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ルポ・資源大陸アフリカ

カテゴリー:アフリカ

著者 白戸 圭一、 出版 東洋経済新報社
 南アフリカの2006年度の人口10万人あたりの殺人発生率は40.5件。これは日本の40倍。イギリスの28倍。あのアメリカと比べても7倍である。
 そんな南アフリカでサッカーW杯があるのですが、大丈夫でしょうか。ブラジルでオリンピックが開催されることになりましたが、犯罪の撲滅はよろしくお願いします。それのためには、なんといっても格差のこれ以上の拡大を食い止めることですよね。南アフリカも同じことですが、日本だって他人事(ひとごと)ではありません。
 日本では、このところ年に5000件の強盗事件が発生している。南アでは20万件。南アの人口は日本の3分の1にすぎないから、発生率は120倍となる。南アフリカでは、よほど社会的に注目される事件でもない限り、日常発生する強盗事件について、捜査自体がされない。うへーっ、これは恐ろしいことです。
 南アフリカでは、芝生の庭とかプールのある暮らしというのは、半ば要塞化した警備体制の上にかろうじて成り立っていることを意味している。南アのプロの強盗団にとって、警備会社による厳戒体制というのは、赤子の手をひねるようなもの。番犬にしても、毒をまぜた肉を庭に投げ込まれたら、おしまい。
南アフリカでは、アパルトヘイト時代以上の、いびつな格差社会になっている。富裕層上位20%の総所得は、貧困層下位20%の35%に達する。今の南アフリカでは、国民の11人に1人が1日1ドル以下で暮らしている。
 南アフリカの外国人犯罪者には、大まかなすみわけがある。ナイジェリア人は麻薬密売と旅券偽造・詐欺。ジンバブエ人は自動車強盗。エチオピア人とモザンビーク人は住宅襲撃。アフリカ系以外の犯罪組織として、中国人・ロシア人・パキスタン人のものがある。
 使用人の黒人は、みんな安い給料で働かされているから、お金を払うと主人を裏切ってこっそり情報を流してくれる人が少なくない。金持ちは貧乏人のことを何も知らないが、貧乏人は金持ちの生活のすべてを見ている。
 アフリカに日本のマスコミは記者を置いていない。毎日・朝日・読売の3社と共同通信は、特派員を各1人おいている。つまり、広大なアフリカに日本人記者は4人しかいないのである。
 アフリカに居住する日本人は7千人ほど。ニューヨークに5万人以上、上海に5万人近く住んでいるのと、すごく違う。
ヨハネスブルグ中心部のビル街には、黒人でない者が外を歩くのは、昼間でも事実上、不可能である。世界中をめぐってきた日本人のバックパッカーも、ここでは身ぐるみはがされ、泣いてしまう。
 南アフリカにナイジェリア人が10万人も滞在していて、犯罪組織が活発に動いている。ナイジェリアは、2004年から2006年まで、3年も連続して「最も危険な国」とされた。
 独立後のほとんどの期間を軍事政権に支配されたナイジェリアでは、石油産業によって国庫に入る多額の収入の行方をチェックする民主的制度の欠落により、政治腐敗が世界でも最悪に近い水準まですすんだ。石油は、ナイジェリアを不幸な国にした。
 コンゴでは、住民に恐怖心を植え付ける残虐行為は、混乱を持続させる重要な戦術の一つになっている。そのコンゴにはコルタンがある。埋蔵量では、コンゴが世界一。コルタンは鉱石の一種で、精錬すると、携帯電話やゲーム機のコンデンサに使われている粉末状タンネルを得ることができる。1980年代はじめ、日本のタンネル消費量は年間100トンに満たなかったが、今やハイテク製品の普及で、237トンにまで増えた。
 スーダンから日本は石油を輸入している。スーダンの輸出総額の82%は中国向けで、日本は8.4%であり、スーダンにとって第2の輸出国である。
 ソマリアでは、市街地の信号機が動いていない。そして、中央銀行がないのに通貨が運用されていて、アメリカドルとの交換レートも存在する。ソマリアの紙幣は、民間人が印刷している。中央銀行が「民営化」しているのだ。
 このところ、中国のアフリカ進出には目を見張るものがある。無政府国家のもっとも危険な町でも、ケータイ電話企業の技術指導を担当している。
 日本の記者が、アフリカで生命の危機にさらされながら書いた体当たりルポです。
 アフリカって、こんなに豊富な鉱物資源があるのですね。そして、悲しいことに、戦争・暴力・テロが日常化し過ぎています。そのとき、軍隊なんて、まったくあてにならないのですね。日本とアフリカの遠さと案外な近さを感じさせるいい本でした。
(2009年8月刊。1900円+税)

