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カテゴリー: アメリカ

アメリカ大統領の信仰と政治

カテゴリー:アメリカ

著者 栗林 輝夫、 キリスト新聞社  出版 
 
アメリカは宗教の国といいますが、レーガンやブッシュを見ていて、キリスト教の博愛の精神を身につけているというように感じたことは一度もありません。それどころか、大量虐殺の張本人ではないのかという気がしてなりません。この本を読むと、案の定、この二人とも教会にほとんど通ったことがないということです。さもありなん。私は、そう思いました。本物のキリスト教の信者なら、刑務所での虐待とか「捕虜」への拷問を許したり、看過したりするはずはありません。その点、アメリカでは現役時代にはまったく評価されなかったようですが、カーターのほうがよほどキリスト教信者らしいと思います。
 宗教はアメリカの建国以来、アメリカ国民の政治に深くからみあってきた。大統領の信仰も、その例外ではない。歴代のアメリカ大統領は誰もが、宗教がアメリカの政治と切っても切れないことを熟知してきた。宗教が政治に深くからまる現実こそ、アメリカ的な生活様式、アメリカをアメリカたらしめている特長である。
 アメリカは熱烈な宗教国家である。その国民の8割が神の存在を神事、宗教は自分の生き方に大きく影響していると9割の国民が述べる。
 ジェファーソン、カーター、オバマは、自由に神学を論じられるほどに知的で、リンカーンやクリントンは聖書の言葉を自由に諳んじることができた。信仰熱心なはずのブッシュは、自分の属するメソジスト教会と聖公会の違いすら明確に述べることができなかった。多くの大統領は在任中、熱心に教会に通ったが、唯一の例外はレーガンで、8年間の任期中、ほとんど教会に通っていない。
 この本を読んで、リンカーンに謁見した日本人が一人だけいることを知りました。アメリカ彦蔵こと、ジョセフ・ヒコです。1862年のことでした。
アイゼンハワーは、もともと職業軍人だった経験から無謀な軍事行動には批判的だった。なるほど、ですね。アイゼンハワーは、反共宣伝をすすめていたマッカーシーの追い落としをこっそり進めていた。また、黒人の権利擁護に前向きだった。中国への原爆投下にも反対したし、日本への原爆廊下にも反対した。
アメリカって、本当に不思議な国ですよね。個々のアメリカ人レベルでみると善良な人が多いと思いますし、ボランティア活動でも盛んなわけです。ところが、イラクへ軍事侵攻し、今またアフガニスタンへ増派しようとしています。これらが、ますますアメリカへの反感を買っていることを自覚しないまま、多くの国民が政府の言いなりに従軍し、前途有為な青年が戦死させられている現実があります。おおいなる矛盾ですよね。
 アメリカの民主主義を信じたい一面、アメリカで国民皆保険制度の導入を唱えると、それは社会主義的な政策だなんて、とんでもない批判が起きてつぶされてしまうのです。ひどい話です。アメリカ人にどれだけホンネのところで自由な博愛心があるのか、他人を迫害して平気な信仰って一体何なのとめて疑問を持ってしまった本でした。
(2009年2月刊。2000円+税)

(さらに…)

