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どうなる!大阪の教育

カテゴリー:社会

著者   池田 知隆 、 出版   フォーラム・A
 橋下・教育基本条例案を考える、というサブタイトルのついた薄いブックレットです。マンガ入りで、とても分かりやすい小冊子なので、多くの人にぜひ読んでほしいと思いました。
大阪の教師の疾病増加率は知事部局に比べて3倍も高い。学校の教師を生きづらくしているのは、同僚同士で話しあいながら学校を運営していくことができなくなっているから。
 校長は教職員の意見を聞くこともできず、通達だけが流れてくる。それをパソコンで見ている。職員会議には会話がない。こんなことで教師が育つはずがない。
 校長や副校長に体育系出身の教師が増えている。リベラルの人は教師になろうとしない。体育科の教師なので、他の教科のことが分からない。学力を伸ばすといってもどうしたらいいのか分からない。
 教育というのは人格のつきあい。学校の教師がやってくれることの最大のものは、子どもと付きあっていること。付きあいのなかで、その教師が自分の生き方とか、勉強の面白さを伝えながら、子どもは教師を批判したり、尊敬したりして人格がつくられていく。
 知事が替わるたびに好き勝手なことを言い、教育に介入されたら、学校教育は解体する。
 橋下の本には、友だちがほしいなんて思うな、大事なのは強いやつを見つけ、その下で生きることだと書かれている。うひゃあ、なんと悲しい言葉でしょうか・・・・。
 橋下は、「大阪を教育日本一に」と訴えながら、実際には3年間で教育予算を583億円も削った。できるだけ安あがりにしようというので、正規の教員を雇わず、非正規の教員を増やしている。
 橋下は、「教育は2万パーセント強制」という。しかし、アスリートが自覚的に負担をかける訓練をしているのと、望んでもいないことを強制されることには大きな違いがある。
 学力テスト成績結果を公開し、公立小中学校の選択制が実施されると、公立小中学校は激しい競争に追い込まれる。テストの成績で生徒を序列化し、落伍者は無価値な者と見下され、子どもの人格を歪めかねない。
 橋下・教育改革では、相対評価によって必ず「下位5%」の教師を指名し、それが2年続くと免職となる。
 すると、生徒指導の課題や悩みをかかえていても、他の教師に相談ができなくなる。他の教師も自分への評価が下がることを怖れて必死だから。教師が連帯して教育実践にあたるのではなく、互いに競争相手として追い落としあう職場環境になってしまう。生徒に媚びる教師を増やしかねない。悩みや課題をかかえた教師を横目に見ながら、それを放置していることが自己保身につながるという悪しき風潮が生じる恐れがある。学校のなかでみんなが協力しあい、学校全体で子どもを育てることがなくなってしまう。
校長は、自分が決めた目標の達成状況を基準に自分で教師を評価するから、主観的、恣意的な、つまり好き嫌いで人事評価することが可能となる。
校長にはマネジメント能力も必要だが、それだけで学校現場を統括するのは難しい。校長は教育サービスを支える店長ではないし、一人ひとりの子どもや教師と向きあうことが必要な教育職である。ただ管理統制能力があるだけで、教育の現場での対応はできない。
大阪の橋下市長を天まで高くもてはやすばかりの大手新聞、テレビには呆れかえります。 ジャーナリズムはもっと、橋下流インチキ政治の本質を暴いてほしいものです。
(2011年11月刊。571円+税)

