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満州国とは何だったのか

カテゴリー:日本史(戦後)

著者:植民地文化学会、 発行:小学館
 虚偽の口実をもうけて、アメリカはイラクへ攻め込んだ。それと同じことを戦前の日本は中国でした。自作自演の事件を捏造(ねつぞう)して、中国東北部で戦争を起こし、次いで「満州国」という傀儡(かいらい)国家を建て、14年間に及ぶ苛酷な植民地支配を行った。日本人がそのことを忘れると、田母神という男が日本は侵略戦争なんてしたことはないと嘘ぶき、一部からもてはやされるのです。
 「満州国」の行政組織の特徴は、総務庁中心主義をとったこと。政府のおいての実権は日本人の総務庁長官の手に操られ、この総務庁長官は関東軍に操られていた。関東軍こそ、「満州国」の事実上の支配者であった。
 1932年9月、関東軍司令官(武満信義)は、国務総理(鄭孝胥)と日満議定書に調印した。この日満議定書の主文はわずか2条のみ。第1条で、満州国は日本の中国東北におけるすべての特権を承認し、第2条で、日本の中国東北における駐軍権と占領権を承認した。これによって、中国東北部は完全に日本の植民地となった。そして、この日満議定書には、4つの秘密文書が付属していた。
1936年に作成された「満州国の根本理念と協和会の本質」という文書によると、満州国皇帝は、天皇の大御心にもとづいたものであるから、天皇に仕えるのが在位の条件であった。そして、関東軍司令官は、天皇の名代として満州国皇帝の後見者であった。
 「満州国」警察のうち、日本人1万3000人、12%を占めていた。「満州国」に抵抗する抗日義勇軍と戦うため、関東軍は集中居住区、集団部落を強制的に作り上げた。これを人圏(人小屋)といい、2500ヶ所以上の集団部落(総人口140万人)がつくられた。
 満鉄は社員2万3000人以上を擁していた。国内にはりめぐらした情報網によって領事館や陸軍・警察署などの最新情報をつかむことができていた。満鉄の資産は11億円ほどだったのが、終戦直後には50億円をはるかに超えていた。
 万人坑とは、東北に住んでいた中国人が大量に殺害されて集中して埋められた場所のことをさす。
 内地の貧しい農民にとって、「満州に行けば、20町歩もの農地を与えらえて自作農になれる」というキャッチフレーズは、とても魅力的だった。敗戦直前に、東北在住の日本人農民の移民は、成人16万7000人、青少年6万人ほどであった。そして、東北に在住する朝鮮人の総人口は、1945年の時点で150万人と推定された。
 戦後、日本人戦犯を裁く法廷が中国各地につくられた(10ヶ所)。605件、883人が被告として裁かれた。東北部では撫順の戦犯管理所に収容されたが、6年間、きちんと処遇された。判決は禁固20年から12年までで、死刑は1人もいなかった。1964年に残りの日本人が日本へ帰国した。
 「満州国」 での日本人死者は、対ソ連戦で6万人。8月15日以前で18万5000人。1964年の引き揚げを前に「留用」された人々もいた。残留したのは1万人とその家族1万数千人。その多くは八路軍に入り、残りの一部は国民軍に徴用され、内戦の戦力となった。
 「満州国」の実態について、日中両国の学者が共同して調査し、議論してまとめた本です。日本人は、この本を読んで満州国の実体を美化することなく、よく理解すべきだと思いました。
(2008年8月刊。3400円+税)

