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アメリカの国家犯罪全書

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著者:ウィリアム・ブルム、出版社:作品社
 7月30日の西日本新聞にショッキングな記事がのっていた。アメリカで131万人もの子どもが行方不明になっているという。家出63万人、誘拐3万3千人、離婚した親に連れ去られて不明となった子どもが12万人、誘拐によって死傷した子どもは20万人にのぼるという。いずれも途方もなく多い人数で、とてもそのまま信じられないほどだ。日本でも、渋谷の小学生誘拐事件が起きて世間を心配させたが、アメリカのスケールはケタが違う。誘拐・監禁の多くは性的暴力やレイプと結びついているとみられている。防止策の1つとして、半年に1回は子どもの顔写真をとっておくこととされているのにも驚かされる。
 この本は、拉致・テロ・暗殺・拷問・毒ガス・・・、イラクや北朝鮮どころではないアメリカの国家犯罪をあますところなく網羅しており、まさに全書と呼ぶにふさわしい。
 これからアメリカに留学しようという子どもを持つ親にとっては必読の書だと思う。同時に、もういいかげんにしてくれと、目をふさぎたくなる本でもある。
 かつてガンジーはこう述べたという。あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。

月の浦惣庄公事置書

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著者:岩井三四二、出版社:文芸春秋
 「法廷ミステリーの傑作」とオビに書かれています。しかし、現代日本の裁判モノではありません。時は15世紀、室町幕府のころです。日本人がいかに昔から裁判(公事)が好きだったかを、この本も裏づけています。歴史小説とはいえ、びわ湖付近の土地争いが裁判になった事実をもとにしたものなのです。さすがに松本清張賞を受賞しただけあって、読ませます。怨念と復讐の歴史ロマネスクという評がぴったりです。
 私は、この本を読みながら、少し時代は異なりますが『神無月の十日の夜』という本を読んで深い感銘を受けたことを思い出しました。

ニッポン監獄事情

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出版社:平凡社新書
 こうだん(交談)、がんせん(願箋)、ふきしん(拭き身)、べんすい(便水)。塀の内側にのみ通用する業界用語です。
 日本の留置場は全国に1288ヶ所、年間のべ43万人、1日平均1100人が収容されています。刑務所は64、拘置所117、少年刑務所8、合計189の刑事拘禁施設があります。そこに1万5千人の刑務官が働いています。人員不足のため、いつも募集中です。
 これらの矯正施設は、年間110億円(うち刑務所は99億円)の作業収入を得ているのに、それをうみだした被収容者に支払った作業賞与金は、わずかに15億円でしかありません。搾取というより、まるで奴隷労働です。この本と『パリ・サンテ刑務所』(集英社)と比較してみてください。。

なぜ、あれが思い出せなくなるのか

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出版社:日経新聞社
 もっとも度忘れが起こりやすいのは人名である。それは人名がもたらす情報が名前だけだから。たとえば職業名だと、既存の関連情報や知識を使ってコード化しやすく、記憶しやすいのに大して、概念的な情報のない人名は思い出しにくいのである。
 人名の度忘れがもっとも起こりやすいのは、よく知ってはいるが少なくとも数ヶ月のあいだは会ったり思い出すことのなかった人の名前である。頻繁に会う人物を見ると、概念的、語彙的表象がともに活性化され、それらの間のつながりが強まる。
 デジャ・ヴェとは、現在の状況が引き金となって、恐らく予想しやすい言葉のときと同様に、その状況が過去に経験したと勘違いしてしまう現象。全米記憶チャンピオンは、日常生活において、物忘れしないように付箋紙(ポストイット)に頼っている。
 記憶は情報をそのまま記録するカメラではない。記憶は、その内容をさまざまなプロセスによって要約して保存する。後で思い出すときには、過去の経験をコピーして取り出すのではなく、経験したことを新に組み立て直す。この作業に、その経験の後で身につけた感情、信念、知識などが入りこむことがある。つまり、過去の出来事を現在の感情や知識に従わせることで、記憶を編集しているのである。
 人間の記憶があてにならないこと、客観的な事実に反することを本人は真実と確信して証言することは弁護士なら誰でも経験するところです。記憶と脳の7つの謎を解明している面白い本です。

東大講義録

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著者:堺屋太一、出版社:講談社
 なるほど勉強になったところもありました。しかし、全般的に堺屋太一の自慢話と独自の歴史観が強すぎて、客観性に乏しい気がしました。
 長篠の戦いで、織田信長の軍隊が3000丁の鉄砲を横一列に並べて発射したため、武田軍が崩壊したという話は初耳です。通説は3000丁を1000丁ずつ3段に構えて武田の騎馬隊を打ち破ったことになっています。
 ところが、この通説は間違っていると解説した本が最近出ています。『鉄砲隊と騎馬軍団』(洋泉社新書)です。この本を読むと、横一列はおろか3段構えも事実に反するということが論証されています。何事によらず通説(常識)は疑ってかかった方がいいということです。その意味で堺屋太一は、もっと学生に対して、何事も既成の概念は疑ってかかれとていう点をもっと強調すべきだったように思います。

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