教授とミミズのエコ生活

カテゴリー:生物

著者   三浦 俊彦  、 出版   三五館
 自宅でミミズを飼う某女子大学教授の体験記です。ミミズをずっと飼い続けるって大変なことなんだと思い至りました。まさに奮闘努力の甲斐もなく・・・、という事態の連続なのです。
 簡単なようで、実はとても大変なのがミミズの飼育です。著者がミミズコンポストを始めたのは10年前。三層のたらい型容器とミミズ3000匹を3万5000円で購入。ミミズは釣り餌になるシマミミズ。シマミミズなら、私もよく分かります。至ってフツーのミミズです。
ミミズに塩分と柑橘類をやるのは現金。片栗粉も固まってしまうのでダメ。
 ミミズコンポストの目的は、なにより生ゴミ減らしにある。
ミミズはデリケートな生き物だ。ミミズは1日に自分の体重の半分の量を食べる。
ミミズの卵は、直径2~3ミリ。球根のような、レモンのような、ラグビーボールのような形をしていて、橙色に輝く、きれいな粒だ。2~3週間後に赤ちゃんが生まれ、4~6週間で生殖年齢に達する。シマミミズの個体は4年ほど生きる。
ミミズは健康食品の重要な素材になっている。咳止めや熱冷ましに使われる「地龍」は、漢方系の風邪薬の成分として定番である。血液サラサラのサプリメントとしても使われている。
 ミミズが大量に死ぬと、身体から流れ出す酵素によって仲間のミミズに害をなす。ミミズの大絶滅は、ミミズ飼育においては、ごくありふれたこと。
ミミズはもともと冷たい生き物である。ひんやり感が心地よい生き物なのだ。
 ミミズは、一匹一匹が個体というよりも、2万匹全体が個体というか超個体であり、一匹一匹は超個体を構成する細胞なのだ。
 スイカの皮はミミズの大好物。ミミズは、意外に場所の好みが激しい。ミミズにも個性がある。
ミミズを飼っていると、死に絶えるというハプニングは当たり前。実感されるのは、命の軽さ、命への代替可能性、命の偶然性。そんな一種のニヒルな悟りを受ける。
 ある一定の状態をこえるとミミズは死滅してしまうが、その直前に卵を異常に産む。これは、種を残すための行動だろう。
 ミミズを飼うことで生命の神秘をも感じさせる面白い体験記でした。私もミミズなら平気で触れます。なにしろ、フナ釣り大好き人間でしたから・・・・。今、わが家の庭にもたくさんのミミズがいます。もちろん、それを食べて生きるモグラも。
(2012年2月刊。1400円+税)

ニッポン異国紀行

カテゴリー:社会

著者    石井 光太、 出版   NHK出版新書
 日本という国を通常とは違った視点でとらえることのできる本です。
 現在、日本に210万人ほどの外国人が暮らしている。そして年間に6000人の外国人が亡くなっている。その遺体を海外へ搬送するときには、感染症予防のため、遺体に対して腐敗防止処置をしっかりと施し、その証明書をつける必要がある。これをエンバーミングと呼ぶ。
 1日に20体ほどの遺体が日本から海外に搬送されている。あなたの乗る飛行機には、実は、一緒に遺体が積まれていても何ら不思議ではない。
 その費用は韓国だと2~30万円、中国へは60~80万円、欧米へは70~120万円、東南アジアへ70~90万円、中東は100~140万円、アフリカ100~200万円。こんなにかかる。
このほか、日本の風俗産業への韓国人女性や東南アジアの女性の進出状況、さらには、日本の中古車の海外への輸出状況なども紹介されています。
 日本と海外との結びつきは本当に多面的だと思い知らされる本です。著者の体当たり取材はすごいものです。海外だけでなく、日本もターゲットにしたところがすごいと思いました。
(2012年1月刊。860円+税)

黒田如水

カテゴリー:日本史(戦国)

