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帝都衛星軌道

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著者:島田荘司、出版社:講談社
 携帯電話をつかうと、瞬時に、そのエリア基地局が判明する。基地局から電話までの距離も百メートル単位で割り出せる。そして、電話番号、契約者もすぐに分かる。
 ふーん、そういう世の中なんですね・・・。犯罪捜査につかわれるのはよしとしても、それ以外にもつかわれている気がしてなりません。
 Nシステムだって(今はTシステムというのもあるそうです。その違いがよく解りませんが・・・)、はじめは犯罪捜査のみということでしたが、そうでない使われ方をしたケースがいくつも明らかになっています。警察を信用するわけにはいきません。
 この本には、途中でせこい寸借詐欺のような欺しの手口のあれこれが具体的に紹介されています。人の善意、盲点をついた悪どい詐欺です。読んでいるうちに、いやな気分になってきました。でも、実は多いんですよね。弁護士として悪徳商法を毎日のように扱っていて、本当にそう思います。
 後編には、日本の裁判の仕組みが次のように紹介されています。
 日本の裁判官がいかに威張っていて、乱暴で、理屈の解らない人たちであるか・・・。
 殺人というものは、そして一度これを犯した者がどんな異常な心理状態に突き落とされ、永遠に精神をさいなまれ続けるか。戦争ならまだしも、平時のことなんですから。
 後編には前編の謎ときがありますが、ここで紹介するわけにはいきません。それより、東京の地下についての話を紹介します。日比谷公園の地下に巨大な貯水槽があるというのは、私も聞いたことがありました。戦前からあって、秘密の地下施設だったそうです。
 東京の地下鉄の駅に使い勝手の悪いのが多いのは、既にあった軍施設を無理に廃物利用しているから。千代田線の霞ヶ関駅は元海軍の防空壕だった。
 皇居を防衛するために皇居の周囲に環状に設置されていた地下要塞群の跡。それを結んでつくられたのが、現在の東京の地下鉄なんだ。そうだったんですか、そう言われると大手町駅なんかひどいものですよね。まるで迷路です。いったい自分がどこにいるのか、さっぱり分からなくなってしまいます。

日曜日ピアジェ、赤ちゃん学のすすめ

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著者:開 一夫、出版社:岩波科学ライブラリー
 わが家に赤ちゃんがいないのがとても残念に思えます。昔は身近にいたのですが・・・。孫も果たしてできるのやら、という状況ですので、残念でたまりません。
 というのも、この本には赤ちゃんをめぐる楽しい実験がいくつも紹介されているからです。ぜひやってみたいと思っているのですが・・・。さし絵がまた、とてもいいのです。いかにも愛くるしい赤ちゃんそのものです。
 たとえば、赤ちゃんにベロ(舌)を出してみせます。普通の顔とベロを出すのと交互にくり返して見せます。赤ちゃんはいったいどんな反応をするでしょうか。
 赤ちゃんは、大人のように自分のベロを出してくれるのです。あたりまえのようですが、これって単なる反射行動ではないのです。鏡も見ないで、相手の動作と同じ行動ができるというのが、実はすごいことなんです。うーん、そうなのか・・・。
 次の実験は、まず初めの1分間は笑顔で赤ちゃんに話しかけます。次の1分間は静止顔です。声は出さずに、じっと赤ちゃんの顔を見つづけるのです。怒った顔でも悲しい顔でもなく、あくまで普通の顔です。そして、最後の1分間で、笑顔になって話しかけます。
 さあ、途中の静止顔に赤ちゃんはどう反応するでしょうか。
 赤ちゃんは静止顔を見たくないため、顔をそむけたり、むずがったりするそうです。これは赤ちゃんにはコミュニケーション能力があることを意味します。うーん、本当でしょうか。たしかめてみたいものです。この赤ちゃんは、生後2ヶ月から8ヶ月くらいまでです。
 次の実験は結果が意外でした。対象の赤ちゃんは生後9ヶ月から12ヶ月です。赤ちゃんの前にハンカチを2枚、別々に置いておきます。少し中央にふくらみをもたせます。そして、どちらかのハンカチの下におもちゃを隠すのです。赤ちゃんがハンカチを取ってオモチャを手にしたら、ほめてあげます。そこで、実験です。今度は別のハンカチの下におもちゃを隠します。赤ちゃんの見ている前で隠すのです。
 さあ、赤ちゃんはどちらのハンカチを取るでしょうか・・・。なあーんだ、そんなのあたりまえじゃないか。おもちゃを隠した方のハンカチを取るに決まっているだろ。見てたんだから・・・。
 ところが、ところが、赤ちゃんは最初に隠したハンカチを取るというのです。えーっ、ウッソー、ウソでしょ。そう叫びたくなります。学者が何度も追試したそうですが、結果は変わりませんでした。これについては、赤ちゃんにとって、対象は見えていなくても存在しつづけるという対象の永続性概念をもっていないからだと説明されています。つまり、対象が見えなくなることは、もうそこには存在しないと赤ちゃんは考えるのです。それにしても不思議ですよね。
 3歳ころまでの赤ちゃんの記憶は人間誰でも思い出すことができません。つまり、3歳児までの赤ちゃんは、それ以上の年齢の人間とは違った存在なのです。そこに赤ちゃん学が存在する根拠があります。うーん、人間って奥の深い存在なんだ・・・。

