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カテゴリー: アメリカ

モンサント

カテゴリー:アメリカ

                                (霧山昴)
著者  マリー・モンク・ロバン 、 出版  作品社
 アメリカって、本当にいやな国だとつくづく思いました。自分さえ良ければいい。目先の利益が最優先。あとは野となれ、山となれ、という国なのですね。もちろん、アメリカ人にも良心的な人々がたくさんいるとは思います。それでも、アメリカの軍隊、そして大企業の力の強さには、げんなり、うんざりしています。
 今回のテーマは軍事ではなく、企業のエゴの話です。その名も、モンサント。
 四日市コンビナートにもいましたよね。世界中を荒らしまわっている、とんでもない公害まき散らし、環境破壊の大企業です。
 1万7500人の従業員をかかえ、2007年には75億ドルの売上高をあげ、うち10億ドルが純利益。世界全体で遺伝子組換え作物の90%はモンサントが特許を有している。その耕作面積は1億ヘクタール。半分がアメリカ、次いでアルゼンチン、ブラジル、カナダ、インド、中国、パラグアイ、南アフリカ・・・。
 これらの国から農産物は輸入すべきではないということです。農薬まみれの野菜を食べさせられるからです。
 モンサントは、PCBが健康被害をもたらすことを1937年から知っていた。しかし、何も知らないかのように行動していた。モンサントは無責任という以上に、犯罪行為をしている。
そして、モンサントを訴えた人についての裁判では、強力な弁護団を組み、「不屈の敵」というイメージを相手に与えるべく、無限のお金をつぎ込んだ。もう裁判なんてしようと思わせないようにする魂胆だ。
 アメリカには、4つの「回転ドア」がある。その一は、ホワイトハウスからモンサントへ就職する。その二は、議会メンバーが、モンサントのためのロビイストになる。その三は、環境規制機関からモンサントへ天下りする。その四は、モンサントから政府機関その他へ向かうドアがある。
モンサントは、年間1000万ドルの予算と74人のスタッフを使って「調査」している。モンサントから買った種子をつかい、翌年、それによって得られた種子をつかうことは禁じられている。「同意書」にサインされているのだ。違反者に対する制裁金は巨額であり、破産するしかない。
 モンサントの供給する種子は、1回目は効果がある。しかし、次からは、化学肥料を大量投入しなければいけなくなるので、農地はダメになっていく。遺伝子組換えといっても、実際には、殺虫剤成分が組み込まれているだけ。だから、人間が食べると、殺虫毒素の残留物を摂取していることになる。
 うひゃあ・・・。こんなの、いけませんよ。
 ランドアップ耐性大豆の栽培地帯では、ガン患者が増加している。
 自分さえ良ければ、今さえ良ければ、お金さえもうかれば・・・、そんな企業って、この社会に存在する価値なんてありませんよね。
 フランス人女性のルポルタージュです。彼女自身が農家の生まれだといいます。
 私も完全無農薬の野菜を庭で育てていますが、すべてというわけにはいきません。
 ドキュメンタリー映画もあるそうです。ぜひ見てみたいです。
(2015年3月刊。3400円+税)

