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草花のふしぎ世界探検

カテゴリー:未分類

著者:ピッキオ、出版社:岩波ジュニア新書
 このところ、あまりの暑さに閉口して山にのぼっていませんが、月1回は近くの小山にのぼることにしています。わが家から380メートルの頂上まで、およそ1時間かかってのぼります。おにぎり弁当とミニ缶ビールをリュックに入れて、頂上付近にある開けた草原でお弁当を開きます。下界でアリのようにうごめいている人や車を眺めながら、気宇壮大な心境でおにぎりをほおばると、全身が充実感に包まれます。冬は、石のベンチの上で寝ころがってしばし日光浴をします。夏でも、さすがに頂上は涼しい風邪が吹いていますので、上半身裸になって憩いのひとときです。
 四季折々の草花を眺めながら歩くと、自然のなかに身体が溶けこんでいく気がします。おかげで、花や植物の名前も少しずつ覚えられるようになりました。
 この本には、4月上旬に地上へ顔を出したアズマイチゲが白い花を咲かせるまでの3日間の連続写真が紹介されています。なーるほど、ね。そう思っていると、次は、1ヶ月ちょっとしたらやがて枯れていく様子まで連続写真で紹介されているのです。こうやって、野に咲く花の一生を見てみるのも面白いものです。ところが、このアズマイチゲは、花を咲かせるまでになんと10年近くもかかっているというのです。まさに花の生命は短くて・・・、ですね。
 夏の高原の写真があります。私は、大学1年の夏、学生セツルメントサークルの夏合宿で4泊5日、那須の三斗小屋温泉に行ったことがあります。黒磯駅からバスに乗って、終点で降りて2時間ほど山道を歩いたところにある秘境の温泉です。そのころは電気もなく、ランプ生活でした。煙草屋旅館と大黒屋旅館の2つがあり、私たちは煙草屋旅館に泊まりました。50人ほどの男女学生が日頃の地道な実践活動を交流し、生き方を語ったのです。とても刺激的な合宿でした。周囲の野山にハイキングにも出かけました。黄色いニッコウキスゲやキンバイソウそして紫色のマツムシソウ、ヤナギラン、シモツケソウ、ハクサンフウロ、橙色のクルマユリなどが、あっそうそう、湿原地帯もあり、その水辺には水芭蕉の花も咲いていました。決して忘れることのできないなつかしい思い出です。
 ちなみに、翌年夏の合宿は、奥鬼怒の八丁の湯温泉でした。旅館に面した崖の途中に露天風呂があって、夜中にみんなで入って月見を楽しみました。

日露戦争の兵器

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著者:佐山二郎、出版社:光人社NF文庫
 中国の大連には何度か行ったことがあります。一番最初に行ったときには、まだ旅順市内は外国人に開放されていないということでした。しかし、その後、行けるようになりましたので、二〇三高地や東鶏冠山堡塁力などを見学してきました。
 この本は、日露戦争当時につかわれていた兵器を写真つきで解説したものです。二〇三高地をめぐる凄惨な争奪戦がいかにすさまじかったか、いろんな本に書かれているのですが、こうやって兵器の写真を見ると、また一層イメージが湧いてきます。
 有名な28センチ榴弾砲はさすがに巨大で、10トン半もありました。これを、なんと人力だけで山上へ持ち上げている写真があります。また、二〇三高地に、これから胸と背の双方に爆薬をからって突撃しようとする日本軍の決死隊の写真もあります。これは、今ひんぴんと起きているイラクにおける自爆攻撃と同じようなものだったのでしょう。死んだら本当に天国に行けると思えたのか、かなり疑問ですが・・・。
 二〇三高地は、いま観光バスでのぼると、何の変哲もないなだらかな丘のような山並みです。ここをめぐって、何万、何十万人もの将兵が死んだなんて、とても信じられません。

