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生物時計はなぜリズムを刻むのか

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著者:ラッセル・フォスター、出版社:日経BP社
 ヒトは、時計をもたずに暗い洞窟に入り、日光の届かない状態で数日過ごすと、遠い昔の生活パターンに戻る。時間を知る手がかりを失うと、ヒトのリズムは外界から徐々にずれていく。
 地球上の時間が体内の時間に正しく反映されるよう、生物時計は毎日の日の出と日没によってリセットされる。ちょうど、テレビやラジオの電波をつかって原子時計の正確な振動に腕時計をあわせるのと似ている。このたとえは、今や古くなってしまいました。私も、安い電子時計をもっています(もらいものです)。衛星から送られてくる電波によって、自動的に時刻を自分であわせる仕掛けになっています。
 機械式時計が地球上にあらわれたのは1300年ころのこと。花時計の方は1751年にできた。オニタビラコとタンポポの花が、毎日誤差30分以内の周期で開いたり閉じたりすることに目をつけて、オトギリソウ、マリーゴールド、スイレンなどを円形に植えてつくったもの。たとえば、ミモザも暗いところに置いても、その葉は、まるで昼夜が分かっているかのように周期的に開いたり、閉じたりする。
 ゴキブリも、暗いなかにおいても、およそ24時間ごとの2〜3時間に活動を集中させる。自分のなかで昼と夜を区別している。
 ハチの「8の字ダンス」は有名です。今ではハチの一匹一匹に小さなバーコードをつけ、巣箱を出入りしたらレーザースキャナーで個体を識別している。ええっ、そこまでしてるのかー・・・、おどろきました。探索バチが巣に戻る時間が夕方遅くなって、ほかのハチがもう出かけられないとき、どうするか。その日はダンスを踊らず、翌朝ダンスする。そして、距離を示す尻振り回数や太陽に対する方向を覚えていただけでなく、12時間の時間差まで正確に補正してみせた。なんという能力でしょうか・・・。
 ニワムシクイという鳥に、時間ごとにエサの置き場所を変えると、鳥は決まったパターンで飛んでいくようになった。では、この鳥を3時間エサ場に行かせなかったら、どうなるか。3時間後に放たれた鳥は、その時間にエサのある場所にまっすぐ飛んでいった。つまり、ニワムシクイは、3時間という時間をきちんと認識して、それにあわせて自分の飛行スケジュールを調整したのだ。うーむ、すごーい・・・。
 ヒトの体内では、1個1個の原子が1016ヘルツで振動している。
 17年セミがいる。このセミの幼虫で、15年間を地中で過ごした幼虫をとりだし、1年に2回花をつけるように操作した桃の木の根から栄養を取らせるようにした。すると、セミは1年早く地上に出てきた。セミは木の根から栄養を取りながら、木の生理学的な変化を感知し、年数をカウントしていることになる。でも、どうやって、カウントした数を覚えているのか、謎のままだ。
 砂漠のラクダはどうやって高温に耐えているか。ラクダの体温は昼は41度にもなるが、まだ死ぬほどではない。夜は、水分を失ったラクダの体温は34.2度まで下がる。これはヒトにとっては危険状態。しかし、ラクダにとって体を冷やしておけば、翌日、体温が高くなるまで長い時間かかるという利点がある。つまり、ラクダは、体を保護するため夜間の低体温症を利用しているということ。そうなんですか、すごい生物の仕掛けですよね。
 ヒトは基本的に昼行性動物である。ヒトは、本来、夜には活動しない。体のあらゆるリズムは24時間の昼行性リズムで動いており、短期間で夜行性のパターンに順応することはできない。午前3時に単独事故を起こす確率は、夜勤を4日続けると、50%上昇する。午前7時から8時には、さらに高くなる。
 チャレンジャー号の爆発事故の直前、NASAの主要スタッフの睡眠時間は2〜3時間であり、しかも、24時間、連続勤務していた。
 フィンランドの客室乗務員の乳ガンの有病率が高いという統計もある。
 ヒトと生き物の時間に対するかかわりを考えさせる本でした。
 百合の花が咲きはじめました。朱色の百合、そして白にピンクのふちどりのついた百合です。大輪のカサブランカを植えたこともあるのですが、見あたらなくなってしまいました。ヒマワリがぐんぐん伸びています。家の近くの小川にホタルが乱舞しています。いつ見ても心がなごみます。