スノーデン・ファイル

カテゴリー:アメリカ

(霧山昴)
著者  ルーク・ハーディング 、 出版  日系BP社
 権力は知らせたくない、しかし知りたい。自分に都合の悪いことは一般に知られたくないので、「特定秘密」に指定する。そして、国民が何をしているのか、何を考えているのかは知りたいので、無断で傍聴する。どこの国でもやっているのですが、アメリカの場合は、それがケタはずれです。そして、日本の自公政権も、アメリカに習って特定秘密保護法を制定・施行してしまいました。
 今や、世界はスパイ天国と化している。グーグル、スカイプ、ケータイ、GPS、ユーチューブ、トーア、Eコマース、インターネットバンキングなどは、監視マシーンと化している。
 アメリカのNSAはGCHQと協力して、海底の光ファイバーケーブルに盗聴器を仕掛けていた。そのおかげで、アメリカとイギリスは、全世界の通信内容の多くを読みとることができた。
NSA本部には、4万人が働いている。アメリカ最大の数学者の雇用主だ。
 スノーデンは、10代になったころ、日本に熱を上げていて、日本語も1年半ほど勉強した。
諜報機関は、ケータイをマスクや追跡装置に変えられる。
 2009年にイギリスのロンドンでG20サミットの会議があったとき、GCHQは諸外国の首脳を盗聴していた。
 アメリカのNSAには、光ファイバーケーブルの盗聴という、大きな極秘任務がある。
 NSAは外国の情報だけでなく、アメリカを通過する、すべての通信を収集している。アメリカ本土には、通信が監視・収集・分析されずに出入りできる地点は一つもない。
 2003年の電話通信1800億分のうち、20%がアメリカを発着し、20%がアメリカを通過していた。通信会社にとって、NSAとの協力関係は、ずい分とお金になった。国際通話の81%にアクセスする見通りにアメリカ政府は、毎年、大手通信会社に何億ドルもの大金を払っている。
 フェイスブックは、2012年後半に、1万8000~9000人のユーザーの個人データを、NSAだけでなく、FBI、地方警察など、さまざまな法執行機関に提供した事実を認めている。
 スノーデン・ファイルの恐ろしい現実が紹介されています。
(2014年5月刊。1800円+税)

ヴェトナム戦争研究

カテゴリー:アメリカ

                                 (霧山昴)
著者  藤本 博 、 出版  法律文化社
 50年近く前の大学生のころには「アメリカのベトナム侵略戦争に反対」と叫んだのは数え切れないほどです。あれ以来、アメリカ帝国主義という言葉は、私の血となり肉となって定着しています。そして、最近のイラク侵攻です。サダム・フセインは残虐な帝王だったと私も思います。でも、それをアメリカ軍が一方的に侵攻して殺害してよいなんて思えませんし、思いません。
 最近のアメリカ映画『アメリカン・スナイパー』をみて、ますます意を強くしました。アメリカがイラクの民衆を敵として戦争していたのです。だから、アメリカが戦争に勝てるはずがありません。一人のスナイパーが何百人のイラク人「テロリスト」を殺したところで、戦争に勝てるはずもないのです。その意味で、本当の「反戦映画」だと思いました。
 この本は、久しぶりにアメリカにとってのベトナム戦争を考えています。ベトナムからアメリカがみじめに脱出したのは1975年4月。これは私が弁護士になって2年目の春でした。
 ベトナム戦争が終結するまでの10年間にアメリカ軍は無差別攻撃・殺戮を繰り返し、膨大な数のベトナム民間人が犠牲となった。およそ数百万人にのぼる。
 ベトナム戦争に関しては、これまで3万冊の本が出ている。
 どうでしょう、私の書庫にも、正確には数えていませんが、ベトナム戦争だけで、500冊ほどの本があると思います。
 アメリカは、ベトナム戦争の全期間中に、東南アジア全域に延べ340万人、南ベトナムに260万人の兵員を展開した。南ベトナムへは、ピークの1969年に、54万人の軍事要員を派遣した。アメリカ兵の戦死者は5万8000人。うち戦闘中の戦死者は4万7000人。戦争での負傷者は30万4000人。うち7万5000人は、重度の身体障害者。
 ベトナム戦争では、砲弾による死者は36%で、むしろ小火器そして地雷や罠による戦死者が60%をこえる。
 南ベトナム軍は、死者25万4000人負傷者78万3000人。
 北ベトナム軍と人民解放軍の戦闘中の死者は100万人、行方不明者は30万人。
 ベトナム戦争における民間人の死者は200万人以上。
 アメリカによる北ベトナム爆撃(北爆)は、年に2万5千回から、10万8千回に及んだ。700万トンの爆弾をアメリカ軍は投下した。枯れ葉剤は、7万キロリットルが散布された。北爆よりも南ベトナム省内に多くの爆弾が投下された。北ベトナムには100万トン、南ベトナムには328万トンだった。地上での爆弾使用量は688万トンなので、合計すると100万トンが南ベトナムで使われた。これは北ベトナムへの爆撃の10倍になる。
 ベトナム解放勢力は、アメリカ軍との正面作戦を避け、小部隊による遭遇戦や奇襲作戦を展開した。
 1967年までに300万人の難民を生み出し、汚職が横行し、社会の不安定化を招いた。
 ソンミ虐殺事件を起こしたチャーリー中隊は、「敵」と遭遇しない状況で犠牲者がふえ、不満が募り、一般の住民が「敵」に同調しているのではないかと疑っていた。部隊は当初の132万人が105万人にまで減っていた。ベトナム人を人間とは思わず、動物としか思えなくなっていた。「村にはいるものを全部殺せ」という命令が出た。1968年3月16日、4時間のうちに504人の住民が無差別に殺害された。
1971年3月29日、カリー中尉のみが有罪となったが、3年半後に自由の身となった。
 アメリカ軍は、ソンミ村の虐殺以外にもたくさんの事件を起こしたが、起訴されたアメリカ兵は50人、有罪となったのは23人のみ。
 このようなアメリカ軍の犯罪を告発するものとして、「ラッセル法廷」があり、それなりに機能した。
 アメリカは、ベトナム戦争敗北の後遺症を中東の湾岸戦争で「克服」した。
 ところが、アメリカ兵のPTSDはますます深刻になっていくのでした。そして、ベトナム戦争からの帰還兵たちがベトナムを再訪し、いい方向での「和解」も起きていくのです。
 昔のベトナム戦争反対の声を思い出させてくれる本でもありました。
(2014年12月刊。6800円+税)

