読んでみたいと思っています。どなたか、いい本があったらぜひご紹介ください。

忠誠の代償

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著者:ロン・サスキンド、出版社:日本経済新聞社
 オニール前財務長官が語るブッシュ政権の正体とオビにあります。また、大統領を震撼させた衝撃の内幕本とも銘うっています。なるほど、ブッシュ政権の寒々しい内幕がよく分かります。
 ブッシュ大統領は団塊世代。マイケル・ムーア監督の映画「華氏911」を見た人は覚えているでしょう。9.11事件を知らされたときのボー然とした表情のブッシュの顔は、ノータリン男の間抜け面の典型でした。よくもこんな男でアメリカの大統領がつとまるものだと思ったことでした。嘘だと思ったら、ぜひ一度あの場面を見てください。まるで何も考えていないことがよく分かる表情をしています。
 オニール財務長官はブッシュ大統領と定期的に1対1で話すことのできる地位にありました。そのオニール長官がそのときのことをこう語っているのです。
 ブッシュは何も質問しなかった。表情を変えずにオニールを見つめ、肯定的なものも、否定的なものも、反応らしきものはまったく示さなかった。ブッシュは重要な資料を読むことはしないし、周囲から期待されてもいない。ブッシュは、しばしば私は直観でやると高言する。
 だから、ブッシュ政権には前途なんてない。もともと政策を評価し、効果的に検討して一貫した統制をとる組織なんて存在しないも同然だ。いや、ブッシュの側近で実権を握っている者はごく少数ながらいる。ローブ、ヒューズ、カードそしてライス。
 ブッシュは重要な権限を他人に委ねている。政権内部の大多数がそれを見抜いている。ブッシュは十分に考え抜かれたとはいえないような極度に観念論な意見に踊らされている。ブッシュが出席する重要な会議、たとえば、閣議や国家安全保障会議には綿密な台本が用意されている。大統領が報告書を読むなんて思ってはいけない。ホワイトハウス内のスタッフはこう言っているそうです。ブッシュは、耳が聞こえない人間ばかりの部屋にいる目が見えない人間のようなもの。お互いに何の疎通も見られない。このように表現されています。呆れてモノも言えません。
 オニールとパウエルとクリスティの3人は、ブッシュの隠れみのとして利用されただけ。 背筋がゾクゾク寒気を覚える本です。身近にいた人間がここまでブッシュの正体を暴いていいものかと心配になったほどです。そんなブッシュ大統領が2期目、再選されたなんて、今でも信じられない思いです。
 ところで、この本にはこんなエピソードが紹介されています。
 ブッシュ大統領の参加する内輪だけのパーティーのとき、子どものころお母さんにねだった好きな料理は何でしたか、そう質問されたブッシュは次のように答えました。
 とんでもない。母は一度も料理したことなんてありません。あの人は指に霜焼けをこしらえていましたよ。いつも冷凍庫から取り出すだけでしたから・・・。
 なんだか寒々とした情景ですね。ブッシュは父親もアメリカ大統領だったわけですが、親の愛情に恵まれず、不幸な家庭で育ったようですね。可哀想といえば、かわいそうです。