著者   小和田 哲男 、 出版   ミネルヴァ書房
 秀吉が天下を取れたのは、官兵衛と半兵衛という二兵衛がいたからだ、と言われることがある。半兵衛とは、竹中半兵衛重治のこと。官兵衛とは黒田官兵衛、義高(よしたか)のこと。
戦国時代、重要な決定は大将一人で決めるのではなく、重臣立ちの会議によって決められていた。
 後詰(ごづめ)とは、後巻(うしろまき)ともいい、味方の城が敵に包囲されたとき、城を攻めている敵に包囲されたとき、城を攻めている敵のさらに外側を大軍で包囲し、城の外と中とで敵を挟み撃ちにしようという戦法であり、そのための援軍のことをいう。
 天正6年(1578年)、織田方だった摂津の荒木村重が有岡城で信長に対して叛旗を翻した。荒木村重の謀反は、三木城の別所長治を相手として戦っている秀吉にとって、まさに青天の霹靂だった。そこで村重を説得すべく黒田如水が最後に送りこまれたところ、有岡城内に幽閉されてしまった。しかし、如水と日頃接していた重臣たちは、如水が村重と同心して織田家を裏切ることは絶対にないと信じていた。
 黒田如水は、1年間も狭い牢に閉じ込められていたため、膝は不自由になり、頭髪はぬけて禿になった。これは一生回復しないままだった。
 織田信長が本能寺の変で倒れ、秀吉が「中国大返し」をするとき如水は知恵を働かした。秀吉の軍勢に毛利勢が加わっているように見せかけるため、毛利家の旗20本を借り受け、陣の先に立てていた。
 著者によると、黒田如水はキリシタンだったとのことです。博多の教会堂で、如水追悼の儀式が行われたそうです。知りませんでした。
 また、如水は、戦国武将としては珍しく、殺戮を好まなかったと書かれています。そして、如水は正室だけで、側室をもたなかったという点でも変わっています。
 この本には偽書とされる『武功夜話』の引用もあったりして、歴史書としてはどうなのかなと思うところもありますが、黒田如水の歩みを分かりやすく伝えていました。
(2012年1月刊。3000円+税)

パブリック

カテゴリー:アメリカ

著者   ジェフ・ジャービス 、 出版   NHK出版
 若者たちは、古い世代が戦々恐々とするパブリックな未来に生きている。自分をオープンにすることへの見返りを分かっているからだ。
 インターネットは、ただのコンテンツを運ぶ媒体ではない。それは、人と人とがつながりあう手段だ。インターネットは既存世界の一部だという考え方には異議がある。それはもう一つの並行宇宙なのである。それほど「別物」なのだ。
 インターネットは、この世界の新たな層、新たな社会、または、よりパブリックな新しい未来へのもうひとつの道筋なのだ。インターネットは、破壊の道具、つまり古い絆を再び分断し、ぼくらを制約から解き放ち、未来の姿をあらためて模索させる触媒だ。インターネットが再びぼくらを原子にする。
 社会がパブリックになることは明らかだし、避けられない。抵抗してもムダなのだ。だが、その新しい社会がどんな形になるかは、まったく予想もつかない。
インターネットをうろついているとき、それを見られるのはうれしくない。
 インターネットは「深い読書」と、それがもたらす「深い思考」を阻むと言う人がいる。そこには、本こそが思考を刺激する唯一の、または最良のものだという思い込みがある。
インターネットができてから読む本の数は減ったが、インターネットのおかげで知識欲は増えた。なぜなら、インターネットは好奇心を呼びさまし、それを簡単に満たすことができるからだ。
 2011年の初め、13歳以上のアメリカ人の半数以上がフェイスブックに登録している。
 アメリカのティーンエイジャーと若年層の4分の3と、成人の半分がソーシャルネットワークを利用していた。1億7500万人をこえるツイッターユーザーが毎日1億回ツイートし、合計で250億のつぶやきを残している。アメリカの成人の1割は、ブログを管理している。
 ユーチューブは、毎分35時間分の動画を受けている。
 果たして、本当にインターネットは人類の知恵を向上させ、相互の結びつきを深めるものなのでしょうか。今の私には、大いに疑問です。
 私の身近な人がツイッター中毒となり周囲の状況が目に入らなくなって周囲の人が困ったということが起きました。その人を見ていて、あまりにインターネットの世界に入りこみ過ぎていて、じっくり落ち着いて考えることが出来なくなっている気がしました。
 インターネットの怖さは依然として小さくないというのが私の意見です。
(2011年6月刊。760円+税)

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