山内一豊と千代

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著者:田端泰子、出版社:岩波新書
 戦国武士の家族像というサブタイトルがついています。
 山内一豊の妻・千代に対して内助の功と呼ぶのは正しくないと著者は指摘しています。
 戦国期の妻は、化粧料として特有財産をもち、夫とは対等な人格であった。一豊と千代の関係は、手柄を立てて出世する夫と、それを献身的に助ける妻という夫婦ではなく、妻に特有財産があって政治情勢も把握している、双方ともに賢い夫婦の共同歩調で獲得した出世だった。
 現代と戦国時代とのもっとも大きな差異は、戦国時代には妻の地位と役割の重かった点、妻が家庭にいて社会的活動をしていないという姿ではなかったという点にある。妻も夫も一緒に知恵を働かせ、大まかな役割分担をしながら、時代の変化に対応する手だてを考えたのであり、大まかな役割分担は相互に移行可能であったので、夫が亡くなり、後継者が幼い時には、妻が亡き夫に代わって後家として家を管轄した。妻は夫のパートナーであると同時に、夫のよき代理者でもあったというのが戦国期の夫婦の実態だった。「内助」の意味は現代とは大きく異なっている。
 戦国時代の婚姻はつねに離別を前提とした政略結婚だったというのも正しくない。婚姻関係を結ぶことによる家と家との平和的協力関係こそが、戦国期の武士階級の婚姻の目的だった。
 戦国期に生きた女性には男性と同じ賢さ、判断力、持続的な努力や忍耐力が、現在以上に必要だった。人形のように主体性のない一生を送ることは時代が許さなかった。
 鎌倉期の女性は、男性と同じく、所領や地頭職を持っていて、それを自分の意思で子孫に譲ることができた。
 日本の女性は古代だけでなく戦国期も、やはり強かったのです。

スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」

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著者:小澤徳太郎、出版社:朝日新聞社
 スウェーデンは「人間社会の健全性」と「エコシステムの健全性」のバランスがもっともよくとれていると評価され、「国家の持続可能性」1位にランクされた。日本は24位、アメリカは27位。
 スウェーデンの国土は日本の面積の1.2倍。人口は901万人なので、神奈川県や大阪府に相当する小さな国。
 スウェーデンの行動原理はきわめて常識的で、単純明快。あたりまえのことを、あたりまえのこととして実行する。たとえば、スウェーデン政府は、「地球は有限」を前提として、「経済は環境の一部」と見なしている。
 スウェーデンは、1813年のナポレオン戦争以来、戦争に参加していない。アメリカのイラク戦争にも軍隊を派遣していない。
 物流システムは、IT革命がいくら進もうとも、実体経済のなかで、必ず重要な地位を占める。消費者や事業所への配送ニーズは、これまで以上に高まるだろう。世界最高水準の燃費を誇る日本車や日本の省エネ型家電製品も、使用台数が増えれば、エネルギー総消費量は増える。
 インターネットを介してやりとりされる情報量の増大により、パソコンなどIT関連の機器の消費する電力量は10年間で8倍に増え、2010年には現在の日本の電力需要の3分の1にも達すると予測されている。
 スウェーデンは電磁波対策がもっともすすんでいる国。電磁波は光や電波の仲間で、レントゲン撮影につかわれるX線はがんを誘発したり、遺伝子を損傷する可能性がある。スウェーデンでの調査によって、電磁波は子どもの白血病とかかわりがあることが判明した。そこで、高圧の送電線を学校などの生活ゾーンから引き離したり、コンピューター画面から離れるように規制した。携帯電話からもれる電磁波も心配だが、通信状態を整備するために建てられるアンテナからの強い電磁波がさらに心配である。
 スウェーデンは景気回復と財政再建の二兎を追って、二兎を得た。日本はどちらも得ることができなかった。にもかかわらず、「経済大国日本」を自負する日本の政官は、アメリカ以外はお手本としないという、きわめて不遜な態度をとっている。
 スウェーデンでは、収入に応じて保険料を支払い、払った保険料の総額に応じて給付を受けとる単純明快な所得比例制度がとられている。低所得者のためには、税金でまかなわれる最低保障制度もある。ただし、スウェーデンの給付水準は現役の手取りの38%にすぎない。それでも、医療・介護・住宅といったサービス保障が充実しているから、老後は安心なので、現金支給は多くなくても安心してやっていける。
 スウェーデンの真似をしろというのでは決してありません。でも、スウェーデンに学ぶべきところが日本は大きいことを痛感させられました。

