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犬はきらい?

カテゴリー:生物

著者:エミリー・ヨッフェ、出版社:早川書房
 私は犬派です。猫は、どうしても好きになれません。幼いころから、ずっと我が家に犬が飼われていたので、犬にはすごくなじみがありますが、猫はいませんでしたので、なんとなく敬遠してしまいます。
 猫と犬とは根本的に違う。犬は美人コンテスト出場者のようなもので、他人を喜ばせたいと思っている。サーシャ(著者の飼い犬)は、家の中で粗相すると著者が怒ると理解してからは失敗しない。猫はスーパーモデルのようなもので、他人に喜ばせてもらいたいと思っている。
 なーるほど、そうなんですね・・・。私は犬が散歩しているのを見ると、犬の表情を見ます。生き生きとした犬の顔を見ると、私までうれしくなってきます。
 猫の知性を試す方法は、まずない。猫はごほうびに釣られないため、賢さをはかるのは難しい。それこそ猫が人間というものを天才的に理解している証拠だ。はいはい、それをやればエサをくれるっていうんだね。でも、知ってるんだ。ここに寝そべって、のんびりうたた寝したり毛づくろいしたりしていても、結局は、エサをもらえるんだよね。
 むむむっ、敵は見抜いていたのか・・・。
 猫が粗相するのには理由がある。たとえば飼主夫婦の結婚生活に緊張が生じているから。夫婦が離婚してしまうと、猫の粗相も止む。ええっ、そうなんですか・・・。
 犬を飼い慣らすことの面白さに味をしめた人間は、夢中になって、次々と動物を家畜化していった。イノシシも豚として飼いはじめた。それが農業に変革をもたらし、やがては近代の文明化につながっていく。
 ロシアで驚くべき実験がやられた。野生のギンギツネを飼育した。個体の人間に対する反応を調べ、生まれつき人慣れしたキツネ同士をかけあわせていった。すると、わずか6世代で子孫のなかに人間を恐れない、それどころか人間のそばにいたがる個体が誕生した。さらに数世代を経ると、行動だけでなく、ぶち模様の毛や垂れた耳をもつ子どもが生まれた。キツネの犬化がはじまりかけていた。
 うひゃあ、そういうことができるのですか。本当なんでしょうか。
 ペットの飼い主にとっての最大の悩みは、犬においては攻撃的であること、猫においてはトイレ以外の場所に粗相すること。
 子犬の発達のためには生後16週間までの時期が重要だ。原則として、犬の生涯にわたる社会性は、この16週間で決まる。
 オオカミには、集団での狩りを成功させるには大きな脳を必要とする。しかし、捨ててある鶏の足をかぎつけて食べる犬には大きな脳は必要ない。人間にとって、犬の知性の後退はプラスとなった。
 ビーグル犬を飼い、一時預かりに挑戦する著者の犬との共存日記です。ベッドでも犬と一緒に寝ているようですが、本当でしょうか。犬好きの私でも、とても考えられません。でも、猫を冬の寒いときに湯たんぽがわりにしている人は多いようですから、そういう人も多いのでしょうね。
 私の家でも、私が高校生までスピッツを座敷犬として飼っていましたから、家のなかはいつもザラザラしていました。そのころは何とも思わず平気でしたが、今では、とても耐えられません
(2007年10月刊。1333円+税)

空母エンタープライズ

カテゴリー:日本史(古代史)

