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わが真葛物語

カテゴリー:未分類

著者:門 玲子、出版社:藤原書店
 只野真葛(ただのまくず)という江戸時代後期の女流文人を紹介した本です。一見ペンネームのようですが、本名です。父親は仙台藩江戸詰の医師であった工藤平助で、田沼意次に「赤蝦夷風説考」を献上し、自ら蝦夷奉行になれるかと期待したこともある人です。これは、田沼の失脚で夢と消え去りました。
 江戸に生まれた真葛は、仙台藩士の只野伊賀行義(つらよし)に嫁ぎ、35歳で仙台に下りました。寛政9年(1797年)のことです。夫のすすめから著作活動に入り、「みちのく日記」などを書き、代表作の「独考」について滝沢馬琴の批評を求めました。馬琴は手厳しい批判をしたようですが、これは彼女を高く評価していたということです。
 当時の女性にとって、大名の奥御殿に勤めることは、広く世間を見て、自分の教養・才能を活かし活躍できる最上の場だった。真葛も16歳のとき、仙台藩の御殿に上り、伊達夫人に仕えています。
 江戸時代にも多くの女性が文章を書いているが、女性の作品が刊行されることは、ごく稀であった。真葛は松島に遊んで紀行文を書いたが、その前に2人の女流俳人が紀行文を書いた。九州筑後出身の諸九尼(58歳)と長門の菊舎尼(30歳)であった。昔も今も、ほんとうに日本女性は旅行好きなのですね。
 「独考」は、たしかにかなりユニークな内容です。
 儒教の教えというのは、昔からご公儀がご政道に専用と定められているので、真の道だと思われがちだが、実は人のつくった一つの法に過ぎず、唐国から借りてきたもの。いわば表向きの飾り道具であって、小回りのきかないことは街道を引く車に似ている。家の内のことは、もっと融通無碍の、人情にそった処理法がある。
 人の心は性器を根源として体中にはえひろがるので、男女が逢いあう結婚というものは、心の根源たる性器を結合して勝劣を決めるのである。
 ここでは男女の性交渉(セックス)を、男女間の勝劣の観点でとらえています。セックスを正面から論じているのに驚かされますが、少しずれているように思います・・・。
 武家が町人より借りたお金は、結局、また利子を背負ってふくらんで、貸した町人のところへ帰っていく。そして、お金の尽きた武士たちは仕方なく町人に頭を下げ、お金を借りて日々を送り、利を取られたうえに、町人に卑しめられるのこそ無念である。
 このように、真葛は武家の立場に立ち、町人を敵と見ていたのです。これに対して馬琴は町人の立場から批判を加えています。江戸時代の人々の思索の深まりを感じることのできる本です。

