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カテゴリー: 人間

子どもの才能を最大限伸ばす子育て

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者  佐藤 亮子、内村 周子 、 出版  ポプラ社
 子ども4人(息子3人と娘)全員を東大理Ⅲに合格させたママと、体操金メダリストの母が対談している本です。
自分が「やる」と決めたことはあきらめずにやり切り、目標を達成し、自己肯定感の高い子どもを育てようとする母親の姿勢が二人に共通している。
子育てに「これが正解」というのはない。子どもには一人ひとり違った個性があり、それは母親だって同じこと。
肩の力を抜いて、自分流の子育てをしていくと、子育てって、とっても楽しくなる。自分は自分だと自信をもって言おう。
小さい子どもがピーナッツの誤飲によって窒息するという事故を知って、一切の「柿ピー」を置かなくなった。ボタン電池も完全撤去する。これは親の責任。
男は背中で語るなんて思ったらいけない。子どもには、ちゃんと向かいあって、言葉でコミュニケーションをとることが大切。
母親業は女優業、家庭は舞台と思うこと。ついカッとなって子どもに変なことを言わないように、あらかじめリハーサルをしておく。事前にセリフを用意していないときには、まずセリフを頭の中で考え、ワンクッションおいてから口にする。子どもの人格を否定していないか、やる気をそぐことはないか、プライドを傷つけないか、そして感情的になっていないか・・・。
この思考・発語パターンは私にぴったりです。言う前にあれこれを考えるのです。ところが、これは語学の勉強ではマイナスになります。一歩、出遅れてしまうのです。語学は話しながら考えなくてはいけませんので・・・。
子どもを叱るときは、怒らないで、なぜ、それをしてはいけないのか、論理的に説明する。これは、答えを丸覚えさせるのではなく、自分の頭で考える機会を増やすことにつながる。
母親が一番に考えるべきは、どうしたら子どもが毎日を機嫌よく過ごせるか、だ。うむむ、私はそんな子育てを考えたことがありませんでした。もちろん、のびのび育てようとは思っていたのですが・・・。
必要なのは英語力よりも日本語力。ペラペラな英語力ではない、思考力こそが大切。日本語力なくして英語力なし。日本語がままならないうちに英語を教えても、思考が分散してしまうだけ。これも私はまったく同感です。
小さいときから、親からほめられて育つと、本番にも強くなる。
さすが、さすがと思わせる子育てのウンチクが惜し気なく披瀝されている、明るく元気の出る本でした。これも佐藤弁護士からいただきました。ありがとうございます。子育てに悩んでいる人はぜひ読んでみて、すっきりしてほしいと思いました。
(2017年10月刊。1500円+税)

暮らしのなかのニセ科学

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 左巻健男 、 出版  平凡社新書
 アップルの創業者・スティーヴ・ジョブズがガンのため56歳で亡くなりました。著書は、手術で早期にガンを除去しておくべきだったのに、ニセ科学、ニセ医学にだまされ、手遅れになったと厳しく批判しています。
すい臓がんで早期に発見されたので、早期に手術しておけば生存確率は上がった。しかし、手術を拒否し、絶対薬食主義やコーヒー浣腸などをして手遅れになってしまったというのです。
 なぜ騙されてしまうかという問いより、なぜ騙されない人がいるのか、と考えたほうがより適切だ。人は事実でないことでも、事実のように信じてしまう思考傾向がある。これは、もともと人間の心理システムに組み込まれているのだ・・・。
 体験談のほとんどは信頼性がない。○○○のおかげというのは、ウソか、たまたまそうなったのを信じ込んだだけのこと。
「超能力」の持ち主だと一時もてはやされたサイババも、要するにマジックで、二流のマジシャンに過ぎなかった。
 宿便なるものは存在しない。素人が浣腸すると、腸の粘膜を傷つけたり、危険性は大きい。
標準治療以外の療法は効果が乏しい。
 薬機法(薬事法の名称が変わった)によって、健康食品やサプリには、がんなどの治療効果をうたうことはできない。ところが、サプリは、こんなに効果があったという体験談があふれている。でも、それは全部でっち上げにすぎない。サプリのかたちで多量に摂取するのは、かえって危険が大きい。体験談を真に受けてはいけない。サプリはかえって健康に有害の危険がある。ウコン、グルコサミン、ヒアルロン酸、コラーゲン、プラセンタ、コエンザイム・・・。
 日本人の平均寿命は、明治・大正時代は40代。夏目漱石がなくなったのは49歳だったでしたかね・・・。50歳をこえたのは終戦後の1947年。やはり戦争で早死にしていたのですよね。そして、1960年に男性69歳、女性70歳になりました。それが今では、男性は80歳、女性は世界首位の86,8歳まで伸びています。
 もっとも長生きするのは、太り気味の人。やせすぎは短命。太っても死亡率はあがらない。逆に成人したあと体重が5キロもやせると、死亡する危険が1.3~1.4倍も高くなる。
 下手なダイエットはしないほうがよほどいい。
 水素水、磁石を通した水、活性水素水、波動水、マイナスイオン水・・・・。みんな効果は証明されていない。
 EMは、世界救世教がすすめたもの。その有効性は何ら証明されていない。実は、私も何年も前からEMぼかしを利用しています。たしかに生ゴミの悪臭はなくなりました。それで今も利用していて、畑の中に混ぜ込んで久しいのですが、EM効果なるものを実感したことはこれまでまったくありません。まあ、私も騙されやすい人間の一人だなと思ったものでした。
 多くの人に読まれるべき本だと思いました。
(2017年6月刊。800円+税)