司馬遼太郎の歴史観

カテゴリー:日本史(戦後)

著者 中塚 明、 出版 高文研
 司馬遼太郎の『坂の上の雲』は、1968年4月から1972年8月まで、足かけ5年にわたってサンケイ新聞の夕刊に連載されました。私が大学2年のときに連載はスタートしたのですね。もちろん、私は読んでいませんでした。いえ、もちろん『坂の上の雲』は、その後弁護士になってから読んでいます。明治日本の成功物語と言ってよい本です。そして、ここに登場する秋山好古は、私の母の異母姉の夫が副官として仕えていたということを最近知りました。先祖を調べて行くと、歴史が身近になることを実感したことです。
 それはともかくとして、NHKはこの11月から、この『坂の上の雲』を3年かけて放映するそうです。ところが司馬遼太郎は、これを禁止していたのです。
 「なるべく、映画とかテレビとかそういう視覚的なものに翻訳されたくない作品である。うかつに翻訳すると、ミリタリズム(軍国主義)を鼓舞しているように誤解されたりする恐れがあるから……」
 これは、司馬遼太郎自身が戦地に戦車兵として動員されていた経験もふまえての言葉であろう。司馬遼太郎は、日本は日露戦争のあとにおかしくなったという。しかし、それは決して事実ではない。
 司馬遼太郎は、『坂の上の雲』で、日本が明治維新で自立の道を選択したとき、朝鮮の運命は、その「地理的位置」と「主体的無能力」によって、日本に従属し、その支配下に置かれることは決まっていたという。
 そして、この司馬流の「朝鮮論」に従うと、明治以降、
・日本が朝鮮に何をしたのかを語る必要はない
・朝鮮でどんな動きがあったのか、それにも頭をわずらわせる必要がないことになる。
それでよいのか……?著者は、このように問題提起しています。
 日清戦争は、日本軍がソウルの景福宮の占領から始まった。日本軍は中国の清国軍と砲火を交える前に、朝鮮の王宮を占領し、国王を事実上とりこにした。
 この点について、日本政府は、突発的衝突から始まり、日本軍はやむをえず交戦し、王宮に入って国王を保護した、と公式に説明した。しかし、実は日本軍が意図的に朝鮮王宮に攻め込んだことが、日本側の記録として残っていた。うへーっ、そうなんですね……。
 東学党の乱(東学農民運動の反乱)についても、日本軍は、今後はことごとく殺戮すべしという命令を発した。このジェノサイド作戦によって、抗日民族闘争は鎮圧された。このときの犠牲者は3万人をこえ、総数5万人にも達するとみられている。
 そして、日清戦争が終わった年の秋、日本軍は朝鮮王宮に侵入し、王妃を殺害した。これは、日本軍参謀本部の川上操六次長の指揮によるものが判明している。
 いやはや、なんということでしょう。日本は、朝鮮半島を侵略し、占領していたのです。
 朝鮮王宮占領、それに抗議しておこった朝鮮農民軍の再蜂起と日本軍によるその皆殺し作戦、さらに戦後の朝鮮王妃殺害事件、この3つの出来事は鎖でつながっているかのように相互に関連している。そして、この3つとも、日本政府はことの真相を内外に公表することがなかった。そうなんですね。まさしく日本史の重大な汚点です。
 さらに、日露戦争をはじめる前から、大山巖をトップとする参謀本部は、朝鮮を日本の支配下におくことを自明の方針としていた。ロシアは韓国(朝鮮半島)侵略の意図をまったく持たず、むしろ南満州から全面撤退してでも日本との戦争を回避したかった。なぜなら、当時、ヨーロッパ情勢が緊迫していたからである。
 つまり、日露戦争は、ロシアの南下政策が引き起こしたものではなく、日本の支配層の朝鮮半島を日本の領土にしたいという願望から始まったものなのである。いやはや、歴史の事実から目を背けるわけにはいきません。
 テレビを見て、間違った戦前の歴史観が定着してしまうのを私も恐れます。その意味で、この200頁ほどの本が一人でも多くの歴史好きの人にまず読まれることを願います。大変わかりやすく、読みやすい本です。
 