鈴木敏文の統計心理学

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著者:勝見 明、出版社:日経ビジネス人文庫
 セブン・イレブン名物の毎週水曜日の東京本社会議の様子が紹介されている本です。全国から1400人ものOFC(店舗経営相談員。オペレーション・フィールド・カウンセラー)を集めて、毎週毎週、鈴木敏文会長が直接話しかけるというのです。毎週、何をそんなに話すことがあるのか、それが気になって読みました。
 セブン・イレブンの本社は今は移転しましたが、これまでは浜松町近くにありました。今は四ッ谷駅の近くにあるそうです。
 鈴木会長は、話の区切り区切りで、OFCたちに向かって、「みんなわかったね」「約束してくれるね」と念を押す。そのたびに「わかりました」のかけ声があがる。
 鈴木会長は、われわれの競争相手は同業他社ではなく、最大の競争相手は目まぐるしく変化する顧客ニーズであるといい、外資も脅威と考えていない。
 鈴木会長は他店見学をしてはいけないという。今や、もの真似の時代ではないからだ。
 今の日本は多様化の時代というけれど、実は、そうではない。明らかに画一化の時代であり、ますますその傾向は強まっている。みんなが同じ商品に殺到する。
 なるほど、そうなんですよね。多様化どころか、画一化。これが現代日本の困ったキーワードです。個性を生かして、てんでんバラバラというんじゃないのです。
 絶えず仮説を立てて先を見通す努力を怠るべきではないという指摘があり、なるほど卓見だと感心しました。たしかに過去の体験にこだわっていたら、世の中のはやい変化についていけないでしょう。
 ところで、鈴木会長は、「社内では本を読むな」が口癖だといいます。えーっ、そんな、ひどい・・・。そう思いました。ただ、それはハウツー本の類は読むな、ということなので、少し安心しました。そんなものは過去のことをまとめているだけで、新しい時代に向かっては何の約にも立たない。ということなんです。そう言われたら、たしかに・・・、という気もしてきます。
 イトーヨーカードーは、10年前までは2000坪の店舗がもっとも売場効率が良かった。ところが、今は、2倍の4000坪クラスがもっとも利益を上げている。
 セブン・イレブンの顧客の来店頻度は、週2〜3回が31%、週4〜5回と毎日来店をふくめると、週2回以上のお客が63%になる。そんな来店頻度の高いお客にとって、Aランクの商品は、それだけ飽きやすいということ。なーるほど、ですね。それにしても、コンビニに毎日行くなんて人の気がしれません。心の寂しい人なんでしょうね、きっと。
 鈴木会長は、講演に原稿を用意しないという。重要会議でも事前に資料を読まず、テーマも聞かないという。先入観がなく白紙で直観を働かすためだという。そういうこともあるのでしょうか・・・、私にはとても理解できません。
 セブン・イレブンのお客に中高年の比率が高まっている。50歳以上が22%もいる。
 セブン・イレブンで扱う商品は、年間7割が入れ替わる。うーん、なんだか、大変なことですね。若者だけでなく、中高年も寂しい生活を送っている人が、それだけ増えていることなんでしょう。でも、コンビニって、どこでも人間同士のふれあいはありませんよね。若い店員のかけ声はありますが、あれもいかにもマニュアル(教則本)どおりで、嘘っぽくてソラゾラしい気がしてなりません。

チャイナハンズ

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著者:ジェームズ・R・リリー、出版社:草思社
 中国にいたCIAの工作員がキッシンジャーの代理人となり、ついには中国駐在のアメリカ大使にのぼりつめたというのに驚いてしまいました。まことにアメリカというのは謀略を愛する国なのですね。ゾッとします。
 著者は山東半島で生まれたアメリカ人です。父親がスタンダード石油の中国駐在社員だったからです。そして、CIAの要員だったので、この本もCIAから内容のチェックを受けたことが付記されています。
 著者たち一家は1926年に青島に住むようになりました。ええ、チンタオ・ビールで有名な、あの青島ですよ。当時、1万5000人の日本人が青島にいて牛耳っていたそうです。日本人というのは、商人と実業家です。少年の目からみても、外国勢力のなかでは、日本の野望がもっとも貪欲に見えたようです。
 著者はアメリカの大学に進学します。イエール大学です。このイエール大学はアメリカ戦略情報局(OSS)の創設に一定の役割を果たしました。OSSがCIAに改編されたときも、その中核にイエール大学は卒業生を送りこんでいます。
 CIA工作員になった著者は中国で秘密作戦に従事します。毛沢東の共産党が勝利したあと大陸に残った160万人の国民党軍を支援することです。台湾から空路で中国人工作員を満州に送りこんだこともあります。しかし、見事に失敗しました。
 金門、馬祖両島に中国は砲撃しはじめた。この二つの島には、台湾側の軍事基地とCIAが協力してすすめていた中国本土への秘密作戦の発動拠点が置かれていた。私が小学生のころのことですから、今でも記憶に残っています。すぐにも戦争が始まってしまうような暗い雰囲気を子ども心にラジオのニュースに感じ、不安が高まりました。
 少年時代の体験から、中国人は概して外国人に酷い目にあった体験から傷つきやすく、ちょっとしたことで激昂する性格を持ち、国際社会に訴える能力があり、人心操作術が得意な人々である。著者はこのように考えています。
 中国人が歴史体験で深く傷ついているからといって、排外主義を見逃してしまうということにはならない。著者の職業的アプローチは、このように中国という国と、その意図を一定の距離を置いて観察することだ。
 著者は1979年8月に、CIA本部から情報殊勲章を授与されました。それは北京にCIA支局を開設したことを評価したものでした。そして、1986年11月に、著者は駐韓大使として韓国に赴任しました。全斗煥大統領から廬泰愚大統領へ替わろうとする時期です。与党の党大会にもアメリカ大使として出席してにらみをきかせました。大韓航空機が空中爆破され、犯人の一人である金賢姫が捕まった1987年11月も駐韓大使でした。
 そして、1989年3月、中国大使に任命されたのです。4月から天安門広場での民主化デモが始まりました。まさしく激動する中国に赴任したわけです。
 中国のサハロフとも呼ばれていた天体物理学者である方励之をアメリカ大使館内に13ヶ月間も匿(かくま)っていたことを明らかにしています。方夫妻は医療棟を住居にしていたとのことです。
 先日の仏検(準一級)の結果が分かりました。75点で合格していました(基準点は 70点。120点満点)。自己採点のとおりでした。今度の日曜日に口頭試問があります。3分前に問題文を渡され、2問のうち一問を選び、3分間スピーチをします。そして、そのあと4分間、フランス人の試験官と問答するのです。これまで1勝2敗です。思うようにスピーチできません。頭のなかを単語がぐるぐるまわってしまうのです。それでも、がんばってみます。