著者:エドワード・P・スタッフフォード、出版社:元就出版社
 夜間戦闘機のない時代の航空母艦です。
 ミッドウェー海戦の前、アメリカ海軍のニミッツ大将は敵(日本軍)には知られていない武器、空母部隊一つ分に相当するものを持っていた。それは暗号解読班である。日本軍の暗号を知っていた。ニミッツは山本五十六大将の攻撃計画のいつ、どこへという重要な要素を知っていた。
 1941年12月から1942年6月まで、日本海軍の絶対優勢期、そして日米海軍がほぼ互角の戦力で死闘をくり広げたソロモン諸島での戦いで、ビッグEと呼ばれた空母エンタープライズは主要な海戦のほとんどに参戦して大活躍しました。もちろん、日本海軍を次々に撃破していったわけです。読んでいると、日本軍って、どうしてこんなにバタバタと撃ち落とされてしまうんだろうと歯がゆさを覚えるほどです。彼我の科学技術力と物量の差を改めて感じざるをえませんでした。
 ところが、無敵を誇っていたかのような空母エンタープライズは、日本の敗戦間近の5月14日、フィリピン海において神風特攻機によって戦闘不能となって、戦線を離脱せざるをえなくなり、修理のためパールハーバーへ向かった。
 その前の年の半年間で、空母エンタープライズ一艦によって、日本海軍は、艦艇19隻、飛行機300機を失っていた。
 戦艦武蔵に対する雷爆撃では外れたのが少なかった。18個の1000ポンド爆弾のうち11個が命中した。多くが中心線に沿って中央部の近くに当たった。魚雷は8本全部が命中した。巨大な戦艦は一瞬、至近弾と命中した魚雷が高く上げた水飛沫、炸裂した爆弾から舞い上がった白い煙、火災による黒煙により見えなくなった。それから長く黒い艦首が沸騰する大釜からゆっくりと滑り出てきた。武蔵は艦首から沈んで停止し、炎上した。これは、最高の対空兵器を装備した近代戦艦が航空機の攻撃だけで沈められた最初の例である。
 マリアナ沖海戦のとき、空母エンタープライズは2隻の敵空母に10個の爆弾を命中させ、12機の敵機を撃墜した。そのかわり、飛行機5機を失った(ただし、戦闘で失ったのは1機のみ)が、人員の損失はなかった。
 攻撃機216機のうち、100機が失われた。20機は戦闘で、80機は燃料切れと着陸時の事故により。その100機の搭乗員209人のうち死亡したのは49人のみ。
 アメリカ軍の戦死者は全部で55人。そのなかには、事故による死亡6人も含んでいる。
 この本を読むと、日本軍と違って、アメリカ軍が末端兵士に至るまで、その人命の損失を重大視していたことがよく分かります。そこに初めから勝負があったのではないでしょうか。
 ミッドウェー海戦、ガダルカナル上陸作戦そしてソロモン海戦などで、アメリカ海軍も日本軍よりは優れたレーダーをもっていても、今のように衛星から追跡できなかったわけですから、広い太平洋のなか、いつ、どこで遭遇するか分からないという賭けをしていたのだということがよく分かります。アメリカ側からみた太平洋戦史を日本人が知るのも、あの戦争の実相を認識するうえで大切だと思いました。
 ちなみに、空母エンタープライズは2万トン弱で、飛行機も90機しか運んでいませんでした。まさに中型空母です。
(2007年8月刊。上下巻。2300円+税)

