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あなたの子どもを加害者にしないために

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著者:中尾英司、出版社:生活情報センター
 「少年A」と母親についての分析は鋭く、いかにもなるほどと納得できました。
 「少年A」の母は、我が子が納得できない。自分の納得できるA以外は認められない。つまり、目の前の現実をまっすぐに直視できない。これは、目の前のAという存在を母親が否定していることになる。うーん、そうなんだー・・・。
 母親は事件のあとAに会う前は、きっと私に助けを求めてくるはずという確信をもっていた。ところが、現実には、「帰れ、ブタ野郎」という罵声が返ってきた。でも、母親はAがなぜそんなに怒っているのか理解できなかった。
 これを、著者は、母親とAの関係は母子関係というより、支配者と被支配者の関係だとみています。Aの母親は、絶対的支配者としてAの上に君臨し続けていたというのです。
 Aの母親は、物事を白黒どちらかハッキリさせなければ気がすまない性格だと自分を規定しています。著者は、これをラクに生きたい人が陥る性格だと指摘します。というのも、世の中に白黒決着のつく問題はほとんどないからだというのです。
 うーん、なるほど、そうなんです。弁護士を30年以上していて、本当にそう思います。たとえば、小泉首相は本当に無責任な嘘をつく人だと私は思いますが、世の中の多くはそう思っていません。ことは簡単に決着つかないのです。
 謝罪とは、傷つけた相手の気持ちを自分が受けとめたことを相手に伝える行為。だから、相手の気持ちを共感的に受けとめる心があれば、自然と謝罪の言葉は出てくる。ところが、Aの母親は、その謝罪ができなかった。
 Aは、小学3年生のとき、「僕のすべて」であり、唯一絶対の存在であった母親が、実は自分のことを支配していただけで、自分のことはまったく理解しようとしていなかったことを明らかにさとった。そして、ケンカした理由を聞かれることもなく、帰宅したばかりの父親に一方的に殴られたとき、Aは、いつか両親に自分のことを理解してもらえるかもしれないという希望の糸が切れた。Aは自分がネグレクト(無視・放置)されていることを思い知った。
 人は、自分を認めてくれる人に忠誠を尽くす。人は、自分を理解する人間を裏切ることはできない。それほど、人は人に認めてもらいたい存在なのだ。人は、自分の存在が無視されることに耐えられないため、あらゆる手段をつかってストロークを得ようとする。ストロークとは、その人の存在を認めさせるために働きかけること。たとえば、万引するスリルとは、否定的であるにせよ、自分の存在が認知されるという快感のこと。万引という行為のウラには、社会的ルールを犯してまで自己の存在を証明したいという孤独な魂の悲鳴があるのだ。うーん、そうなんだー・・・。
 人は最初から大胆な行動ができるわけではない。最初はちょっと手を出して当たりを見る。その時点で、生命にかかわるようなことであれば、ガツンと分からせなければならない。最初が肝心だ。万引は犯罪の源である。
 本気で叱られたとき、子どもはうれしいもの。自分のことを思ってのことだと分かるから。なによりも、自分と正面からぶつかってくれるから。自分から逃げずに、かつ、自分を育成してくれている。これに勝る生きる喜びはない。
 叱るときは短く、が鉄則。このときに伝えなければならないのは、親の思いであって、理屈ではない。本当にお前のことを心配しているよ、という思いだ。
 親は子どもを見放さず、見守ることが大事だ。
 読んでいるうちに、私自身の子育てについても大いに反省させられるところが多々ありました。一生懸命、子育てにはとりくんできたつもりではいるのですが・・・。周囲を見まわしても、経済的にはかなり恵まれた条件のもとであっても、子育ての難しさに悩んでいる親(弁護士)は決して少なくありません。