憲法「私」論

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著者:水島朝穂、出版社:小学館
 著者の講演を私も聞いたことがありますが、きわめて明快で、説得力がありました。
 自衛隊がイラクへ持っていった重装備には驚かされます。
 84ミリ携行式無反動砲。これはカール・ダスタフといい、スウェーデンのFFV社が開発した。従来の無反動砲には、発射後に後方へ噴出する火炎が大きくて、うしろにいる味方は注意を要し、命中しないと敵の格好の餌食となるという欠点があった。そこで、目立ちにくく、確実性が高く、使いやすいということで導入された。
 110ミリ個人携帯対戦車弾。パンツァーファウストというドイツ製の使い捨て成形炸薬弾。これは化学エネルギーで戦車の装甲に高熱・高圧の爆風を当て、穴を開けて内部を破壊する武器。300メートルの距離から700ミリ以上の装甲板を貫通することができる。
 軽装甲機動車。ライトアーマーと呼ばれ、最高速度100キロで、高機動車より装甲が厚く、対戦車ロケットなどの発射も可能。
 96式装輪装甲車。クーガーと呼ばれ、12.7ミリの重機関銃または96式40ミリ擲弾銃をのせるもの。最高時速100キロで、通常は四輪駆動で走り、オフロードでは八輪駆動へ切り替えができる。コンパクトタイヤを使用しているので、火力脅威のなかを高速で人員を輸送できる。
 このように機動力と火力を大幅にアップしており、明らかに戦闘行動を想定している。
 私は、これらの映像を北海道の佐藤博文弁護士から送ってもらって、パワーポイントで拡大して見ました。すごい迫力です。自衛隊がイラクへ戦争をしかけに出かけたことがよく分かりました。憲法違反の行為だと、つくづく実感します。
 陸上自衛隊は8月までにイラクを撤退するようですが、航空自衛隊のほうは逆に増強されるのです。アメリカ軍が戦死者を減らすために、地上戦より航空戦重視に切り替えるのに符丁をあわせた行動です。いつまで、どこまで日本政府はアメリカの言いなりになるのでしょうか。まったくやり切れません。
 ちなみに、毎日新聞のコラムによると、毎日新聞がイラクから自衛隊が「撤退」と記事にかいたら、けしからんという抗議がとんできたそうです。「退」の字は「敗退」をイメージさせる。だから、小泉政府は「撤退」を「撤収」と言っているのだ・・・。そうだったんですか。ちっとも知りませんでした。でも、アメリカ軍がイラクの人々に勝っていないのですから、その目下の同盟軍である日本の自衛隊が「勝てる」わけがないことは自明の理です。「戦う」前から「敗けている」ことは事実でしょう。少なくとも、私は、そう思います。もちろん、戦わないほうが断然いいのです。
 著者はいろんな歴史グッズを収集しています。私も講演のときに見せてもらったことがあります。なんと自衛隊の地雷まで入手したというのです。どうなっているんでしょうね。自衛隊の武器保管は大丈夫なのでしょうか。アメリカ軍の地雷探知機も持っているそうで、写真で紹介されています。手榴弾もあるそうです。最近、暴力団員の国選弁護人になりましたが、暴力団の武器庫には、それこそ手榴弾から機関銃まで大量にそろっているというのです。恐ろしいことです。
 武器は決してオモチャではありません。これまで人を殺したことのない自衛隊は果たして軍隊として役に立つのか、アメリカ軍は疑っているそうです。いいえ、それでいいんです。人を殺すのに慣れてしまったアメリカ人なんて、人間の顔をした狼にすぎないんです。と言ったら、狼が怒りだすのではないでしょうか。オレたちは無闇やたらな殺生はしない・・・、と。殺したり、殺されたりすることのない世の中にしたいものです。つくづく、そう思います。

まる儲け!