真実と正義のために

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著者:諫山博さんを語るつどい、出版社:福岡第一法律事務所
 諫山博弁護士の追悼文集です。諫山弁護士は2004年11月27日、82歳で亡くなられました。1949年に九大の哲学科を卒業し、1951年から福岡市内で弁護士をしてこられました。司法修習3期です。1972年から衆議院議員を4年間、1986年から参議院議員を6年間つとめられ、国政でも日本共産党の議員として大活躍されました。
 この本の表紙は諫山弁護士の精悍そのものの写真になっています。わたしも一度だけ刑事事件をご一緒しました。公選法違反事件(戸別訪問事件)でした。
 諫山弁護士は公訴権濫用論を初めて提起した弁護士として有名です。
 林健一郎弁護士が、諫山弁護士は膏薬弁論とペニシリン弁論というたとえで問題提起していたことを紹介しています。次のような言葉です。
 私はしみじみ考えます。弁護士は膏薬貼りの弁論に甘んじてはいけない。社会の表面に吹き出たものにいくら膏薬を貼ってみても、できたものの根がなくなるわけではない。ふきでものの根を絶つ弁論、膏薬貼りの弁論ではなく、ペニシリン注射的な抜本的な弁論、これはまさに政治の仕事ではないのか、これが私の心境です。
 すごい指摘です。刑事事件(ほとんど国選弁護です)を扱うなかで、まさにここにある膏薬貼りの弁論しかできていないことを恥ずかしく思いました。といっても、なかなかペニシリン注射的な弁論というものを考えつきません。
 諫山弁護士は大の甘党でした。小泉幸雄弁護士が一緒に外出したとき自分の分と思っていた梅が枝餅を食べられてしまったという、ほほえましい思い出を書いています。
 椛島敏雅弁護士は諫山弁護士から諭された言葉を紹介しています。
 弁護士は法廷では臆してはいけない。傍聴人に分かりやすい言葉で、大きな声で弁論するようにしなさい。ぼそぼそと小さな声で発言すると、当事者が不安がります。
 まことにもっともな指摘です。
 諫山弁護士は公安警察と果敢にたたかいました。古くは菅生事件です。現職警察官が駐在所を爆破して共産党に責任をなすりつけ、逃亡した事件です。犯人の戸高公徳警部補は、発覚後も警察内部で異例の大出世をとげました。警察の体質を露呈しています。
 また、公安調査庁の共産党スパイ盗聴事件のときには現場で摘発しています。
 「語るつどい」のとき、仁比聰平参議院議員が諫山弁護士の三池争議における活躍を紹介しながら、心温まる挨拶をしたのも大変印象にのこりました。