美味しい食事の罠

カテゴリー:社会

著者:幕内秀夫、出版社:宝島社新書
 砂糖と油脂に殺されようとしている日本人。マック、ケンタそしてホカ弁、コンビニの前を通るたびに、日本人って可哀相だなと思います。もっと、食事を大切にしようよと、叫びかけたくなります。
 食費にあまりお金をかけていない人ほど、油脂をたくさん食べている傾向がある。油脂には、素材の悪さをごまかす便利な働きがある。多少、味の落ちる素材でも、油脂まみれにしてしまえば、なんとなく油脂自体のコクや美味しさで食べられてしまう。素材の味が分からずに美味しく食べられる。
 ファーストフードは、輸入小麦と砂糖と油脂の塊だ。油脂と砂糖は満腹感ももたらしてくれる。人間は、油脂の味や、甘い味を、本能的に求めるようにできている。脳にとって、油脂や砂糖の甘さは快楽である。
 人間の二大欲求は食欲と性欲。性欲のほうがお粗末なため、日本人を過剰なまでに食欲に走らせ、一億総砂糖漬けを招いている。未婚女性の4割に男性の友人がいない。そのフラストレーションのはけ口として、食の快楽に走っている。
 長寿の島だった沖縄で男性の寿命が短くなるという異変がおきている。それは、沖縄男性の半分が肥満になったこと、ハンバーガーショップの普及率が日本一と関連がある。ギトギトと油脂まみれの総菜が沖縄で売れている。
 全国のサラリーマンが夕食にしているのは、甘い缶コーヒーだ。缶コーヒーの危険性に多くの男性が無自覚である。缶コーヒーは糖分のほか、クリームなどの脂肪分がたっぷり。これは砂糖の点滴と同じ。糖尿病への特急切符である。
 乳ガンにかかった女性の多くが朝食にパンを食べている。砂糖と油脂入りのパンに、マーガリンとジャムを塗りたくり、わずかな生野菜にマヨネーズやドレッシングで油脂まみれにして食べ、糖分たっぷりの甘いヨーグルトを食べている。いわば食事をとらずにお菓子を食べているのと同じ。これは大変です。みんなに知ってほしいですよね。
 ハンバーガーは食事ではない。ふむふむ、なるほど、そうなんですね。
 いやあ、考えさせられました。私はいま典型的なメタボになってしまいました。そこで、ダイエットを宣言し、実行しています。ともかく食べる量を減らすのです。ガマンガマン、これを合言葉に、いつもお腹が空いている状況に耐えています。さすがに年齢(とし)をとって、空腹には耐えられるようになりました。美味しいものを少しだけ、ということが実践できるようになったのです。うれしいやら悲しいやら、です。だって、来年には還暦を迎えようとするのですから、健康第一ですよね。
(2007年9月刊。700円+税)

糖質制限食、夏のレシピ

カテゴリー:社会

著者:江部康二、出版社:東洋経済新報社
 大変です。胴まわりが2センチも増えてしまいました。まさか、の油断です。まったくメタボリック症候群になってしまいました。ズボンがきつくなっています。毎年、夏になると、いつも太るのですが、今年は秋になっても減りません。深刻に反省しています。
 そんなとき、宮崎へ出かけて、夜のスナックで隣にすわった衛藤彰弁護士から耳寄りの話を聞きました。糖尿病も肥満も、たちまち解決する食事療法があるというのです。しかも、ごはんとメン類を抜かすだけでよく、肉も野菜も食べていい。日本酒やビールはダメだけど、焼酎なら飲んでいいというのです。いやあ、それなら私もやれそうです。さっそく私はこの本を買って、少しずつ実践しています。とりあえず、食べる量をぐーんと減らしました。ごはんは、もともとあまり食べていませんでしたが、意識的に減らしました。大好物のスパゲッティも、当分やめることにしました。博多駅の地下に行きつけの美味しいパスタの店があるのですが、しばらく遠ざかることにしました。
 しっかり食べてダイエット。これがいいですね。
 それでなぜ、ダイエットできるのか。
 精製された炭水化物、つまり白パン、白米、うどん、パスタ、白砂糖、お菓子、これらの過剰摂取が肥満や生活習慣病の根本原因である。
 血糖値を上げるのは糖質。糖質は摂取したら100%血糖に変わる。しかし、たんぱく質が糖に変化するのは50%。脂質なら10%未満。腸から消化吸収されて血糖値を上昇させる時間は、食べ物を口にしてから糖質はわずか15分、たんぱく質や脂質は3〜4時間かかる。糖質を摂取したら、まず血糖値が上昇する。そして、体内にインスリンが分泌され、筋肉などの体組織に血糖をとりこませて血糖値を下げようとする。次に、取りこみきれなかった余剰の血糖は、インスリンにより中性脂肪に変えられ体内に蓄積される。
 糖質を制限すると、肥満ホルモンたるインスリンが分泌されない。尿中にカロリーとともにケトン体が排泄される。体内脂肪が常に燃えているから、やせる。
 糖質制限食10ヶ条を紹介します。
1、たんぱく質も脂質もOK。
  肉も魚貝も、豆腐、納豆、チーズも、みんなOK。
2、白米、白パン、パスタ、お菓子、砂糖は、みんなダメ。
3、玄米ごはん、全粒粉パン、十割そばならOK。
4、牛乳も果汁もダメ。成分無調整豆乳はOK。
5、野菜、海草、きのこはOK。糖質をふくむ果物は少しだけならOK。
6、オリーブ油と魚油はOK。リノール酸は減らす。
7、マヨネーズ、バターはOK。
8、日本酒、ビールはダメ。焼酎、ウイスキーはOK。
9、間食やおつまみにチーズとナッツはOK。ドライフルーツはダメ。
10、化学合成添加物はダメ。
 私は始めて1週間で体重が1キロ減りました。これは、食べる量をぐっと減らしたので当然です。これくらいなら、すぐリバウンドします。でも、がんばってみるつもりです。みなさん、ぜひ応援してください。
(2007年5月刊。1500円+税)