ドッグメン、第三軍犬小隊

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著者:ウィリアム・W・パトニー、出版社:星雲社
 今や観光地として名高いグアム島を日本軍が占領していたことがありました。そこへ、1944年7月、アメリカ軍が反撃して進攻し、1ヶ月もたたぬうちに制圧しました。このとき、アメリカ軍の死傷者は7000人、日本軍は1万8500人が生命を落として、8000人が降伏せずにジャングルに身を潜めました。横井さんとか小野田さんとか日本軍の生き残りがジャングルに隠れていた、あのグアム島です。
 反撃するとき、アメリカ軍の海兵隊は720頭の犬を率いていました。第三軍犬小隊は110人の兵士がいて、軍犬のハンドラーとして戦闘に従事したのです。これらの軍犬は戦後549頭がアメリカに戻りました。再訓練の効果は十分にあがり、民間の暮らしに戻れなかったのは、わずか4頭でした。そのような軍犬の訓練の様子とグアム戦での従軍経過を当事者が紹介した本です。
 軍犬は凶暴さより、むしろ家庭のペットと同じく、知性、従順さ、忠誠心、スタミナ、信頼性、鋭い聴覚と臭覚とが求められる。ある程度の攻撃性は必要だが、ハンドラーがそれを制御できる範囲内でなければならない。たとえば、恐怖から噛む犬は極端に臆病で、卑怯な振る舞いをする。犬は自分との関係を支配してくれる人間を好むものだ。
 軍犬は訓練によって戦場では声を出さないように教えこまれるそうです。なるほど、ですね。
 この本を読んでもっとも驚いたのは、日本軍が自殺的なバンザイ攻撃をする前夜の様子がアメリカ軍に察知されていたということです。この本には次のように紹介されています。
 テンホー山の山頂に日本軍兵士は大集団を成して酒を飲み酔っぱらっていた。日本兵の集団は遠く離れていたにもかかわらず、叫んだり怒鳴ったりする声がアメリカ軍にも聞こえていたし、目撃されていた。日本兵は、空いた酒瓶を宙に放り投げたり、銃剣や軍刀を振りまわしたりして、予定の攻撃に向けて、自らを熱狂に駆り立てていた。
 日本軍兵士の突撃はアメリカ軍の機関銃と小銃射撃によって撃退されたが、第一波、第二波、第三波と襲いかかり、波の切れ目がなくなっていった。日本兵は絶叫する暴徒の群れとなって、次から次へと押し寄せた。彼らは100人単位で命を落とした。
 なんだか、本当に哀れな状況です。バンザイ突撃を今でも聖戦視する見方があるようですが、こんな不条理な戦闘を最前線の兵士に強いた日本軍上層部の責任は糾弾するほかありません。第二次大戦においてアメリカ軍で軍犬が活躍していたことを初めて知ると同時に、日本軍によるバンザイ突撃の不条理さを改めて認識させられた本でした。

アレクサンドロス大王

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著者:森谷公俊、出版社:講談社選書メチエ
 映画「アレキサンダー」を見ましたので、もっと詳しく知りたいと思って読みましたが、私の期待に十分にこたえてくれた本でした。
 アレクサンドロス大王は紀元前336年、20歳でマケドニア王となり、2年後に東方遠征に出発し、ペルシア帝国をほろぼした。西のエジプト、リビアから東は中央アジアをこえてインダス川にまで及ぶ大帝国を築きあげた。しかし、前323年、バビロンで急死した。そのとき、まだ32歳。
 この本は、ポンペイで出土した有名なアレクサンドロス・モザイクの絵を中心にすえて解説しているという点にも特色があります。ダレイオス3世が戦車の上におびえた表情で乗っていて、アレクサンドロス大王は馬に乗り長槍を右手に水平にもってダレイオス3世を見つめています。いったい、どの戦場の場面を描いたものかという問いを自らに投げかけ、どの戦場のものでもない、想像上のものだというこたえを示しています。
 この本ではアレクサンドロス大王の軍隊の強さが図解されています。たとえば、重装歩兵密集部隊です。長さ5.5メートルの長槍を前4列の兵士が前に倒して前進します。後ろ4列は槍を立てて続きます。これで8列の方形をつくったり、16列の楔形(くさびがた)隊形をつくったりして前進するのです。徹底した集団訓練なしにはできない戦法です。
 そのうえで、3つの会戦について、戦闘開始前と途中の両軍の位置を図示しながら解説していますので、とても分かりやすくなっています。
 たとえば、アレクサンドロスの軍隊が川辺で待ち構えているペルシア軍を打ち破ったとき、まずは少数の先発部隊を送り出し、それ惨敗する。しかし、それによってペルシア軍の戦列を乱す効果を上げる。だから、そこを本隊が攻撃する。このようにして不利な条件をカバーしたというのです。
 アレクサンドロスは味方の少数の部隊をおとりにしてペルシア軍をおびき寄せたり、奇襲をかけたし、天才的な用兵を示しました。図入りですから、よく理解できます。
 ダレイオス3世との最後の決戦の様子も図入りで詳しく解説されています。ダレイオス3世が夜襲を恐れてペルシア軍兵士を前夜、武装して立ったまま待機を命じ、兵士が戦闘意欲を喪っていった様子も描かれています。そして、映画「ベンハー」にも出てくる鎌付き戦車については、威力を示させないように工夫したというのです。すごいものです。
 ただ、当時、やっと26歳になったアレクサンドロスにも弱点はあったとも指摘されています。たとえば、戦場から逃げるダレイオス3世を捕まえようとわずかな兵を率いて深追いしたことです。
 さらに、映画「アレキサンダー」にも後半で、現地ペルシア人高官を登用したり、兵士として採用したりして、一緒にたたかってきたマケドニア人将兵から反発を呼んだというのも事実でした。やはり異民族を支配するというのは昔も今も一大難事なのです。
 アレクサンドロス大王の実像そして虚像について素人なりによく理解できました。

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