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日露戦争

カテゴリー:未分類

著者:軍事史学会、出版社:錦正社
 日本軍に捕虜となったロシア人は8万5千人をこえます。ロシアの捕虜となった日本人は2千人ほどでした。日本は、7万2千人ほどの捕虜を日本国内29ヶ所に分散して収容しました。大阪に2万2千人、千葉に1万5千人などです。久留米市内にも多数収容されました。日本は第二次大戦のときと違ってロシア人捕虜を厚遇したのですが、その有力な原因のひとつが外国の観戦武官や記者が多く従軍していたということにあります。つまり、虐待して国際社会に報道されることを恐れたのです。日本軍には英米仏などの将校30人が2班に分かれて従軍していました。第二次大戦では考えられないことだと思います。
 日露戦争の勝因のひとつに日清戦争の結果、日本が中国(清)から得た3億5千万円もの巨額の賠償金があげられています。当時の日本の一般会計の4倍にものぼる賠償金です。これで、日本は金本位制度へ移行することができましたし、軍備拡張に投入することができました。陸軍のために6千万円近くを、海軍のために1億4千万円ほどつかっています。これによって、日露開戦の4年前(1900年)に日本は陸軍を13個師団体制とし、海軍も6.6艦隊体制を確立し、十分な運用訓練時間を確保することができたのです。
 うーん、そうだったのか・・・、と思いました。
江戸城の宮廷政治
著者:山本博文、出版社:講談社学術文庫
 熊本藩主の細川忠興が、その子、忠利と相互に送りあった書状が2900通ほど残っているそうです。このほか幕府の老中や旗本そして他大名などにあてた書状もふくめると1万通をこえます。
 この本は、その2900通の父子間の書状をもとに大名の生活の様子を紹介しています。
 たとえば父(忠興)は、子(忠利)に対して、島津殿とあまり仲のよさそうな様子を他人に見せてはいけない。互いに並の関係であるようにふるまえと忠告しています。
 島原の乱のとき、細川勢は奮闘していますが、それをねたむ勢力も多かったようです。ですから、父は子に対してあまり手柄話はするなといさめ、子は大いに不満を覚えました。
 大名同士の足のひっぱりあいが絶えずあったなかで、生き残るために卑屈なほど徳川将軍の意向を先まわりする必要があったのです。細川家は、そうやって江戸時代をしぶとく生き残りました。

虹と雲

カテゴリー:未分類

著者:ドルジ・ワンモ・ワンチュック、出版社:平河出版社
 ブータンの現代史を知ることのできる本です。写真もありますが、ブータンの民俗衣裳は、日本の丹前みたいなものですし、顔も日本人そっくりです。そのブータンの王姫が父親からの聞き書きをまとめました。
 ブータンの風俗もカラー写真つきで紹介されていますので、ブータンという日本人になじみの薄い国のことを知ることができます。
 ブータン人の名前には姓がありません。すべて1人1人別で、まったく個人的なものなのです。名前からは親族関係がまったく見当つかないのです。親子かどうかも名前からでは分かりません。大半の名前は男性にも女性にも共通に使われるので、名前からだけでは、その人が男性か女性かもわかりません。もちろん、姓がないのですから女性は結婚して名前を変えることもありません。
 こんな不思議な国なのですが、やはり政争はあります。王族内部で有力者が暗殺されました。でも、そのうちその身内が帰国できたりもするのです。なんだか日本人には理解しがたい国です。

談合しました

カテゴリー:未分類

著者:加藤正夫、出版社:彩図社
 談合で入札者を決めるのを調整と呼ばれ、ふつうは密室で行われる。調整というと聞こえがいいが、実際にはそれぞれ勝手な理由を言いあっているだけであり、最終的にはほとんど力関係で決まる。業者の規模や役人とのつながり、実績によって発言力が大きく変わってくる。
 契約担当の公務員には2種類いる。一つは、賄賂はとらないし談合に協力もしないが、とりたてて不正を暴こうとはせず、「談合するなら勝手にやってくれ、ただし、うちの入札で間違いだけは起こさないでくれ」という態度をとる。
 もう一つは、よこすものは遠慮なく受けとり、なにかと業者の都合を聞き入れてくれる。しかし、自らすすんで賄賂を求める役人はごく少ない。
 談合なしで入札があると、毎年のように請負業者が切り替わるので、心配事が増える。談合で既存になった業者とは長いつきあいになるので、あうんの呼吸で仕事ができる。役人にしてみれば、たとえ経費が高くなったとしても、自分の仕事が楽になればいいのだ。
 役人の協力あるいは黙認がなければ談合は成り立たないし、鶴の一声の存在こそ、談合事件の肝である。談合とは一件一件が孤立した犯罪ではない。グループによって連綿と行われる性質をもった犯罪である。
 既存権というものがある。談合によって落札を約束されている権利のこと。この既存権は貸し出されることもある。
 私もオンブズマン運動にかかわって、談合を裁判で追及したことがあります。しかし、刑事事件になっていないときに談合の成立を裁判所で立証することは不可能に等しいのが現実です。裁判官が認めようとしないからです。
 日本経団連は高級官僚が大企業へ天下りするのが談合の原因のひとつだと認めて、天下りを受けいれないと高らかに宣言しました。ところが、その宣言はわずか数日で取り消されてしまいました。鶴の一声を求める企業の黒い体質は、それほど根深いものがあります。
 この本は談合することを仕事のひとつとしていた担当者が匿名ながら、自分の体験を赤裸々に暴いたものです。日本での談合が横行しており、まさに日常茶飯事であること、その根絶はやる気になればそう難しいことではないことが明らかにされています。

誰がダニエル・パールを殺したか?