沈みゆく大国 アメリカ

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                               (霧山昴)
著者  堤 未果 、 出版  集英社新書
 アメリカのような日本には、絶対になってほしくありません。なんといっても、病気になったとき、アメリカでは悲惨です。まさしく「自己責任」。お金がなければ、さっさと死ねというのがアメリカです。
アメリカの医療費は高すぎる。突然のケガや病気のために破産する先進国なんて、アメリカ以外にはない。どう考えても狂っている。どんなに仕事があっても、今のように無保険では、病気やケガしたら、いつでも自己破産コースだ。リーマンショック以降ふえ続けている個人破産の半数以上が、医療破産である。医療破産者の8割は、保険加入者が占めている。これは、保険会社が保険給付をしぶったり、必要な治療を拒否するケースが多いからだ。
 オバマケアの法律を医療保険・製薬業界が呑んだのは、全国民加入というのが大きかった。数千万人の新規客の獲得は、業界にとって損にならない。
年間150万人が自己破産者になる。その理由のトップは医療費。国民の3人に1人は、医療費の請求が支払えないでいる。
 民間保険は高いため、多くの人は、安いけれど適用範囲が限定された「低保険」を買うか、5000万人もいる無保険者になっている。
世界最先端の医療技術を誇るアメリカでは、毎年4万5000人が適切な医療を受けられずに亡くなっていく。
 アメリカで毎年5万人ずつ増えているHIV感染者の6割は、同性愛者などの男性が占めている。全米に110万人いる患者のうち、保険に加入しているのは、わずか13%のみ、患者の多くは、貧しく、無保険で、感染に気づかないまま、次々に新しい相手に感染させてしまう。
 オバマケアは、労働組合の存在そのものを脅かす危険性を秘めていた。そのことに労組幹部が気づいたのは、法律が成立したあとのこと。組合の保険では政府からの補助金が出ないため、労働者は組合保険をあきらめてオバマケア保険に入らざるをえなくなる。労組の提供する医療保険は、オバマケア保険の基準より充実しすぎているとして、「キャデラック保険」と名づけられ、今後、40%の課税対象になる。
メディケイド患者は、民間保険の加入者より50%、無保険加入者より13%も死亡率が高い。その最大の理由は、国からの治療費支払い率がメディケイドは民間保険の6割と非常に低く、メディケイド患者を診れば診るほど、医師や病院は赤字になってしまうから。
アメリカの医療費を毎年、異常に押しあげている最大の原因は、民間医療保険と薬価だ。オバマケアは、この二つの業界を野放しにしたまま、民間保険の購入を義務化し、医師と病院には、高齢者医療を減らせという。このことによって、金持ちの高齢者は高い民間保険を買い、現金払いで好きな医師にかかれるけれど、中流以下の高齢者は、早く死ねと言われているようなものだ。
 もし民間保険を廃止し、日本のような政府管掌の国民健康保険一本にすれば、医師を事務作業から解放するだけでなく、事務費用が節約できて、アメリカは年間40兆円もの医療費を下げることができる。
 オバマケアの問題点をしっかり認識できる本です。ところが、こんな問題のある内容でもオバマ大統領に対して、アカだ、共産主義者だと罵倒するアメリカ人が少なくないというのです。本当に、アメリカって狂った国ですよね・・・。日本を、そんな国にしたら、大多数の日本人は不幸になります。
アベノミクスによって、株高で恩恵を蒙っている人にとっては「天国」なのでしょう。それでも、その老後は分かりませんよ。そして、子どもや孫は不安な日々を過ごすことになります。そんなことって、本当にいいことなんですか・・・?
 日本の国民皆保険制度を絶対に守り抜きましょうね。
(2014年11月刊。720円+税)