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著者:大田 勝、出版社:角川ワンテーマ21新書
 成功している化粧品会社の社長の苦労話です。どんな化粧品なのか、実は、まったく知らないのですが、書いてあることに共感を覚えましたので、紹介します。
 出る杭は打たれるが、出すぎれば認められる。たった一度の人生、かけがえのない人生なのだから、言いたいことは言い、思うように生きたいものだ。
 基礎化粧品なんか要らない。洗顔が基本だ。25歳はお肌の曲がり角。だから基礎化粧品で肌に栄養を与えてあげないと、老化が早まってしまうなんていう化粧品業界のコマーシャルは根拠がない。
 新陳代謝や皮膚呼吸がスムースに行われ、皮脂が十分に分泌されていれば、皮膚の表面には皮脂や汗が混じりあった皮脂膜が形成され、バリア機能が働く。つまり、皮膚は上部になり、アレルギーなどの外敵にも負けにくくなる。肌には何よりもまず、洗顔が大事なのである。皮膚の角質層に届くのは、せいぜい保湿成分であり、皮膚の奥深くに栄養が吸収されることなどありえない。これは皮膚学の常識だ。皮膚に栄養を供給するには、口から食べるしかない。
 長年クリームやら美容液を肌に与え続けてきたため、肌が本来分泌すべき皮脂を、もう十分に足りているから分泌する必要はないだろうと勘違いさせる。過剰な手入れによって肌本来の機能まで失いかけているのだ。
 大衆に説得は無用。大衆は、まわりくどい説明の一部始終を辛抱強く聞いてくれるほどヒマではない。うーん、たしかにそうなんでしょうね・・・。でも、そこをなんとか乗り切らないと・・・、とつい思ってしまいます。
 大衆の目線でモノを見、生活感を忘れないこと。心に訴えなければ、成果は望めない。
 サラリーマンを15年以上続けた人は、無理をせず、そのままサラリーマンでいたほうがいい。脳細胞がすっかりサラリーマンになってしまっている。脳細胞の危機管理能力は衰えている。経営に必要な勘が働かなくなっている。無駄なことはしないのが、私のモットー。実は、わたしもそうなんです。
 赤信号で左右を見て安全を確認して渡る人は多い。しかし、赤信号で待つくらいの余裕はもっておきたいもの。赤信号は誰に向かっても危険を知らせるサインであり、これに用心するのは当たり前。しかし、人生の不幸は、実は青信号のときに迫っていた危機に気づくのが遅れたために起こるものだ。自分自身の目と耳で、安全をしっかり確認してから確実な一歩を踏み出す。社会のルールなどに依存せず、まずは自分を信じて歩き出す。それが自信というもの。自信は、依存を捨てた心にしか芽生えない。
 どうしようもないことに、くよくよ悩まない。これも、わたしと同じです。といっても、放っておくとくよくよしたくなりますので、気分一新を図る工夫が必要です。わたしの場合は、それは本を読むことです。本の世界に没頭していけば、くよくよしていたことなんか、きれいさっぱり忘れることができます。
 日本は、消費者一人あたりの化粧品消費額が世界トップ。市場規模はアメリカに次いで世界第2位。実は、日本の国内化粧品市場はここ何年も伸びていない。しかも、そのなかで、アメリカやヨーロッパの外国製品がじわじわとシェアを拡大し、1兆7000億円の市場の16%は海外製品が占めている。
 親が子どもに教えてやるべきことは、義務感ではなく、好奇心の大切さだ。わたしも、本当にそうだと思います。世の中って、知らないこと、不思議なことだらけですからね・・・。そう思いませんか。いつのまにか57歳になってしまったわたしは、毎日毎日、ええーっ、世の中ってこうなってるのか、と新鮮な驚きを感じています。
 きのう(9日)、セミの鳴き声を今年はじめて聞きました。ヒマワリも一つだけですが大輪の花を咲かせています。庭はヒマワリとコスモス畑になってしまいました。エンゼルス・トランペットが淡いピンクの花を咲かせ、芙蓉も枝をぐんぐん伸ばしています。いよいよ梅雨が明けて夏到来です。

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