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カテゴリー: 生物

ライオンは、とてつもなく不味い

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 山形 豪 、 出版  集英社新書ヴィジュアル版
アフリカで育った日本人がいるのですね。そんな野生児は、現代日本社会では住みにくいと感じるのも当然です。その野生児は、大人になってフリーのカメラマンとして、主としてアフリカやインドで野生動物の撮影をしています。
被写体となった野生動物の表情が、みな生き生きとしています。カメラマンに向かって突進寸前のものまでいて、ド迫力満点です。
タイトルは、まさかと思いました。ライオンの肉を食べるなんて、そんなことはありえない。何かのたとえだろうと思っていると、なんと、本当にライオンの干し肉を食べたというのです。
家畜を襲ったライオンは害獣として駆除してよいという法律があり、駆除されたライオンは殺された牛の持ち主に所有権がある。毛皮は売って、肉は干して食用にする。味付けをしていないただの干し肉だったせいもあるかもしれないが、今まで食べたどの肉よりもマズかった。とにかく生臭いうえに、猛烈に筋っぽかった。
人間にとっては牛のような草食動物のほうが美味しいのですよね。肉食動物の肉は一般に人間の口にはあわないようです。
ライオンから人間が襲われる事故は決して多くはない。それは、そもそもライオンは総数4万頭以下と個体数が決して多くはないから。人と接触し、事故が起きる確率が低い。
これに対して、カバによる事故は多い。カバの気性が荒いというだけでなく、水辺を好むカバと人間とは接触する機会が多いからだ。
現実世界の「草食系」動物は、決して優しくもないし、おっとりもしていない猛獣たちなのである。
テントの周囲にライオンやハイエナがうろついていても、テントの中にいて寝込みを襲われたという話は聞いたことがない。テントを破って中身を食おうという気にはならないのだ。
しかし、テントのフラップを開け放して寝ていた人間がハイエナに食べられたというケースはある。
アフリカで食べられないように注意しなくてはいけないのは、ナイルワニ。カバの次に多くの人の命を奪う動物は、ワニである。
しかし、もっとも恐ろしいのは、なんといっても、人間である。他の動物にはない、悪意や物欲というものを持っている。しかも、刃物や銃をもっているので、危険きわまりない。
写真と文章で、しっかりアフリカの野生動物たちの生態を堪能できる新書です。東アフリカの野生動物の写真といえば、小倉寛太郎氏を思い出しました。『沈まぬ太陽』のモデルとなった人物です。小倉氏は大阪の石川元也弁護士の親友でしたので、その関係で一度だけ挨拶しました。大人の風格を感じました。
(2016年8月刊。1300円+税)

クモの糸でバイオリン

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 大﨑 茂芳 、 出版  岩波書店
すごい話です。庭にいる普通のクモから糸を取り出し、それをより集めてバイオリンの弦にして音楽を奏でたというのです。
クモの糸だって体重100キロの人を吊り上げることが出来るのです。その話は、前に、著者の本で紹介しました。ところが、今度は、クモの糸が強いというだけではなくて、バイオリンの弦にすると柔らかくて深い音色を出せるというのです。
問題なのは、そのクモの糸をどうやって集めるのか、ということです。クモがカイコのように簡単に糸を吐き出してくれるとは思えません。その涙ぐましい努力の過程が、この本で紹介されています。
いったい、著者は何を職業としているのでしょうか・・・。医学部の教授ですが、医師ではなくて、生体高分子学を専門としています。そんな著者が40年間にわたってクモの糸の性質を調べてきた成果が結実したのです。著者は、私より少しだけ年長の団塊世代です。心から尊敬します。
クモは世界に4万種いて、日本には1500種いる。
日本のクモの半数は、獲物を探し歩く徘徊性のクモ。残る半数が網を張って獲物を獲る造網性のクモ。
クモの糸の縦糸は巣の骨格をつくり、粘着性はない。粘着性があるのは、横糸だけ。横糸には、粘着球が等間隔にくっついている。
クモから糸を取り出すには、クモが元気な状態でないといけない。ところが、クモはヒトの足元を見る。優しく扱っても、それが過ぎるとなめられてしまう。厳しすぎると、へそを曲げて、言うことをきかない。
クモの糸の第一の特徴は、非常に柔らかく、曲げやすいこと。
クモの糸を弦とするバイオリンで、「荒城の月」や、「アメージンググレース」を著者がひいている様子がネットで公開されているそうです。いやはや、たいしたものです。あくことなくクモの糸に挑戦して立派な成果をあげられたことに心から敬意を表します。
(2016年10月刊。1200円+税)