(2009年10月刊。1700円+税)

日本の殺人

カテゴリー:司法

著者 河合 幹雄、 出版 ちくま新書
 こんな本を読むと、学者ってホント偉大な存在だ、とつくづくそう思います。だって、目をそむけたくなるような凄惨ないし残虐な殺人現場の写真を自分は見て、それを読者には示さず、殺人犯の処遇を読者に考えてもらうわけなんです。その大変な仕事に対して、ご苦労さまと心より労をねぎらいたくなります。
 殺人犯が社会復帰することについて、著者は次のようなたとえをあげています。
 毒蛇も熊も蜂も、毎年、何人もの人間の生命を奪う恐ろしい存在である。しかし、これらの生きものは同じ世界に人間と共存している。
 悪者だからといって、人間をせん滅できないからオリに入れておくという考えから、アメリカでは200万人もの人が刑務所に閉じ込められている。日本では、せいぜい10万人である。
 死刑に犯罪を抑止する効果のないことは実証されている。そうなんですよね。でも、案外このことは知られていません。
 日本では、犯罪への対処として、一部の人々ががんばる一方、残りの一般市民は何も知らずに安心してきた。その仕組みが、もはや維持できなくなっている。少し真剣に考えたら、犯罪者には厳罰でいいという単純な発想だけでは、いずれ刑務所を出てきて、一般市民と共存していくしかないことを考えていないことに気づくはずだ……。
 他人におまかせしてしまうと、楽ではある。しかし、裁判員になったとき、多くの人々がしっかり社会を支えていることを法廷で確認でき、実感できたら、それだけでも大きな意味がある。そして、悩み迷うことが人生を生きることであり、社会参加そのものなのだ……。
 いやあ、実に見事な指摘です。感心します。
 日本には、強盗殺人で無期懲役になったが、仮釈放されている人々が数百人おり、その人々が事件を起こしていないという奇跡的な現象がある。うむむ、そうだったんですね。
 日本で実質的な殺人は、年間800件くらい。そして、日本の殺人事件の典型は心中である。そして殺人事件のうち、半分近くが親族による犯行である。そういえば、福岡の裁判員裁判の第2号となった久留米の殺人事件も、父親が息子を殺した事件でした。
 年間200人も被害者のいる配偶者殺しのなかでは、病気が原因で自殺を企図したものが大半。男女の心中で片方が生き残ったケースでは、心中の失敗というより、もともと片方は死ぬ気はなく、相手の心中物語に引きずられたが、最後の瞬間になってようやく逃れたと理解できる。
 うへーっ、そういうことなんですね……。
 殺人事件をお酒のせいにするのは無理であり、もともと凶暴な人間が犯人である。
 銃の保持率でいうと、国民皆兵のスイスは高いが、銃による殺人事件はアメリカと比べて大幅に少ない。つまり、アメリカの殺人事件の多さを銃のせいにするのは、基本的な誤りである。
 日本の夜道が安全であることは、強姦の統計で分かる。事件が少ないし、その発生場所は住宅内が半分を占め、路上は14%に過ぎない。もちろん、届け出のない事件もあるが、それにしても日本が年2000件の届け出であるのに対して、アメリカでは20万件、つまり100倍にもなっている。
 1980年代以降の15年間に、夫に殺された妻は15人、妻に殺された夫は26人、それまでと逆転している。妻が加害者の30件のうち、25件について共犯者がいる。
 統合失調症の人のうち、9割以上は犯罪と無縁の人々である。精神病を犯罪の原因とすることは、科学的には否定されている。
 日本では殺人事件の大半は家族が犯人である。
 捜査本部が設置される事件は、全国に年間100~150件。そのうち数十件で死体が隠ぺいされている。そして、平均して6ヶ月で8割が解決している。
 刑務所は、犯罪の学校の機能を果たしている結果がある。
 刑務所で殺人犯は、もっとも手のかからない、問題の少ない人たちだと刑務官は体験を通して語る。
 大多数の国で死刑は実施されていない。死刑を執行しているのは、中国、アメリカ、そして日本くらいのもの。EUでも世論は死刑廃止に反対しているが、死刑は執行されていないし、死刑制度の廃止がEU加盟の条件となっている。
 本当に悪い奴は死刑にならない。
 わずか260頁ほどの薄っぺらな新書版ですが、ずしりと重たく感じる本でした。一読を強くおすすめします。
 