肥満と餓死

カテゴリー:アメリカ

著者 ラジ・パテル、    出版 作品社
 いま私はダイエットに励んでいます。ビールは卒業しました。間食はしません。炭水化物は少なくしました。ご飯は30回かみます。それでも、なかなか腹にため込んだ脂肪は減りません。
 いま、世界で10億人の人々が飢えに苦しみ、逆に10億人の人が肥満で苦しんでいます。何というアンバランスでしょう。 そして、農業の危機はビジネスチャンスともなっているのです。いま菅政府が財界とマスコミの後押しを受けてやっきになって推進しようとしているTPPも日本の農業を破壊して、さらにビッグビジネスの支配下に置こうというものですよね。
たとえばリンゴ。見栄えの良いこと。ツヤがあって、無傷の果物である。長距離輸送に耐え、見栄えのよいようにワックスの乗りがよい、農薬がよく効いて大量生産に向いた品種が考えられ、つくられている。うへーっ、これはたまりませんね。
イギリスでも、アメリカと同じように6歳児の8.5%、15歳児の10%以上が肥満となっている。砂糖のとりすぎ。朝食のシリアルには砂糖が多すぎる。
アメリカの外交戦略は、飢えた人々はパンきれを持った人の言うことしか聞かない。食料は道具であり、アメリカにとっての交渉カードのなかでも強力な武器なのである。
アメリカのユナイテッド・フルーツ社は中南半諸国の貧困化に一役買っていた。アメリカ国内では知られていないが、これは事実である。
種子の供給において10社が世界全体の半分を占めている。種子にふくまれる大量の遺伝情報は農薬会社が開発したものではない。人々が数千年にわたって利用してきた結果なのである。それなのに、わずかな付加価値を持たせただけで、種子そのものに特許が設定されてしまった。遺伝子組み換え(GM)作物の安全性は証明されてないし、その恩恵は農民にもたらされない。
アフリカで人々が飢えているのは、食料があって売られてはいるけれど、人々がそれを買うことができないからである。慢性的な食糧不足の影響をもっとも受けやすいのは、女性と子どもと高齢者である。子どもは低体重児になっている。近年に起きたアフリカ南部の食糧危機は、世界銀行による一連の政策の結果であり、農薬産業にはビジネスチャンスとなった。
アメリカでは、スーパーマーケットのある地域の方が肥満率が低い。近所にスーパーマーケットが一軒もないのは最悪だ。そして、黒人の多いスーパーマーケットは、意図的に白人の多い地域よりも健康的でない食品をそろえている。健康的な食品の手に入る地域では、果物と野菜の消費量も多い。スーパーマーケットの現実は、「コーラかペプシか」を選ばせているというものである。ファーストフードの店舗は、貧困地区や有色人種の居住地域に集中している。そのうえ、アメリカの貧困地域には、たいていレクリエーション施設がない。消費者は、加工食品をたらふく食わされ、中毒にさらされている。
アグリビジネスの食品とマーケティングは、食に起因する病気を爆発的に増加させ、人間の人体を害し、世界中の子どもたちの身体に時限爆弾を仕込んでいる。うむむ、なんということでしょう・・・。
スーパーマーケットは、安価な高カロリー食品をたくさん取り揃えているが、そのせいで、地域の経済は大打撃を受けている。そして私たちは食べ物の生産現場からも、食の楽しみからも、ますます遠ざけられている。
食生活をもう一度考え直そうという気持ちにさせてくれる大切な本だと思います。
最後に、ぜひ紹介したい言葉があります。ぜひ読んでみてください。JA中央会などが集会を開いたときの宣言の一節です
「地域環境を破壊し、目先の経済的利益を追求し、格差を拡大し、世界中から食料を買いあさってきたこれまでのこの国の生き方を反省しなければならない。自然の恵みに感謝し、食べ物を大切にし、美しい農産漁村を守り、人々が支え合い、心豊かに暮らし続け、日本人として品格のある国家を作っていくため、我々はTPP交渉への参加に断固反対し、さらなる国民各層の理解と支持を得ながら、大きな国民運動に展開させていく決意である」
 まったくここに書かれているとおりではないでしょうか。日本人として品格のある国家を作っていくためには、TPPなんてとんでもないと私は思います。ところが、各紙は一斉に社説でTPP参加に賛成を表明しています。恐ろしいことです。私はここにも例の内閣機密費の影響もあるんじゃないかと勘繰ってしまいます。だって、菅内閣も自民党時代と同じく毎月1億円を自由につかっているのですよ。このなかにマスコミ対策費が入っているのは公知の事実なんですからね・・・。
(2009年2月刊。1600円+税)