団塊の世代だから定年後も出番がある

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著者:布施克彦、出版社:洋泉社新書Y
 著者も団塊世代です。
 よど号ハイジャック事件や浅間山荘事件など、団塊の世代が世間を騒がせた。一部バカ者の行為なのに、世代全体がショックと自信喪失感に包まれた。
 この「一部バカ者」という表現にはアンチ全共闘だった私にも実は抵抗感があります。著者は当時の大学闘争に没交渉だったのではないでしょうか。よど号事件はともかくとして、連合赤軍事件が全共闘シンパ層に与えた影響は相当に深刻だったと思います。それを簡単に「一部バカ者の行為」として切り捨てられると、そう言われたら、確かにそうなんだけど・・・、という気がしてしまうのです。ただ、その点を除くと、この本で指摘されていることは、ほとんど同感できるものです。現在700万人ほどの団塊世代が生きている。人数が多いというのは、最大の武器である。
 団塊世代のもらう退職金総額は50〜80兆円。2010年の団塊世代関連市場は100兆円をこえる。国民総資産1400兆円の過半数を中高年世代が握っている。
 ところが、団塊世代の多くが自信を失っているように見える。かつて、腕に覚えがあり、仕事の虫だった団塊世代。順風と逆風の両時代を知る柔軟性もある。バブル経済時代までは、どこの会社にも鮮明な派閥があった。社内の人的関係の多くが、団塊世代をもって途切れてしまった。これから日本を背負うべき30代から50代前半の世代は、いま疲れているように見える。
 学生時代に世の矛盾をついて大人に食ってかかった団塊世代は、社会の一員になって実際の矛盾と向きあったとき沈黙した。毎年あがる給料やボーナスを捨てるのは賢くないと判断したのだ。はじめは違和感を覚えた矛盾が、いつか身体に染みこみ、感覚は麻痺してしまった。矛盾を器用にのみこむのが、組織で栄達する前提条件だった。
 団塊世代の多くは転職に自信がない。団塊の世代は後進国に生まれ、中進国に育ち、先進国で仕事する。しかし、団塊世代は自信を失う必要はない。今まで通過してきた人生のなかでこの世代はすでにしっかりと武器を身につけている。これから始まるシニア時代を生きていくうえで、必要なものを十分に身につけている。問題は、本人がそのことをあまり自覚していないこと。自信喪失とともに、本来武器であるべき要素を不要あるいは邪魔なものと考えていることさえある。
 団塊世代気質の核に、枠と標準によって固定された協調と競争の調和精神がある。
 永遠の若者であり続けたい団塊の世代の多様な人生経験のなかで勝ちパターンを知り、挫折も味わって、精神の鍛錬も経験した。ハザマの時代を生きて試行錯誤から、柔軟性も身につけている。そんな団塊の世代は、きっと世の中に役立つ多様な仕事ができるはずだ。そうなんです。お互い、もっと自信をもって、今の変てこな社会を変えるためにがんばろうじゃありませんか。変人・小泉になんか負けてなんかおれませんよ。