ジャガイモのきた道

カテゴリー:アメリカ

著者:山本 紀夫、 発行:岩波新書
 わたしたちが日常食べている「栽培植物」は、すべて人間が作り出したもの。栽培植物とは、栽培の過程で植物を人間にとって都合よく改変した結果、野生の植物とはすっかり違ったものになっている植物のこと。つまり、栽培植物とは、まさしく人間によってつくられた植物なのである。
 たとえば、種子植物は熟すと種子がパラパラ落ちたり、風に吹かれて飛ばされる。これは野生の植物にとって繁殖のために必要な性質で、種子の脱落性という。この種子の脱落性は、人間が利用するのには不都合なので、種子を利用する栽培植物ではほとんど例外なくこの性質を欠かせたものになっている。人間は収穫するときまで、種子が脱落しないものを選び出し、それをもっぱら栽培するようになったのだ。
 ふむふむ、なるほど、なるほど、そういうことですか……。
 野生のジャガイモは、ソラニンやチャコニンなどのアルカイド性の有毒物質を多量に含んでいる。そこで、アンデスの人々は、ジャガイモの毒抜き技術を開発した。
 世界各地で栽培されているジャガイモは、すべて、元をたどればアンデスで生まれたトゥベローサム種の一種に由来し、アンデスを離れてから分化したもの。
 ジャガイモの栽培化は、紀元前5000年ごろなので、その栽培化までには、最初のアンデス人がジャガイモの利用を始めてから数千年もの長い年月を要している。
 アンデスでは、穀類がまったく栽培化されなかったのに、イモ類は多種多様なものが栽培化された。ジャガイモこそ、アンデスの山岳文明を生んだ。
 人骨のタンパク質(コラーゲン)を抽出し、それを構成する主元素である炭素と窒素の量を測定し、その値から人骨の生前の食生活を復元する方法が開発されている。
 いやあ、すごいですね。骨を分析すると生前に何を食べていたか分かるなんて、すごいことです。
 苦いジャガイモは寒さに強いだけでなく、病害虫にも強い。このジャガイモを加工したチューニョは、貯蔵食品としてすぐれていて、腐らず、何年でも貯蔵が可能である。
 インカ帝国では、就職としてジャガイモ、儀礼的な作物としてトウモロコシが作られていた。トウモロコシは、酒を造るための材料だった。
 ジャガイモの耕地は休閑システムを取っていた。地力の疲弊を防ぎ、病気の発生を抑える効果もある。家畜の糞を肥料としていたのも生産性の向上に役立った。
 フランスでは、19世紀になってからジャガイモが普及した。18世紀末から19世紀半ばまでに、食事の中心は穀物のカユからジャガイモに大きく転換した。
 ジャガイモは栄養バランスに優れた作物であり、ビタミンやミネラル類にも富んでいる。あとは少しのミルクを飲むだけで、栄養は十分に補えた。
 ジャガイモは江戸時代に徐々に日本各地に広がっていった。長崎に渡来したジャガイモは日本各地に広がった。真っ先に栽培されたのは北海道地方だ。
 ジャガイモという偉大な作物について知ることができました。
 きのうの日曜日、朝からフランス語の口頭試問を受けました。まったくしどろもどろとはこのことです。大変みじめな思いをさせられました。3分前に問題を渡されます。2問(もちろん、フランス文です)あるうちから1問を選び、答えを考えて面接室に入ります。面接官は、フランス人と日本人ですが、質問と問答はフランス人がします。私は、高速道路を日本で作り続ける必要があるか、という設問を選びました。日本語ならそれなりにしゃべる自信はありますが、フランス語が全然出てこず、苦悶しました。3分間スピーチしたあと、問答するのです。冷や汗三斗とはこのことを言うのでしょう。うまく言いきれないうちに面接官が終了を宣言しました。7分間の諮問ですが、1時間もかかったほどの疲れを覚えました。
 駅への帰り道、言いたいことが言えなかったもどかしさからでしょう。自然とぶつぶつつぶやくのです。気づいた人がいたら、気の変なおじさんと間違われたと思います。
(2008年6月刊。740円+税)

弁護士が書いた究極の勉強法

カテゴリー:社会

著者:木山 泰嗣、 発行:法学書院
 試験に受かるためには、一読了解の文章を書く必要がある。一読了解とは、頭が疲れていても、ユーウツな気分であっても、目で追うだけで分かる文章。そのためには一文は短くする。論理的な流れをつくるため、接続詞を正確に、有効に使う。分かりやすい文章を書くためにはまず書くこと、書いて書いて書きまくること。
 新しいことを勉強するにあたって習慣にしたいのが、音読。音読するメリットは脳の活性化。そして記憶への定着。仲間同士で口でする議論も大切。
 成功を約束するのは、圧倒的努力。単なる努力ではなく、圧倒的な努力こそ必要。ハンパな努力では足りない。好奇心を持つことが、脳をスポンジ状態にするためにも必要。
 スポンジ状態というのは、何でも貪欲に吸収するという意味です。病的な状況を指しているのではありません。念のため。
 試験委員がヘトヘトになって答案を読んでいるときに、すらっと読める答案が光る。人間的なゆとりのある生活、のんびり、ゆったりとした生活は大切なもの。でも、仕事ではスピードが必要。試験でも勉強でもスピード感が大切。速くやるほど成功の確率は高まる。勉強に限らず、集中力は、あらゆる分野で重要。
 試験会場は選べないのだから、ふだんからうるさい場所で勉強しておくと、本番でちょっとやそっとのことがあっても影響を受けず、あわてることなく実力を出し切ることができるようになる。そうなんですよね。集中できないのは困ります。
 とにかく気になった本は、すべて買うようにする。お金がかかるのは、先行投資だから仕方がないと考えたらいい。私も本は買える限り買います。買えないのは図書館で借りてコピーをとったりします。
実力が飛躍的にアップする究極の勉強法は、採点する側を体験すること。なーるほど、これは本当にその通りだと私も思います。
 なるほど、なるほど、そうなんだよね。思わず膝を打ってしまいたくなるほど、勉強法の基本的心がまえを真面目に紹介しています。
(2008年10月刊。1200円+税)