豊かさの向こうに

カテゴリー:アメリカ

 著者 V.A.ギャラガー、 出版、連合出版  
 
 著者は、アメリカ人はマフィアの妻のようなものだと言います。
アメリカ人の多くは、極貧にあえぐ人々がいる一方で、自分たちがたくさんの物を持っていることがどんなことかを本当は知りたくない。そしてメディアが偏っていて、簡単な真実すら伝えていないことも信じたくない。
 ハイチで人々に正当に選ばれた大統領のアリスティド政権を崩壊させるため、アメリカとカナダとフランスは巧妙に工作した。アメリカに誘拐され、フランスに連れて来られたアリスティドは、マスコミからなぜかと問われたとき、三つの理由があると答えた。
民営化、民営化、そして民営化。民営化とは、政府が所有する企業を資本家に売ることである。
郵政民営化の嵐を経験した私たち日本人にとって、この指摘はとても重要だと思います。アメリカの言いなりになって、なんでも民営化していったら、権力を持たない貧しい人々は大変な痛い目にあうということです。
 ユニセフは、今こそ深刻な貧困に終止符をうつための絶好の機会だとする。なぜなら、世界の繁栄は、史上かつてないレベルにまで達している。ところが、今日、全世界で5億人もの子どもが、これは発展途上国の子どもの実に40%に相当する、毎日1ドル以下で生き延びようとしている。貧困のせいで、助かるはずの子どもが毎年、何百万人も亡くなっている。そして、何千万人もの子どもが飢えに苦しみ、学校に行くことも出来ず、危険な児童労働の搾取を受けている。すべての子どもが最低生活水準を達成するために必要な金額は年800億ドル。これは全世界の収入の0.3%にも満たない。
 IMF(国際通貨基金)の構造調整政策は、国際的な危機や根強い不均衡に各国が対応するために作られた政策である。だが、この政策は、多くの国々での飢餓や暴動を引き起こすきっかけとなった。その恩恵は富裕層に偏り、底辺の人々はかえって貧しくなった。
 ウォルマートなどの大規模小売業者の自由な出店を認めるNAFTAの条項により、メキシコの2万8千もの中小企業が倒産した。NAFTA以降、アメリカでは3万8千人以上の小規模農業経営者が破産ないし廃業した。また、アメリカ国内の繊維アパレル産業において78万人分の雇用が失われた。
 アメリカは、1946年に陸軍米州学校(SOA)を設立した。今、フォート・ベニングにある米州学校は、ラテンアメリカ22ヶ国の5万5千人以上の士官、士官候補生、下士官、政府職員を訓練してきた。その卒業生は、暗殺、拷問、虐殺を指示したり、関与してきた。
 ラテンアメリカでの主要な残虐行為にかかわった66人の将校のうち46人が米州学校で訓練をうけていたことが判明している。
 囚人の恐怖や弱みを観察しろ。囚人をたたせ、眠らせず、孤独にして、裸のままにし、ネズミやゴキブリを独房に入れ、粗末な食べ物を与え、死んだ動物を食べさせ、水をかけ、温度を変えろ。
 これが拷問マニュアルの一端です。いやはや、アメリカって、とんだ文明国ですね。
 この本は、訳者の一人である川人博弁護士から贈呈を受けました。世界の現実、そのなかで果たしているアメリカの負の役割が如実に描かれています。あまり知りたくはないけれど、知らなければいけない現実です。
 
(2010年9月刊。2200円+税)