僕の日本みつばち飼育記

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 安江 三岐彦 、 出版  合同フォレスト
日本みつばちを飼うって、やさしいようで、やはり大変なんだと思いました。
日本みつばちは、在来固有種の野生の蜂だ。小ぶりで、おとなしい。
いま、日本みつばちは、洋蜂が闊歩する蜜源花のすき間を細々と、それでも粘り強く生きのびている。日本みつばちの飼育は、簡単だという人もいれば、むずかしいという人もいる。どちらも正しい。
野生蜂は、分蜂させて群を増やすに限る。分蜂は、春の4月だ。分蜂とは、新女王が生まれる前に、女王蜂が半分の蜂を連れて巣を出ること。そして、新たな場所で営巣を始める。その群を飼育箱に捕り込むことで飼育箱が増やせる。
日本みつばちは、気分を害すると、次の営巣場所へ逃去する。これは洋蜂にはない特異な性質。同じ場所で我慢するよりも、新しい場所でやり直すほうを選択する。日本みつばちは逃去性をもつ蜂なので、永住する気はない。
分蜂は突如として始まるというものではなく、その兆候がある。
分蜂は、5000匹とか1万匹といわれる蜂の子分かれの引っこし乱舞である。
分蜂から蜂球に固まるまで、30分間もかからない。
日本みつばちは、毒性も弱く、おとなしいが、群が攻撃モードのスイッチを入れると危ない。
巣箱のなかにセイヨウミツバチは3~5万匹いる。それに対して日本みつばちは、その半分が、多くても2万匹。そして、日本みつばちの蜜の生産力はセイヨウミツバチの1割ほどでしかない。だからこそ、日本みつばちの蜂蜜は3倍強の値段がついている。
日本みつばちの女王の寿命は、自然界では2年か3年。3年生だったら、夏に寿命を迎える。
セイヨウミツバチは、4キロも飛行するが、日本みつばちはその半分ほどしか飛べない。セイヨウミツバチは、12キロ平方キロを訪花する。日本ミツバチは、その4分の1、3キロ平方メートルしか訪花できない。
セイヨウミツバチの集蜜能力は日本みつばちの能力に比べて桁違いに高い。群勢で花畑にやってきて、日本みつばちを追いやる。
日本みつばちの天敵は、ツバメやスズメ、そしてクマ。ところが本当に怖いのはセイヨウミツバチだ。
日本みつあちをきちんと保存したいものです。ともかくハチがいなくなったら、人類の生存だって危ないのです。たかがハチなんて、軽蔑してはいけません。楽しい日本みつばち飼育の本です。
(2016年8月刊。1600円+税)

外来種は本当に悪者か?

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  フレッド・ピアス 、 出版  草思社
何が外来種なのか、そう簡単な話ではないということを、この本を読んで知りました。
自然はたえず流動しており、不変の生態系など、ほとんど存在しない。どこに生息しようと、そこは仮の宿でしかなく、あらゆる生態系はたえず変化していて、地質学的な偶発現象の犠牲になる生き物も多々ある。
セイヨウミツバチを、ほとんどのアメリカ人は在来種と信じている。しかし、イギリス人が17世紀にアメリカに巣箱を持ち込んだもの。つまり、意外にも外来種なのである。
スノードロップは我が家の庭にも春に咲いてくれます。これがイギリスの花かと思っていると、16世紀にフランスのブルターニュ地方から園芸植物として入ってきて、すぐに野生化したものなのだ。
熱帯には手つかずの自然がそのまま残っているというのは神話でしかない。実は、どんなに深い密林にも、数千年前から人間の手が入っていた。手つかずの自然というより、放棄された農園なのだ。昔、熱帯雨林でも、偉大な文明が繁栄していた。
自然はぜったいに後戻りしない。前進するのみ。たえず更新される自然に、外来種はいち早く乗り込み、定着する。
外来種の侵入は人間にとって不都合なこともあるが、自然はそうやって再野生化を進行させている。それが、ニュー・ワイルドということなのだ。
私たちの素朴な思い込みは、案外まちがっているということのようです。
たとえば、ひところセイタカアワダチソウが危険な外来種として日本全国で話題となり、躍起になって、その絶滅を目ざしていましたよね。ところが、今では、ほそぼそと生き残るだけで、かつての勢いはどこにも認められません。それは、ひところの絶滅運動の成果ではなく、自滅システムが作用したからのようです。
先日、わが家の庭に固くなった古パンをまいていると、真っ先に見つけてやってきたカササギを三羽の黒光りのする太いカラスが追い払ってしまいました。このカササギは朝鮮半島からの外来種とされていますよね。ところが、ヨーロッパに行くと、列車の車窓から田んぼにカササギを普通によく見かけます。自然って、偶然と必然が交互に起きるものでもあるのですね・・・。
(2016年8月刊。1800円+税)