自衛隊指揮官

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著者:瀧野隆浩、出版社:講談社α文庫
 自民党が4割の得票率で議席では7割を占めて「大勝」するなか、民主党はタカ派が代表となり、日本国憲法(とくに9条)は今まさに風前の灯です。小選挙区制の得票数では、与党の自民・公明をあわせた票より野党全部の票が200万票も多いというのです。本当に民意を反映しない制度です。亡くなった後藤田正晴元代議士をはじめ、多くの戦争体験者は9条を無視して自衛隊を海外へ派兵するのはいかんと叫んでいます。ところが、戦争を知らない若い40代が、日本を強い国にするために9条をなくせと居丈高です。本当に怖い世の中になりました。
 この本は防衛大学校出身の新聞記者が書いたものです。毎日新聞社会部編集委員という肩書ですが、国家の安全はどう守るのかとオビに書かれています。そこでいう国家には、弱者を守る視点が本当に入っているのか、読みながら絶えず疑問を感じました。自衛隊が「国家を守る」というとき、その実体は我が軍すなわち自衛隊を守るということです。つまり、自衛隊の周辺で、一般市民がウロウロしていたら、それは邪魔者しかありません。もし違うというのなら、ぜひ、そうでないという確かな根拠を訊きたいものです。
 古今東西、軍隊は敵の軍隊とたたかうことと、自己の保身しか頭にないのです。国家を守るというのは、いわばとってつけたものでしかありません。そもそも、いったい国家とは何をさすのでしょうか・・・。
 この本を読んであっと驚いたのは、地下鉄サリン事件が起きた1995年3月20日よりも3日前の3月17日に、陸上自衛隊の化学隊がサリン防衛に動き出していたという事実がさらりと書かれているということです。しかも、なんと戦闘用防護衣まで用意されていたというのです。
 オウム教団がサリンをつかってテロ攻撃することを3日前に自衛隊はつかんでいて、すでに400着の防護衣まで用意されていました。著者はそのことを何ら問題とすることなく、現場の自衛隊指揮官がいかに勇気があったかをほめたたえています。私にはとてもついていけません。事前に情報をつかんでいたのなら、地下鉄に乗りあわせていた一般市民が被害にあわないようにすべきだったのではないのでしょうか・・・。
 現場の第一線にいる指揮官が生命をかけていることは私も認めます。しかし、そんなことを言うのなら、私たちの日常生活を守るために生命をかけている人はほかにもたくさんいるのではないでしょうか。たとえば、電柱にのぼって配線工事をしている人、トンネル工事などに従事している人など・・・。なにも、人を殺す武器をもっている自衛隊だけが生命をかけて国民(とその日常生活)を守っているのではありません。
 私は、防衛大学校を卒業した人たちが、自衛隊を退官したあと、どんな生活をしているのかについて、すごく関心があります。三菱重工業や小松製作所などの兵器(軍需)産業に多くの人が就職(天下り)していっているのではありませんか。どうなんでしょうか。どなたか詳しく事実を教えてください。

アポロとソユーズ

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著者:ディヴィッド・スコットとアレクセイ・レオーノフ、出版社:ソニー・マガジンズ
 いったい月世界にアメリカの飛行士たちは本当に着陸し、歩いたのか・・・。それを知りたくて読みました。ソ連の宇宙飛行士だったアレクセイ・レオーノフとアメリカのスコット宇宙飛行士がかわるがわる語っていく形式をとっていますので、当時の米ソの宇宙開発競争の実情がよく分かる本です。
 ソ連のガガーリン少佐が世界初の宇宙飛行に成功したのは1961年4月のことです。
 私は中学生でしたが、人間が宇宙に羽ばたいていったことをすごいことだと感嘆しました。手塚治虫の鉄腕アトムの世界が目の前で現実のものとなった気がしました。
 宇宙飛行士になるテストのひとつに片耳だけ氷水を注ぐというのがあるそうです。片耳が温かく、片耳が冷たい状態になったとき、そのアンバランスに内耳がどう反応するのかを調べるテストです。脳は初めてのことで勝手が分からず、目玉がぎょろぎょろ動き出すのだそうです。いい気分ではないでしょうね・・・。
 宇宙酔いを克服するもっとも有効な対策は、実際に酔ってしまわない程度まで、くり返し頭を揺すぶることです。吐き気をもよおすほどの不快さをレベル4として、レベル2程度までくり返し頭を揺すぶって、身体を適応させるのです。ええっー、いやですね、こんなこと・・・。
 アメリカでもソ連でも、多くの優秀な宇宙飛行士たちが事故にあって死んでいきました。宇宙船内では不具合が続出し、原因不明のまま必死に対応しているうちになんとか地球に帰還できたものの、そこはマイナス30度の世界だったという状況もありました。
 宇宙船内になぜか水があふれ出してくる。無重力では水は落ちない。水はくっつきあって大きな水滴となり、その表面張力でゆっくりとはじけるように宙を漂っている。だから、どこから水漏れしているのかをつきとめるのは至難のわざ。うーん、怖い・・・。
 月に着陸したアメリカ人の宇宙飛行士は12人います。スコット飛行士は7人目です。
 地球人にとってもっとも印象的なことは、月世界の静けさ。空気もなく、風邪も起こらず、月面で動いているのは影だけ。花も草もなく、動物も鳥もいない。自然の息づかいは月面にはまったくない。
 スコット飛行士は、月面のくぼみに、月面到着レースの過程で亡くなった米ソの宇宙飛行士14人の名前を刻んだプレートを埋めました。ほかにも死んだ飛行士が2人いたようですが、それにしても14人(16人)とは多いですよね。
 月面を歩いた12人が一堂に会したことは1回もないそうです。そして、6人のパイロットは、うつ病とアルコールに苦しんだ人、プロの画家になった人、宗教にのめりこんだ3人、上院議員と地質学の研究者を続けた人に分かれた。6人の船長は、事業家兼大学教授(アームストロング)、銀行家、NASA、そして事業家2人になった・・・。
 いや、ともかく私は本当に彼らが月面を歩いたという見える証拠がもっとほしい。そう思ってしまいました。なにしろ、スコット飛行士だけでも月面に3日間もいたというのです。もっとたくさんの写真があれば・・・、と思いました。
 34年も前に月世界におりたち歩いた人類は、今ではそんな高度な技術があったのか不思議に思われるほど、後退してしまった印象があります。それは今回のスペースシャトルの出発と帰還がヒヤヒヤの連続だったことにもとづきます。米ソの宇宙開発競争には、まだまだたくさんのことが隠されている気がしてなりません・・・。
 ところで、私の夏の夜の楽しみは、寝る前にベランダに出て望遠鏡で月の素顔を眺めることです。静かな海とか、月面のクレーターの陰影などを見ていると、はるか彼方にある月世界がとても身近に感じられ、逆に地球上の煩わしい人間関係のしがらみや俗世間のことをしばし忘れることができます。