えひめ丸事件

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著者:ピーター・アーリンダー、出版社:新日本出版社
 2001年2月9日、宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」がアメリカ海軍の原子力潜水艦の突上の浮上によって激突され、たちまちのうちに沈没し、9人もの死者を出しました。この事件の真相を追究した本です。
 潜水艦は静かに、そして深くという戦術から、海面下にいるときには、電波交信による航行・通信は不可能だから、「音」に頼るしかない。しかも、それはパッシブ・ソナーのみ。相手の発する音を聞くことで相手を識別し、危険物を避けている。自分から音を出して探るアクティブ・ソナーはとっていない。だから、海図にものってない海面下の山があったというときには気づかないまま衝突してしまうことが起こりうるし、現に起きている。なるほど、潜水艦というのは現代最高の科学技術の粋を尽くしているというわけではないのですね・・・。
 衝突したアメリカの原潜グリーンビルは特別招待客をのせていた。アメリカ海軍は、潜水艦や艦船などの建設・維持のための予算を獲得するため、ときどき特別な招待客を艦艇に招いて接待するという政治的・広報的な活動を長く続けている。ワルド艦長のような士官たちは、このツアーのホストをうまくつとめることが、海軍を利するだけでなく、上官に自分の仕事ぶりを印象づけ、昇進につながると期待する。
 つまり、「特別招待客プログラム」は、広い意味では国家の軍事政策に、狭い意味では個々の士官たちの昇進に影響を及ぼすという政治的性格をもっている。なるほど、そうなんですね。このとき潜水艦に乗っていた特別招待客は16人。その多くは、ブッシュ大統領ともつながりの深いテキサスの石油関連企業の重役たちとその妻だった。
 事件後、これらの特別招待客の氏名は隠されていたが、明るみに出た。しかし、彼らは海軍の審問委員会に呼ばれることはなかった。下手すると、海軍の全体としての組織構造による事故だと思われないようにするためだった。ちなみに、日本でも体験航海は実施されていて、2000年には日本近海で60人の民間人が乗艦している。
 原潜グリーンビルからは重要な証拠がいくつか失われた。航海図、録音テープ、ビデオテープなど。海軍が意図的に隠した疑いがある。ワルド艦長は軍法会議にかけられなかった。なぜか。コネツニ太平洋潜水艦隊司令官が原潜グリーンビルの体験航海を許可していたこと、この航海はマッキー退役大将からきたこと、海軍長官をふくむ海軍上層部もからんでいたことが暴露されないためだ。また、軍産共同体を守り抜きたいという深い動機があった。
 ところで、軍法会議は、下の者には厳しく、上の者には甘い。軍法会議にかけられたのは、この50年間で、大将はたった3人であるのに、軍人は1年間に7603人にものぼる。そして、その97%は有罪となった。
 ちなみに、この本は、原潜グリーンビルが「えひめ丸」を標的にしたという説を否定しています。要するに、ワルド艦長が特別招待客を喜ばせるパフォーマンスに終始したあげく、えひめ丸を見落としたという見解です。
 えひめ丸は600メートルの深さから海面下35メートルまで引き揚げられたものの、結局は水没させられました。船体を日本国民の目の前にさらしたくないという日米両政府の思惑からです。
 森喜朗首相(当時)は、当日午前10時40分に事件を知らされても、友人たちと横浜市内でしていたゴルフを中断せず、ゴルフ場を出たのは午後1時近くでした。国民の生命を軽視しているのは今の小泉首相とまったく同じです。
 この本では、最後に、愛媛県が被害者(遺族)と共通の弁護士をたててアメリカ海軍と折衝したことを問題としています。両者は利益相反関係にあるという指摘です。当然のことです。でも悲しいことに、多くの遺族が巨大な圧力を恐れて、県の弁護士に依頼してしまいました。真相究明に奮闘したのは、残った2遺族が依頼した豊田誠弁護士(自由法曹団の元団長です)を団長とする弁護士たちでした。私の敬愛する愛媛(宇和島)の井上正実弁護士も地元の弁護士として参加していました。そのがんばりで、真相究明が一歩前進し、ワルド艦長の謝罪訪問も実現したのです。
 アメリカとの関係で日本の置かれている深層状況を改めて思い知らせる良書です。
 スモークツリーが満開です。フワフワとカスミに覆われるのです。見てるだけで心がなごんできます。純白のジャーマンアイリスがひとつだけ遅れて咲きました。気品のある花です。紫色のネギ坊主そのもののアリウム(かな?)も咲いています。もうすぐホタルが飛びかう季節となります。駅舎の高いところでツバメが子育てでがんばっています。

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