反知性主義

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著者  森本 あんり 、 出版  新潮選書
 アメリカって、本当に怖い国です。すべては自己責任ですから、会社のトップは、とんでもない超高額の報酬をもらっています。取締役会は現実には何の歯止めにもなりません。
反知性主義とは、実証性や客観性を軽んじ、自分が理解したいように世界を理解する態度のことだ。
 ダーウィン以来の科学的な進化論を真っ向から否定するような議論が責任ある地位の人々の口から平然と語られるのは、アメリカだけ。
 キリスト教は、アメリカにとっても外来の宗教である。
 神は人々に約束した。人々はその約束を守り、なすべきことをした。だから今度は、神が約束を守る番だ。神を相手としてアメリカ人は契約の履行を迫っている。
 リバイバリストの説教は、言葉も平明で分かりやすく、大胆な身振りや手振りを使って話がうまい。聞かせる。
「熱心」は、とても悪い意味だ。あの人は、常軌を逸した危険人物だという。
 万人の平等を説いたジェファソンからして、自分自身は広大なプランテーションを所有しており、多くの黒人奴隷を使い、そのうちの一人の黒人女性と関係をもって子どもを生ませていた。
目の前の現実が、これほど不平等だというのに、我々はなおも万人が平等だと信じている。
 クエーカー教徒は今は温厚な平和主義者として知られているが、最初はかなり過激な集団だった。新渡戸稲造もクエーカー教徒だった。
世俗的な成功は、それ自体が目標ではなく、自分の生き方の正しさを計るバロメーター。
 信仰とはすなわち道徳な正しさであり、世俗的な成功をもたらすもの。だから、もし自分が世俗的に成功しているならば、それは神の祝福を得ていることのしるしなのである。
 本人はいつまでも自信がなくて、不安に脅かされていて、何かにすがっていたい。あくまでも自分が愛されていて、認められていることを、手にとるように実感し続けていたいのだ。
 宗教と実利という二つの成分要素で成立したはずの反知性主義は、まさにその大衆的な成功ゆえに、本来の反エリート主義的な性格を失っていく。きわめて皮肉な結末である。
アメリカ史には、政治における妥協性と、道徳における極端性が共存している。
 アメリカは、一方では欲望全開で何でもありのフロンティア社会であり、かつ同時に禁欲的で厳格な法律をもったお上品の国である。
 都会は売春と飲酒と賭博が蔓延する一方で、プロテスタント的、中流階級的な倫理観は、他のどの国よりも強い。
 アメリカという複雑怪奇な国について考えさせられる本です。
(2014年2月刊。1300円+税)

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