江戸の男色

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著者:白倉敬彦、出版社:洋泉社y新書
 男色(なんしょく)は、日本では奈良・平安時代の公家・僧侶の社会、鎌倉・室町の武家社会、そして江戸時代には庶民をもふくんで連綿と続いてきた性風俗です。
 織田信長と小姓の森蘭丸の関係はあまりにも有名です。これは主人と小姓との間の忠義(主従関係)と、武士間の年長者と年少者との念契(男色上の契約)という二重契約が成立していたと著者は指摘しています。武家社会では男対男の関係が、女色に優先していたという特徴があります。
 江戸時代、男色は梅の香のごとく清らかに芳(かぐわ)しい、というのが当時の主張(考え)であったそうです。とても本当だとは信じられません。
 この本にはたくさんの浮世絵、いわゆる笑い絵です、が紹介されています。いずれも、男色がいかに横行していたかということを意味しています。
 江戸時代、上級の武士たちが若者を男色の相手として楽しんでいたのですが、若衆狂いは女性も負けていなかったそうです。
 三代将軍家光の男色好きは有名だったとのことですが、五代将軍綱吉となると、寵童(ちょうどう)を150人もかかえていました。恐るべき人数です。
 江戸の武家社会は男色・女色とりまぜての融通無碑だったのです。
 男色を売る陰間茶屋が繁盛しましたが、18世紀中期以降は、役者買いの主役は女性にとってかわりました。
 それにしても、武士の息子たちまでが長振袖などを着て町中を闊歩していた、坊主が白昼堂々と陰子(男色を売る若い男)を連れて物見遊山に出かけていたというのです。江戸時代を固苦しいものと考えていると、とんだ間違いをしてしまうようです。

ローマのガリレオ

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著者:W・シーア、出版社:大月書店
 ガリレオは、立ち上がるとき、それでも地球は動いている(エプール・シ・ムオーヴェ)と小声でつぶやいたと一般に言われている。心の中ではそう確信していたかもしれないが、判事たちの前ではそれを出さないだけの思慮深さはもっていた。
 ガリレオを呼び出して裁いた検邪聖省の法廷は、ガリレオに対して七つの贖罪の詩篇を向こう3年間、週1回20分間唱えるという判決を下した。判決文が読みあげられたあと、ガリレオは膝まずいたまま暗唱し、正式な異端教棄の宣誓書に署名した。宣誓書は次のようなもの。
 私は異端の疑いが濃いという判決を受けました。それは、私が太陽は世界の中心にあって不動のものであり、地球は世界の中心にはなく動いているという説を信奉していたことによるものです。私は異端を放棄します。これから先、二度と口頭でも著述の形でも、ふたたび私に疑いがかけられるようなことを口にしたり断言したりいたしません。
 ガリレオは1632年に監獄に収監するという判決をうけたものの、実際には、トスカーナ大公のメディチ荘に移され、その後はシエーナ大司教の招待を受けて2、3ヶ月を過ごした。大司教はガリレオを善良なカトリック信者の賓客として扱い、夕食に招いた。それから、フィレンツェに戻った。フィレンツェではガリレオの著書である「対話」の値段が急騰した。もともと半スクードだったのが、6スクードにまではね上がった。
 ガリレオは、聖書が誤るはずはないが、その解釈には誤りが生じうるという立場だった。
 異端審問所の法廷では、被告は召喚されたら、自分の弁護はできず、ただ誤りを認めて撤回するしかなかった。自らの罪を認めて告白する方が賢いというよりは、無理やりそうするようにし向けられた。ただ、有罪が確定していたとしても、その量刑は尋問のあと初めて決定される。ガリレオの人間像に迫った本です。

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