今、ここに神はいない

カテゴリー:アメリカ

著者:リチャード・ユージン・オバートン、出版社:梧桐書院
 1945年2月19日、硫黄島。南海の孤島は地獄と化した。散乱する肉塊、死にゆく戦友、肌にしみこむ血の匂い。「地獄の橋頭堡」の生き残り兵が戦後40年を経て初めて明らかにした衝撃の記録。
 これはオビにある言葉です。戦後40年たって初めて書いたというには、あまりも生々しく迫真的で詳細です。本人はメモを書いていたようです。
 アメリカ軍は開戦前、数日で制圧できると楽観視していたが、予想に反して太平洋戦争での最激戦地となった。日本軍は2万人の守備兵がほぼ全滅(戦後、捕虜となった元日本兵は1000人あまり)。アメリカ軍は、それを上回る2万8000人もの戦死傷者を出した。アメリカ軍の損害が日本軍を上回った稀有な戦いだった。
 2月19日に始まった戦闘は、3月17日、日本軍の硫黄島守備は大本営に訣別を打電した。著者は海兵隊第2大隊に配属された海軍衛生兵、19歳であった。
 戦闘部隊員は、顔面に毛をはやすことは許されない。それは、顔面の傷治療の妨げになるからだ。毛が傷に入ってしまうと、感染症を引き起こす。
 上陸する前、隊員の態度に変化がおきた。隊員は静かで瞑想的になり、海を眺めたり、残してきた家族に手紙を書いたりして過ごした。会話もほとんどなく、めいめいが個人的な思いに沈んでいた。あるいは、これが最期の時かもしれないと・・・。
 上陸した直後の海岸はひどい混乱状態にあり、地獄のようだった。そうとしか言いようがなかった。浜辺全体が多数の火を吹くような爆発に見舞われ、地面が膨れて濃い灰色の砂山となり、それが散って灰色のすすけた煙の噴出となるのだった。
 人体、隊員が運んできたヘルメット、ライフル、その他の装備は、浜辺で吹き飛ばされていた。隊員たちは地面に倒れ、動いている者もいれば、じっとしている者、あるいは服から煙が上がっていたり、燃えたりしている者もいた。服に燃えている鉄片が刺さっていたのだ。第26連隊が上陸した区画は400メートルの幅があった。そこは隊員と装備でいっぱいだった。
 日本軍迫撃砲手は、見事な腕前だった。彼らは摺鉢山で、アメリカ兵より高いところで北の方角から撃ってきた。
 乱戦のなか、日本軍が海兵隊員の死体から制服と装備を奪い、制服を着て、海兵隊の防衛線の中に入り込んできた。そして、完璧な英語を話した。
 ええーっ、これって本当のことでしょうか・・・?でも、死んだ日本兵がテキサスの短大で発行された写真つきの学生証をもっていたとありますから、本当だったのでしょうね。
 海兵隊と日本兵は近接して入り乱れながらの接近戦を展開していたようです。著者も、そのなかで2時間半近くも気絶していたことがありました。九死に一生を得たのです。
 重傷を負った隊員が叫んだ。
 「神よ、なぜ、こんなことをお許しになるのですか?」
 著者は答えた。
 「神は今ここにいらっしゃらないんだ!」
 2月23日、上陸5日目にして摺鉢山に星条旗がはためいた。しかし、現実には戦いは始まったばかりだった。
 人により、自分の体の一番守りたいところは違ってくるのに気がついた。ある者は顔が大事、他の者は下肢、陰部、手だった。著者は手を胸の下に置いたり顔の下に置いたりして、手を大事にしたいと思った。死が一番恐ろしかったのではなかった。手足がバラバラになるのが怖かった。
 このような脅威に常にさらされていると、心は体とつながりがなくなっていくように感じた。まず最初にアドレナリンが血中に入り、興奮するが、次に恐怖が来る。このような刺激が続くと、感覚が鈍ってくる。心が次第に機能しなくなり、体が動かなくなる。
 自分の考えをコントロールすることができなくなり、まとめることもできなくなった。手で顔を触ることができるが、感じることができなかった。
 戦友のあごが緩み、口が開き、唾液が口角からあごに流れ落ちている。目に感情の色を失い、見ているものが脳に認知されていないことは明らかだった。
 砲撃を受けたあと、一度ならず泣いている兵隊、ヒステリックに泣きじゃくる隊員を見た。目の刺激に反応しない。命令や質問に応ずるのも、非常にゆっくりだ。
 上陸して3日間は、ほとんど眠れなかった。ベンゼドリンの錠剤をたくさん服用したが、目をつぶることさえできなかった。まぶたを閉じようとしたが、まぶたを閉じる筋肉が動かなかった。
 慣れることのできなかった恐ろしい光景の一つが、降伏を拒み掩蔽壕や洞窟から出てこない日本軍に対して火炎放射器が使われたこと。中にいた日本兵はゼリー状の火炎を浴びて、焼け焦げていく。外に走り出て、体を包んでいる炎から逃れようとする。生きながら燃えている人間の光景と音は、えもいわれぬ嫌なものである。
 硫黄島で死んでいった2万人もの日本兵を心より哀悼したいという気になりました。もちろん、海兵隊の死傷者と同じように、という意味です。残酷な戦場がまざまざと迫ってくる迫真の体験記です。クリント・イーストウッド監督の映画二部作もすごかったのですが、この本も期待以上の内容でした。当時、わずか19歳だった著者が40年後に書いたとはとても思えない内容です。
(2010年7月刊。2500円+税)