(2009年6月刊。780円+税)

目覚めよ!借金世代の若者たち

カテゴリー:アメリカ

著者 アーニャ・カメネッツ、 出版 清流出版 
 日本の学費は、本当に高いですよね。高くなりすぎました。40年も前のことになりますが私が大学生のころは、月1000円でしたから、年にしても、1万2000円の授業料でした(国立大学)。そして、寮費も同額でした。奨学金のほうは給付5000円、貸与3000円です。寮に住んでいると、最低月1万3000円で生活できました。家庭教授のアルバイト月8000円(週2回)をして、机運びの臨時アルバイトをしたら、親の仕送りがなくても(私は、もらっていましたが…)どうにか生活できていました。
 いま、日本の大学生にも授業料をタダにすることを求める動きが出てきていますが、圧倒的少数派ですし、目立つほどの運動にはなっていません。でも、北欧もフランス・ドイツも、大学の授業料はタダです。それどころか、生活費を国が支給してくれるところだってあります。要するに、子どもに投資して人材を育成したら、そのリターンは大きいということから、国の政策になっているのです。ところが、日本が何かにつけて手本にしているアメリカはまるで違います。ともかく大変高額の授業料をとります。そして、学費ローンを発達させ、学生を卒業してまでローン返済でしばりつけているのです。アメリカって、本当に人間を大切にしない国ですよね。そして、貧乏人は大学へいけないようにしたうえで、軍隊へ勧誘するのです。イラクとアフガニスタンで亡くなった5000人以上のアメリカ兵のかなりの部分が、そんな人たちだったのではないでしょうか。
ここ30年間、アメリカの大学授業料は、インフレよりも、さらにここ15年では、家庭の収入よりも速いスピードで上昇している。4年制大学の学生の3分の2は、学資ローンによる借金を抱えて卒業する。その借金は、平均192万円で、これは毎年増大している。
 教育のあらゆる段階で公的な投資が減少しており、その直接的な結果が、実際に、今日の若者は、親の世代よりも教育を受けていないという現象になって表れている。
 高校の卒業率は、全国平均67%である。アメリカの大学生は、半数が24歳以上で、56%が女性である。20代のアメリカ人の若者の3人に1人近くが大学の中退学者である。
 クレジットカードは、学資ローンというサメのうしろを泳ぐピラニアだ。サメより小さいけれど、もっと貪欲である。学資ローンを扱うのは民間企業であり、数千億円という利益をあげている。学資ローンは、いまのアメリカで数千億円の利益をもたらしながら、補助金や保証によって、リスクからしっかり守られている。
 大学を卒業した時点で、月9万円ものローン返済をしなければならないとしたら、大変なこと。そこで、学生返済のため必死になっているので、法律扶助教会や公的な目的のために活動している団体は、優秀な学生を集めるのに苦労している。
 アメリカが徴兵制度を廃止してからの30年間に、軍隊は、労働者層の野心的な若者たちが職業訓練や大学援助金を得るための数少ない選択肢となった。アメリカ軍は毎年36万5000人を入れる必要があるが、空軍以外はずっと募集目標を達成しできていない。そこで、軍の新兵募集係は、毎週1回は高校にやってくる。
 アメリカの財政赤字のおもな原因は、ブッシュ大統領が数回にわたって大幅な減税をしたため。ブッシュの減税のほとんどは、企業や最高富裕層を対象としたもの。若者の賃金のうわ前をはねて、今日の大金持ちへの懐を太らせている。このことがアメリカの財政赤字を生みだしている。いやはや、格差拡大はアメリカの政権の政策の結果なのです。
 全国的に労働組合運動はひどい状況にある。このような現状を打開するため、若者は政治行動に立ち上がることを呼びかけている。
 この本は、現状に絶望せず、変革のために立ち上がることを呼びかけています。
 日曜日に庭仕事をしていると、えもいわれぬいい香りが漂ってきました。見上げると、キンモクセイの花が木を前面に覆わんばかりです。黄色というより橙色です。そのそばに、紫式部の小粒の花も咲いています。いよいよ稲刈りが始まりました。秋本番です。
 