東大合格生のノートはかならず美しい

カテゴリー:社会

著者:太田 あや、 発行:文藝春秋
 東大合格に必要なのは、かなりの量の知識はもとより、それをまとめ組み立てて記述する力、そして問題を見たら反射的に手が動くスピード力。な、なーるほど、そういうことなんですか・・・。
 東大は入試の科目数が日本で一番多い。入試センター試験では、文系だと6教科7科目。理系では5教科7科目。その次の2次試験は全問記述式。このとき文系も理系も4教科5科目が課される。つまり、幅広い分野の知識が求められる。ここに東大入試の特徴の一つがある。
 2次試験では、覚えた知識をフル活用しながら、文章や数式を組み立て、いかに早く答案用紙を埋めていくかという作業がポイントになる。問題を見た瞬間、頭の引き出しを開け、似た問題をそこからたぐり寄せ、反射的に手が動くようにしておかないといけない。そのためには、入試までにできるだけ多くの問題に取り組み、解法パターンを体に刻み込んでおく必要がある。
 知識をまとめる力やスピード力を意識しなくてはいけない。意識して書くことを続けることで力が身についていく。「東大ノート」は、途中で投げ出したりせず、ノートの最初から最後まで同じテンションで書きつづられている。
 「東大ノート」に共通する7つの法則がある。 
第1、文頭をきれいにそろえる。
第2、写す必要がなければ、コピーして貼り付ける。
第3、余白をたっぷりと大胆にとる。あとで追加情報を書き込む。
第4、インデックスを活用して、復習の際の検索機能を高める。
第5、書いたことの全体像を一目で見渡し、体系的に確認できるようにする。
第6、オリジナルのフォーマットを持つ。
第7、筆圧が一定で、文字も同じテンションで書く。採点者にとっての見やすい答案を想定し、読みやすい答案づくりにそなえる。
 東大生の書いたノートを200冊も集めて、そこに法則を見出すという地道な作業を思いつき、それを実行した著者もエライですよね。そして、なるほど、こうすれば理解と記憶に役立つだろうな、と思いました。
ここに書かれていることは単に大学受験に役立つテクニックだというだけではなく、社会人になってからもメモの取り方に生かせるものだと思いました。
(2008年10月刊。952円+税)

アマゾンの森と川を行く

カテゴリー:アメリカ

著者:高野 潤、 発行:中公新書
 アマゾンというと、大自然そして密林(ジャングル)というイメージですが、実際には鉱物資源の開発、牧場用の開拓などで、どんどん切り拓かれているようです。といっても、まだまだ奥地のジャングルは残っています。そこへ大胆にも入りこんで生活し、写真を届けてくれる著者の行動力は、いつものことながら感嘆させられます。この本はカラー版なので、アマゾンの大自然の威容を居ながらにして少しばかり味わうことができます。
 ワニの叫び声を模写してワニを呼び寄せる現地の男性がいます。寄って来たワニは、舟のすぐ近くまで「何だい、何だい」と咆哮を上げながら近づいてきます。夜の川に目をギョロギョロさせて舟に近づいてくる大きなワニなんて、不気味そのものですよね。
でも、怖いといえばやっぱり蛇です。黒くて太い大蛇がアマゾンにはうじゃうじゃいるのです。木の上で昼寝しているアナコンダ。川の中を泳ぐ模様つきのボア。シカも丸呑みするのです。うっかりジャングルに踏み込むと、大蛇に飲み込まれてしまいそうです。おー、こわ、こわーい。
 いえいえ、ジャガーもいます。人間が一人だと分かると襲ってくるほど賢いジャガーです。よく見張っているのです。ブルブルブルッ。寒気がしてきました。ジャガーは、森の王、というべき存在なのです。
 アマゾン特有の風土病もある。治ったはずの風土病が再発した。寄生虫が皮膚を食い荒らす。これには抗生物質は効かない。そして、原因不明の肺炎にもかかった。
いやあ、大自然のなかには素晴らしい自然とともに自然の脅威にみちみちているのですね。私は、アマゾンは写真だけで結構です。写真でガマンすることにします。
 水曜日、朝からハローワークそばの空き地で相談会があり、担当者の一人として参加しました。医師や医療関係者が大勢きていました。法律相談のコーナーに来た人は2人だけでした。過払いの可能性が大いにあります。もう一人は、昨年12月に解雇され、2月から失業保険はもらえるけれど、その間のマンションのローンの支払いが大変だという話でした。こんなとき、つなぎ資金の制度があれば、と思いました。
(2008年10月刊。1000円+税)

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