陣屋日記を読む

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著者:成松佐恵子、出版社:雄山閣
 いやあ、日本人って、本当に記録を残すのが大好きなんですねー。もちろん、私もその一人なのですが・・・。まあ、おかげで江戸時代の人々の暮らしが実によく分かります。
 奥州守山藩なんて言われても、まったくピンときませんよね。それもそのはずです。石高わずか2万石。藩士は200人ほどで、お城もない。元禄13年(1700年)に成立し、幕末まで170年のあいだ存続した。所在地は現在の福島県郡山市。水戸藩の支藩です。守山陣屋に定詰(じょうづめ)の藩士は10人にもみたなかった。
 この守山陣屋に御用留(ごようどめ)と呼ばれる陣屋日記が、なんと143冊も残っているのです。郡奉行サイドでしたためた郡方政務日誌といえる内容なのです。これを学者の指導を受けた素人が解読していき、一冊の本をまとめたわけです。本当にすごいことです。日本人って偉大なんですね・・・。
 守山藩の藩主はずっと江戸にいて、参勤交代の義務はなかった。そこで、江戸と守山陣屋のあいだでは御用状と呼ばれる書面が頻繁にやりとりされている。
 郡奉行にとって人口減少の著しい領内の農村対策が最大の課題だった。
 郡奉行の下に位置するのは目付で、なぜか頻繁に交代している。化政期20年間に13人が入れ替わり江戸から着任した。
 郡奉行が借用金に関する不正が発覚して捕縛され入牢の身となり、結局領外追放という厳しい処分を受けたこともあった。
 庄屋は守山藩では、すべて陣屋が任命した。世襲でもあった。たまに「役儀不当」として罷免されることもあった。
 治安維持に関してみると、博打が全国的に流行していて、文化年間に3回も老中触れが出されている。守山藩でも文政年間に12回も摘発があった。しかし、十分な取締効果はあげていない。
 それでも守山陣屋わずか10人の武士で6000人もの領民を支配していけたのは、村役人を通じての間接統治があったからこそ。
 陣屋日記で紹介されているなかで注目すべきは訴訟沙汰の多さです。
 文化文政におこされた訴訟11件のうち、8件が他領より訴えられ、そのうちの6件のべ24人が個人的な金銭債務で訴えられている。利息つき無担保の、いわゆる金公事(かねくじ)である。金公事のほかにも、川筋を上流の村が閉め切ったため不漁になった下流の村が訴え出たり、神社の神職間の紛争もおきている。
 日本人は実は昔から訴訟(裁判)が好きだったことが、この本からも分かります。といっても、江戸時代には判決にいく前に調停(内済)させられることが多かったのです。扱人(あつかいにん)と呼ばれる第三者が介入して話をまとめようとします。
 農民が集団で村を抜け出して水戸本藩に越訴(おっそ)しようとしたり、他領(二本松藩)に駆けこんだりしています。決して百姓はおとなしくはなかったのです。
 庄屋が商用と称して領外へ出かけることも多くありました。その期間も2〜3ヶ月から最長6ヶ月もあったのです。年に4、5回、多いときには10回もありました。
 湯治や参詣を目的とした外出も多かったようです。1回30日ほども温泉に湯治に行っていました。三斗小屋に26日間行ったというのが記録に出てくるのを見て、私の大学時代の4泊5日の夏合宿をなつかしく思い出しました。
 守山藩には、文化文政の20年間に90歳に達した者が男12人、女21人いました。養籾(やしないもみ)2俵(9斗)が生涯わたされることになっていた。およそ一人一年分の食い扶持にあたる。要するに、90歳になったら老後の心配はしなくてよいということなのです。今の日本はどんどん福祉の切り捨てがすすんでいて、老後の不安が高まっています。週刊誌に「高齢者の税金が10倍。これが小泉政治の本質」という記事が出ていました。まさしくそのとおりです。年寄りを大切にしない社会では日本も長いことありません。
 欠落(かけおち)は守山藩では草隠(くさがくれ)と呼ばれていた。文化期の9年間に1年に平均10件、21人が草隠人が出ていた。村でなにかの不祥事をおこすとお寺に駆入り救いを求めるということが次第に習慣化していた。
 面白いですね。このようにして江戸時代の実相がどんどん分かっていくのですね。江戸時代は決して暗黒の世紀ではなかったのです。