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著者:ベルナール・アンリ・レヴィ、出版社:NHK出版
 アメリカの「ウォールストリート・ジャーナル」紙の記者がパキスタンのカラチで誘拐され首を切断されました(2002年1月31日)。殺されたダニエル・パールはユダヤ系アメリカ人。この事件の真相をフランス人が現地に飛んで追いかけました。
 そのジャーナリストはボディガードをなぜつけなかったのかと問う人がいる。しかし、ガンマンに護衛されて出歩くジャーナリストとはいったい何者なのか。第一、そんな用心をしたら、かえって目立ち、自分の存在を悪意ある人々に知らせるだけ。第二に、護衛は1日10ドルで雇われた退役警官だ。本当に危なくなったとき、彼らは自分の身を盾にしてまで守ってくれるだろうか。誘拐にあったら、決して逃げようとしてはいけない。これが絶対の規則だ。
 首謀者として捕まったオマル・シェイクは実は1973年にロンドンで生まれた。ロンドン大学を優秀な成績で卒業している。だからパキスタン人というより、イギリス人なのだ。それなのに、なぜ、熱烈なジハード戦士になったのか・・・。つい先日、ロンドンで列車・バスの同時爆破テロが起きました。自爆犯人たちはいずれもイギリス生まれのパキスタン人だと報道されています。本件とまったく同じです。
 カラチに来たジャーナリストが守るべき規則。ホテルの正面の部屋には泊まらない。道でタクシーを拾わない。核開発計画とイスラム教については絶対に話をしない。市場、映画館、雑踏、一般的な公共の場所へ出かけるときは細心の注意を払う。出かけるときには、信頼のおける人物にどこへ行くか何時にどうやって帰るかを知らせておく。公園は麻薬中毒者と犯罪者のたまり場になっている。
 アルカイダには現代的で教養のある若者がたくさんいる。彼らは西洋の金融システムの利用の仕方も弱点もよく知っている。9.11の前にアメリカン航空の株を空売りし、値が下がったところで買い戻して利益をあげるなんて朝飯前のこと。アルカイダとは、もうずいぶん前から自分たちだけの家族経営の小企業ではない。れっきとした巨大企業、いやマフィアである。世界中にひろがった資金強奪の巨大組織網なのだ。
 サウジアラビアの進歩的な弁護士は、イスラム主義はビジネスになっているという。アッラーとは無関係に、富と権力への近道だから、みんながイスラム主義に走る。
 アルカイダの活動報酬は、1回の作戦について2500〜3000ルピー(1ルピーは1.8円)。手榴弾を投げる報酬は1個につき150ルピー(結果がよければ、別に特別手当がつく)。インド軍将校へのテロ行為なら相手の階級に応じて1万から33万ルピー。自爆テロ実行犯にも報酬がある。家族にまずまずの生活環境を保障できるようにする。とりあえず5000ルピー、ときに1万ルピーが渡され、あとは契約にもとづいた生活環境が終身保障される。
 いかにもフランス人の書いたものという感じの思索的な文体でしたが、内容はテロの温床には根深いものがあることを明らかにするものです。

スペースシャトルの落日

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著者:松浦晋也、出版社:エクスナレッジ
 スペースシャトルがはじめて飛んだのは今から24年前、1981年4月12日でした。あのころは、近い将来、宇宙にどんどん人間が出ていき、宇宙ステーションでは野菜の栽培もできるようになるだろうと思っていました。
 たしかに、今、フツーの大金持ちが宇宙旅行を楽しめるようにはなりました。秋山さんのときにはTBSが何億円払ったのでしたっけ・・・。アメリカと南アフリカの実業家が最近、それぞれ21億円支払って宇宙観光を楽しみました。でも、それはアメリカのスペースシャトルではなく、ロシアのソユーズ宇宙船です。今、地球をまわる軌道上にいるのはロシアのソユーズだけです。
 では、スペースシャトルの方は・・・。近く日本人の3人目の飛行士が乗ることになっていますが、もう5年以上も待たされています。
 スペースシャトルは全部で6機つくられ、1機は既に博物館入りし、事故を起こしたコロンビアとチャレンジャーは機体がありません。現役で運用可能なのは3機ですが、スペースシャトルの製造ラインは1992年に既に閉鎖されています。本当は、スペースシャトルは年間50回うち上げる計画だったのです・・・。
 著者はスペースシャトルは宇宙船として巨大な失敗作であると断言しています。設計コンセプトがそもそも間違っていたのに、アメリカは間違いと無理を重ねました。そのあおりを日本はくらっているといいます。同じように、宇宙ステーション計画も、アメリカは既に投げ出しているのに、日本はまだそれにしがみつこうとしているのです。
 たとえば、スペースシャトルには翼がついていますが、この翼も有害無益だったとして、その誤りを論証しています。もちろん、科学的なことは私にはよく分かりませんが、なるほどと思わせる内容です。
 アメリカのニクソン大統領がスペースシャトルを採用したとき、重要な理由として、ソ連の軍事衛星を捕獲できることがあったそうです。とんだ目的です。24年間も宇宙開発に遅れをもたらしたアメリカの責任は重大だという指摘には納得できるものがあります。
 ところで、アポロ13号は本当に月面に降りたったのでしょうか。あれもアメリカの大ペテンだったという本を読んで、なるほどおかしな写真がたくさんあると私も思いました。その後、どうなっているのか、この論争は決着ついたのか、誰かトラックバックで教えてください。
 ペテンといえば、9.11のペンタゴンへの衝突映像にジャンボ飛行機の残骸がひとつも映っていないのはおかしいというアメリカのテレビ番組をビデオで見ました。こちらも本当に奇妙な映像です。世の中はペテンだらけのようで、何を信じていいのか分からなくなります。

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