漱石先生の手紙が教えてくれたこと

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 小山 慶太 、 出版  岩波ジュニア新書
この本を読んで夏目漱石をすっかり見直してしまいました。
私は手紙をもらうのも手紙を書くのも、昔から大好きなのですが、もちろん手紙は肉筆に限ります。
漱石はおそるべき手紙魔だったのですね。なんと、22歳から亡くなる49歳までのあいだに2500通をこえる手紙を書いています。信じられません。それも、見知らぬ読者からのファンレターやら人生相談にまで、いちいち返事の手紙を書いているのです。律気というか、まめまめしいというか・・・。そして、手紙は長いものがあるうえに、内容が濃いのです。一筆啓上式の短文ではありません。
自宅に電話がやっと引かれた(1912年)ころですから、長電話はありえませんし、ラジオはともかくテレビなんかありませんので、手紙を書く時間はあったのでしょう。
漱石は、人に手紙を書くことと、人から手紙をもらうことが大好きだと書いています。私は書くことより、やはりもらうことのほうがうれしいです。
漱石全集には3巻分が書簡集にあてられていて、そこに2500通の手紙が収録されている。そして、長い手紙が多い。
漱石は木曜会というのをやっていました。自宅に木曜の午後3時からは面会日として、弟子たちが来るのを歓迎していたのです。それ以外は執筆の時間にあてていました。
漱石のかんしゃくもちは有名で、家族に対して向けられていたようです。漱石の妻がかつては悪役専門でしたが、最近は見直されていますよね・・・。
ちなみに、漱石は熊本の五高で教師をしているときに結婚しました。このとき29歳で、妻の鏡子は18歳です。
漱石は若者を惹きつける、人間味にあふれる人物だった。だから、毎週の木曜会は盛会だった。弟子たちをはじめ、若い人々の作品に対して読後すぐに批評文を送り、いいところを大いに褒めた。
漱石は博士号をもらっていません。本人が断乎として断ったのです。博士とは、きわめて偏った知識しかもたない、狭い領域にしか通じない不健全な学問の修め方をした人間がなるものであって、自分はそんな人間ではないと宣言し、実行しました。
漱石も、ずいぶん悪口やら誹謗を受けた。しかし、黙然としていた。気に入らないこと、しゃくにさわること、憤慨すべきことは山のようにたくさんある。それを清めることは、人間の力では出来ない。それと戦うよりも、それを許すことが人間として立派なものなら、できるだけ、そちらのほうの修養をお互いしたいもの・・・。
手紙魔の名に恥じず、漱石が実に心に触れる手紙をこんなにたくさん書いていることに、軽いショックすら受けてしまいました。
岩波ジュニア新書は私の愛読書の一つです。著者に対して、いい本をありがとうございますと、お礼を言おうとして奥付を見ると、著者は私と同じ団塊世代でした。引き続きの健筆を期待します。
(2017年8月刊。880円+税)

スカートをはかなきゃダメですか?

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 名取 寛人 、 出版  理論社
形は女性だけど、心は男性。元トロカデロのバレエ団ダンサーになった人が女性から男性に変わる人生をたどっています。
小学生のときから女の子であることを断固として拒否して大きくなってきたというのですから、すごいですね。スカートの代わりにジャージ姿で通しています。着物姿なんて、とんでもありません。でも、生理があるようになるのでした・・・。
「世界的に有名な男性だけのバレエ団で活躍した唯一の日本人。名取寛人が語る、女として生まれて、男になるまで、そして夢のかなえかた・・・」
小学生のころ。「男の子らしいね」と言われることがしたかったかというと、そういうわけではない。ぼくは、ただぼくなだけで、「女の子だから」という言葉には違和感しかなかった。
それでも、著者は恵まれていたようです。母親(父親は離婚して、いません)は、いつでも、どんなときでも著者の味方になって、著者を安心させてくれました。偉いですね、この母親は・・・。そして、友人も教師も著者も変な扱いはしなかったようです。
高校では器械体操でがんばります。見かけは女性でも心は男性ですから、当然、女性を好きになります。でも、恋の告白はうまくいきません。
そして、男装した女性が接客するバーで働くようになります。1ヶ月たつと、ナンバーワンになったのでした。そして次はショーパブの世界へ。ここでもすごい人気。プレゼントしようという人が行列をつくって、30分も並んでいたといいます。ところが、4年たって、このままでいいのかと疑問を感じて、29歳のときアメリカはニューヨークへ行くのです。その前に胸を除去する手術を受けています。
ニューヨークではダンスのレッスンを受けていたのですが、ある日、バレエのレッスンを受けるようになります。そして教師に恵まれてトロカデロのオーディションを受けて合格。
著者は高校まで器械体操をしていましたが、その経験はバレエには生かせないといいます。
器械体操はスポーツで、バレエは芸術。筋肉をつかい、力を入れて、手や脚をまっすぐに伸ばすのはバレエではない。ジャンプするとき、器械体操は筋肉で跳ぶが、バレエは身体のバネをつかって跳ぶ。器械体操とちがって、バレエは身体の力を抜くことが重要なのだ。
この違いって、門外漢の私にはまったくピンと来ませんでした。
著者は、31歳のとき、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団に入団した。日本人として初めてだった。トロカデロにとって、日本はビッグマーケットになっている。著者は8年間、トロカデロで出演し、38歳で日本に帰国した。
その前に性別適合手術を受け、その結果として戸籍を男性に変更し、パスポートの性別も男性にした。
身と心が異なる人がこんなに多いのかと改めて驚き、かつ心配になりました。現代日本人がますますアメリカのように偏狭となって寛容の精神を失っている状況では、LGBTの存在が広く認められるのは容易なことではないように思われます。その意味で、本書が「フツー」の日本人の意識を根本的に変えることにつながることを心願います。ご一読ください。
(2017年8月刊。1300円+税)