トム・クランシーの空母

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著者:トム・クランシー、出版社:東洋書林
 現代のニミッツ級空母は、4.5エーカーに集積されたアメリカの小都市に相当する。いつでも一日に700海里以上も移動でき、完全な医療支援、機械整備、ジェット・エンジン試験室、給食活動、コンピューター支援、発電その他を提供できる。
 一隻の空母は60〜70億ドルの価値をもち、6000人以上を雇っているビジネス体であるが、従業員の平均年齢は21歳以下である。
 一個の空母戦闘群に国は200億ドルの資産を投入する。乗艦している1万人の兵士に食事、給与、医療を提供しなければならず。その運用・維持に年10億ドルの費用がかかる。現在、アメリカは12個の空母戦闘群の維持を計画している。通常、2〜3個の空母戦闘群が前方展開している。
 空母には離艦する航空機に速度を与えるカタパルトがある。これは基本的に蒸気動力ピストンである。キャデラックを1キロ先まで飛ばす力がある。
 空母に着艦するのは難しい。2階の窓から白鳥を飛びおりさせ、地面上の郵便切手を舌で見つけ出すことに匹敵する。
 作業が適切なら、20秒から30秒おきに1機を空母に着艦させることができる。
 冷戦時代には、毎年10万人の新兵を採用していた。平和な現在でも毎年5万人ほどを必要としている。新兵募集の目標は、高校卒業が95%、うち65%の知能指数がクラスの最上位にあることとしている。
 1970年代半ばから、空母には男女別々の寝台設備とトイレの区画をもつよう改造された。今では、女性まで殺人マシーンに組み込まれているのですね。
 ニミッツ級空母には6000人が乗る。空母要員として士官155人、水兵2890人、航空要員として士官365人、下士官2500人が乗っている。
 また、ジェット燃料9000トンと爆弾・爆薬・ミサイルを2000トン積んでいる。
 F14・トムキャットは全長19.1メートルの複座・双発の戦闘機である。そして、写真偵察ができる。前方と下方を見るカメラ、航空機の両側を水平線から水平線まで撮影するパノラマ・カメラ、航空機の直下を掃査する赤外線スキャナーをつんでいる。デジタル・カメラとなっているので、飛行中に空母に解像度の高い画像を送ることができる。写真をとって情報士官が確認するまで5分しかかからないシステムで、これは移動目標を迅速に攻撃するために必要な情報を戦闘群指揮官に提供できる。
 トムキャットの最大の欠点は、購入と維持に要する巨額の費用である。
 アメリカ軍の原子力空母の日本寄港が日常化しつつあることを私は大変危惧しています。日本は本当に独立国家といえるのか、根本的な疑問を感じるのです。
 横須賀基地に原子力空母ジョージ・ワシントンが2年後に配備されようとしています。これはアメリカ軍の世界的規模での再編の一環です。アメリカ国防省が今年2月に発表した国防計画の見直しによると、航空母艦や戦略原潜・攻撃型原潜の60%をアジア向けに太平洋に集中配備するということです。横須賀基地への原子力空母の母港化は、そのカナメをなすものです。
 過去の海軍は海上の戦争だけを考えていればよかったが、グローバリゼーションがすすんだ現在では、陸上の作戦に全面的に関わらなくてはいけない。つまり、海から陸上に攻撃をしかけ、大陸のなかにまで軍事的支配を広げることが海軍の中心目標になっている。
 また、石油節約のため、原子力推進艦船をアメリカはさらに重視している。なにしろアメリカ政府機関全体の一日の石油消費量33万バレルの90%をこす30万バレルをアメリカ軍がつかっているのです。
 アメリカ軍の世界戦略にどっぷり組みこまれている日本ですが、それが強まれば強まるほど、戦争に巻きこまれる危険は高くなります。おーいやだ、いやだ。私は絶対にいやです。やっぱりヤンキー・ゴーホームです。

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