スティーブ・ジョブズ、驚異のプレゼン

カテゴリー:アメリカ

著者:カーマイン・ガロ、出版社:日経BP社
 iフォン、iパッド、iポッドを成功に導いたアップルのスティーブ・ジョブズのプレゼンは、すごいもののようです。
 実は、私も一度もみたことがありません(見ても英語のダメな私には、そのすごさが分かりません)。
 それはともかく、裁判員裁判(私はまだ体験していません)ではフツーの市民へのプレゼン能力が求められています。その意味で読み、また大いにひきつけられる内容がありました。
 ジョブズのプレゼン能力はすばらしい。しかし、そんな能力を持って生まれてきたわけではない。努力して身につけたのだ。プレゼンには、わくわくするようなストーリーが必要だし、そのストーリーには力がなければならない。
 体のつかい方、しゃべり方、服装も大事である。そして、練習だ。構想はアナログでまとめる。ジョブズは、まず紙と鉛筆からスタートする。スライドをつくる時間は、全体の3分の1以下におさえる。聞き手に訴えるのはストーリーであって、スライドではない。ジョブズは、ビデオクリップをよく使う。しかし、プレゼンではビデオクリップを使うべきだが、その長さはせいぜい2~3分にとどめる。
 私も思いついたアイデアは真っ白の紙にまず書きなぐります。裏紙利用の白紙が最高です。いくら書いて失敗しても、もったいないと思わないからです。
 人間の頭が楽に思い出せるのは、3項目から4項目である。だから、ジョブズは3点にまとめる。
 私は、いつも指をかざして二つ言いますよ、と言っています。三つあるというと、3番目に何を言いたかったのか忘れてしまう危険があるからです。
 3点ルール。たとえば、毎日、三つのことをすべきです。一つは、笑うこと。第二が考えること。三つめに涙を流すほどに強い心の動きを覚えること。という具合に・・・。
 敵(かたき)役をストーリーに登場させる。そうすると、聴衆は、主人公(解決策)を応援したくなる。
 なーるほど、そうなんですか・・・。
 10分ルール。10分たつと、聴衆は話を聞かなくなる。そこで、話を区切り、休憩時間を入れる。聞き手の脳を休ませる。
 言葉でなく、写真で考えて説明するには、度胸と自信が必要だ。
 一枚のスライドはひとつのテーマに絞り、それを写真や画像で補強する。
 数字は、理解しやすい文脈に入れないと力を発揮しない。理解しやすい形とは、みんながよく知っているものと関連づけること。
 数字を多く出しすぎると、聞き手がいやになってしまう。文脈性が大事。数字を聞き手の暮らしに密着した文脈に置くことが大切である。
 業界の特殊用語は幅広い人々と事由に意見を交換する妨げとなる。
 ジョブズは、いつもやさしくくだけた言葉をつかう。
 退屈なものに脳は注意を払わない。脳は変化を求める。人は、ものごとを目から吸収する人、耳から吸収する人、体から吸収する人の三種類に分けられる。デモをつかうと、三種類すべての人とつながりを持つことができる。
 記憶に残る瞬間を演出するコツは、部屋を出たあとも聴衆に覚えていてほしいことを一つだけ、ひとつのテーマだけに絞ること。
 うっそー、な瞬間をつくりあげる。
 感動の瞬間に向けた筋書きをつくる。
 聴衆と視線をあわせて話す。身ぶり手ぶりもよくつかう。大事なポイントは手の動きで強調する。そして、声は一本調子でなく、声で筋書きを補強する。
 大きくしたり、小さくしたり、しゃべるスピードを変えたりして、しゃべり方に変化をつける。ドラマチックな演出には、間が不可欠である。
 常に自信をもって行動すること。評価の大勢は、最初の90秒で決まってしまう。自分がしゃべっているところを録画して見る。体が発するメッセージを感じ、しゃべり方を確認する。壇上であがらないためには、しっかり準備するのが一番。話すとき、基本的にメモは使わない。
 どれほど周到に用意しても、計画どおりにいかないことがある。これを失敗と認めない。失敗とは、起きてしまった問題に注目して、プレゼン全体を台無しにしてしまったときにしかいわない。小さいことを気に病まないで、先に進めてしまう。さらっと認め、にっこり笑って次に進む。自分も楽しむのだ。
 なるほど、なるほど、そういうことなんだね。同感できる話が満載です。英語ができたら、本物の話を一度聞いてみたいのですが・・・。
(2010年8月刊。1800円+税)

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