一枚摺屋

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著者:城野 隆、出版社:文芸春秋
 さすが松本清張賞を受賞した小説だけのことはあります。ぐいぐいと読み手を引っぱり、飽かせません。本格的モノ書きを志向する私も、こんなストーリーを新人で書けるんだったら、あきらめるしかないか、そんな絶望感にとらわれてしまうほどです。ところが、新人といっても、奥付をみたら、なんと私と同世代ではありませんか。いや、それなら、もしかして、ひょっとすると、ぼくだって・・・、そんな気が急にしてきました。
 それはともかく、時代は幕末の大坂(当時は、大阪とは書きません)です。読み切り瓦版、いえ、もぐりの瓦版づくりを主人公としています。幕末の大坂には不穏な動きがあります。そして、少し前には大塩平八郎の乱が起こっています。物語はなんと、その大塩平八郎の乱の生き残りがひき起こすのです。時代背景など、読んでいて安定感があるとオビにあります。そのとおりです。江戸の時代小説の書き手がまた1人ふえた気がします。

へんな虫、百面相

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著者:難波由城雄、出版社:光人社
 そのままポストカードになる昆虫たちの写真集です。へんな虫というけど、フツーの昆虫たちの顔がアップでとられているだけなのです。
 オニヤンマの顔があります。その緑色した複眼は、子どものころ、何回となくしげしげと見入りました。いったい、たくさんあるこの眼はどこを見ているのだろうと不思議に思いました。
 クワガタもいます。夏休みになると昆虫採集に出かけました。昆虫の標本づくりに挑戦したこともありますが、それほどうまくは集めることができませんでした。クワガタもカブトムシも山に行ってなんとかつかまえました。今では道路端でも売っています。昆虫が売りものになるなんて・・・。
 カマキリはわが家の庭にもたくさんいます。オスは交尾したあと、メスに食べられてしまうという話があります。食べられないうちに逃げおおせるオスもいるようですが、オスって、どこでも実は哀れな存在なんですよね・・・。
 30年以上も弁護士をしていると、やはり本当に強いのは女性であって、男なんて弱いもんだとつくづく思うのです。ですから、やっぱり女って弱いんですよね、とか、女は損ですねと嘆く相談者に対して、女性の方が平均寿命で6年以上も長生きしていますし、キンさんギンさんは106歳まで生きておられましたけれど、男はせいぜい泉さんの100歳だったんじゃないですか、と反問することが多いのです。いかがでしょうか・・・。

アウシュヴィッツ博物館案内

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著者:中谷 剛、出版社:凱風社
 日本人青年がアウシュヴィッツ博物館で唯一の外国人公式ガイド(嘱託)として働いているというのです。私も、アウシュヴィッツ強制収容所跡地にはぜひ一度は行ってみたい、現地に行って人類史上最悪の愚行の現場に立って、人間とは何者なのかということを改めて考えてみたいと思っています。
 ところが、この本によると日本人の青年はあまり行っていないのですね。韓国からは年に2万人あまり行っているというのに、日本からは年に6700人ほどで、しかも年輩者が中心だというのです。もっと日本人の若者にも出かけてもらわないといけません。
 海外旅行大好き人間の多い日本なのですが、楽しいところではないので敬遠するのでしょう。残念なことです。といっても、現地はかなり交通の便がよくないようです。それでも著者は、この町に一家をかまえて14年になるというのですから、たいしたものです。
 博物館案内というわけですから、アウシュヴィッツの隅々まで図解と写真で説明されていますので、強制収容所当時のことが、かなり想像できます。でも、体験記を読まないと本当の苦しみや辛さは伝わってきません。ただ、その体験者も既にすっかり高齢者となっています。きちんと若者に語り継いでいく責務が、大人の私たちにはあります。
 ガス室で殺された人の半分は女性。収容所登録者の3割が女性。最大のとき、一時期4万5000人の女性が強制労働に従事させられていました。収容所の隣りに大きな戦時工場(I・G・ファルベン)などがあり、そこで働かされていたのです。
 なんともいいようのない辛い現実ですが、人類の歴史の真実から目をそむけるわけにはいきません。

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