花の品種改良の日本史

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  柴田 道夫 、 出版  悠書館
 私の数少ない趣味の一つは、ガーデニングです。野菜にはあまり挑戦せず(たまに、ジャガイモとか玉ネギを植えつけます。アスパラガスは植えっぱなしです)、もっぱら四季折々の花です。
といっても、秋のコスモスは何年も前にあきらめました。花は美しいのですが、後始末が大変なのです。根が太くて、地面にへばりついていて、掘り下げるのに手間を要します。そして、植えつけのとき、育ちざかりに夏の日照りにあったり、台風でなぎ倒されたりして、何度も泣きました。
同期の妻波弁護士(島根)からもらったボタンの花は、5年か6年ほど、咲いてくれましたが、ついに枯らしてしましました。ハナミズキも気品ある美しさに魅かれていましたが、いつのまにか枯れました。美人薄明というと、私の世話の足りなさを棚に上げているようで、申し訳ない感じです。それでも、私の庭には四季折々いろんな花が咲いてくれます。それをデジカメで撮って私の個人ブログで紹介するのも楽しみの一つなのです。
 この本は、日本で育っている花が、いかに品種改良されてきたのか、たくさんのカラー写真とともに紹介していますので、花好きの私にはこたえられませんでした。
 花が美しいな、いいね、この花と思うときには、その名前はもちろんのこと、原産地はどこで、今の色と形になるためには、誰が、どんな苦労をしてきたのか、その故事来歴も知りたくなりますよね。それにぴったりこたえてくれる本です。
 そして、花の品種改良という点では、江戸時代の日本人が多大なる貢献をしているのですよね。驚くばかりです。
現在、日本は、世界の中でもオランダやアメリカと肩を並べるほど、花の生産消費が盛んな先進国になっている。
 軍事面でアメリカと並んだなんて言われても、ちっともうれしくありませんが、こんな評価を知ると、うれしくなります。
 チューリップは、16世紀になってトルコからオランダに入って栽培が始まった。もともとのチューリップの故郷は、カザフスタン、ウズベキスタンなどの中央アジア。チューリップが日本に渡来したのは、江戸時代も末期の1863年2月のこと。しかし、日本でチューリップが植付けられるようになったのは、明治時代後期にオランダから輸入されてから。
チューリップには、800種類ほどあるが、日本では、半分の400品種しか栽培されていない。品種改良し、育成するには、20年という努力と資本を要する。
チューリップをタネから育てるのは大変なことで、私は、毎年、球根を買い求めています。
ハナショウブは、アヤメ科アヤメ属。ノハナショブは黄色、アヤメは縞目模様がある。カキツバタは、白く先が尖る。キショウブをふくめて、いつも混乱させられます。
肥後ハナショウブは、細川の殿様(斉護・なりもり)が育てたのでした。それで庶民も楽しめるようになったのです。その豪華絢爛さに、人々は圧倒されたのでした。
毎年6月、熊本地裁玉名支部に行くと、肥後ショウブが近くの高瀬川の川べりに沿って咲き誇っているのをタダで見ることが出来ます。それは見物(みもの)です。
見て楽しく、読んで面白い花の本です。
(2016年6月刊。4800円+税)
 宮﨑に出張し、フレンチ・ビストロに二晩続けて通いました。残念ながら美女同伴とはいかず、カウンターで一人寂しく美食とワインを味わいました。20人も入ったら満員という小さなビストロです。シェフが一人、補助の女性と給仕担当の女性の三人で、大勢の客の注文をテキパキこなしていくのも小気味よいものでした。
一晩目はシェフのおまかせコースにしました。ここは宮﨑牛のなかでも特別な尾﨑牛を扱っています。魚介のテリーヌには生ホタテが入っています。そして牛頬肉は赤ワイン煮込みでした。
 二晩目は、おまかせコースに出てこなかったものを注文しました。コラーゲンのソテーは、尾﨑牛のホルモンです。そして、自家製ソーセージとチョソリは、香料たっぷり。最後にトマトハーブの煮込み。尾﨑牛のミノ・センマイ・ハツそしてアカセンが入っていて、まるでポトフのよう。野菜もたっぷり入った健康食でした。
 久しぶりにキールロワイヤルをいただきました。カオールは次の機会の楽しむことにしましたので、またぜひ行きたいと思います。「直樹」というお店です。

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