弁護士道に向けて

カテゴリー:司法

著者:渡辺洋一郎、出版社:G.B.
 弁護士業は、いわゆるケンカの代行業のようなもの。ヤクザと違うのは、暴力で解決しようとするか、法で解決しようとするか、という解決手法だけ。
 だから、決してきれいな仕事ではない。また、勝ち負けを争うから、精神的にプレッシャーもかかる。少しでも早く何か正業に就かなければと思いながら、40年間、弁護士を続けてきた。
 うむむ、こうまで言われると、どうなのかなと、つい思ってしまいました。だけど、正業云々はともかくとして、あとは著者の言うとおりだと思います。
 依頼者の主張には簡単に迎合しないほうがいい。トラブルが起きそうなときには着手金をもらわず、様子をみる。依頼者とのギャップが具体化したときには、さっさとお金を返すか、自分の気持ちをおさえて、その人のサーバントになった覚悟で徹底的に誠意をもって終わらせ、次から二度とかかわらない。トラブルに巻きこまれるよりは、仕事しないでやせ我慢していたほうがいい。
 私も、これにはまったく同感です。だから、私は、いつでも返せる金額の着手金しかもらわないようにしています。
 準備書面をつくるときには、動かない事実を前提にして、それをしっかりおさえて書く。主張は、証拠からこうだと言い切る必要がある。評論家のような、第三者のような、他人事(ひとごと)みたいな表現では迫力がない。
 いやあ、なるほど、そうなんですよね。なにしろ裁判官を納得させようというのですから、迫力が必要です。
 反対尋問は準備なくして絶対に成果が出ない。尋問は淡々と行うのが原則。質問にこめた真意を裁判所に伝える。相手方の矛盾点をさらけ出す。証人にはできるだけイエス、ノーで答えさせる。あまり深追いしないこと。
 ふむふむ、そうなんです。でも、実に難しいのです、これが・・・。
 和解の場は、裁判官の心証をつかむ絶好の機会である。相手方が物わかりの悪い人のときには、それと同じくらい物わかりを悪くする。というのも、裁判官は、事件を早く解決させたいので、物わかりのいいほうを説得しようとする傾向があるから。
 和解の場で理屈ばかり言うのは得策ではない。
 依頼者の説得が実は一番難しい。そこで、依頼者への話しもよく考える。和解が現実化してくると、依頼者は自分が損する面ばかり考えがち。だから、依頼者の心理をよく読んで、和解できることに感謝の気持ちがある状況で行うことが大切。最後には、決めるのは本人であることを、淡々と損得両面を話す。積極的に説得しすぎない。
 顧問契約は、相互にいつでも解約できると明記しておく。ともに人間として育ちあっていく関係にあることが大切。
 弁護士会の活動を通じて思ったことは、自分の目の前で起きていることが、それを放置しておいたら、次の世代に申し訳ないような結果になりかねないことだと思ったら、自分ひとりの力は、石を一個投げるしかなくても、その石を必ず投げること。また、投げる責任があるということ。石を投げれば、そこに波紋が広がる。同じ考えの人が次々に石を投げれば、それは大きな力になる。
 私より先輩の弁護士が若手弁護士向けの研修会で語った講話をまとめたものですので、大変読みやすく分かりやすい。しかも大いに勉強になる内容になっています。
 ただ、著者が、当時の司法修習生500人のうちの1割、50人くらいしか法律を理解して合格したとは思えないとして言っていることには首をかしげました。まあ、そういわれたら、私なんかは残る9割のほうに入っているに違いないのですが・・・。
(2007年11月刊。2310円)

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