男が痴漢になる理由

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 斉藤 章佳 、 出版  イースト・プレス
日本で初の「痴漢」について専門的に書かれた本。なるほど、初めてというか、改めて痴漢とは何者かを認識することが出来ました。
痴漢とは学習された行動。なので、その行為は、新たな学習や治療教育で止めることができる。
痴漢行為とは、手など身体の一部を用いて、対象者の衣服の上や身体に直接、かつ意図的に接触する、または密着して執拗に押し付ける行為のこと。
平成28年の1年間に、東京で、強姦は140件、強制わいせつは800件、痴漢は1800件が発生した。
世界的にみて、公共交通機関で日常的に、これだけの数の性暴力が頻発している国は珍しい。これは満員電車が多いということと、国としての対策がとられていないことによる。
日本では痴漢による被害が軽視され、痴漢が野放しになっている。
痴漢をしているのは、四大卒で会社勤めをしている、働きざかりの既婚者男性である。つまり、どこにでもいる、普通すぎるほど普通の男性が痴漢をしている。
何らかの劣等感を抱いていたり、自己肯定感が低かったり、人間関係に対して不器用な人が痴漢をしている。
性暴力の加害者には、加害したことを忘れるという特徴がある。
依存症において「治る」とは言いにくい。回復はする。しかし、完治は困難というが現実。痴漢は行為をやめるだけでなく、男尊女卑的な思考パターンを見直し、女性観や性に対するとらえ方が変わらないかぎり、真に回復したとは言えない。
痴漢は、男性優位社会の産物。常に人との関係で優位性を保てていないと不安定になるパーソナリティーの持ち主が痴漢になる。性犯罪をする人は、心のうちに歪みを隠しもっている。この歪みは、自分ではなかなか気づかないし、まして修正するのは、とても困難。
痴漢は、女性を自分と対等な存在とは見ていない。
性風俗店を利用することが痴漢行為の抑止とはならない。
痴漢行為にはスリルとリスクがともなう。捕まるかもしれないというリスクが高いほどスリルを感じ、達成したら測り知れないほどの興奮に包まれる。そして、それはさらなるリスクを背負って痴漢することへの渇望になる。
痴漢は捕まらないための努力をしている。そのために人生のすべてを捧げている。しかし、最大の努力はターゲット選びにある。派手で勝ち気そうで、頭がよくて仕事ができそうな女性は敬遠する。気が弱そう、おとなしそうという女性をターゲットとする。
痴漢同士がネットで競って自慢しあっている。
痴漢と盗撮は、再犯率がきわめて高い。
謝罪の手紙は意味がない。反省を強いて、その責任を追及すると、むしろ再犯率は上がる。痴漢にとって、反省は現実逃避でしかない。生き方を変えることしかない。グループミーティングの場で本人に気づいてもらう。
痴漢からの脱出・人間性回復の方法まで論じていて、とても勉強になりました。
(2017年8月刊。1400円+税)
天神の映画館でイギリス・ポーランド合作映画「ゴッホ最期の手紙」をみました。驚きました。ゴッホの絵が動くのです。実写アニメって、こういうのを言うのでしょうか・・・。
私はアルルの町に行ったことがあります。「星降る夜」の絵が描かれた場所に立ち、そこで泊まって飲食しました。
ともかく、ゴッホの描いた絵が動き出すありさまは圧巻です。ゴッホの絵に関心のある人には必須の映画として、強くおすすめします。私が行ったとき、満席に近い状態でした。
ゴッホの死に謎があるらしいことも分かりましたが、なんといってもゴッホの絵が動くのに圧倒されます。20人からの画家が協力したとのことで、そのなかには日本人女性画家も含まれています。いい映画は人を感動させてくれますね・・・。

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