(2009年7月刊。1900円+税)

ホタルの不思議

カテゴリー:生物

著者 大場 信義、 出版 どうぶつ社
 初夏というより、晩春でしょうか。5月の連休(ゴールデンウィーク)が終わって間もなく、我が家から歩いて5分のところの小川に、毎年、ホタルが飛び交います。ほっとするひとときです。
 著者は企業の研究所に入り、そして中学校の教員となったあと、博物館の学芸員としてホタルの研究に専念するのでした。これもすごいですよね……。
 私が東京のような大都会ではなく、田舎で弁護士を続けているのも、歩いて5分のところでホタルの光を眺めることができることの良さに価値を見出しているからです。
 ホタルの放つ光は、次のような生化学的な酸化反応による。酵素であるルシフェラーゼとルシフェリン、ATP(アデノシン三燐酸)などの物質が混ざり、そこにマグネシウムイオン、酸素が加わると反応がすすみ、発光する。この反応は効率が非常に高く、蛍光灯などとは比較にならないほどエネルギーを光に変えている。このため、ほとんど熱を伴わないことから、冷光とも言われる。そしてホタルは発光反応を自由に制御している。
 ホタルには、せっかちな西日本型(2秒に1回発光する)と、のんびり発光する東日本型(4秒に1回発光する)がある。発光パターンだけでなく、産卵習性も異なっている。
 ゲンジボタルの幼虫は、4月の雨が降るあたたかな夜にサナギになるため、一斉に発光しながら川岸に上陸して、土に潜る。ホタルは、幼虫も光るのですね……。見たことはありませんが、なんだか夢幻的な光景です。
  西日本のゲンジボタルのメスは、100個以上の集団となって産卵する。しかし、東日本のゲンジボタルは、同じ種でありながら、集団産卵はしない。
パプア・ニューギニアにはホタルの木というのがあるそうです。オスのホタルが集まり、集団となって発光してメスを呼び寄せるのです。この木が切られてしまったら、このホタルは絶滅するだろうと予想されています。そうならないことを祈ります。
 我が家から歩いて5分のホタル出現地にも、すぐそばに新しく道路がつくられています。レジャーランドへ通じる便利な道路として開設されつつあるのです。でも、いったい、このレジャーランドが、いつまでもつのか、私には疑われてなりません。
 自然環境を孫の代にまで残したいものですよね。
 
 庭の合歓(ねむ)の木が、またふわふわとしたピンクの花を咲かせ始めました。この花を見ると、なぜかいつも子どもの頃の心のときめきを覚えます。どうしてかなと考えていると、夏祭りの提灯に描かれていた花や金魚などの鮮やかなピンクの色を連想させるからだと思い当りました。
 我が家の庭の合歓の木は小さいのですが、お隣にあるのは大きくて、慮杖を大きく広げるほどに全面に咲いて、それはそれは華やかです。
 朝、居間の雨戸を開けると、目の前に秋明菊の花が飛び込んできます。すっと高く延びた茎に、純白の花びら、そして真ん中はクリーム色になっています。気品あふれる、見るからに清々しさの伝わってくる花です。そばに紫色の斑(ふ)入りの不如帰(ほととぎす)の花も咲いています。稲刈りも間近の秋です。
 
(2009年7月刊。2200円+税)

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